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11-16.ナルニア物語、第3章アスラン王と魔法の島 3D■原題:The Chronicles Of Narnia,The Voyage Of The Dawn Treader■製作年・国:2010年、アメリカ■上映時間:112分■字幕:松浦美奈■鑑賞日:2月26日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ(六本木)■料金:400円(3D料金)スタッフ・キャスト(役名)□監督:マイケル・アプテッド□原作:C.S.ルイス□脚本:クリスオファー・マルクス、スティーヴン・マクフィーリー、マイケル・ペトローニ□衣装デザイナー:アイシス・マッセンデン□撮影監督:ダンテ・スピノッティ◆ベン・バーンズ(カスピアン王子)◆ジョージー・ヘンリー(ルーシー・ペヴェンシー)◆スキャンダー・ケインズ(エドマンド・ペヴェンシー)◆アナ・ポップルウェル(スーザン・ペヴェンシー)◆ウィリアム・モーズリー(ピーター・ペヴェンシー)◆ウィル・ポルター(ユースチス・スクラブ)◆ティルダ・スウィントン(白い魔女)◆ゲーリー・スウィート(ドリニアン)◆ビル・ブラウン(コリアキン)◆ローラ・ブレント(リリアンディル)【この映画について】夢と魔法と冒険に満ちたファンタジー映画の最高峰、「ナルニア国物語」シリーズ。C.S.ルイスの原作の中でも特に高い人気を誇る第3章は、冒険の舞台を大海原に移し、前2作とはガラリと違う雰囲気に。アスランの国があると言われる、ナルニアの東の果てを目指す一行の前に立ちはだかるのは、魔法と伝説に彩られた神秘の島々。独創的でファンタジックな映像は、3Dで体験するのがオススメ。前作から3年を経て、すっかり頼もしい王となったカスピアン、勇敢なネズミの戦士リーピチープら、おなじみのキャラクターはもちろんのこと、初登場のひねくれ者のいとこ・ユースチスにも注目だ。現実主義で、魔法に満ちたナルニアのすべてを受け入れられない少年が、荒々しい航海の中で、どう変化していくのか…。壮大なファンタジーのなかで、成長していく子どもたちを描く同シリーズの醍醐味が味わえる一本だ。(この項、gooより転載しました)【この映画について】(ネタバレあり)兄ピーターと姉スーザンがアメリカ滞在中、エドマンドとルーシーのペベンシー兄妹は、理屈っぽく意地悪な、いとこのユースチスの家に預けられていた。兄妹はこんな性格のユースチスとはそりが合わない。そんなある日、3人は家の壁にかけてあった船の絵画を見ているうちに、ルーシーの「この絵、ナルニアっぽい!」の一言が合図になったかのように、ユースチスの制止を振り切って3人共々、絵の中に吸い込まれ、ナルニアの海へと導かれ、大海原に出た三人は振り返ると彼らは、懐かしいカスピアン王子やもの言うネズミの騎士、リーピチープたちと共に帆船朝びらき丸に乗っていた。そして、朝びらき丸は神秘の島々をめぐる旅へと漕ぎ出す。旅の目的は、カスピアンの亡き父王の友人で、邪悪なミラースから逃れる為にナルニアを離れた7人の貴族を見つけ出すこと。光を奪われたナルニアを救うためには、散り散りになった魔法の剣を集め、アスランのテーブルに並べなくてはならない。だが脅威の源は、心の奥底に抱える恐怖や不安を現実にする邪悪な霧だった。その魔力によって、エドマンドたちは訪れた島々で数々の危機に遭遇、「金水島」では欲に駆られたユースチスが一行から勝手に離れて行動し挙句の果てにドラゴンに姿を変えられてしまう。我ままな行動で孤立していたユースチスだったが、ドラゴンに姿を変身させられてからは、彼が目の仇にしていたリーピチーブが親身になって慰めてくれた。一行は、ラマンドゥ島で7本目の剣を発見し、リリアンディルの導きにより急がないと悪を止められないと警告される。ところが、次の、「くらやみの島」へ向かうがエドマンドの恐怖心から生まれた大ウミヘビに船を攻撃させられ大ピンチに。このピンチを救ったのはドラゴンに姿を変えられているユースチスだった。事情を知らないループ卿が投げつけた剣を刺したまま空の彼方へ飛び去って行く。瀕死の重傷を負ったドラゴンは、やがてアスランによって救われ元の姿に戻された。そして突き刺さっていた剣をラマンドゥ島の残りの6本をアスランのテーブルへ並べ、エドマンドはピーターの剣で大蛇にトドメを刺したところ魔法は消えナルニアに再び平静が戻ってきた。ペヴェンシー兄妹とユースチスは航海途中で様々な困難に直面するが、一致団結して乗り越えていき、また、ユースチスは今までの性格を悔い改め、少年少女達は大人への階段を一歩ずつ歩んでいくのだった。全7作中の3作目だった今回の作品、ペヴェンシー一家も上の二人が冒頭でチラッと出てきただけで、エドマンドとルーシーの年少の兄妹の2人と初登場のユースチスが今回は主役。ラストではそのユースチスが次作では主役に躍り出そうな(原作では4作目は彼が主役らしい)感じ。エドマンドとルーシー兄妹の次回の立場は微妙かな?ユースチスを演じた子役の上手さはきらりと光るものがあった。ラストで、アスランが子供達の労をねぎらい、(CGによる)大波の中を潜って現実の世界へと戻る。ラストシーンはなかなかの感動物で、ここではリーピチーブとの別れもあり、あの独特のキャラは3作目で終わるのか?それとも、どこかで再び登場するのかも気になった。1作目から観てきたけど、個人的には本作が一番分かり易かった。4作目以降はユースチスが主役らしいけど、ハリポタみたいに常に同じキャラと子役たちが演じているとマンネリ感を感じるけど、こちらは主役が少しずつ?替わるらしいので、新たな魅力を次に残すやり方は賛成です。その辺は英国人監督のマイケル・アプテッドの上手さが活かされていた。蛇足ながら最後に、現実の世界からナルニアへと誘う冒頭のシーンのCGは子供にも大人にも楽しめる。海の中をさまよって海中に顔を出すと、帆船がバーンと登場する。このツカミは、今後のスピーディな展開を予感させるには充分だし、ラストのアスランやカスピアン達に見送られて、再び現実の世界に戻る構成のキレの良さには感心した。欲を言えば、もう少しヴェテラン俳優で脇を固めてもらいたかった。その点はハリポタの方が上だったかな?
2011.02.26
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11-14.レッド■原題:Red■製作年・国:2010年、アメリカ■上映時間:111分■字幕:菊地浩司■鑑賞日:2月14日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ(六本木)■料金:1,000円スタッフ・キャスト(役名)□監督:ロベルト・シュヴェンケ□脚本:ジョン・ホーバー、エリック・ホーバー□編集:トム・ノーブル□音楽:クリストフ・ベック◆ブルース・ウィリス(フランク・モーゼス)◆モーガン・フリーマン(ジョー・マシスン)◆ジョン・マルコヴィッチ(マーヴィン・ボッグス)◆ヘレン・ミレン(ヴィクトリア)◆カール・アーバン(ウィリアム・クーパー)◆メアリー=ルイーズ・パーカー(サラ・ロス)◆ブライアン・コックス(イヴァン・シモノフ)◆レベッカ・ピジョン(シンシア・ウィルクス)◆ジュリアン・マクマホン(ロバート・スタントン米副大統領)◆アーネスト・ボーグナイン(ヘンリー)◆ジェームズ・レマー(ガブリエル・シンガー)◆リチャード・ドレイファス(アレクサンダー・ダニング)【この映画について】ブルース・ウィリスにモーガン・フリーマン、ジョン・マルコヴィッチら大物俳優たちが集結したスパイ・アクション・ムービー。今や規則正しい引退生活を送る元CIAのエージェントが、ある襲撃事件をきっかけにかつての仲間たちと伝説のチームを再結成する様子を生き生きと描く。メガホンを取るのは、『フライトプラン』のロベルト・シュヴェンケ。リタイアしたものの、かつてはすご腕のスパイだった彼らの華麗な技に見ほれる。(この項、シネマトゥデイより転載しました)【この映画について】(ネタバレあり)フランクは、かつて腕利きのCIAエージェントだったが、今は引退、田舎町で一人穏やかに暮らしている。そんな彼の唯一の楽しみは、役所に勤めるOLサラと電話でおしゃべりをすることだった。ある夜更け、フランクは家の中に3人の侵入者を察知。最新銃火器で武装したコマンドを一人ずつ倒した彼は、さらに家の外から容赦ない銃弾を浴びせかけてきた敵もあっさり葬り去り、サラの家へと車を走らせた。フランクは、自分はついさっき暗殺されかけ、政府監視下にあって電話も盗聴されていたので救いに来た、とサラに話すが彼女は信じない。だが二人が言い争う中、アパート前に新たな暗殺者たちが現れる。フランクはその目を逃れ、裏口から抜け出て嫌がるサラを車に押し込んだ。モーテルのベッドにサラを縛りつけて、フランクはかつての上司、ジョーが住む老人介護施設を訪れる。ジョーは80歳を過ぎ、末期の肝臓がんを患っていた。CIAの知人に裏から手を廻したジョーは、フランクの襲撃者たちの指紋から身元を調べさせ、同じグループがつい最近NYタイムズ紙の女性記者を密殺した疑いがあることを知る。一方、モーテルでは、若きCIAエージェントのクーパーが、上司ウィルクスの密命を受け、サラを連れ去ろうとしていた。ちょうど戻ってきたフランクは、サラを奪い返し、銃撃戦とカーチェイスを繰り広げた末、その場から脱出する。殺されたNYタイムズ記者の実家を訪ねた二人は、彼女が母親に宛てた一枚の絵はがきを見せられる。フランクはそこに記された暗号を解き、コロンビア大学の膨大な蔵書の中の一冊から一枚のメモを発見。それはフランク他9人の名が記された暗殺リストだった。二人はリストに名前があったフランクのかつての同僚かつ宿敵、マーヴィンを訪ね,リストの名前の謎を解くが……。そもそもリタイアした連中が何故暗殺リストに載っているのか?この辺からはCIAらしさを前面に出した陰謀を思わせる展開に。そこには現政権の副大統領が就任前にかつてCIAと関わった事件があり、それは闇に葬られていた筈なのに何故かNYタイムズに察知されたことが事の発端。フランクらかつての仲間達は、今ではリタイアして普通の市民生活?を送っているが、常に武器は携帯しておりフランクのように精鋭部隊に不意打ちを食らっても生き延びるだけのしぶとさは相変わらず。この映画の良さはかつての仲間と再開するという設定でロードムービー風の展開を終始見せている点。全米各地に散らばった仲間が一つにまとまる過程なので無理のない設定。更に、フランクがCIA本部に旧ソ連のスパイを通じて暗号を入手して潜入するシーンはユニークだ。そのCIA本部でクーパーとまるでプロレスのような格闘シーンは迫力満点だったのだが、振付士はプロレスラー出身なのかな?バックドロップや腕ひしぎ十字固めとか試合そのものでした。最初から最後まで、オールスター級の俳優陣の見事なアンサンブル演技が光っていた。登場シーンは僅かだったが、CIAの記録保管室に勤務するヘンリー役のアーネスト・ボーグナインは失礼ながらもう亡くなっていたと思ったら93歳で健在なのには恐れ入った。政界と癒着し懐を肥やす政商ダニング役のリチャード・ドレイファスなど、かつての主役級や現在でも主役を張れる俳優陣をこれだけ揃えたらギャラ大変だったでしょうね。この映画、シリーズ化しても面白いと思いますが、元々はコミックスだそうで。
