Das Tagebuch von Judith

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liebejudith

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April 13, 2007
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カテゴリ: 音楽・芸術
古楽鍵盤楽器奏者の友人U氏のコンサートに行ってきました。

今日はクラヴィコードのリサイタルです。

クラヴィコードは19世紀前半までは非常にポピュラーな楽器でしたが、
今では珍しい楽器の部類になると思います。
大きさは小さく、鍵盤を押すと、てこの原理で上がった鍵盤の先が
弦にそっと触れるだけなので、音も非常に小さい楽器です。
弦をはじいたり叩いたりではありません。
鍵盤で直接弦を押す感じなので、押さえたまま

音量の変化によるヴィブラートが可能です。

今日の会場は初台のオペラシティ内にある近江楽堂です。
100名入れるのが精一杯の小さな会場で、響きがとても豊かです。
リュート、スピネット、フレンチチェンバロなど、
音の小さな楽器にうってつけの会場です。

しかしそれでもクラヴィコードの音は小さい!
今日はホールのど真ん中に楽器を置いて、
客席はその周りを360度囲むように配置されました。

CA330559-0001.JPG

大入り満員。100人以上を詰め込んだらしいです。

会場のみんなが耳を澄ませて音に集中するという、
音が小さい楽器ならではの雰囲気があるコンサートでした。


クラヴィコードの出せる強弱・大小の幅はたかが知れているのですが
耳を研ぎ澄まして聴いていると、ちゃんと幅を感じることができ、
活き活きとした表現が伝わってきます。

どのぐらい耳を澄ませているかというと、
ちょっと身動きしただけの衣擦れの音が聞こえたり、

他人のお腹が鳴る音も聞こえます(笑)


今日のプログラムは、
前半がヴェックマン、アギレーラ・デ・エレディア、
フレスコバルディ、フローベルガーの作品、
後半がC.P.E.バッハ、J.S.バッハ、モーツァルトの作品です。
J.S.バッハは、有名なシャコンヌd-moll(U氏による編曲)、
モーツァルトはキラキラ星変奏曲です。
マニアックな作品から有名作品までバランス良く取り入れられていました。
※ちなみに、キラキラ星変奏曲はパリで書かれたのではなく
ウィーンへ帰ってから書かれた作品であることが最近の研究で明らかになっています。

彼のコンサートはいつも、古楽の専門家にもあまり知られていないような
マニアックな作品が入っているのですが
それをとても魅力的に聴かせてくれるので毎回楽しみです。


前半と後半で異なる2台の楽器を使い分けるという、楽しい試みも行われました。
2つの楽器の音色・響きの違いを楽しめました。
1700年のDonatの楽器をモデルにした4オクターブの小さな楽器と
1775年のSilbermannの楽器をモデルにした5オクターブの大きめの楽器です。

特に注目は、前半で使われたDonatモデル分割鍵盤仕様のクラヴィコード!
「分割鍵盤」とは、黒鍵が上下に分割されているのです。
これは調律法に関係する話になるのですが、
当時は、現代では主流の「平均律」という調律法はありませんでした。
※平均律は、オクターブを均等に12等分する調律法です。
 完全に合う音程はオクターブのみで、その他の和音はすべて、
 純正な響きからは少しずれた、濁った響きになります。
 完全な12等分では、どの調も同じように弾けますが
 純正な響きは得られません。
「分割鍵盤」は、「ミーントーン」という調律法が前提となります。
「ミーントーンは、長3度が純正になることを尊重した調律法です。
そして、長3度の中間の全音を均等にします。
例えば、C-Eを純正にして、C-D、D-Eを均等にするというやり方になります。
旋律には向きませんが、和声が綺麗に響きます。
ところが、平均律ではGisとAsはまったく同一のピッチですが、
純正な3度の響きを求めてC-E-Gis(G#)と辿った場合と
Cから下にAs(A♭)と辿った場合、GisとAsはまったく違うピッチになるのです。
これを解消するためにGisとAsに、違う鍵盤を割り当てたのが「分割鍵盤」です。

 ※ 他にも、5度が純正であることを尊重し、より転調に耐えられるように考えられた
「キルンベルガー」や「ヴェルクマイスター」という調律法も広く使われています。

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Gis/AsとDis/Esの黒鍵が上下に分割されているのがおわかりでしょうか?

こちらが、通常の鍵盤のクラヴィコード。プログラム後半で使われました。

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彼のコンサートの後は、いつも打ち上げまで参加です。
今日はオペラシティにあるアイリッシュパブ「HUB」でした。
春限定の「HUBエール」を試してみました。
フルーティで飲みやすいビールでした。

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Last updated  April 14, 2007 11:00:27 AM
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