颯HAYATE★我儘のべる

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高天の観察日記 8~11



結局、お父さんとお母さんの秘密はわからないし、カンの正体もわからない。

何もわからないまま、夏休みが終わろうとしている。

観察日記は宿題なのに、何もできていない。 どうしようかな??

とにかく、残された時間で何かを観察しないといけないよね。

僕はしばらく腕を組んで考えた。そして、ある結論に達した。

そうだ、お父さんとお母さんを観察しよう!! 秘密じゃなくって二人を観察すればいいんだ。

だって今までは観察っていうより、秘密を探ろうとしていただけだしね。

二人の観察なら、今までだって・・・してたもん。(だって探偵してたんだから、そうだよね?)

僕はその時から早速、二人を観察しはじめた。 そして気がついたこと―――

僕の両親はキスが大好きだということ。 お母さんはたまに嫌がっていることもあるけど、お父さんは大好きみたい。

まず、起きると「おはようのキス」、お母さんが朝ごはんを作っているときもキスするときがある。

おはようのキスは済んでいるのに。いったい何のキスなんだろう?

そして、「いってらっしゃいのキス」、これはすっごく長い。 運転手のおじさんはその間ずっとお父さんを待っている。

お父さんの顔が離れると、お母さんは真っ赤になっている。それにはあはあ言ってる。

マラソンしたあとみたい。 キスしただけなのに、へんなの。

そして「お帰りのキス」、その後は夕飯を食べる前のキス・・・ってそれ何?

テーブルにご飯が並ぶでしょ? そしたら、なぜか食べる前にキスする。お父さんが無理やりに。

お母さんが嫌がっているのはわかっている。 だってその後はいっつもお父さんの頭を叩いているから。

たまにこのキスはできないときもある。 お母さんがうまい具合に避けるから。

でも、そうするとお父さんはすっごく不機嫌になるんだ。 キスができないだけなのに、へんなの。

そして「おやすみのキス」、これはお姉ちゃんと楸にもするけど、僕とお兄ちゃんにはしない。なぜだろう。

僕とお兄ちゃんには「おやすみ」したくないのかな?

これは全部どの家でもしていることだと思っていたんだよね、でも小学校に行くようになるとそうじゃないってことがわかった。

だから、お父さんはキスが大好きってことだよね? 友達の家のお父さんとお母さんはキスしないんだって。

一回も見たことがないって言ってた。 ってことは―――うちは変ってことだよね。

お父さんにも教えてあげた方がいいかもしれないな。でも、不機嫌になりそうだし怖いな。

僕はとりあえず、お父さんとお母さんのキスの回数とどんなキスをしたかを細かく観察してノートにまとめた。

そして―――始業式、僕は先生にうきうきと提出したんだ。

でも僕は大事なことを忘れていた・・・他の宿題を全然していなかった―――


FIN




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●高天の観察日記 9●


結局、カンの正体もお父さんたちの秘密もわからないまま夏休みが終わってしまった。

観察日記は違うものを提出したけど・・・先生に笑われてしまった。 なぜだろう?

僕はキチンと観察したのに、何がおかしいんだろう?

でも、たぶん・・・とても中途半端だからいけなかったんだと思う。

最初はお父さんとお母さんを観察するつもりだったのに、キスだけを観察したからいけなかったんだと思う。

二人の全てを観察して、しっかりと日記をつけるべきだったんだ!

だから、今度こそ正しい観察日記をつけて、先生に提出しようと思う。

道明寺高天としては、笑われっぱなしじゃダメだ!!  僕は頑張る!!!

そして・・・カンの正体も掴んでみせる!!!!!

僕は決意も新たに観察をはじめた。

お父さんとお母さんは相変わらず、突然部屋に入って出てこなくなる時があるんだ。

やっぱり、僕は怪しいと思う。

何かイケナイことをしているのかもしれない。 

僕の頭の中を何かがよぎった・・・不吉な予感・・・?

イケナイこと・・・、お父さんとお母さんが泥棒だったりするかもしれない。

あ・・・もしも本当に泥棒だったりして。

そうだ!! だから僕んちは金持ちなのかもしれない!!!

だって、お父さんはあんまりお仕事しているって感じじゃないもん。

そうだよ、きっと夜にお仕事をしているんだ。

僕んちは泥棒一家だったのかもしれない・・・・

そうか、それなら・・・カンっていうのは泥棒仲間!?

