サトゥの死ぬまでシネマ。

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第6話。

「第6話 シューストリング・バンド」
「おっちゃん、もう誰か来てる?」
「いや、まだだよ」
今日は野ザルがバイトを始めて1週間目の日だ。「暗い」ところが不安ではあったが無事、店長のオメガネにかなって採用された。根がマジメなおかげで、モクモクと仕事をしているらしいが、その報告会とこれからの作戦を兼ねて理容ナカニシに集合することになっている。ペプシを飲もうと冷蔵庫を開けると袋に入った「青ノリ」が落ちてきて床に青ノリがブチまかれていた。
「ヘイ!ドク!俺がトゥルーで今日が2度目の今日だったら、間違いなく青ノリの袋はきちんと・・・。いや、青ノリは冷蔵庫に保存するなって言っておくね」
と店の方に声をかけた。
「あ?トゥルーってなんだ?」おやっさんはコーヒーをすすりながらこたえた。
そうだった。2人とも海外ドラマは好きだけど、おっちゃんは「Xファイル」で止まっていて俺は「24」から始まっているんだった。
「・・・私はツイン・ピークスが好き・・・」
「野ザル。いつの間に・・・。つうかお前は俺の心が読めるのか?」
「・・・やっぱりビバヒルとアリーマイラブ、フルハウスも捨てがたい・・・」
「スピン・シティを薦めておくよ」
「・・・知らない・・・」
「マイケルと言えば?」
「・・・ジャクソン?・・・」
「J・フォックス。言っておくけどジェイミー・フォックスじゃねえからな」
「・・・ファミリータイズ・・・」
「知ってんじゃねえか・・・。マイケルは関係ないけど、天才少年ドギー・ハウザーも最強だよ。つうか腹減ったな」つうか、俺も「24」以前もけっこう知ってんじゃん。俺は携帯を取り出してクニオに電話した。
「こちらNPU、アルメイダ」正直この約束を守っているのはクニオだけだ。
「あ、腹減ったからさ、野田ベーカリーでいつものやつよろしく」
「妻が誘拐されてるんだぞ!」
「おまえはトニー・アルメイダだろ?」
「ばっかだなあ。お前シーズン3で・・・」
「それ以上言うな!」電話を切る。ヤバイ。シーズン3はまだ見てない。「野田ベーカリー」とは学校の近くのパン屋で俺はそこの「厚焼き玉子のふんわりツナサンド」が大好物だった。
「どうだ。バイトは順調か?」
「・・・少し慣れた。笑顔が難しい・・・」彼女は笑ってみせた。
俺はその笑顔に少しドキリとしたが、イカンイカン。俺はプロデューサーだ。
プロデューサーがアーティストに恋するなんて・・・有り得るか。コムロ諸島しかり。と、そんなことを考えながら
「それだけできれば上等だよ」とだけ言った。
「おまっとさん。って2人だけか」ケイタがやってきた。
「なあリョウ見てくれよこの時計。スタンレーワークスっつうメーカーが出した腕時計なんだけど、なんと万力つきなんだぜ」とケイタは腕を振ってみせた。
「おま、万力なんてアイテム、中学の時の技術の時間に聞いて以来だぜ。普通の高校生が使う瞬間なんて来るか?」
「いいんだよ。デザイン性で選んだんだから」
実は俺も雑誌でみかけて気になっていたのだがそんなことはケイタに言えなかった。クニオがひょっこり現れた。
「おう。買ってきたぜ『厚焼き玉子のふんわり明太子マヨサンド』」
「バ、俺はツナサンドっつったろ」
「え。いつものやつコレじゃなかったっけ」
「まあいいや。とにかく会議を始めるぞ」
「おい、ヨウコちゃんは?」とケイタ。
「なんか今日用事あるってよ」
「じゃ、帰る」
「なんでだよ!」珍しくクニオがツッコんだ。
「さ、冗談はそれくらいにして。で、どうなんだ野ザルのバイト先での評判は?」
クニオが手帳を取り出した。
「えー。1ーBのスガワラ君。週2。で通っていたのが毎日に。2-Dのサイトウ君。昨日、野ザルにひとめぼれ。同じクラスのヤマギシ君も同様。3-Aのフカヌマ先輩。それらのウワサを聞きつけ明日お店に行く予定、3-Dのヤマダセ・・」
「おっと。それくらいでいいや、俺らのクラスはどうだ?ケイタ」
「おう。ヲタク軍団に探りいれてみたよ。早速新人でカワイイ子入ったみたいな話してたから、『どこの学校だ?』って聞いたら『わかんない、年上かも』だとよ」
確かに、コンタクトをしてキチっとメイクをした野ザルは少し大人びた感じに見える。
「すげえぜ野ザル。モテモテじゃん。まあ、ヲタクにだけどな」
彼女は少しハニカんだ。ダサダサメガネだったが、俺は心の中でモエボタンを連発していた。イカン、イカン。俺はプロデューサーだ。
「あと1週間ぐらいしたら、そのウワサの女の子はウチらの学校にいるって噂を流そう」
「そして、文化祭の萌えモエ選手権に臨むわけだな」
「その前に学校での野ザルの評価を少しあげておいたほうがいい。今のままとのギャップがいいかも知れないけど、男子の認知度は低い。『そんな子いたっけ』じゃダメだ。それに女子からのイジメはストップしたけど、シカトが続いているみたいだし」
俺は野ザルをチラリと見た。あれからノリコとは話はしてないが、イジメをエスカレートさせずにシカトどまりにしているのは冷戦状態に持ち込んでくれている証拠だと思う。やってやろうじゃないか。
「そんな悲しい顔すんなよ。ヨウコの友達の浅田美代とも話つけておかなきゃな」
女子グループは大きく分けるとノリコ派とミヨ派に別れている。
「じゃあ、今から、男子にも女子にも認知度をあげつつ、好印象を与える。という作戦を発表しよう。名づけて『えっ罰ゲーム?クロノとタエちゃんみたいにラブラブ大作戦』だ」
「なんだそれ?」
「昨日ガンツ読み返してたら思いついた。クニオ。お前が大活躍だ」
「え?俺?」
「ケイタ、明日人生ゲーム学校に持ってきてくれ」
「オウケイ」
「野ザル、お前ちょっと不本意かもしんないけど、いきなりだが彼氏つくるぞ」
「・・・わかった・・・Pを信じてがんばる」
「おいおい、どういう作戦なんだよ」
「説明の前に今日の何某いくか。野ザル」
「・・・クロノ君アナタは生きて・・・・」
「わお。ガンツを知ってるとはね」
「・・・カトウ君の方がタイプだけど・・・」
「残念ながらそんな男前は紹介できないけど」
俺はクニオの方をチラリと見た。
「まず、昼休みに・・・」

第7話
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