初めての 偏見



手術をするとすぐに歩けるようになりますよ、という医者。その言葉を信じてみたものの、一向に痛みの引かない足。何ヶ月経っても松葉杖を外すことが出来ませんでした。

私はそのまま中学にあがりました。手術から半年以上も経っているのに杖を外すと足が前に進みません。
中学校もいつまでも杖をついている生徒が嫌だったのでしょう。一学期終了間近に父が学校に呼ばれました。それなりの学校への入学の手続きを取ってください、と。

施設に入ることになった私を不憫に思ったのか両親は私を街に買い物に連れて行ってくれました。買い物は学年が変わる春休みにしか連れて行ってもらったことは無かったので私は浮かれていました。施設に入るのもいいもんだなぁと思いながら、新しい文房具を手にあれこれ迷っていました。

後ろの方から「だめでしょ」と女性が子供を叱る声が聞こえました。子供が何か悪さをしたのでしょうか。「そんな悪いことするとあの人みたいになっちゃうわよ」と。振り返ると女性はさも正しいことを教え諭しているかのように私を指差しています。子供の視線がつきささります。

その場から動けなくなりました。文房具を手にするのもやめました。もしかしたら私は汚いのかもしれないから、触っちゃいけない。
何を今まで悪いことをしたのだろうか?悪いことをしたからこうなったのだろうか?

混乱しながら母のもとに戻りました。
結局何も買えず施設に入ることになりました。



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