2011.02.15
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11-13.ザ・タウン■原題:The Town■製作年・国:2010年、アメリカ■上映時間:125分■字幕:松浦美奈■鑑賞日:2月13日、新宿ミラノ(歌舞伎町)■料金:1,800円スタッフ・キャスト(役名)□監督・脚本:ベン・アフレック□脚本:ピーター・クレイグ□撮影監督:ロバート・エルスウィット□衣装デザイン:スーザン・マシソン◆ベン・アフレック(ダグ)◆レベッカ・ホール(クレア)◆ジョン・ハム(FBI特別捜査官フローリー)◆ジェレミー・レナー(ジェム)◆ブレイク・ライヴリー(クリスタ)◆タイタス・ウェリヴァー(ディノ)◆ピート・ポスルスウェイト(ファーギー)◆クリス・クーパー(ビッグ・マック)【この映画について】ボストンの一角にある強盗犯罪多発地区を舞台に、彼の地をこよなく愛すベン・アフレックがメガホンをとった監督第二作である。初監督作『ゴーン・ベイビー・ゴーン』に続いてタッグを組むアーロン・ストッカードと共同脚本も手がけ、地元でのロケーションやエキストラ起用など徹底的にリアルな街を描くことで、緊張感みなぎるクライム・ドラマを完成させた。過去の失敗やしがらみに決別し、生き方を変えようとする主人公ダグをアフレック自身が、凶暴な親友ジェムを『ハート・ロッカー』のジェレミー・レナーが好演。花屋を隠れ蓑に“タウン”を仕切る黒幕ファーギー役の名優ピート・ポスルスウェイトにとってはこれが遺作となった。(この項、gooより転載しました)【この映画について】(ネタバレあり)広大なアメリカのどこよりも強盗が多発する街。それが、ボストンの北東部に位置するチャールズタウン。そこに暮らす者たちは、愛と憎しみを込めて、その街を“タウン”と呼んでいた。タグは、アイスホッケーのプロチームにドラフトされ地元のヒーローだったがチームメイトとトラブルを起こし解雇されてしまう。そんなダグは自分の父がそうであったように、強盗を親から子へと家業のように引き継がれてゆくこの街から抜け出そうとしていた。しかし、その思いとは裏腹に、今では強盗一味のリーダーに収まり、狭い街角で家族のように血と骨を分け合って育った3人の仲間たちと、ひとつの証拠も残さない完全犯罪に命を張っていた。その日も綿密な計画に従って銀行を襲撃。だが、逃走するまでの間、ダグの指示に従わなかった仲間が予定外の人質を取る。人質となった支店長のクレアがタウンの住民だと知ったダグは、何を見たのかを確認するため、コインラウンドリーで初対面を装い、正体を隠して彼女に近づく。決して交わるはずのなかった2人の出会いは、やがてタウンの人々の運命をも変えてゆく。激しい恋に落ちたクレアとの新しい人生を願うダグ。だが、FBI捜査官フローリーは、聞き込みから一人の男を割り出し、そこから一味を特定することに成功し尾行を始める。一方、タウンを出ていこうとするダグを許さない仲間のジェムと黒幕で一味の司令官的存在で、ダグの父とも面識がある花屋のファーギー。そして、クレアに忍び寄る裏社会の掟。仲間を裏切るか、愛という名の希望を失うのか……。ダグはファーギーと「最後の仕事」と割り切って、地元大リーグのRソックスの本拠地球場であるフェンウェイ・パークの多大な売店収入を奪う目的で、看板カードのヤンキース戦に警察官を装って襲撃するという最も危険な最後の仕事へと向かう。ここで、当然ながら情報を察知していたFBIと銃撃戦になり、仲間を次々と失うダグ。ジェムと共に、制服姿で警察の包囲網の中を逃走を図るがジェムは銃撃戦の末に射殺される。ダグも制服を脱ぎ棄て必死の逃走を図るが、警察はダグがクレアと連絡を取るとみてクレアの身柄を拘束しおびき出そうと試みるが、慎重なダグはクレアの誘惑には乗らなかった。最後は、列車でダグだけが逃走に成功し、黒幕のファーギーとその助手もダグは射殺しチャールズタウンと決別する。ダグはクレアと二人でやり直したかったのだが、ダグは一人での逃走を決意し、クレアにはダグから密かにあるものが二人の思い出の場所に隠されていた。それを偶然、発見したクレアだったが...。ベン・アフレックが監督と脚本を兼ねて自らも主役を演じた。舞台がボストンでロケも実際にボストンで行われ、ラストのフェンウェイ・パークでのシーンも実際に現場で撮影を行ったそうだ。銀行強盗が親子間で引き継がれる家業という設定だったが、ダグ自身も父のそうした家業を継がずにプロスポーツ選手として名を上げるはずだったのに失敗。結局は、仲間との繋がりを断つことは難しく、ジェムは強盗稼業から足を洗おうとするダグを「過去の出来事」をネタに引き留める。そんな仲間を裏切る訳には行かず、ダグはクレアとの交際を通じて街を出て足を洗う覚悟を決める。それを告げに黒幕のファーギーに相談するが彼は良い返事をしない。そのファーギーを演じたピート・ポスルスウェイトは英国出身の名脇役で、最近では「インセプション」にも出演していた。独特の味のある演技で個人的にも好きな脇役だったのだが、最近、亡くなってしまいこれが遺作になってしまった。残念である。ラストは主役であるベン・アフレックだけが生き残り「普通に逃亡に成功」したのは、まあ、流れとしては違和感は特になかった。そして、ラストシーン...あれは泣かせるね。
2011.02.13
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11-12.ウォール・ストリート■原題:Wall Street,Money Never Sleeps■製作年・国:2010年、アメリカ■上映時間:133分■字幕:戸田奈津子■鑑賞日:2月5日、TOHOシネマズ・六本木ヒルズ(六本木)■料金:1,800円スタッフ・キャスト(役名)□監督:オリヴァー・ストーン□脚本:アラン・ローブ、スティーヴン・シフ□撮影監督:ロドリゴ・プリート□衣装デザイン:エレン・マイロニック□音楽:クレイグ・アームストロング◆マイケル・ダグラス(ゴードン・ゲッコー)◆シャイア・ラブーフ(ジェイコブ・ムーア)◆ジョシュ・ブローリン(ブレトン・ジェームズ)◆キャリー・マリガン(ウィニー・ゲッコー)◆イーライ・ウォラック(ジュリー・スタインハルト)◆スーザン・サランドン(シルヴィア・ムーア)◆フランク・ランジェラ(ルイス・ゼイベル)◆オースティン・ペンドルトン(マスターズ博士)◆ジョン・ベッドフォード・ロイド(財務長官)◆ヴァネッサ・フェルリト(オードリー)◆ジョン・バッファロー・メイヤー(ロビー)◆ジェイソン・クラーク(ニューヨーク連邦準備銀行議長)【この映画について】『プラトーン』『7月4日に生まれて』で2度のアカデミー賞に輝くオリバー・ストーン監督が、87年に発表した『ウォール街』の続編としてメガホンをとった本作。23年ぶりにゴードン・ゲッコーというカリスマ的キャラが復活、演じるのはもちろんマイケル・ダグラスだ。若手注目株のシャイア・ラブーフが若く有能なトレーダーを演じ、息詰まる駆け引きをスリリングに描き出している。社会の裏側と人間の深層心理をあぶり出す演出は、オリヴァー・ストーンの真骨頂。人間の強欲が招いた最悪の金融パニックによって、価値観が問い直される今の現代性に鋭く迫っていて見応え充分だ。思いがけない俳優のワンシーンのゲスト出演にも注目。出演者は「トランスフォーマー リベンジ」のシャイア・ラブーフ、「ブッシュ」のジョシュ・ブローリン、「17歳の肖像」のキャリー・マリガンなど。(この項、gooより転載しました)【この映画について】(ネタバレあり)ウォール街の若き金融マン、ジェイコブ・ムーアは社長のルイスから突如、呼び出されて大金とも言える退職金の小切手を渡され辞めるように申し渡され戸惑う。そしてその直後、会社が突然破綻した。心の師である経営者ルイスはNYの地下鉄のホームで投身自殺、ジェイコブ自身も資産を失ってしまう。それが金融業界の黒幕ブレトンの陰謀だと知ったジェイコブは復讐を誓い、刑務所を出た元大物投資家ゴードン・ゲッコーに助言を求める。しかしゲッコーはジェイコブの最愛の恋人ウィニーの父親でもあった。ゲッコーは絶縁状態のウィニーとの仲を取り持つことを条件にジェイコブと手を組むことに同意する。本能の赴くままに“欲望”を追及し、卓越した頭脳とあらゆる手段で虎視眈々と復活を目論むゲッコー。そんなひと筋縄ではいかないゲッコーとの駆け引きによって、愛の強さを試されるジェイコブとウィニー。そして。ジェイコブはルイスが投身自殺する原因を作ったブレトンへの復讐を心に誓うのだが、逆にブレトンはジェイコブを気に入り、自分の会社に勤めないかと勧誘し敵の懐にジェイコブは入ることに。ブレトンの信頼を得る一方で、ジェイコブには前の会社時代から熱心に関わっていた先端の環境事業への投資が資金不足で行き詰まっていた。そこで狙われたのがゲッコーがウィニー名義でスイス銀行に預けていた1億ドルもの資産。ここからストーリーはドンドン進んでいく。すっかり自信を取り戻したゲッコーは、ジェイコブの考えを見透かしたかのように、次々に行動をエスカレートさせていく。そして、一旦はウィニーと破綻したジェイコブだったが、行方知れずとなったゲッコーをイギリスまで飛んで探し当て、彼は、ゲッコーに対して切り札を持っていた。金、カネ、金で金が全てと言わんばかりのゲッコーだったが、やはり唯一の肉親であるウィニーに子供が出来たと知ると、流石に情が動いた。金が全てを優先させる存在だったが、やはり金だけでは買えないものもあることを身を持って知ったラストシーン。それこそがストーン監督の意図だった?それとジェイコブが尊敬していたルイスの存在。ルイスが自殺するきっかけとなったブレトンへの復讐も彼は成功させる。そして、一度は破局したウィニーとの関係も修復して終わる。シャイア・ラブーフの若さあふれる演技よりも、やはり貫録十分のマイケル・ダグラスの存在感は流石である。更に、脇を固めるルイス役のフランク・ランジェラは最近話題作への出演が続いている。スーザン・サランドン、ジョシュ・ブローリン、それと金融界の長老を演じるイーライ・ウォラックは何と95歳だが、台詞には力強さが残っている。こうしたヴェテラン俳優陣に囲まれて、キャリー・マリガンやシャイア・ラブーフも光ることが出来る。絶妙な配役とそれを演出するストーン監督に脱帽!!
