自閉症児とバラの日々 空中庭園  

自閉症児とバラの日々 空中庭園  

記憶の力(自閉症バージョン抜粋)


   スティーブン・ウィルシャーさんは、英国ロンドンに住む30才。彼は、数分間し
  か見ていない風景を克明に記憶し、風景画にすることが出来る驚くべき記憶力の持
  ち主。
   彼は、今回初めて行く街の風景を見ると、右手を動かしながら風景を記憶しはじめ
  た。その間、約6分。するとそのまま場所を移動し、ホテルの部屋で画を描き始める。
  風景を見て30分後のことだ。それは写真と合わせてもぴったり一致するほど克明な
  画だった。建物の窓の数、柱の数、位置、道路のカーブの角度、全て一致する。今見
  て描いてもこんな一致は見られないのではないだろうか。
   こんな素晴らしい記憶力の彼は、子供の頃、重度の自閉症と診断され11歳で6歳
  の知能レベルしかなく、道を一人でわたることもままならなかった。

   彼は、東京に招かれ、東京上空から見た画を描くことになった。
   フライトの3時間後ホテルに戻り、描き始める。それは東京タワー周辺の画だった。
  記憶時間は、12分間。何気なく上空から見ているだけのように見えたが、その画は
  写真を写すかのように克明、遠近感や配置まで正確。どこの部分からでも書き始める
  ことができるという。

   普通の人が、見た風景を克明に覚えていることが出来ないのは、その日の天候や好
  きな色などに左右されて、好きなものから描き、感情が入り込み客観性を失うためで
  ある。その点、ウィルシャーさんは、客観性を持ち続けて描いているため、画のどこ
  からでも描き始めることが出来るのである

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