もしかしたら、いざって時の囮に使う動物の名前かもしれない。

でも、ちょっと待って。 そうなると、僕は泥棒の子供ってことになるよね?

お父さんとお母さんが、もしも警察に捕まったらどうなるの?

僕は学校で苛められたりしないかな?

そんなのは嫌だ~!!!!!

お父さんとお母さんを止めなくっちゃ! 泥棒なんてイケナイよ!

そんなにお金がいるなら、僕は頑張って働くよ!!!

僕は慌てて二人の部屋に走った。

部屋は鍵がかかっていた。 どうしよう・・・

僕は扉をドンドンと叩いて、お父さんとお母さんを呼んだ。

なんで出てきてくれないの?

「お父さん!! 泥棒なんてやめて!!!!」

僕は必死で叩き続けた・・・泣きながら。

早くお父さんたちを止めなくちゃ~・・・



つづく・・・




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●高天の観察日記 10●

お父さんとお母さんが泥棒かもしれない!!

それが悲しくて必死でドアを叩いていたら、やっとお父さんの声がした。

「うるさいぞ!! 高天!!!」

お、お父さん・・・泥棒はいけないよ!

「泥棒なんてやめてよ!!」

僕は必死で叫んだ。するとドアが開いた。

中から、不機嫌な顔をしたお父さんと不思議な表情をしたお母さんが出てきた。

「お前、何を言ってるんだ?」

「高天・・・泥棒って何?」

「お、お父さんたちって泥棒なんでしょ!? 僕、お父さんたちに泥棒をやめてほしくて」

お父さんとお母さんは、お互いに顔を見合わせて固まってしまった。 なぜ?

「―――お前、夢でも見たのか?」

「夢じゃない!! うちがお金もちなのは泥棒だからでしょ!!」

「―――泥棒なわけないだろう・・・お前ってここまでバカだったのか?」

「司!!」

お父さんの背中をお母さんが拳で殴った。お父さんは痛がって背中を撫でている。

僕は・・・わけがわからない。

泥棒じゃないの? だってお父さん、仕事してないでしょ。

「じゃ、うちってなんでお金があるの?」

「―――俺が稼いでるに決まってるだろうが!!!」

「・・・うん、お父さんが泥棒して稼いでるんでしょ?」

お父さんが顔を真っ赤にして怒っているけど、僕にはわけがわからない。

「高天・・・なんでお父さんとお母さんが泥棒だと思ったの?」

「―――だって、お父さんは仕事してないし。 お友達のところみたいに毎日キチンとお仕事にいかない。

友達のお父さんはスーツ着て、車に乗って、朝になったら毎日会社に行くよ?

お父さんはスーツ着るし、車も乗るけど・・・いつも朝だったり、昼だったり・・・

夜に仕事だって出かけたりするじゃないか! 泥棒だから、朝会社に行かないんでしょ?」

お父さんは怒りがおさまったのか、変な顔で僕を見つめている。

「―――高天、お前・・・どこまでバカなんだ? 勉強はキチンとしているのか?」

「司!! ―――高天、お父さんもお母さんも泥棒じゃないよ。

お父さんはね、えっと・・・会社の一番偉い人なの。 夜にお仕事に出かけたら、朝帰ってくるでしょ?

それなのに、朝また会社に行ったら眠れないじゃない。

だから、夜にお仕事した次の日はお昼からお仕事するのよ。

一番偉いから・・・えっと、色々なお仕事があって、夜にしかできないこともあるのよ。」

お母さんの言っていることは意味がわからないけど、とにかく泥棒ではないらしい。

「うちがお金持ちなのは・・・お父さんが頑張って朝も昼も夜もお仕事しているからよ。」

―――そうなのかな?

じゃあ、カンはいったい何者? また最初からやり直しじゃないか。

「・・・ねえ、お父さん・・・カンって何者なのかな」

僕は簡単に答えを手に入れようと、お父さんに聞いてみた。

もともとお父さんが、告げ口したのは「カンだ」って言ったんだから。

「カン? なんだそれ。」

「お父さんが言ったんじゃないか! 僕が部屋にいるのがわかるのはどうしてって聞いたら
カンだって言ったじゃない。 カンって何だよ!!」

お父さんは何か考えるようなそぶりを見せて・・・

「俺がそんなことを言ったのか?」

「―――覚えてないの?」

「ああ」

恐るべし、カン!! なぜかはわからないがお父さんの記憶も消した!?