2011.02.10
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11-11.グリーン・ホーネット 3D■原題:The Green Hornet In 3D■製作年・国:2011年、アメリカ■上映時間:119分■字幕:松崎広幸■鑑賞日:2月1日、TOHOシネマズ・六本木ヒルズ(六本木)■料金:1,400円スタッフ・キャスト(役名)□監督:ミシェル・ゴンドリー□脚本・製作総指揮:セス・ローゲン、エヴァン・ゴールドバーグ□撮影監督:ジョン・シュワルツマン□編集:マイケル・トロニック□音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード◆セス・ローゲン(ブリット・リード/グリーン・ホーネット)◆ジェイ・チョウ(カトー)※劇中では「ケイトー」と発音◆キャメロン・ディアス(レノア)◆クリストフ・ヴァルツ(チュドノフスキー)◆エドワード・ジェームズ・オルモス(アックスフォード)◆デヴィッド・ハーパー(スカンロン)◆トム・ウィルキンソン(ジェームズ・リード)【この映画について】往年の全米大ヒットTVドラマシリーズを、『エターナル・サンシャイン』『僕らのミライへ逆回転』など、唯一無二の世界観で常にファンを魅了し続けるミシェル・ゴンドリー監督が3D映画化。主演のブリッド・リードを、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』『40歳の童貞男』など、アメリカで国民的人気を誇るコメディアン、セス・ローゲンが務める。主演のみならずプロデューサー、脚本も兼ね、才気あふれるクリエイターぶりをいかんなく発揮しているのも、ファンには嬉しいところ。かつてTVシリーズでブルース・リーが演じた相棒カトーには、台湾出身の俳優ジェイ・チョウ。そして、秘書ケイス役としてキャメロン・ディアスが華を添える。(この項、gooより転載しました)【この映画について】(ネタバレあり)ブリット・リードはロサンゼルスの大新聞社「デイリー・センチネル」の御曹司。幼くして母を亡くし、新聞社の創業者である父には親としての愛情を受けられないまま厳格に育てられた反動から、絵に描いたような放蕩息子に成長。金持ちでプレイボーイ、人から指図されることを嫌う、自由奔放な青年だった。だがある日、彼の父ジェームズ・リードが蜂に刺されたことが元でこの世を去ったことを専用車内でニュースをみて知り、ブリットは突然、社長の座に就く。そして出会ったのが、完璧な仕事ぶりを見せる父の運転手カトー。カトーは父の急死に伴い一度は会社を去ったが、ブリットの希望により直ちに復帰し、カトーはブリットに、ジェームズが他人には見せない、もう一つの顔を持っていたことを告げる。ブリットとカトーは偶然芽生えた使用人と雇い主という関係を超え、自分の人生で人の為に役に立つことをやり遂げようとし、正義に目覚め、ロスの街の悪党を一掃する決心を固める。単なる運転手だけでなく、天才発明家としての顔も持つカトーは、どんな武器もどんな攻撃も通用しないハイテク装置満載の自動車“ブラック・ビューティー”を完成させる。全身をグリーンのスーツとマスクに包んだブリットとカトーは、自分たちを“グリーン・ホーネット”と命名。そしてブリットは、悪党に近づくには悪党を装う方が有利と考え、自社の発行部数の落ち込みを救う目的もあって、新聞記事でグリーン・ホーネットを新たな悪党と書き立てながら、悪党たちを倒してゆくことになる。そこには、ブリットの美人で有能な秘書レノア・ケースの協力もあった。そんなとき、父の急死に暗黒街の王ベンジャミン・チュドノフスキーが絡んでいることを知ったブリットとカトーは、警察、検察、新聞社、暗黒街すべてを欺く決戦に立ち上がる……。ずっこけコンビの二人がカトーの最新機器?を駆使しての活躍でグリーン・ホーネットの名前はロスに知れ渡り、センチネル社が取り上げた記事も好調で発行部数も増えてきた。最後は、チュドノフスキーとの対決になり、お互いのメンツをかけた戦いは本社ビルが破壊寸前の被害を受けながらも退治するのだった。グリーン・ホーネットを私はTVシリーズとして観ており、カトーはまだ無名時代のブルース・リーが演じていたのだが、カトーは日本人を想定しているのに日本人ではないブルース・リーが配役されていた。今回の映画化は3D上映で、監督も個性的な映像作りに定評があるミシェル・ゴンドリーだっただけにそちらの方での期待感は大きかったのだが、3Dにした意味合いは殆ど感じず。所々、遊び心のある映像があるが3D化公開した意味は理解出来ず。ストーリーとしては主役のブリットを演じるセス・ローゲンのコミカルな演技と対照的にアジア人の特徴である小柄で武道に優れていて無表情なジェイ・チョウも良かった。キャメロン・ディアスは脇役的な役回りだったが、もし、続編化されれば彼女の存在が前面に出てくるような気もする。最後に、アカデミー賞を「イングロリアス・バスターズ」で受賞した直後のクリストフ・ヴァルツが東欧出身の悪役として、訛りの強い英語を強調する役柄で出演。ここでも存在感を発揮していたので、今後、ハリウッド映画への出演は増えそうだ。
2011.02.04
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11-10.ソーシャル・ネットワーク■原題:The Social Network■製作年・国:2010年、アメリカ■上映時間:120分■字幕:松浦美奈■鑑賞日:2月1日、TOHOシネマズ・六本木ヒルズ(六本木)■料金:1,000円スタッフ・キャスト(役名)□監督:デヴィッド・フィンチャー□脚本:アーロン・ソーキン□原作:ベン・メズリック□編集:アンガス・ウォール、カーク・バクスター□音楽:トレント・レズナー、アッティカス・ロス◆ジェシー・アイゼンバーグ(マーク・ザッカーバーグ)◆アンドリュー・ガーフィールド(エドゥアルド・サヴェリン)◆ジャスティン・ティンバーレイク(ショーン・パーカー)◆アーミー・ハマー(キャメロン&タイラー・ウィンクルヴォス)◆マックス・ミンゲラ(ディビヤ・ナレンドラ)◆ジョシュ・ペンス(タイラー・ウィンクルヴォス)◆ブレンダ・ソング(クリスティ)◆ラシダ・ジョーンズ(マリリン・デルピー)◆ジョン・ゲッツ(サイ)◆デヴィッド・セルビー(ゲイジ)◆デニース・グレイソン(グレッチェン)◆ダグラス・アーバンスキー(ラリー・サマーズ)◆ルーニー・マーラ(エリカ)【この映画について】フェイスブックの創業者、マーク・ザッカーバーグがフェイスブックを作りだす過程を描く。プログラマやハッカーとして天才的な能力を持つマークが、凡人離れした情熱を傾けてサイトを作っていく様子を、ジェシー・アイゼンバーグは独特のマシンガントークや不審な挙動などで、見事に表現している。フェイスブックの共同創始者でもあり、マークの友人として、フェイスブックを愛していたはずが、最終的にマークを訴えるエドゥアルドを演じたアンドリュー・ガーフィールドの抑えた演技も素晴らしい。監督は「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」のデヴィッド・フィンチャー。出演は「ゾンビランド」のジェシー・アイゼンバーグ、「Dr.パルナサスの鏡」のアンドリュー・ガーフィールド、「ブラック・スネーク・モーン」のジャスティン・ティンバーレイク、「エルム街の悪夢」のルーニー・マーラなど。尚、この作品はアカデミー賞の「脚色賞」「編集賞」「作曲賞」の3部門で受賞した。(この項、gooより転載しました)【この映画について】(ネタバレあり)2003年。ハーバード大学2年生のマーク・ザッカーバーグは、高校時代から腕利きのハッカーだったが、人付き合いに関してはおくてで、今もガールフレンドのエリカをバーで飲んでいたところ、ふとしたことで相手を怒らせ別れてきたところだ。寮の自室に戻り、やけでビールを飲みブログに彼女の悪口を書いていたが、やがてハーバード中の寮の名簿をハッキング、女子学生たちの写真を並べてランク付けするサイト作りに没頭していた。このサイト“フェイスマッシュ”はたった2時間で22,000アクセスに達し、マークの名前はハーバード中に知れ渡る。これが利用者全世界5億人以上のSNS“フェイスブック”の始まりであった……。2004年。資産家の家に育ち、次期オリンピックにも出場が期待されるボート部のトップ、双子のウィンクルヴォス兄弟は憤慨していた。自分たちが企画した学内男女のインターネット上の出会いの場“ハーバードコネクション” 立ち上げのためマークに協力を要請していた。しかし、彼は、兄弟からの再三のメールにも返事は殆どよこさず曖昧な態度を取り続け、やがて、彼は兄弟のアイデアから発展させた“フェイスブック”を立ち上げてしまったのだ。彼らは、早速、父の知名度と財力を背景に学長に面会を申し込み、被害を訴えるが敢え無く却下されてしまう。それでも諦めきらない兄弟は、自分の父親の会社の弁護士を介し知的財産の盗用だ、として停止警告を送る……。一方、“フェイスブック”の共同創業者&CFO、エドゥアルド・サベリンとマークはNYへ広告スポンサー候補との会合に出かけ、19歳で“ナップスター”を作ったショーン・パーカーに出会う。ショーンとの出会いがマークのそれからの進路に大きな影響を与えた。ショーンは“フェイスブック”が目標にすべき評価額は10億ドルだとアドバイス、そこまで成長させるためカリフォルニアに来るように持ちかける。マークはスタッフを増やしサーバーを増設、ショーンは次々に投資家とのミーティングを設定するが、それに怒ったエドゥアルドは会社の口座を凍結する……。やがてウィンクルヴォス兄弟はアイデアを盗用されたと言い、エドゥアルドは創業者としての権利を主張、マークを告訴した……。エドゥアルドはアイデアは無いが、金の無いマークの構想を実現するために金策に奔走するのだが、元々二人の感性は全く違う事から、やがて組織を立ち上げ会社が急成長を遂げる過程でエドゥアルドはマークが自分から離反するのを恐れていた。マークはエドゥアルド無しでもやっていけるが、エドゥアルドは会社が大きくなることが自分の利益になると信じていただけに、NYに営業で留守にしていた間にマークが次々と側近を雇い入れて行くことに不快感を示す。結局、マークはエドゥアルドを会社を立ち上げるまでの財布代わりとして利用し、ウィンクルヴォス兄弟のアイデアを盗用し、そこに自らのハッカーとして飛び抜けた能力を加えて、フェイスブックを立ち上げた。こうして最年少の富豪とまで称されるようになったマークだが、彼が突っ走った原動力は、意外にも冒頭で自分を振ったエリカへの未練や悔しさだったような気がする。現に、彼がフェイスブックを立ち上げてからも、馴染みの店で大勢の中で楽しむ彼女に会いに行くシーンがそれを物語っているようである。マークを演じるジェシー・アイゼンバーグの機関銃トーク、如何にもお宅っぽい服装はホリエモンもこんな感じだったのかな?って想像させられた。最後に余談だが、エンドロールではザ・ビートルズの「Baby You're Richman」が挿入歌として流れていた。彼らのオリジナル曲が映画に使用されるのは「ノルウェーの森」などであるが珍しい。そしてこの曲は彼らが1967年にTV用映画「マジカル・ミステリー・ツアー」で使用されているのだが、タイトルにあるように「お前は今では金持ちだ!」と言う意味でまさにこの映画にピッタリ。更に、この曲はザ・ビートルズのマネージャーだったユダヤ系英国人のブライアン・エプスタインを皮肉っているとも言われている。マーク・ザッカーバーグはユダヤ系米国人であるのだが...。
