まっぺいの下町ラジオ

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(1)脅威の小島 シンガポール2


そしてここシンガポールも、例外ではない。
いつだったか旅を好むミュージシャンが、ある街を訪れるとき、必ず「売春街」を見ると言っていた。
ある程度の街になると、必ず、それが存在してしまうのだという。
その時はなるほどと思って聞いていたが、私の住む町「ゲイラン」がまさにそれだったのだ。
アパートを探すとき、私は第一に、「オフィスやビジネスセンターから近いところ」を第一条件に挙げていた。
高校、大学、仕事、そして留学と、常にそれらが住まいとの至近距離にあった私にとって、これだけは譲れなかった。
そうして見つけたこの物件。
距離的には申し分なし、セキュリティもOK、3ベッドルーム、リビング、築2,3年、それにプールつき。
値段も安く、町はこぎれいとは言えないが、まあ、安食堂もいっぱいあるし、下町っぽいところもいいかなと思った。
ところが・・・・

取引先で、「住む所が決まった。ゲイランというところ、知ってる?」
こう聞くと決まってみんな、変な笑い方をするのだ。
おかしいなと思っているうちに、だんだん分かってきた。
昼だったから分からなかったのだが、夜になるとこの街も、ガラッと雰囲気が変わる。
暗くなりだすと、どこからともなく男どもが集まってくる。
初めの内は「異様」に感じたが、彼らは別に、人を傷つけたり、物を盗んだりするつもりではないことが分かると、身の危険は全く感じない。
そして、いるのだ、女たちも。
良く見ないと分からないのだが、例えば、昼間はただの民家だと思って見過ごしていた雑居ビルの1階が「置屋」になっていたり、私の住むマンションの入り口に何気なく立っている女性が実は「そう」であったり・・・・
そういえばこの辺は1泊$40(1シンガポールドルは約72円)ぐらいの安ホテルがやたら多い。
そのどれもが、表向きは、派手な電飾ながら、こざっぱりしているのだ。
1時間$12という時間サービスのホテルまである。
さしずめ日本のラブホテルと、良く似ている。
さすがに病気が怖いので買う勇気はないが、それにしてもこのゲイランという街、ともすると飽きてしまいがちな都会にあって、俺を退屈させない。
「ゲイラン」という響きもなんとなく、それっぽいではないか。

まあ、かくして私の東南アジアでの生活が始まったというわけだ。

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