RSプレイヤーによる日記のような何か兼レビュー倉庫

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ルカ―楽園の囚われ人たち


 人工知能の暴走と人類滅亡の2大テーマを掲げた作品であり、それらがしっかり凝縮されていて大賞にふさわしい物になっている。序盤はちょっと変わったホームドラマテイストで、シリアスとコメディが絶妙にブレンドされ、なかなか私好みであった。好みでない人にはただ退屈なだけかもしれない。中盤以降では傍観者であった管理コンピュータが「一石を投じ」たことから「まゆ」を廻った人工知能と幽霊達の戦いがはじまる。幽霊達を絶望のどん底に陥れた時のそいつには一読者として多大な憎しみを感じたが、「改心」した後の人工知能を見ると全く憎めず、そんなずるい展開にした作者が少々恨めしい。人情味のある人工知能である。
 最後のまゆ達の談笑は、暗かったラストに華を添えていて、後味が良かった。まゆによる全世界が動揺した爆弾発言も場にぴったりだった。他にもクローンの話や、最後の一人云々の事実をまゆに伝えるか否かなどのとても考えさせる場面もあって、面白い作品になっていると思う。
 強いて苦言を呈するなら、ライトノベルにありがちな「説明不足」だろう。幽霊が存在してしまった理由や、まゆが一人生き残った理由。しかし、それがライトノベルのライトたる所以の一つなのだから、気にしてはいけないのかもしれない。
 と、色々と書いたが、この作品の最も評価されるべきところはそんなことではなく、大賞を取ったときのタイトルが「少女禁猟区・最後の1人+8」(作者の黒歴史指定らしい)だったことだろう。これで申し込んだ作者の度胸には脱帽せざるを得ない。


注:少女禁猟区~のところには取り消し線を入れる予定でしたが、仕様で入れられませんでした。作者さんごめんなさい。

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