2011.02.02
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11-9.完全なる報復■原題:Law Abiding Citizen■製作年・国:2009年、アメリカ■上映時間:108分■字幕:松浦美奈■鑑賞日:1月29日、TOHOシネマズ・みゆき座(日比谷)■料金:1,600円スタッフ・キャスト(役名)□監督:F・ゲイリー・グレイ□脚本:カ-ト・ウィマー□編集:タリク・アンウォー□音楽:ブライアン・タイラー◆ジェラルド・バトラー(クライド・シェルトン)◆ジェイミー・フォックス(ニック・ライス)◆コルム・ミーニイ(ダニガン捜査官)◆マイケル・アービー(ガーザ捜査官)◆ブルース・マッギル(ジョナス・カントレル)◆レスリー・ビブ(サラ・ローウェル)◆グレゴリー・イッツェン(ウォーデン・アイガー)◆レジーナ・ホール(ケリー・ライス)◆ヴィオラ・デイヴィス(フィラデルフィア市長)【この映画について】かつて独立宣言が採択され、合衆国誕生の地と呼ばれる都市フィラデルフィアを舞台に、復讐のために法を破る男と検事として法を守る男、この互いが持つ“正義”のぶつかり合いを先の読めないストーリー展開と圧倒的な緊迫感で描く。監督は『交渉人』のF・ゲイリー・グレイ。脚本は『ソルト』を手掛けたカート・ウィマー。司法にも裏切られて復讐に燃える男・クライドを、『オペラ座の怪人』『300<スリーハンドレッド>』のジェラルド・バトラーが演じる。また『Ray/レイ』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したジェイミー・フォックスが、上昇志向の強い検事・ニックを演じる。(この項、gooより転載しました)【この映画について】(ネタバレあり)かつて独立宣言が採択され、合衆国誕生の地と呼ばれる北米の都市フィラデルフィア。幸せな毎日を過ごしていたクライドの眼前で妻子が無残な手口で殺された。犯人は逮捕されるが、上昇志向が強く、有罪率のアップを狙う担当検事ニックの独断によって司法取引が行われ、クライドは司法取引を行わないように懇願するがニックは聞き入れずに、主犯格の犯人は極刑を免れ共犯者が極刑となる。10年後。共犯者エイムスの死刑執行を見届けるためにニックは刑務所に赴く。しかし、そこでは前代未聞の事件が発生する。何と、本来は無痛の薬物を注入するはずのエイムスが、拘束された体をのたうち回らせ断末魔の叫びを放って絶命した。本来の罪から逃れ、短い刑期を終えていた犯人ダービーが今度は何者かに惨殺される。クライドは自分が殺したことをあっさりと認め、家族を貶めた司法制度の不備と整備を訴える。そしてそれが出来なければ、裁判に関わった全ての人間の命はないと殺害を予告するのだった。クライドは収監されるが、ニックの取り調べに対して、ニックがかつてクライドの家族殺害犯に対してしたように「司法取引」を求める。曰く、供述してもらいたければ要求を呑めと強要し、あらゆる理不尽な要求を突き付け、遂に、独房へと収容されるが、これこそがクライドの狙いだったとは最後に判明する。妻子を殺した犯人の弁護士、裁判を担当した判事が次々に暗殺され始めた。ニックは、死にゆく仲間のためにも懸命に食い止めようとするが、共謀者の有無、独房からの凶行の謎さえ解けないでいた。その間にもクライドの正義の名の下に行われる復讐は続くが、クライドは刑務所にいるはずなのに、何故か人が死んでいく。共犯者が外部にいるのか?ニックにはどうしてもその謎が解けなかった。そもそもクライドは暗殺にプロ中のプロだった訳で、刑務所にいながら暗殺をするのも朝飯前?と思いきや、彼が10年間の間に不自然に廃屋などを買いあさっていた事実が発覚し、ニックはそれをしらみつぶしにしていき、遂に、刑務所のすぐ傍の倉庫にヒントを発見。そこにこの映画のオチがあるのだが、このオチ「アルカトラズからの脱出」の逆バージョン?とも言える。アルカトラズは島から脱出するために独房から工夫を凝らすのだが、こちらはその逆と言えば良いだろうか?ニックがそのカラクリに気が付いたのは余りにも遅すぎた。女性市長からも檄を飛ばされ警察の威信が懸っていたのだが、何とかクライドの悪事を最後は断ち切ることに成功した。この作品はジェイミー・フォックスとジェラルド・バトラーの絡みがウリなのだが、再三に渡って「司法取引」が話題に出てくる。日本では馴染みのない制度だが、この制度の良し悪しはさておき、クライドは司法取引によって犯人の一人が重罪を免れたことから、今度は自分がその制度を逆利用する形で、報復をするというのが全体の流れ。犯人二人の暗殺は見事だったが、刑務所に入ってからの暗殺も市に恐怖感を与えるには十分だったが、オチを知ってしまうと「何~んだ、そういう事か」って思ってしまうけど、二人の対決と黒人であるニックが検察官としてトップを目指すには、有罪率を限りなく100%にすることが大事と言わんばかりに司法取引を行う。アメリカの司法制度の矛盾と、黒人が出世する苦労、家族愛の強さ、家族を失った男の執念深さ、黒人女性市長が見せる威厳などが上手く表現され一つの作品としては見事だった。
2011.01.30
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11-8.愛する人■原題:Mother And Child■製作年・国:2009年、アメリカ・スペイン■上映時間:126分■字幕:松浦美奈■鑑賞日:1月22日、TOHOシネマズ・シャンテ(日比谷)■料金:1,800円スタッフ・キャスト(役名)□監督・脚本:ロドリゴ・ガルシア□製作総指揮:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ□編集:スティーヴン・ワイズバーグ□音楽:エドワード・シェアマー◆アネット・ベニング(カレン)◆アイリーン・ライアン(カレンの母ノラ)◆サミュエル・L・ジャクソン(ポール)◆ナオミ・ワッツ(エリザベス)◆ケリー・ワシントン(ルーシー)◆チェリー・ジョーンズ(シスター・ジョアン)◆デイヴィッド・ラムゼー(ジョセフ)◆ジミー・スミッツ(パコ)◆エリペィディア・カリーロ(家政婦ソフィア)【この映画について】この作品は『Mother & Child』という原題の通り、“母と子ども(娘)”の物語だ。劇中には、多くの母と娘が登場する。娘を手放した事を悔やみ、常に悔恨に苛まれて生きる母親。母に捨てられ、刹那的に生きる娘。子どもが欲しいと願い、なんとかして養子を貰い受けようとする女性。ロドリゴ・ガルシア監督は、何が正しく、何が間違っているのかと言った主張を述べる事はなく、彼女らの選択を淡々と映し出す。娘を捨てた母親を演じたアネット・ベニング、母親に捨てられた娘を演じるナオミ・ワッツが、心境の変化によって顔つきや表情まで変化していく演技も素晴らしい。様々な選択が可能になったこの時代だからこそ、多くの女性に観て欲しい一作だ。監督は「彼女を見ればわかること」のロドリゴ・ガルシア。第39回ドーヴィル映画祭でグランプリを受賞。(この項、gooより転載しました)【この映画について】(ネタバレあり)14歳の時、カレンは恋人の子供を身籠るが、母親の反対で娘を手放すことになる。36年後。周囲との深いかかわりを避けてきた彼女は、介護をしながら一緒に暮らす年老いた母に対して、素直に接することができないでいた。職場で出会ったパコはそんな彼女を理解してくれるが、関係はうまくいかない。だた、名前も顔も知らぬわが娘を密かに想い、届く事のない手紙を書き続ける日々。一方、母親の愛情を知らずに育ったエリザベスは、弁護士として成功。孤児であることを否定するように、物事に執着せずキャリアアップの人生を歩んでいた。だが、彼女に予想外の出来事が起こる。同じ会社のボスの子供を妊娠してしまったのだ。この出来事が彼女を変える。今までのキャリアを捨て、産むことを決意したのだ。これにより、彼女はずっと閉ざしていた母の存在を意識し始める。その頃、カレンの母親が亡くなる。生前、母に対して本当の気持ちを伝えられなかったことを悔やむかのように、カレンは娘を探し始める。同じ頃、黒人女性のルーシーは、愛する夫と家庭を築きながらも、子供を産めない体であるため、養子縁組を決意。教会に登録し、ある妊婦と巡り会う。不意の妊娠で生まれてくる子供を養子に出そうとしていた女性だったが、実際に生まれると子供を手放せなくなってしまう。失意のルーシー。そこへ、登録していた教会から連絡が入る。それが、見知らぬ母と娘を結びつけることになる。若くして産んだ娘を手放したことを後悔しながら生きてきたカレン。母の愛を知らずに、拒絶することが当たり前になっていたエリザベス。母と娘の空白の36年間。決して重なるはずのない2人の人生を、一つの小さな命が引き寄せようとしていた。