キャナルのまったりRS日記

キャナルのまったりRS日記

番外編 メイドがバイト


これからレストランで起こる騒動は誰も予想出来なかったであろう。
「ガシャーーーーン」
派手な音を立てて料理をぶちまけるメイド姿のウエイトレス。
ぶちまけられた料理を頭に乗せ怒り出す客。

エ)    すみませーーーーーん。

客)    すみませんで済んだら警備隊いらんわ。
      どうしてくれるんだ!

騒ぎを聞き付けた店主が奥から慌てて駆け付ける。

店主)   お客様、申し訳御座いません。

客)    何だこの店は!
      客に料理を食べさせるのでは無く、料理をかける店なのか。

店主)   お怒りは御尤もです。
      エステル、お前も謝らんか。

エ)    すみませーーーん。
      ごめんなさーーーい。
      許して、お願い、プリーズ。

客)    何か誤ってる気がしない。
      もういい、帰る。
      こんな店に二度と来るか!

エ)    お客様、お勘定はあちらで♪

客)    払えるか、ぼけーーーー。

店主)   もちろん御代は結構で御座います。
      本当に申し訳御座いませんでした。

怒って店を出て行く客に店主は頭をぺこぺこ下げ、客の姿が見えなくなるとゆっくりとエステルの方を睨む。

店主)   ちょっと厨房まで来なさい。

エステルが厨房に入ると店主の怒りが爆発する。

店主)   お客様に対して何て事するんだお前は。
      これで二回目だぞ!
      前回はナイフを欲しいと言ったお客様に、ナイフを投げて渡すし。
      テーブルにナイフが刺さって、お客様はショックで気絶したんだぞ。
      いいか、今度何か問題を起こしたら首だからな。

エ)    はーい、すみませんでした。

店主)   分かったらさっさと戻って接客しろ。

エ)    はーい。
      何よ、ちょっとミスったくらいで、安い給料で扱き使っているくせに。

店主)   ん?
      何か言ったか。

エ)    何も言ってませーーーん。

エステルは仕事に戻った。



その頃、古都警備隊の隊舎では。

イブ)   サクレ~、そろそろ見回りの時間だから一緒に行かない?

サ)    ふんふんふん。

イブ)   おーぃ・・・・

サ)    ふんふんふん。

イブ)   はー、また屈伸に夢中になってるよ。

イブは側にあった本棚から、ちょっぴり厚めの本を掴むとサクレの頭目掛けて投げる。
「ゴスッ」
鈍い音と供にサクレの動きが止まる。
本が落ちる音と供にサクレは倒れ伏す。

イブ)   あー、ちょっと本が厚かったかなー。

倒れてぴくぴくしていたサクレは、急に起き上がると叫ぶ。

サ)    私は屈伸の神を見たーーーーーー。

イブ)   屈伸の神が居たらちょっと見てみたいわね。
      アフォな事を言ってないで見回りの時間よ。

サ)    ん、イブ殿か。
      さっき頭に衝撃を感じたと思ったら、意識が無くなって屈伸の神が現れたのですよ。
      私に向かって屈伸の神は言った。
      「サクレよ、お前は毎日屈伸を欠かさずしておる。その功績を認め屈伸教祖の位を授ける。
      屈伸教を世に広めなさい。」と。

イブ)   あんたねー、毎日毎日屈伸ばかりしているから変な妄想に取り付かれるのよ。
      それより見回りの時間だって。
      ぼやぼやしてると、隊長に怒られるわよ。

サ)    それも困りますな。
      屈伸の神の話は後でするとして、見回りに行きましょうか。

イブ)   後でするんかい。
      別に興味ないから、その話はパスね。

サ)    そんな事を言わないで話だけでも、屈伸教を広めなきゃいけないし。

イブ)   広めんでいい!
      そんなもん。

サ)    そんなもんとは失礼な、屈伸の神の神罰が下りますよ。

そんな会話をしながら二人は見回りに出かけるのであった。



場所は戻りレストラン。

店主)   エステル、材料の注文に行って来てくれ。
      足りなくなった物がある。

エ)    はーい。
      むふふ、さぼるチャンスね。

店主)   何か言ったか?

エ)    いーえ、何にも言ってませーん。

店主)   いいか、パスタを2キロとトマトを1キロそれにレタスを10個だ。
      あ、それと卵50個もだ。

エ)    行ってきまーす。

エステルはレストランを出て材料の注文に向かう。

エ)    あれ?
      お店何処だっけ?

レストランに食材を届けてくれる、店の場所を忘れてしまったエステルは辺りをきょろきょろ見回す。
その時、エステルの視界に警備隊の隊員らしき二人が入る。
エステルは道を尋ねるべく、二人に近寄って行く。

