小説 こにゃん日記

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act.2『聖なる日に』



おいらがここにやってきたのは、なんと12月25日。
世間じゃクリスマスって奴だ。
ターキーだの、生クリームたっぷりのケーキだのを食べる日だって、今のおいらは知っている。
でも、その頃のおいらはそんなことも知らない、いたいけな産毛だらけの子猫だった。
その前は、なんだかほわほわしてあったかいもんに、抱かれていたような気もするけど、そいつはおいらの感傷って奴かもしれない。
感傷って奴は厄介なもので、いくらぺろぺろ舐めてみても、いつまでもちくちく痛いもんだ。
人間は、胸のあたりについてるようだけど、おいらのはしっぽの付け根についている。
おいらはまだちびすけだったから、うまく舐められなくって、なおさらちくちく痛かったんだと思う。
寒かった。
空は晴れていたけど、薄い水色の空は綺麗な氷みたいだった。
おなかがぎゅっと冷たい手でつかまれるような、そんな変な気分だった。
早く、おなかになんか入れないと、握りつぶされちゃう。
そんなことを思って怖かった。
おいらがいたのは公園というところだ。
クルクルまわる鳥かごみたいなのに乗った人間が、キャーキャー喚いていた。
2本の紐に揺られて前後に揺れながら、おーいと叫んでいるのもいた。
それを見てると、おいらの世界もクルクル回ったり、大きく揺れたりするから、おいらはそいつらには、近づきたいとは思わなかった。
でも、隅っこで小さな入れ物に、せっせと何かを入れている人間は別だ。
その入れ物は白くて小さな赤い花がついていて、なんだか懐かしい気がしたんだ。
   ゴハンダヨ イラッシャイ
いつか聞いた、魔法のような人間の声がした気がした。
おいらの耳がぴくぴくした・・・本当にそう言っている!
おいらは枯れた草むらから飛び出した。
それがおいらと桃の出会いだった。



act.3『劇的シーン?』 に続く






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