ここには原題通り、何組かの「母」と「子」が登場する。邦題より原題の方がストーリー的にはしっくりと来る。中でもやはりその中心は、「ノラ」「カレン」「エリザベス」の三人の「母」と「娘」の関係で、更には、「カレン」とエリザベスが命懸けで産んだ「娘」(カレンからみると孫)との今後の関係までもが暗示されながら終わる。エリザベスは自らの生まれ育った環境から、自分一人でキャリアを積んで生き抜く決意を胸に秘めている。にも関わらず、引っ越してきた隣家の若夫婦の夫をベランダ越しに誘惑したり、上司のポールを部屋に招き入れ、激しく行為に及んだりと、仕事だけでは無く私生活もどこか「他人とは違う」雰囲気が漂っている。そして、ポールには家庭があるのだがエリザベスはポールの子を妊娠し迷った末に一人で出産することを決意し、ポールの前から忽然と姿を消す。一度は、ポールの娘に偶然にも転職先を知られてしまい、ポールに優しい言葉をかけてもらうが再度ポールの視界から消えてゆく。エリザベスとカレンの母娘の行方探しも、タイミング良く挿入されるのだが、カレンは教会の仲介で娘を探すために手紙を書くのだが、これは教会の事務側の単純ミスで会えそうで会えなくなるのがミソ。そのエリザベスはポールの子を難産の末に産むのだが、医師の忠告を振り切っての出産で死んでしまうのは気の毒だった。それでもその子が、実は、カレンの自宅の傍でエリザベスと同じようにある親子に引き取られ再開を果たすのは感動的でした。このストーリーは、アメリカならではの社会的そして宗教的な背景もある。そもそも産んだ女性は不倫の子だったり、初体験時に避妊をしなかったのが原因で14歳で彼氏の子を身籠ったりと、そうして子供を養子として育ててくれる(たとえ子供がいても)寛容な土壌がある。その反面、一度養子に出すと二度と会えないのが原則で、探すのは困難を極める。今回のストーリーでもそうした要素が全て反映されていたのだが、脚本が良いので、ジメジメとした暗さは感じないし、むしろ最後は希望を感じさせるエンディングだった。ナオミ・ワッツの妊婦姿はCGでは無く実際に彼女が妊娠している時に撮影したそうだ。そのワッツは難しい役柄だったと思うが、それぞれ異なる状況を巧みに演じ分けていた。カレン役のアネット・ベニングは、若気の至りで失った娘の行方を気にかけながら、家政婦との関係も母との関係もギクシャクしながらも、最後は、「孫」と対面出来て何だか晴れ晴れとした表情で終わったのが印象的。彼女はアカデミー協会の理事でもあり、この演技で助演女優賞候補にノミネートされた。果たして職権で?受賞はなるか?他ではサミュエル・L・ジャクソンは登場シーンこそ多くは無いが存在感あり。脇を固める俳優達の配役も見事でした。
2011.01.24
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11-4.アンストッパブル■原題:Unstoppable■製作年・国:2010年、アメリカ■上映時間:99分■字幕:林完治■鑑賞日:1月10日、渋東シネタワー(渋谷)■料金:1,600円スタッフ・キャスト(役名)□監督・製作:トニー・スコット□脚本:マーク・ボンバック□撮影監督:ベン・セレシン□衣装デザイン:ペニー・ローズ◆デンゼル・ワシントン(フランク・バーンズ)◆クリス・パイン(ウィル・コルソン)◆ロザリオ・ドーソン(コニー・フーパー)◆イーサン・サプリー(ドゥーイー)◆ケヴィン・ダン(ギャルヴィン)◆ケヴィン・コリガン(ワーナー警部)◆ケヴィン・チャップマン(バニー)◆リュー・テンプル(ネッド)◆T・J・ミラー(ギリース)◆ジェシー・シュラム(ダーシー)◆デヴィッド・ウォーショフスキー(ジャド・スチュワート)【この映画について】実際に起こった列車暴走事故を基に、危険な薬物を大量に積載したまま無人で暴走し始めた貨物列車を、二人の鉄道マンが止めようと奮闘するサスペンス・アクション。『クリムゾン・タイド』『サブウェイ123 激突』など、これまで何度もコンビを組んできたトニー・スコット監督とデンゼル・ワシントンが再びタッグを組む。『スター・トレック』のクリス・パイン、『7つの贈り物』のロザリオ・ドーソンが共演。小さな整備ミスから制御不能となった列車の暴走シーンに息をのむ。(この項、シネマトゥデイより転載しました)【この映画について】(ネタバレあり)ペンシルバニア州の操車場。経営不振でリストラ寸前のベテラン機関士のフランク・バーンズと、親子二代に渡って会社で働く若い車掌のウィル・コルソンが初めて顔を合わせる。しかし、年齢も家庭環境も異なる2人の間には大きな溝があり、ぎこちない雰囲気のまま機関車1206号へと乗り込むことに。やがて、2人の耳に貨物列車777号がトラブルを起こしたという情報が飛び込んでくる。運転士がブレーキを完全にかけずに運転席を離れた瞬間に、無人のままの777号が暴走を始めたというのだ。しかも、777号には大量の化学物質が搭載されていることが判明。操作不能に陥った777号は、一つの街を壊滅させるだけの威力を持った巨大ミサイルも同然だった。様々な手段を講じて777号を停止させようとする鉄道会社。だが、そのいずれもがことごとく失敗してしまう。777号と同じ路線を走っていたフランクは、1206号を緊急待避線にすべり込ませて間一髪で衝突を回避すると、すぐさま777号の追跡を開始。777号の最後尾に連結して、1206号のブレーキで停車させる計画だった。フランクと口論を繰り返してきたウィルは、当初その計画に反対するが、彼の機関士としての経験と直感を信じ、命懸けのその計画に同意する。警察と鉄道会社は被害を最小限に食い止めるために、777号の人為的な脱線を計画するが、これも失敗。そしてこの様子は地元のTV局が現場からの生中継を始め、その様子は遂に全米へと中継されることになり、国民の目は、追跡を続ける1206号の行方に注がれていた。テレビでその様子を見守る人々の中には、父親との関係がギクシャクしているフランクの2人の娘、そしてウィルと別居中の妻の姿もあった。家族との絆を取り戻したいと願う一方で、鉄道マンの使命を果たそうとする2人の男。いつしか、彼らの間にはわだかまりを乗り越えた男同士の絆が芽生えていた。だが、時間は刻々と経過、777号は高架下に多くの燃料タンクが設置される魔の急カーブに近づいて行く。果たして、彼らは未曽有の大惨事を防ぐことができるのか……。この作品は実話を元に製作されたもので、管理人もこの事故のことはTVで特集していたさいに観た覚えがあるので内容は知っていた。実際の舞台はオハイオ州だったはずだが、本作ではペンシルヴェニア州へと替わっていたが、内容はほぼ実際の事故を基にしている。監督がトニー・スコットとなると、やはり主役は5度目のタッグを組むデンゼル・ワシントンになるのは自然の流れかな?そのデンゼルの相手役で新米車掌を演じるのが「フェーズ6」で主演を務めた若手のクリス・パインだ。デンゼルとクリスの二人が中心のストーリーであり、この二人の家庭状況が冒頭で紹介されるが、あくまでも暴走列車を停めるのがメインであり、二人の家庭についての語りは最小限にとどめられているのは良かった。人物像では、操車場長を演じるロザリオ・ドーソンの毅然とした態度で指令を出す様子が、この映画のポイントでもある。彼女の上司にあたる男性は本社から指令を出すが、その中身は会社よりの官僚的な態度で観ている観客の顰蹙を買いそうな人物。彼女はそんな頼りにならない上司の指令を無視し、タマタマ訪れていた専門官の意見を聞きいれながら、自らの責任でテキパキと現場の二人に指示を出す。そんなこんなで、二人のチームワークで逆走して暴走列車との接続に決死の覚悟が通じて成功し減速を始める。それでも暴走列車の勢いは予想を遥かに上回り、街へと向かっていきハラハラドキドキ。最後は暴走列車を追走してきたネッドの好プレイもあり、何とか運転席へ移り大事故寸前で暴走列車をストップしたけど、途中で一人亡くなってしまいました。この暴走列車、てっきりCGかと思っていたのですがプログラムを読んだら、スコット監督のこだわりで実際の列車を使ったそうだ。余談ですが、エンドロール前に登場人物たちのその後についての紹介があった。事故の張本人である運転士はファストフード業界に転職、本社で指令を出していた部長は解雇されロザリオ・ドーソンが演じていた操車場長が昇格したそうだ。
2011.01.13
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11-1.きみがくれた未来■原題:Charlie St.Cloud■製作年・国:2010年、アメリカ■上映時間:99分■字幕:杉山緑■鑑賞日:1月1日、新宿武蔵野館(新宿)■料金:1,000円スタッフ・キャスト(役名)□監督:バー・スティアーズ□脚本:クレイグ・ピアース、ルイス・コリック□撮影監督:エンリケ・シャディアック□音楽:ロルフ・ケント◆ザック・エフロン(チャーリー・セント・クラウド)◆チャーリー・ターハン(サム・セント・クラウド)◆アマンダ・クルー(テス・キャロル)◆キム・ベイシンガー(クレア・セント・クラウド)◆レイ・リオッタ(フロリオ・フェレンテ)◆オーガスタス・プリュー(アリステア・ウーリー)◆ドナル・ローグ(ティンク・ウェザビー)【この映画について】『セブンティーン・アゲイン』のバー・スティアーズ監督と、ザック・エフロンが再び手を組んだ感動のヒューマン・ドラマ。幼い弟を死なせてしまったという自責の念にさいなまれ続けてきた兄が、新しい第一歩を踏み出すまでを温かく見守る。主人公の母親に、『あの日、欲望の大地で』のキム・ベイシンガー。救命士を、『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』のレイ・リオッタが好演している。陰のある役で新境地を開拓したエフロンの迫真の演技に注目。(この項、シネマトゥデイより転載しました)【ストーリー&感想】(ネタバレあり)チャーリー・セント・クラウドは、女手一つで家計を支える母のクレア自分を慕う11歳の弟サムとともに暮らす高校生。ヨットの才能に恵まれた彼は、スポーツ奨学金を得て大学進学が決まっていた。だが、卒業式の夜が運命を変えた。