僕は真っ青になって、フラフラと部屋へ歩きだした。

「た、高天!? 大丈夫・・・?」

お母さんの声がしたけど、僕は何も答えなかった。

怖かった。 カンは人の記憶を消すんだ・・・もしかしたら、僕の記憶も・・・

もうカンのことは忘れた方がいいのかもしれない。

でも、お父さんの記憶を取り戻してあげたいし・・・。

でも怖い。―――僕はどうしたらいいのだろう。

高天は一人、部屋で途方に暮れていた。

FIN



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●高天の観察日記 11●


カンが恐ろしいヤツだということがわかった。 カンは記憶を操作する。

以前、テレビで見た宇宙人みたいだ。 

でもカンは人間じゃないし、生き物でもないはず。 前にお兄ちゃんがそう言っていた。

じゃあ、きっと宇宙人でもないよね。 宇宙『人』っていうくらいだから人間だもン。

でも記憶を操作する・・・僕はハッとした。

やっぱり、以前テレビで見た!!! 記憶を操作する恐ろしい機械、ロボット。

機械に支配されていく人間たち―――――。

じゃあ、お父さんは・・・すでに機械につかまっているってこと!?

だって、もう記憶をなくしているんだから。

もしかしたら・・・お母さんもだんだん記憶を失って、僕のことも忘れてしまうかもしれない。

グルグルと考えていたら、僕は眠れなくなってしまった。

僕はとっても怖かった。 明日、学校に行ったら、みんな僕を忘れているかもしれない。

コンコン・・・部屋にノックの音が響く。

「高天?」

僕は返事をしなかったけど、ドアを開けて入ってきたのはお母さんだった。

「高天、どうかしたの? なんか様子がおかしいから気になっちゃった。」

「―――お母さんは僕のこと忘れたりしないよね?」

僕が聞いたら、お母さんはびっくりしたみたいだった。 そして優しい笑顔を見せてくれた。

そして、僕のベッドに座って言ったんだ・・・。

「お母さんが高天のことを忘れるなんてありえないよ。 どうして、そんなこと思うの?」

「―――お父さんはカンのことを忘れているんだよ。 自分が言ったのに・・・。

だから、僕のことも忘れると思うんだ。恐怖のロボットのせいなんだよ、きっと。」

つくしには意味がわからなかったが、息子が悩んでいることはわかった。

だから、とにかく安心させようと、わかったふりをして慰めることにした。

「お父さんが高天を忘れるなんてことは絶対にないよ。 お父さんは愛している人やモノを絶対に忘れないんだから。」

「お父さんは僕を愛しているの?」

「そうよ。お母さんのことも、高天のことも、榊も椛も楸もみんな愛してるの。だから絶対に忘れない。

高天だって、お母さんのこと忘れたりしないでしょ?」

「うん! しないよ!!!」

そんなの、当たり前だ。 僕がお母さんを忘れるなんて・・・。

僕は機械につかまっても戦うよ。 

他のどんな記憶を奪われたって、お母さんとお父さんそれにお兄ちゃん、お姉ちゃん、楸のことは忘れないように戦う。

僕はみんなが好きだし、絶対に忘れたりしない。

「ね、だから安心して寝なさい。」

お母さんはそう言って、優しく頭を撫でてくれた。

なんだか、赤ちゃんになったような気がしたけど、とても暖かくて嬉しくってホッとした。

「うん」

僕はそう言って目を閉じた。 お母さんが部屋を出て行く音がする。

お父さん絶対に僕を忘れない。 じゃあ、お父さんがカンを忘れたのはカンが嫌いだからだ。

いったいカンって何なのだろう。 僕のことをお父さんに告げ口し、お父さんの記憶を奪う。

やっぱり・・・宇宙人なのかも。 機械が告げ口はしないよね?

じゃあ、宇宙人は『人間』とは違うってことかな?

だとしたら、お父さんは宇宙人と知り合いってことだよね。

嫌いだけど、知っているってことだもン。

そういえば、お父さんは時々宇宙語を話すときがある。

僕には全然わからない言葉を話す。 お母さんも少しは宇宙語がわかるみたいだったな。

ってことはお母さんも宇宙人を知っている!?

―――もしかしたら、お父さんって凄い人なのかもしれない。

カンという宇宙人と知り合い??? そして宇宙人と話すことができる!!!

う~ん、やっぱり僕にはよくわからない。

でも、とにかく僕はカンと戦かわなくっちゃ。 愛するみんなを守るんだ!

僕は改めて気を引き締めた。 悪いカンに僕の記憶が奪われないように。


FIN

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