Lascia chio pianga~私を泣かせてください~

Lascia chio pianga~私を泣かせてください~

或る女


漠然とした不安が私を襲い
虚無感が私の周りを付きまとう。

狼に襲われるから怖いのではなく
狼に襲われないから怖いのだ。
私だけが襲われない恐さ。
私だけが普通じゃない気がした。
だから普通の人間になりたかった。
普通でいいのだ。
とんでもなく幸せになりたいわけではない。
幸せにはなれないって分かってるから、
もう希望なんて言葉も捨ててしまったから、
愛されることなんてどうってことないから、
愛されようが愛されまいが自分が生きていくことには関係がない。

だけど私は割り切れなかった。
誰でもいいから、私のことを理解ってほしい、
そう願った。
その願いも通じないことは分かっていた。

私に残された道は一つしかないように思えた。



この言葉が私の脳裏を過ぎる。
しかし私は弱かった。
死ぬ気になればなんだってできるはずなのに
カミソリを持つ手は振るえなかなか手首の上をスライドしようとしない。
覚悟が足らないのだ。
また悲しくなる。
生きることもできないのに死ぬこともできないのだ。
神様は私に試練を与えているのか?
それにしては過酷過ぎる。
私がもう少し強くなってからでは駄目だったのか?
違う。
強くするための試練だから。

覚悟も決まった。
生きることはできない。
睡眠薬を大量に飲む。


目が覚めた。
目を開けると母が居る。
ここは病院だと云う。
助けられたようだ。
お願いなんかしてないのに。

とにかく気丈に振舞う。
弱気にはなれない。

私の中に漠然とした不安が襲う度、
私の腕は傷だらけになった。
血を見ると落ち着くのだ。
何故かは知らない。

楽しかったこともあった。
けど、その楽しみのために生きていくなんて
とても無理に思えた。

私はただの一人の弱い人間。

今はとりあえず眠りたい。

もう悪夢を見せないで。
眠らせて、永遠に。



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