その日、チャーリーは仕事に向かう母から、サムの子守をするように言われていたのだが、そんな母の願いを振り切って車でサムと共に出かけたことが運命を決定づけることになるとは。行き先を間違えて引き返そうとしたチャーリーだったが、後続車に追突される大事故に遭遇した彼は、奇跡的に命を取り留めるが、同乗していたサムはチャーリーの必死の呼びかけにも関わらず帰らぬ人となる。サムを守れなかったことに強い罪悪感を覚えるチャーリー。葬儀の最中、いたたまれなくなった彼は、参列者が見守る中、逃げるように墓地の裏手の森へ駆け込む。かつて2人は、ここで一緒に野球の練習をすることが日課となっていた。だが今はもう、キャッチボールの相手はいない……。その時、目の前に赤いジャンパーを着たサムが現れる。驚きながらも弟との再会を喜ぶチャーリー。2人はこれから毎日、夕暮れの時間の号砲(17時)を合図に何があってもこの場所で練習を続けるという約束を交わすのだった。そして5年後。進学もヨットも諦めたチャーリーは、約束を守るため、サムを埋葬した墓地の管理人として暮らしていた。ところが、高校の同級生で、ヨットレースのライバルだったテスが故郷へ戻ってきたことを知り、彼の心は揺れ動く。自分が失った夢を追い続けている彼女に、眩しさと羨ましさを覚えるチャーリー。心の中で、日増しにテスのウェイトが重くなっていく。そんな兄の変化を敏感に感じ取るサム。テスと一緒にいると、サムが遠くなってしまう。弟を失いたくない気持ちと、テスへの想いの間で揺れ動く。やがて訪れる選択の時。テスが世界一周を目指す前に地元で練習をする予定で湾内で航海していたところ、悪天候に遭遇して遭難してしまう。捜索が難航する中、チャーリーは迷うことなく救出に向かう。事故以来、出ることのなかった海へ。テスを捜し続けるチャーリー。サムとの約束の時間が過ぎてゆく。“ごめん、約束を破るよ”チャーリーが森で待ち続けるサムにそう呼びかけた時、想像もしなかった奇跡が起こる……。奇跡は起こるというより、起こるべくして起こった感じ。青春スターのザック・エフロンの為の映画って感じで、自分は「ヘアスプレー」以来の観賞。「ヘアスプレー」は主役では無かったけど本作は主演。弟のサムが冒頭でいきなり事故死してしまい、母のキム・ベイシンガーもそれに伴い冒頭だけでの登場とは、脚本でもう少し引っ張って登場シーンを増やしてもらいたかった。更に、同様に登場シーンは僅かながらも、事故にあった時の救命士であるレイ・リオッタが良い味を出していた。サムが午後5時の大砲の合図とともに現れてチャーリーとキャッチボールをするシーンがしつこいほど登場。このシーンは確かに大事なのだが、余りにも多過ぎて退屈に思えてきた。サムの登場も遭難したテスもチャーリーだけに現れるのだが、チョイとこじつけ過ぎ。テスの遭難も何だか型にはまったような感じで、世界一周を目指している彼女が悪天候が予想される中で湾内で遭難するというのは無理があるので、せめて、近くの外洋くらいに留めておいて、チャーリーがそこまで駆け付ける間に回想シーンや心の中の葛藤をナレーションでフォロウするなどしたら良かったのにと思いました。とここまでは苦言ばかりを書いたけど、今度は良かった点を。ストーリーの舞台がカナダの地方の港町で、ロケもバンクーバー近郊のアメリカとの国境に近い町で行われただけに映像から受ける印象は、ザック・エフロンのもつ青春スターのイメージにピッタリ。その彼が冒頭でヨットをサムと二人で操るシーンは、実際に演じているそうで爽やかさ満点でした。弟役のチャーリー・ターハンは素朴な感じのする子役で好印象でした。最後に、本作の原題はシンプルに「チャーリー・セント・クラウド」って、これはザックの役名そのもので余りにもストレート過ぎないかな?あちらの映画って、この手の単純なタイトルが多いけど、邦題はサムとチャーリーの兄弟関係を表しているけど...まあ良いか!!
2011.01.05
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10-81.トロン:レガシー■原題:Tron:Legacy■製作年・国:2010年、アメリカ■上映時間:126分■字幕:戸田奈津子■鑑賞日:12月19日、吉祥寺スカラ座(吉祥寺)■料金:1,000円スタッフ・キャスト(役名)□監督:ジョセフ・コジンスキー□脚本・ストーリー:エドワード・キツイス、アダム・ホロビッツ□衣装デザイン:マイケル・ウィルキンソン□オリジナル音楽:ダフト・パンク◆ジェフ・ブリッジス(ケヴィン・フリン/クルー)◆ギャレット・ヘドランド(サム・フリン)◆オリヴィア・ワイルド(クオラ)◆ブルース・ボックスレイトナー(アラン・ブラッドリー/トロン/リンズラー)◆マイケル・シーン(キャスター/ズース)◆ボー・ガレット(ジェム)【この映画について】(ネタバレあり)人間が作り出したコンピューターの中の世界に迷い込み、謎の敵と戦うハメになった青年の姿を描くSFアクション。主演は「エラゴン 遺志を継ぐ者」のギャレット・ヘドランド。アップルやナイキのCMを手がけてきた新鋭ジョセフ・コジンスキーによる先鋭的なビジュアルや、ダフト・パンクによる音楽が物語を盛り上げる。(この項、Movie Walkerより転載しました)【ストーリー&感想】1989年。デジタル業界のカリスマ的存在にして、巨大企業エンコム社のCEO、ケヴィン・フリンが7歳の息子サムを残して失踪する。20年後。サムは、27歳の若者に成長していたが、父に捨てられたという哀しみや不信感は心から消えることはなかった。ある日、ケヴィンの共同経営者だったアランに謎のメッセージが届く。発信源はケヴィンが所有していたゲームセンター。足を踏み入れたサムは、地下に秘密の研究所を発見するが、突然サムを閃光が包み、彼はコンピューター・システムの中の世界に入り込んでしまう。サムは監視用飛行マシン=レコグナイザーによって、トロン・シティの壮大なコロシアムに連行され、大観衆の歓声の中、人間たちが互いにディスクを飛ばして闘い、敗者は“死”あるのみという競技を強いられる。この世界の人間は皆プログラムであり、背中には自身の全ての情報を記録したディスクが挿入されていた。ゲームに投入されたサムは覚悟を決め、抜群の運動能力を発揮してトーナメントを勝ち上がっていくが、さらに危険なゲームに投入され、場内に侵入してきた謎の女性クオラに命を救われる。クオラはサムをトロン・シティの外、山中の家に連れ出し、サムの父ケヴィンと再会させる。ケヴィンは20年前、システムの中に理想の世界を創り上げたがISOと呼ばれる豊かな個性と自由意思を備えたミュータントが出現したことからプログラム“クルー”がクーデターを起こしISOを粛清、ケヴィンはクルーの監視が及ばぬ辺境の地に隠れ、この世界に閉じ込められてしまったのだった。事実を知ったサムは、父の苦悩と自分への愛を感じ取り、現実世界へ戻って“クルー”を削除しようと決心する。だが、現実世界へのポータル(出入り口)までの案内人・ズースは、クルー側と通じていた……。ポータルへと導いてくれると思っていたズースが実はクルー側と通じていて、辛くも逃れたサムとクオラだったがクオラは戦闘で負傷し左腕を失う。その二人の窮地を救ったのは父ケヴィンだったが、戦闘で大事なディスクを失ってしまう。クルー側の狙いはケヴィンのディスクを奪い、サムがトロンの世界に来た時のポータルから現実の世界に移ることだった。この世界の創造主であるケヴィンとサムの取った選択は、サムに取っては折角20年ぶりに父と再開したのに過酷だった。父はトロンの世界に残り、サムは腕を失ったはずのクオラと現実世界に戻ってメデタシメデタシ。クオラは人間では無いので、現実世界でどうやって生きていくのかは不思議ですね(第一無国籍だろう?)。28年前に公開されていたとは知らなかったこの作品。当時出演していたのはジェフ・ブリッジスと、彼の友人でサムの親代わりとなるアラン役のブルース・ボックスレイトナーの二人。最新技術のCGを駆使して当時のジェフ・ブリッジスを蘇らせたり、戦闘シーンでの光の使い方、コンピューターの世界などコジンスキー監督の手腕も凄いし、ダフト・パンクの音楽もストーリー展開と一体化していて素晴らしかった。所々、スター・ウォーズと似たシーンもあり、それは愛嬌で良いとして、ストーリー的にはコンピューター内での戦いに終始せず、サムとフリンの親子の物語であり、そこにISOであるクオラが二人をサポートするという絡みになっていたのは良かった。細かい点を指摘すればキリがないこの映画だが、2時間という時間内で興行ベースに乗せるにはこの程度が限界かな?ストーリー的には、もう少し細かく描けばもっと良くなったと思うが、この映画のそもそものアイデアが28年前のものだった点は驚きだ。ジェフ・ブリッジスは「クレイジー・ハート」でアカデミー賞を受賞した直後の出演だったが、円熟味が益々増してきてその安定感と個性はここでも遺憾なく発揮されていた。サムを演じるギャレット・ヘドランドは今後若手スターの道を歩んでいけるかに注目。クオラを演じるオリヴィア・ワイルドはヘドランドと同年齢で、お互いキャリアも実績もこれからの俳優だが、二人の次回作に期待したい。
2010.12.19
