キャナルのまったりRS日記

キャナルのまったりRS日記

番外編 テイマな休日


その宿舎の一室に姉妹は住んでいた。
姉妹はロマ村に伝わる、宝玉を守護していた一族の末裔である。
とある事件の余波により、姉妹の住む家は全焼。
新しい家が建てられるまで、古都に滞在する事となっている。

ファ)    おはよ~ん。

シ)     おはよう、ファスト。

朝食の準備をしながらシアフィールドは言う。

シ)     今日は森へテイムに行くから、お昼は自分で作って食べるのよ。

ファ)    ふぁ~い。

間の抜けた返事をした後、ファストは呟いた。

ファ)    テイムかー・・・
       わたし召還獣は居るけど、ペットって持ってないんだよなー。

その呟きを聞いたシアフィールドは、しばらく考えた後に口を開く。

シ)     ファスト、そろそろ貴方もペット捕まえた方が良いわね。
       テイマのスキルも使えるのにペット居ないと意味が無いわよ。

ファ)    うーん。
       分かってるけど、捕まえ方良く分からないし・・・・

シ)     では今日は一緒に来なさい。
       テイムのやり方を教えてあげるから。

ファ)    うん、それじゃ朝食食べたら早速準備する。

こうして二人は朝食を終えると出かける準備に取り掛かる。

ファ)    準備と言っても笛の用意くらいなんだよなー。
       あ、これも持って行かないと。

ファストは机の引き出しから、まだ何も書かれていない飼育記録書を取り出した。
それらをカバンに詰め込むと、準備を終え外で待っていた姉とトランの森へ向かう。

ファ)    トランの森って港町シュトラセラトの北西にある森でしょ?

シ)     そうよ。

ファ)    泊まりの準備はしなくても良かったの?

シ)     最近町にねテレポーターって言うのが出来て、それを利用すればシュトラセラトまで直よ。

ファ)    便利になったんだねー。

そんな会話をしながら古都の通りを南に歩いていく二人。
通りの反対側から近づく一団があった。

イブ)    おや、こんにちわ。

キャ)    何処かに出かけるのかな?

シ)     はい、トランの森へ行きます。

サ)     こっちの方に来たと言う事は、テレポーターを使ってトランの森まで行く気ですな。

ファ)    そうだよ。
       使うの初めてだから、どれだけ早いのかすごく楽しみ♪

「キュピーン」
ファストの言葉を聴いた瞬間、意地悪な笑みと供にイブの目が輝いた。

イブ)    へー、ファストはテレポーター初めてなんだ。
       無事に戻ってこられるといいね。

そう言ってイブは哀れな人を見る目でファストを見た。

ファ)    え?

イブ)    慣れた人なら大丈夫だけど、初めての人だとたまに居るのよねー。
       次元の穴にはまっちゃう人。

ファ)    次元の穴。

イブ)    そう、現在地と目的地を次元の穴で結んで移動するのがテレポーターなんだけど、
       たまーに穴にはまって出られなくなる人が。
       出られないだけならまだしも、間違って火口の上に出て丸焼きになる人も。

ファ)    ひっ、そんなに危険なの・・・・

イブ)    この間なんか、次元断層で体がまっ!

「ゴスッ」
鈍い音と供にイブの頭には槍が振り下ろされていた。

キャ)    いい加減にしないか。
       ファストが怯えて泣きそうになってるぞ。

イブ)    りょうか~いで~す。

頭を押さえながらイブは返事をして、ファストに誤った。

イブ)    ファストごめんね。
       反応が面白かったからつい。
       あれ全部嘘。

ファ)    えーーー。
       イブのアフォーー。

ファストは叫びながらテレポーターの方に走って行った。

シ)     それでは私もこれで失礼します。

二人が去った後、サクレがキャナルに話しかける。

サ)     シアフィールドさん冷静でしたけど、一筋の汗流してましたね。

キャ)    多分信じていたな。


それからしばらくして・・・・・。
姉妹はテレポーターの前に着いていた。
先ほどの嘘が未だに気になるのか、ファストはテレポーター係に何度も安全の確認をしていた。
そして二人は港町シュトラセラトへ旅立って行った。


瞳を閉じた姉妹の鼻を潮の香りがくすぐる。
目を開けるとそこは港町シュトラセラトであった。

ファ)    海の香りがするー♪

シ)     さて、まだ日が高いうちに森に行きましょう。

シュトラセラトを出てしばらく北西に進むと、大きな森が見えてくる。

シ)     あれがトランの森よ。

ファ)    大きな森―。
       ここで何をテイムするの?

