三崎真琴の「ぼちぼちいこか」

三崎真琴の「ぼちぼちいこか」

のぞき見





 通勤電車の中で、周囲の人達が見ている「紙」系統のものを、ついついのぞき見してしまいます。

 私がいつも利用する電車は、ダァーっと窓側一列に座席が並んでいるのではなく、2人掛けの席が向かい合っているタイプで、昔ながらの車両なのです。
 だから、通路に立っていても、座っていても、いろんなところに目を向けやすいのかも知れません。

 今朝、座席と座席の間の通路に立っていると、窓側のおじさんが、右手にシャーペン、左手にはB5縦長の原稿用紙を持って、朝から何やら熱心に書き物をしている様子が目に入ってきました。

 仕事か何かのレポートでしょうか?
 それとも、学校の先生でしょうか?
 「原稿用紙」に書いているという光景を、久しぶりに見ました。

 うう~ん、気になる。
 ノゾキタイ。

 でも、ちょっと距離が離れすぎていて無理でした。

 気がつくと、おじさんはシャーペンを握りしめたまま、眠ってしまっていました。
 あーあ、ざんねんでした。

 電車の中ですることと言えば、今も昔も多いのは、読書ですよね。

 文芸書やマンガは定番ですが、最近目につくのは、男性の方ではパソコンの入門書、女性の方は資格取得の為のテキストを読んでいる姿ではないでしょうか?

 特に女性はスゴイですよね。
 ライフプランの何とか・・・ってやつは、ファイナンシャルプランナーの勉強でしょうか?
 介護について書いた本に、いっぱい付箋を貼っているおばさんを見たこともあります。

 また、サラリーマンのおじさんが、やたら血走った目で読んでるな、と思ったら、英会話の本であることが多いです。

 社内で、英語力の試験がある会社もあると聞きますが、その対策でしょうかね~。

 制服姿の学生さんは、やはりテスト直前の試験勉強。

 教科書よりも、ご本人がまとめたノートを読み返しているのを、そっと隣からのぞき見る方が面白いですね。

 特に、髪の色は黄色いわ、ピアスはしているわで、見た目はワルそうな子が、ものすごく丁寧で几帳面な字を書いていたりすることがあり、なんだか嬉しくなります。

 ところで、

 読書以外にも、何やら紙に書いたものを読んでいるおじさんが近くにいると、ちょろっとのぞいてしまいます。

 平日の朝にはほとんどいませんが、土日の朝、休日なのに会社に出かけると思われるおじさんは、油断しているのか、なかなかすごいものを読んでいます。

 例えば、「○×システムについてのご提案」って書かれた書類。
 コンピューター会社がある企業に出しているものらしく、説明とかフローチャートみたいな図が載っていたりします。

 内容は全然分かりませんが、こういうのを読んでいる人を、不思議とよく見かけるんです。
 しかも、みんな内容が違うみたいなんで、同じ会社の人を何人も見ているのではなさそうなんですよね~、コレが。

 こんなん電車の中で読んでええんかいな。


 あと、「○○部長へ」っって書かれたような、社内連絡メールをプリントアウトした紙。
 これを何回も読み返している人も、よく見ます。

 これも書いてある内容までは分かりませんが、

「へえええ~、よその会社では、こういう書き方で社内の人に連絡するんだあ~」

 と、変なところで感心したりしています。

 おじさん、メールの宛名で役職が分かっちゃいますぜ。


 さてさて、今年の春、就職活動シーズンの頃、通勤ラッシュも過ぎた夜の9時過ぎの電車内でのことです。

 窓側のおじさんが、ホチキスで止めたB4用紙の束をぺらぺらめくっているので、ナンダロウ?と思って、そちらに目をやりました。

 するとそれは、遠目に見ても履歴書のコピーだと分かるものでした。

 紙の左上の方に、女性と思われる、スーツ姿の写真の影が見えています。

 これには、さすがに驚きました。

 おっさん、これはアカンやろ~。

 ・・・って、のぞいてる私はエラそうに言えませんが。


 車内での「のぞき見」と言えば、他人の読んでいる(特に駅売りのスポーツ紙やタブロイド版)新聞ですよね~。

 ものすごく派手な見出しだったので、つい、おじさんの読んでいる夕刊をのぞいていると、なんだか背後に視線を感じました。

 慌てて周囲を見回すと、
 あっちからもこっちからも、
 一人のおじさんが読んでいる新聞を、のぞき読みしている人が何人もいるのです。

 わはは~、私だけじゃなかったのね。

 あんしんしました。


 ここで、ふと気づきました。

 ということは、いつも私が電車で読んでる雑誌も、誰かが「のぞき見」してるかも知れないってことやん!

 ギブ&テイク、見たり見られたりで、皆さん、車内を楽しく過ごしましょう。

 でも、へんなとこはのぞいたらあかんで。


(2001.12.13)

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