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10-79.ロビン・フッド■原題:Robin Hood■製作年・国:2010年、アメリカ■上映時間:140分■字幕:松浦美奈■鑑賞日:12月11日、渋東シネタワー(渋谷)■料金:1,600円スタッフ・キャスト(役名)□監督・製作:リドリー・スコット□脚本:ブライアン・ヘルゲランド□衣装デザイン:ジャンティ・イェーツ◆ラッセル・クロウ(ロビン・ロングスライド)◆ケイト・ブランシェット(マリアン・ロクスリー)◆マックス・フォン・シドー(サー・ウォルター・ロクスリー)◆ウィリアム・ハート(ウィリアム・マーシャル)◆マーク・ストロング(ゴドフリー)◆オスカー・アイザック(ジョン王)◆ダニー・ヒューストン(獅子心王リチャード1世)◆アイリーン・アトキンス(アリエノール・ダキテーヌ、ジョン王と獅子心王の母)◆マーク・アディ(タック修道士)◆マシュー・マクファディン(ノッティンガムの代官)◆ケヴィン・デュランド(リトル・ジョン)◆スコット・グライムス(ウィル・スカーレット)◆アラン・ドイル(アラン・ア・デイル)◆ダグラス・ホッジ(ロバート・ロクスリー)◆レア・セドゥー(イザベラ)【この映画について】伝説の義賊、ロビン・フッドの物語を『グラディエーター』のリドリー・スコット監督と、ラッセル・クロウの黄金コンビが手掛けた歴史スペクタクル大作。12世紀のイギリスを舞台に、勇猛果敢なヒーローの戦いぶりを活写する。出演者も『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のケイト・ブランシェットや、『シャーロック・ホームズ』のマーク・ストロングら名優が勢ぞろい。映画の前半と後半で描かれるイングランド対フランスの壮絶な戦闘シーンは必見だ。(この項、シネマトゥデイより転載しました)【ストーリー&感想】(ネタバレ含みます)12世紀末。十字軍の兵士としてフランスで戦っていたロビンは、戦闘中にリチャード王が戦死したことで、仲間と共に部隊を離れたロビンは、リチャード王の王冠をイングランドに持ち帰る役目を担った騎士のロバート・ロクスリーが、英国王の側近でありながらフランスのスパイであるゴドフリーによって闇討ちされる現場に遭遇、瀕死のロバート・ロクスリーからノッティンガムの領主である父親に剣を届けて欲しいと頼まれ、成り行きから引き受けてしまう。ノッティンガムでは、ロバートの妻マリアンが10年にわたって夫の留守を守っていた。ウォルターはロビンに、ロバートの身代わりになってこの地に留まってほしいと提案。このままでは後継ぎのない領地は国に没収され、マリアンも住む場所を失ってしまうという。ロビンはウォルターの提案を受け入れ、次第にマリアンはロビンに対して心を開いていく。そんなある日、ウォルターから、彼が万人の平等な権利を求める自由憲章に署名した貴族のひとりであることを知らされたロビンは、ウォルターの代理として、貴族たちの会合に参加する。その席でロビンは「我々が求めているのは法に守られた自由だ」と自由憲章の理念を説き、ジョン王は自由憲章の発行を約束。貴族たちはイングランドの旗の下でフランス軍と戦うことに同意する。だがその頃、ジョン王の重臣でありながらフランス王の手先としてイングランドを内部崩壊させようとしていたゴドフリーの一軍がノッティンガムに襲来。不意を襲われたウォルターは帰らぬ人となってしまう。ドーバー海峡ではスパイであるゴドフリーが呼び寄せたフランス軍の大艦隊が攻撃を開始。イングランド連合軍が海岸線を埋め尽くす中、実戦の指揮を執るロビンは、射手兵部隊を高台に配備。フランス軍めがけて矢の雨を降らせ、大きなダメージを与える。そこへ鎧兜を着けたマリアンが現れ、彼女の毅然とした表情に決意の固さを見てとったロビンは、「攻撃に加われ」と命令、マリアンは義父ウォルターを亡き者にしたゴドフリーめがけて馬で突進していく……。最後は、戦果を挙げたロビンだったが、ジョン王は貴族との約束を反古にして自由憲章へのサインを拒否するどころか、ロビンを「Outlaw」(法による保護の外に置かれるもの、現在は「無法者」と西部劇などでは訳される)であると宣言し、再び追われる身になったが、マリアンと結婚したロビンは、森の生活に戻って行った。リドリー・スコット監督とラッセル・クロウは「グラディエーター」でコンビを組んで以来相性が良いようで、スコット監督も何かとクロウを指名する。クロウは同郷のケイト・ブランシェットとは始めてコンビを組むが、そのケイト・ブランシェットは「エリザベス」に出演するなど、英国の時代劇ものは得意である。二人の豪州出身のアカデミー賞受賞歴を持つ俳優が出演し、監督がリドリー・スコットとなので公開前から注目していた。スコット監督は時代考証が細かく、映画の中でのシーンも、オープンセットを組んで細部に渡るまで当時の様子に似せている。映像を観ているだけでも、当時の様子が偲ばれる感じでスクリーンに惹きつけられる。この手の映画で重要な戦闘シーンだが、冒頭から迫力のあるシーンの連続。スタントを使用しないクロウの乗馬技術も凄いけど、ラストのフランス軍との戦闘に加わるケイト・ブランシェットの乗馬姿も流石、女王陛下を演じていただけに様になっている。ストーリー的には、実在の人物か架空の人物かは不明だが、英国王室の内部の葛藤やフランス王の野心、重税を取り立てる側近や王に忠実な側近、こうした要素を巧みに取り入れながらも、ロビンの仲間との絆やマリアンとのロマンスなど盛り沢山のストーリーながらも一本筋が通っている脚本は素晴らしい。クロウとケイト・ブランシェット二人の演技ばかりではなく、脇を固めるスパイのマーク・ストロングの個性も光るし、王の忠臣マーシャルを演じるウィリアム・ハートの渋さ、アイリーン・アトキンスの二人の王の母としての威厳を感じる存在感、マックス・フォン・シドーの年齢を感じさせない演技力、ダメ王振りの演技が上手かったオスカー・アイザックなど、個性的なこれらの俳優たちの存在なくしてはこの映画は成り立たなかった。
2010.12.12
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10-77.キス&キル■原題:Killers■製作年・国:2010年、アメリカ■上映時間:101分■字幕:伊原奈津子■鑑賞日:12月4日、渋東シネタワー(渋谷)■料金:1,800円スタッフ・キャスト(役名)□監督:ロバート・ルケティック□脚本・原案:ボブ・デローサ□脚本:テッド・グリフィン◆アシュトン・カッチャー(スペンサー・エイムス)◆キャサリン・ハイグル(ジェン・コーンフェルド)◆トム・セレック(ミスター・コーンフェルド)◆キャサリン・オハラ(ミセス・コーンフェルト)◆キャサリン・ウィニック(ヴィヴィアン)◆ケヴィン・サスマン(マック)◆リサ・アン・ウォルター(オリヴィア)◆ケイシー・ウィルソン(クリステン)◆ロブ・リグル(ヘンリー)◆マーティン・マル(ホルブルック)◆アレックス・ボースタイン(リリー)【この映画について】旅行先でとある女性と運命的な恋に落ちスピード結婚を果たした若い男が、元CIAのすご腕エージェントという素性を隠していたために夫婦そろって騒動に巻き込まれるラブ・コメディー。アシュトン・カッチャーがキャサリン・ハイグルを相手役に迎え、一筋縄ではいかない恋の試練に立ち向かう。監督は、『男と女の不都合な真実』のロバート・ルケティック。理想の相手に出会えたものの、真実を語れない主人公のジレンマが共感を集めそうな一作。(この項、シネマトゥデイより転載しました)【ストーリー&感想】失恋の恋の痛みを忘れるために、両親との南仏バカンス中に素敵な男性・スペンサーとチェックインしたその日に出会い、恋に落ちたジェン。スペンサーとのデートを楽しむジェンだが、スペンサーは決してバカンスで訪れていた訳では無かった。その後も交際は順調に進み、過保護な父親になんとか結婚を認めさせ、ジェンの実家近くで結婚生活を始めた。結婚三年目のある日、スペンサーの友人が彼を殺そうと襲いかかって来た! なんと、スペンサーは元スパイで、彼には2000万ドルの懸賞金が懸けられていた。スペンサーは何と結婚を機に組織を抜けたことで、今になってかつての組織から命を狙われ始めたというのだ。ジェンはスペンサーの過去を突如として知ることになり、戸惑いながらも、スペンサーと一緒に次々に襲いかかってくる隣人たちと戦うことに…。スペンサーは眠っていた闘争本能が蘇り、隣人として付き合っていた町の人たちを次々と殺害するが、それでも彼は襲われジェンと命からがら逃げまくる。そして、遂に、ジェンの父までもが彼を疑い、銃口を向ける羽目になる。と、まあ予定調和のドタバタ劇が繰り広げられるのだが、南仏での冒頭のバカンスシーンは、スパイ映画の様な雰囲気で、しかしながらジェンとの結婚生活に突入するアメリカでは、一転してほのぼのとした家庭生活から懸賞金目当てに命を奪われかねない事態に突入。こうして観ていると、映画の展開としては大きく二つに分かれ、ストーリーもそういう展開。アシュトン・カッチャーとキャサリン・ハイグルによるラブコメにスリリングな要素を上手く絡めている。また、プロデュースを兼ねるアシュトン・カッチャーの要請で、ジェンの父役として久し振りに姿をみたトム・セレックの、過保護なお父さんの表顔を胡散臭い裏の顔を使い分けていた存在感も好印象を感じた。キャサリン・ハイグルの出演作って始めて観たけど、彼女はラブコメで存在感を発揮している女優さんだとか。ラブコメは自身好きなジャンルなのでかなり観ているけど知らなかったとは勉強不足でした。アシュトン・カッチャーは、必死にスパイ風アクションをこなしていたけど、「覚えたてのアクション」ってな感じで、板に付くのはまだまだ先か?仲良くしていた住民たちが、懸賞金目当てに豹変して銃をぶっ放すとは、これまたアメリカらしさ全開の映画でした。英題の「Killers」は”殺人者たち”だけど、これが邦題になると「キス&キル」って、この変わりよう、アメリカの配給元、納得してOKしたのかな?ブログランキング参加中です。ぜひ、1票を投じて下さい。(又は、見出しをクリックして下さい)
2010.12.05
