前門の虎、後門の狼 <年子を抱えて>

前門の虎、後門の狼 <年子を抱えて>

オリンピックは選手のためにある




 国内統括団体の分裂が続くテコンドーで、日本オリンピック委員会(JOC)がアテネオリンピックへの選手派遣条件と決めた2団体一本化期限の3月31日、両団体の交渉はまとまらず、一本化によるオリンピック派遣はなくなった。女子67キロ以上級でオリンピック出場枠を獲得したシドニーの銅メダリスト岡本依子の派遣を求める声が強まり、全日本テコンドー協会(衛藤征士郎会長)と日本テコンドー連合(森喬伸会長)はこの日の午後協議したものの、とうとう物別れに終わり、時間切れとなった。JOCは、18日の理事会で決めた派遣条件を守ることを確認、一方で、国内団体が存在しない場合、条件付きで国内オリンピック委員会が個人資格でエントリーできる、との国際オリンピック委員会(IOC)憲章に基づく派遣検討も視野に入れている。

 まったく…。日本のなんたら協会は、やたら議員と絡んでいる。それなら!猪木よ!スポーツ平和党よ!今こそ立ち上がれ!

 政治や権力争いはスポーツに何の関係もないのに、団体役員が私利私欲のために選手の活動を制約し、挙句の果てに、今までの努力を無駄にするなんて、こんな不条理なことがあるだろうか。変な利権や名誉があるから、それにはびこる輩が出てくるのだ。期限が迫っているのに、この期に及んでも自分のメンツしか考えない役員は一体どういう頭の構造をしているのだろうか。意地の張り合い、みっともないことこの上ない。いい歳して子どもの喧嘩のようだ。猿山のボス争いのせいで、オリンピックを目標に精進してきた選手が泣かされるとは不届き千万、何のための団体だろうか。

 選手の育成と、円滑な大会参加へのサポートが団体の役割だというのに、選手にとってきわめて不当な事態をひきおこしている。団体双方に意見はあるだろうが、ここまできたら、もはやどちらが悪いという次元ではない。いずれにせよ選手には何の罪もないのだから、こういうときくらい一致団結して(いや、表面上だけでも和解して)オリンピックに送り出してあげるのが人間として自然な思考ではないのか!それができないなら団体など必要ない、即刻解散せよ!

 スポーツとは純粋なものである。そもそも、自分で汗をかき、ほかの全てを犠牲にして競技に取り組んだことのない、自尊心ばかりが強い人間が団体の長であることに問題がある。選手の9割は協会の方に所属しているとのことだが、こうなったら全員脱退して新たな団体を設立してはどうだろう。当然、両団体からクレームがつくだろうが、そこは毅然とした態度で、選手を大切にしない者は黙れ、とでも言い放ってほしい!

 JOCは「分裂しているテコンドーの団体が3月中に統一されなければ岡本のオリンピック出場はない」と言っているが、私個人としては、そんなふうに机上の論で簡単に片付けてもらいたくない。いかにもお役所仕事だ。岡本が自分の力で出場枠を獲得して、さらに国内での第一人者と言うことであれば、団体の内紛には構わず出場を認めるべきだと思う。これが某陸上競技の代表選考でもめていたような協会だと、満場一致で派遣が決まりそうなくらい絶対的状況ではなかろうか。一生懸命やっている選手を何だと思っているのか。ただでさえ日本は、マイナー競技だと金メダルを獲っても少しの名誉と少しの金しかもらえないのに、オリンピックに出場さえできなかったら何を目標にすればよいのだろうか。

 私はシドニーオリンピックでの岡本の活躍を見て初めて、テコンドーという競技の存在を知った。おそらく、私のような人は多いのではないだろうか。若い人や子どもたちが競技を始めるきっかけは、優秀な選手の活躍に憧れて、という理由が多いと思われる。テコンドーにおいては岡本が、その役割を果たせる唯一無二の存在だろう。協会も連盟もJOCも、彼女の功績をもっと理解すべきである。競技人口の底辺を広げる役割を果たすチャンスなのに、オリンピックに出場できないのでは、あまりにももったいないし、テコンドーを広めた岡本に恩を仇で返すようなものである。岡本がアテネへ行けないとなれば、知名度の高くないこの競技に対する関心はますます薄れ、マイナスイメージはずっと染みついたままであろう。団体は醜態をさらして、自ら首を絞めているということがわかっていないようだ(嘲笑)。

 自分の力を誇示したくてたまらない、いやらしい人が多すぎてうんざりするが、岡本には関係ない、彼女は純粋にテコンドーを愛している。4年に一度の桧舞台、JOCだって出してやりたいという気持ちは当然あるだろう。スポーツには夢と希望がなきゃダメ…。臨機応変な対応を祈るのみである。



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