シ)     今回はマーブルガーゴイルをテイムしようと思ってるの。
       その他にもティンバーマンとかエルフ暗殺者だとか居るから、ファストはなれる為に
       ティンバーマンをテイムしてみて。
       私がマーブルガーゴイルをテイムして見本を見せるから、その後にティンバーマンを
       一人でテイムするのよ。

ファ)    あい。

シ)     じゃあ行くわよ。

シアフィールドは召還獣を呼び出し、マーブルガーゴイルと戦わせる。

シ)     いい、テイムする時は対象の体力を削る事。
       元気なままだとペットにならないわよ。

「ボコッ」
「バキッ」
笛でマーブルガーゴイルを殴る姉を見てファストは思う。

ファ)    動物虐待・・・・・

シ)     そしてある程度弱ったらテイムする。

「ピコン、ピコン」
笛を振るとピコピコハンマーで叩いたような音がした。
数回繰り返すと、マーブルガーゴイルは抵抗を止めて命令を聞く様になった。

シ)     これでテイム完了。
       今は強引にテイムしたけど、餌などを予め撒いてテイムするのも有効よ。

ファ)    あい。

シ)     それじゃ一人でやってみて。
       私は他のモンスターをテイムしてくるから。

ファ)    マーブルガーゴイルが目的じゃなかったの?

シ)     うん、でもさっきね、変わった犬を見かけたの。
       それをテイムしてみるわ。

そう言うとシアフィールドは森の奥に消えて行った。
ファストは教えられた様に、ティンバーマンをテイムにかかる。

ファ)    ええと、まずは対象の体力を減らすと。

召還獣を呼び出すべく魔法陣を構築する。

ファ)    おいで、ケルビー。

「ガゥ」
召還されたケルビーはティンバーマンの体力を削るべく攻撃に入った。

ファ)    そして笛で殴りつつ、テイム開始と。

「パカン」「ピコン」「パカン」
ファストはテイムと殴りを繰り返す。
「ピコン」
もう少しでティンバーマンが倒れると言う寸前、ファストはテイムに成功した。

ファ)    やったー♪
       お姉ちゃんに見せに行こう。

ファストは姉の消えて行った方を目指して歩み始めた。
その時、森の奥から叫び声が上がった。

わ)     ぐふぅーーーーー。
(訳:ぎゃぁーーーーー)



時を遡る事半時、姉妹がトランの森に着いた時である。

わ)     ぶっふぐふふ、ぐふふ、ぐふふ。
(訳:今日も狩り、狩り、狩り)

古都を離れたわんわんこは、トランの森で狩りをしていたのであった。
獲物を探すべく森の中をうろうろしていると、遠くで話し声が聞こえる。
わんわんこがそちらの方を見ると、テイマらしき姉妹が話しながら歩いていた。
別にテイマに興味があるわけでも無いので、そのまま獲物を探すことにした。
去り際に一人がこちらの方をちらりと見た気がした。


森の中をわんわんこは探す。
しばらく獲物を探し回っていたわんわんこの前に、鳥の丸焼きが現れる。
何処からとも無く、降って沸いた様に現れた鳥の丸焼き。
わんわんこは警戒しながらも、鳥の丸焼きに近づいていく。

わ)     ぐふぅう♪
(訳:美味しそう♪)

わんわんこは鳥の丸焼きを手に取り前を向いた。
その時、木の陰に一人の少女が隠れているのに気が付く。

シ)     はっ!

掛け声と供に少女は笛を振り下ろす。
命令を受け、少女の隠れていた木の後ろから召還獣がわんわんこに襲い掛かる。

わ)     ぐふぅーーーーー。
(訳:ぎゃぁーーーーー)

ファストは走っていた。
叫び声のした場所に着くと、そこでは姉がテイムしようと攻撃している。

シ)     おとなしくテイムされなさい。

「ボコッ」「ボコッ」「パカーン」「ピコン」

わ)     ぐふぉ、ぐふぇ、ぐひょ。
(訳:ぎゃ、ふぎゃ、ひでぶ)

激しい攻撃にわんわんこの意識は薄れて行く。

シ)     テイム出来ないわね。
       えい、やぁー。

「ガスッ」「ボスッ」
さらにわんわんこを笛で殴る。

ファ)    お、お姉ちゃん!

シ)     ファスト、ちょうど良い所に。
       これが話してた犬よ。

ファ)    あのー、それウルフマン・・・・

シ)     え?・・・・・
       ウルフマン・・・・

気絶してぴくぴくしているわんわんこを見下ろす姉妹。

シ)     変な犬かと思ってた。
       ウルフマンじゃテイム出来ないわね。
       行きますよファスト。

ファ)    でもウルフマンさんが・・・・

シ) 死んでないから多分大丈夫よ。

涼しげに言って微笑むシアフィールド。
ファストは姉の額に流れる汗を見逃さなかった。

シ)     早くしなさい。

ファ)    あーい。

ファストは気絶しているウルフマンを心配そうに見ていたが、やがて姉の方に走って行った。
日が沈みかけた頃、わんわんこの意識が戻る。
一番星の輝きを見つめながらわんわんこは思った。
これから拾い食いは止めようと。


          完

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