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10-76.アメリア-永遠の翼■原題:Amelia■製作年・国:2009年、アメリカ■上映時間:111分■字幕:栗原とみ子■鑑賞日:12月1日、新宿武蔵野館(新宿)■料金:1,000円スタッフ・キャスト(役名)□監督:ミーラー・ナーイル□脚本:ロン・バス、アンナ・ハミルトン=フェラン□音楽:ガブリエル・ヤレド◆ヒラリー・スワンク(アメリア・イアハート)◆リチャード・ギア(ジョージ・パットナム)◆ユアン・マグレガー(ジーン・ヴィダル)◆クリストファー・エクルストン(フレッド・ヌーナン)◆ジョー・アンダーソン(ビル)◆チェリー・ジョーンズ(エレノア・ルーズベルト)◆ミア・ワシコウスカ(エリノア・スミス)【この映画について】大恐慌によって米国全体が疲弊していた時代、夢と希望という最大のカンフル剤で人々を元気づけた女性パイロットの第一人者アメリア・イヤハートの半生を描いた本作。ガッツのあるヒロインをやらせれば右に出る者なしの2度のオスカー受賞女優ヒラリー・スワンクが主演だけでなく、自ら製作総指揮も買って出るほど惚れ込んで完成させた力作である。自由を愛する妻を待ち続ける献身的な夫役にリチャード・ギア、不倫相手のパイロット役にとびきりハンサムなユアン・マクレガーら豪華キャストを揃え、アメリアが最も愛したエレクトラ機を復活させ、メガホンをとったのは『モンスーン・ウエディング』『その名にちなんで』のミーラー・ナーイル。(この項、gooより転載しました)【ストーリー&感想】(ネタバレ含みます)1928年6月18日、アメリカ全土が勇気ある1人の女性に熱狂していた。アメリア・イヤハート、世界で初めて大西洋を横断した女性だ。その姿を一目見たいという人々の願いに応えて、彼女は講演会やCM出演に駆け回る日々を送っていた。リンドバーグの本を出版したジョージ・パットナムが広報担当を引き受け、彼の提案で、初の著書も出版。アメリアの夢に魅せられたジョージは、やがて彼女自身にも心を奪われ、2人は恋に落ちる。とはいえ、空を飛ぶことに人生を捧げたアメリアは、結婚は自らを縛るものとしか考えていなかった。だが、ジョージが愛しているのは、空への夢を追う自分であると知ったアメリアは、「もし1年立っても、夢を追う自分との結婚に幸せを見いだせないなら離婚する」との約束で彼のプロポーズを受ける。彼女の次の夢は、乗客としてではなく自ら操縦桿を握り単独大西洋横断をすること。1932年5月20日、着陸予定地のパリ郊外のル・ブルージェ空港には歴史的瞬間を目撃しようと多くの群衆が駈けつける中、翌日、アメリアは牧草地に着陸した。そこはアイルランドで、世界中がその偉業に熱中した。その後も数々の新記録を打ち立て、ついにアメリアは世界一周飛行を決意する。その為の、資金集めに、彼女はCMや講演への出演などが続く日々を送った。そんな多忙な生活を癒してくれたのは、パイロットのジーン・ヴィダルとの友情の一線を越えた関係だった。1937年6月1日、この世界一周を最後のフライトにしようとの決意を胸に秘めてマイアミを出発し、順調に南アメリカ~アフリカを横断しアラビア半島からアジアへと入り、途中インドで悪天候に見舞われるが、ニューギニアに辿りついた。そこで、ジョージと最後の交信をするアメリア。しかし、ニューギニアを出発すると、次は広大な太平洋を渡る、今回のフライトの最大の難所が待ち受けている。途中、燃料補給でハウランド島という小島に立ち寄る予定だったが、この島は洋上の小島で、その発見には優秀なナビゲーターであるフレッド・ヌーナンが頼りだった。だが、悪天候で視界は悪く、フレッドも地図を頼りに必死にこの小島を探そうとするが...一方、既に到着時間を過ぎ米軍の管制との通信も周波数を聴きとれず、焦りは募るばかり。映画はアメリアのフライト機が交信を断ち、米軍の管制官らが何とか通信を試みる必死の様子を追う場面で終了。後は、字幕でこの後、どうなったかをなぞってエンドロールへと突入。彼女とジョージの絆を強調しながらも、彼女が女性の地位や社会進出が遅れていた時代に、強い意志を持ってそんな女性達に勇気を与えたかを描いていた。アメリア・イアハート(劇中では「エアハート」発音していた)は、アメリカでは知らない人が居ないとも言われるレベルの実在の人物で、ヒラリー・スワンク自身もこのキャラに対する思い入れが強く自らも「製作総指揮」に名を連ね、実際のアメリアに近付こうと仕草や外見も似せようとリサーチを続けていたそうだ。「P.S.アイラヴユー」のようなロマンチックものより、やはり、彼女には強い女性を演じている姿が一番似合っている。映画としては彼女がこの作品で3度目のオスカーを目指すのではないかという野心を多少感じるのだが、アメリアが一躍有名になるとCM出演などで多忙になったり、同じパイロット仲間のヴィダルとの関係にジョージが嫉妬するなど、有名になったことで生活に不自由さを感じ始めたのは、今のハリウッド映画界と似ている。共演者では夫ジョージ役のリチャード・ギア、有名になった女性を妻として、自らは「広報兼夫」としての立場で野心的に彼女を広告宣伝材料として売り出すことに成功する。最後は、「夫」として妻アメリアの危険な世界一周に複雑な気持ちを抱きながらもサポートする。ヒラリー・スワンクとしては、実在の人物に扮することで相当のプレッシャーを感じていたそうだが、相手役に彼女のあこがれの俳優でもあったリチャード・ギア起用で、そうした気分もほぐれたようだが、実際の夫婦もこんなに年齢差があったのかは知らないが、スワンクとギアは25歳の年齢差あるので、どうしても夫婦と思えないような感じがしました。印象に残ったセリフが、アメリアがジョージと結婚する前に彼の事務所で、何故あなたは空を飛びたいのか?と質問されて、彼女が答えた言葉はシンプルに「自由になりたいから」(i wanna be free)と語る場面(予告編の15秒辺りに出てきます)。この一言にこの時代の女性の本音が集約されていて、彼女のフライトのテーマとしてもインパクトが強かった。
2010.12.03
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10-70.クロッシング■原題:Brooklyn's Finest■製作年・国:2008年、アメリカ■上映時間:132分■字幕:川又勝利■鑑賞日:11月14日、TOHOシネマズシャンテ(日比谷)■料金:1,000円スタッフ・キャスト(役名)□監督・製作総指揮:アントワン・フークア□脚本:マイケル・C・マーティン□撮影:パトリック・ムルギア□編集:バーバラ・タリヴァー□衣装:ジュリエット・ポルクサ◆リチャード・ギア(エディ)◆ドン・チードル(タンゴ)◆イーサン・ホーク(サル)◆ウェスリー・スナイプス(キャズ)◆ウィル・パットン(ホバーツ副署長)◆エレン・バーキン(スミス捜査官)◆シャノン・ケイン(チャンテル)【この映画について】「トレーニング デイ」のアントワーン・フークア監督が、リチャード・ギア、イーサン・ホーク、ドン・チードルの3人を主演に迎えて描く緊迫の刑事ドラマ。ブルックリンの犯罪多発地区で危険と隣り合わせの過酷な日常を送る3人の警官たちの三者三様の苦悩が、リアルかつ緊張感溢れるタッチで綴られてゆく。共演はウェズリー・スナイプス、ウィル・パットン、エレン・バーキン。(この項、All Cinemaより転載しました)【ストーリー&感想】(ネタバレあり)ニューヨーク、ブルックリンの低所得者層が暮らす「BK公営団地」。ここで、警官による強盗事件が発生し、罪の無い将来を嘱望されていた黒人青年が被害者になった。マスコミの非難にさらされたニューヨーク市警では、犯罪の取締り強化でイメージの回復を狙う。そんな中、ベテラン警官のエディは定年退職を1週間後に控えていた。日々を無難にやり過ごすことだけを考えて警官人生を送ってきた彼だったが、最後の任務として犯罪多発地区での新人研修を任されることに。カトリック教徒で信心深く5人の子だくさんの麻薬捜査官、サル。愛する家族のためにどうしても広い新居が必要になるが、彼の薄給ではとうてい資金の工面などできるわけもなく、カビ臭い安アパートでの生活で妻の体調は悪化の一途を辿っている。麻薬捜査の現場で、大金を目にする度に、警察官としての正義感と自らの生活環境からの脱却との挟間に揺れていた。長年、BK公営団地を基盤に持つギャングへの潜入捜査を続けているタンゴ。身分を隠す潜入捜査で妻ともまともに会う事が出来ず、もはや結婚生活もボロボロで離婚を突き付けられている。捜査から抜けたいと上司に願い出る。ところが、そんなタンゴに、彼の命の恩人でもあるギャングのボス、キャズに対するおとり捜査というさらなる過酷な任務が課せられる。キャズ逮捕と引き換えに昇進を約束されたが、上司は黒人であるタンゴでなければキャズ逮捕は難しいと思っていた。この三人のそれぞれの人生観、警察官としての職務遂行能力は異なる。正義感は薄く退職前の1週間を従来通り無難に過ごすことだけを考え、同僚からは馬鹿にされ続け挙句の果てには研修を施している新人警官にまで蔑まれ担当を外されたエディの唯一の息抜きは、娼婦のチャンテルと過ごす間だけで、そのチャンテルにさえ自分の気持ちを裏切られたエディ、最後は、退職期限切れ直後に「一般市民」となったエディが、誘拐された女性を救出するのは皮肉だ。正義感が強いのは、子沢山で病気の妻を抱えているからで、警察官の安月給サルも麻薬捜査での現場における大金をどう扱うかに悩むでは到底5人の子供と妻は養えない。アメリカの警官が退職後は年金で手厚く保護されるが、現職警官の下働きは辛いのだろう。そういう生活感がにじみ出ている設定だ。黒人警官として公営住宅へ潜入捜査官として裏社会のボスの信頼を勝ち得ていたタンゴ。ボスの側近がタンゴは警察官ではないかと疑いの目を向けても、ボスのキャズはタンゴを信頼し続けている。そんなキャズを上司から昇進と引き換えに逮捕せよとの命を受けて悩むタンゴだったが、キャズは対立する仲間に射殺されタンゴの潜入捜査も終りを告げたのだが、何と、ラストでは同僚警官にギャングと間違われBK公営団地内で射殺される。この三人の人生、男性なら大いに共感出来るだろうが、タンゴのラストは気の毒だったな~。ドン・チードルもイーサン・ホークも私の好きな俳優で、今回は、特にドン・チードルの役が個人的に一番良かった。しかし、彼の上司である白人女性の上から目線丸出しの態度は、黒人警官であるタンゴを、自分達の思うように使って成果を挙げさせ、昇進をチラつかせながらも、結局はタンゴの昇進は見送り続けられ女性上司だけが良い思いをする。こんな構図の中で、タンゴはよく我慢していたなと思ってしまった。イーサン・ホーク演じるサルは、結局は金の誘惑には勝てずに、正義感を発揮する前に家族の境遇を考えると、ああいう結末は予想の範囲内でしたね。イーサン・ホークはラヴストーリーも演じられるが、やはりヴァンパイヤよりは今回の様な役が良いですよ。最後に、一番無難に生きて定年を全う?したエディ。彼の、今後の人生はどうなるのか?家族も失い、同僚も定年で失い、チャンテルとの生活も失い、彼の背中には男の郷愁が漂っていたのですが...。
2010.11.18
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