エ)    貴方達は警備隊の人よね?
      この辺にドンキホータテって店が在るはずなんだけど、その店までの道を教えなさい。

イブ)   ぅわ、態度でか。

サ)    確かに、人に物を尋ねる態度ではないですね。

エ)    貴方達は市民の役に立つ事が仕事でしょ。
      早く教えなさいよ。

イブ)   あのね、仕事どうこうよりも、人としてその聞き方は無いんじゃないの。

二人の視線が火花を散らす様子を見て、サクレが仲裁に入る。

サ)    まあまあ、この方の言われる様に道を教えるのも我々の仕事の一つ。
      ええと、その店でしたら角を曲がって少し行った所にありますよ。

エ)    話が分かるー。
      何処かの誰かとは大違いね。

イブ)   何処かの誰かって私の事かしら。

エ)    自覚あるんだ。
      道は分かったわ、ありがとね。

エステルはサクレだけにお礼を言うと、教えられた方に歩いて行った。

イブ)   何なのあの態度でかいメイドは!
      仕事じゃ無かったら今頃ぶっ飛ばしてるわよ。

サ)    まーまー、見回りを続けましょう。

サクレに教えられたとおりに道を進んだエステルは、程なくして目的の店を発見した。

エ)    あった、あった。

エステルは店内に入ると、そばに居た店員を捕まえる。

エ)    おっちゃん、おっちゃん。

店員)   いらしゃいませ。

エ)    レストランブストの者だけど、食材を届けて欲しいの。

店員)   毎度御ひいきにして頂いてありがとうございます。
      何をお届けすれば宜しいでしょうか?

エ)    えーと、パスタを2キロと・・・・・・
      あれ・・・・・
      他は何だっけ?

店員)   パスタ2キロですね。
      他は宜しかったですか?

エステルは眉間にしわを寄せ必死で思い出す。

エ)    確かトマトだった気がするけどいくつだっけ。
      そう、10個だ。
      あとトマトを10個ね。

店員)   何時もはキロ単位で頼まれるのですが、今日は10個ですか?

エ)    あー間違え、トマトは10キロで。
      それと、レタス50個。

店員)   今日はレタスを大量に使われるのですね。

エ)    あー、忘れるところだった。
      あと、卵1個。

店員)   え?、1個だけですか?

エ)    そーよ、目玉焼きでも作るんじゃない。

分かりました、後からお届けします。

エ)    じゃあ頼んだわねー♪
      これで注文終了っと。
      何処かでさぼってから帰ろ。



しばらく時が流れて、見回りを終えようとしていたイブとサクレ。

イブ)   サクレ、いい加減にしなさいよ。

サ)    いい加減にとは?

イブ)   見回り中に悩んでそうな人を見つけるたびに声かけるの。

サ)    悩みを解決する為のありがたい話ですよ。

イブ)   ありがたい話って・・・・・
      いきなり「迷える子羊よ、悩みがあるなら屈伸の神に祈りなさい」って、これじゃ
      ただの怪しい宗教勧誘でしょ。

サ)    勧誘してるんですよ。
      屈伸教に。

イブ)   何か頭痛くなってきた。
      それより昼もかなり過ぎたから、食事でもして隊舎に帰るわよ。

イブは辺りを見回すと、一軒のレストランがある事に気が付く。

イブ)   あの店にしましょう。

二人は店に入って行く。
席に着いた二人の前に、メイドの姿をしたウエイトレスが現れる。

エ)    いらっしゃいませ~。

イブ)   あ!、あの時の態度でかいメイド!

エ)    げ、何で店に居るのよ。

イブ)   何でって、食事しに来たに決まってるでしょ。
      水くらい持って来たらどうなの。

エ)    水くらい自分で持って来なさいよ。

イブ)   それが客に対する態度なの。
      店長を呼びなさい。

エ)    お待ち下さいませ~♪
      ただいまお持ちします~。

エステルは血管を浮かべながら、営業スマイルで水を取に戻って行った。
水を机に置くとエステルは言う。

エ)    ご注文はお決まりでしょうか。

イブ)   そうねー、日替わりランチにしようかしら。

サ)    私もそれを下さい。

エ)    日替わりランチ二つですね。
      けっ、せこいもん注文しやがって。

イブ)   聞こえてるわよ。

エステルはイブを無視すると注文を通す為、奥にと戻って行った。

イブ)   サクレも何か言ってやりなさいよ。

サ)    私にはそんな事よりも大切な使命が。

イブ)   まだ言ってるよ。

そんな会話をしているうちに、エステルが料理を運んでくる。

エ)    お待たせしました~。

エステルはサクレ前に料理を置くと、厨房へと戻ろうとする。

イブ)   ちょっと、私の料理はどうしたのよ!

エ)    すぐに持って来るわよ。
      まったく卑しいんだから。

イブ)   なんですって!
      もう我慢の限界よ。

エ)    こっちなんかとっくに限界超えてるわよ!

次の瞬間、店に爆音が轟いた。

店主)   何だ!
      何が起こったんだ?

店主が奥から慌てて出てくる。
店主がそこで見た光景は、二人が戦った余波でめちゃくちゃになった店内であった。

店主)   ああああぁぁぁぁぁ。
      私の店があぁぁぁぁぁぁ。

そんな哀れな店主にサクレが近寄る。

サ)    ご主人、貴方は今とても不幸ですね。

店主)   見れば分かるでしょう。

涙を流しながら肩を落として言う店主に向かって、サクレは静かに言った。

サ)    さあ、今こそ屈伸の神に祈るのです!
      私の後に続いて。

そう言うとサクレは屈伸を始めた。

イブ)   いくわよ、へぼメイド。

エ)    こっちの台詞よ、へたれ警備隊。

二人は大技を繰り出した。
最後の大爆発と共に店は営業不能の状態となった。

店主)   わ、わたしの店・・・・・

サ)    ふんふんふん。
      屈伸をしないからですよ。

両手を付いてうなだれる店主の横で、ひたすら屈伸をするサクレであった。
言うまでも無いが、その後イブとサクレは隊長に怒られ減給処分、エステルは店を首になった。


          完

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