見たまま、感じたまま、思ったまま

時間外に来る人達

(3)時間外に来る人達

うちは、入院のない内科診療所です。1階が診療所で2階が自宅になっています。

自慢するわけでないですが、うちは月曜から金曜までは9時から19時まで、1時間のお昼休みで診療しています。土曜日だって5時までやっているし、日曜もお昼まで診療しています。うちが休みなのは、日曜の午後と、祝日だけです。
だから、最近月曜の祝日が増えて、世間では3連休が増えてますが、うちには関係のない話で、最大でも1・5休なのです。実際連休も滅多にありません。

しかしそれだけ長く診療していても、時間外の患者さんはやって来ます。
そりゃ、病気は病院の診療時間なんて事は考慮してくれないので仕方のないことです。

時間外になると電話を取らないところもありますが、うちは出来るだけ電話を取ってます。夜中だって依頼があれば診察します。(夜中は何も障害が無いので、下に降りやすい)

しかし、時間外に電話をかけてくる人が、みんな急を要する人かと思うと、そういう訳ではないのです。

たとえば、普段飲んでいる薬が切れたので出して欲しいとか、ひどい場合には、検査結果の問い合わせ、検査や予防接種の予約で祝日の朝に起こされた事がありました。

さすがにそういう場合は、診療時間内にお掛け直し下さいと言うわけですが、言われた患者さんはとても不快そうな反応をされます。
でも、正直な話、こっちも不快になるんですよね。どうしてわずかな休息の時間が、そういう事で邪魔されるんだろうって。

それから、うちだって人の子、どうしても診療できない時があるわけなんです。たとえば僕が用事で夜に外出しているとき、配偶者はまだ1歳の次男を抱えていて、寝ている時なら良いけど、起きたりぐずったりしてるときには、赤ちゃんを置きっぱなしにして下には降りれない訳です。

朝の6時から7時辺りも、朝食を作ったり子供を起こして、小学校や保育園の準備をしたり、その日の往診の準備をしたり戦争なので、よほどの事で無い限りお断りしています。

それ以外にも、家族が病気で寝ているときとか、疲れていてどうしても診療したくないときもたまにはあります。
また、親戚や祖父母を呼んで家庭行事をしている時など。

開業したての頃は、出来るだけ何もかも中断して(そのころも、丁度娘が生まれた直後だった)、患者さんのニーズに応えて居たけど、だんだんストレスが貯まるようになって・・。

長い年月診療をしていくためには、出来るだけストレスを貯めない事が大事で、そのためにもメリハリを付けることが必要だと考えて、最近では、そいう時間帯には留守番電話にしている訳です。

救急表示をしてる訳でないし、他にも救急をやっている病院や、夜間の在宅当番もあるわけなので、その辺はもうすべてをカバーできる訳でないので、ある程度はごめんなさいという訳です。

実はそのあたりの事情は、患者さんに渡す「私のカルテ」という冊子の裏に、どういう時間帯が時間外で診療しやすいかまで含めて書いてあるんですよね。

留守電にメッセージを入れてくれてある人には、後でこちらから電話をするようにしていますが、多くの患者さんは、そのままガチャ切りですね。

しかし、それでも時間外の患者さんはいきなりやって来ます。

病院の玄関にはドアホンがありますよね。
うちでは、これをピンポンと呼んでいます。
これは、時間外に患者さんが来たときに鳴らすために付けてあるわけです

電話が今のように普及していなかった昔、患者さんは直接やって来てピンポンを押していた訳です。
ところが、今は電話が凄く普及してるので、まず電話をかけてきて、それで病院に着いたら押す、そういう使い方が多いわけです。

ところが、電話をかけたら留守電なので、じゃあ直接行こうとやって来てピンポンを押す方が多いわけです。

もちろん、電話をかけずにいきなりやってきてピンポン押す方も居ます。

診療出来ないからわざわざ留守電にしているわけなのに、その辺の事情をどうして汲んでくれないのかなあと思ってしまいます。
来て貰って断るのは凄くストレスだし、かといってそういう事情の時に下へ降りるのもストレス。どうせならと思って結局は診察する事が多いんですけどね。やっぱり徒労感は残ります。

それに、ピンポンって電話と違って待ったなしなんですよね。

電話だと、それが食事中だったりすると、じゃあ15分して来てくださいとか言えるわけですが、下でピンポン鳴らされるとそこで患者さんを待たす訳には行かないわけです。
でも、こっちだって、その時にお風呂上がりの素っ裸で赤ちゃんまで風呂上がりで泣いていたり、夕食のお鍋に一口箸を付けた瞬間だったりすると、非常に辛い訳です。

これを読んでいる人は、急患だからすぐに診るのが当然だと思われるかもしれませんが、うちのような無床診療所に、ホントの急患ってまず来ないんですよね。。
だから、お互い阿吽の呼吸で、少し家で待って貰っても、こっちへ来たらすぐ診れるように出来たら良いと思うんですけどね。

去年のゴールデンウイークは、次男が生まれた直後だったので、どこにも行かず家で居たのです。だから、午前中の少しの時間は留守電を解放して、その時間帯にかかってきた患者さんは診察していたのです。
そりゃ、ずっと診察する事も出来たけど、上の二人も遊びに連れて行ってやらなければいけないし、自分の休息だって必要でしょう。

で、僕が子供2人連れて出て行ってる時に、留守電にしてると、いつものごとくピンポンが鳴ったわけですが、赤ちゃん居るし、配偶者はもう応答しなかったのです。そうしたら、今度は病院ではなく自宅のピンポンが鳴る。誰だろうと思って出たら、普段かかっている患者さんで、中学生の孫さんが風邪なので薬が欲しいと・・。仕方ないから配偶者は子供を残したままで下に降りて行って、患者さんはどこに?と尋ねると、その孫さんは野球の試合に行っているとのことだったらしい。さすがの配偶者もムッとして、診察せずに薬を出すことは出来ないと断ったらしいけど。
そういう風に気楽にピンポンを押す人も居るわけです。

色々書きました。ちょっと誤解を受けたかも知れません。
医者は患者を診るのが仕事だろう、いつだって要請があれば診察するのが当たり前じゃないかと言われるかも知れません。
そりゃおっしゃる通りなんですが・・。
医者だって、人間。仕方ない場合もあるけど、そうでなければ、もう少し余裕が欲しいなあと思うのです。

ほんの少しのお願いです。

1.診療時間内に済む用事は出来るだけ時間内にして欲しい。
2.いきなりやって来ずに、まず電話をかけて欲しい。
3.いつも、電話を取ってるのに、それが留守電だったら、何か事情があんるだろうと察して欲しい。
4.それでもやって来てピンポン押すのも仕方ない場合もあると思うけど、せめてプライベートの玄関まで回って押すのは止めて欲しい。

またご意見があればお待ちしてます。

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