サトゥの死ぬまでシネマ。

サトゥの死ぬまでシネマ。

第7話

第7話「サイレント・サイレン」
教室につくとリンジが話かけてきた。
「ヨウ!トオルちゃん。どうよ。最近」
「昨日も会ったじゃねえか」
「チゲーよハリコちゃんだよ」
「・・・・」
「・・・・。じゃねーよ」
俺はオンミョウジの方をチラリと見た。
「オンミョウジさんとメルアド交換したってさ」
「マジでか!ちょ、本人に聞いてこようぜ」
「バカ!いいよ。別に」
「お前な。もしかしたら将来。お前の弟・・・。待てよ」
「何だよ」
「玉の輿じゃーん。便乗玉の輿。お前も恩恵うけちゃえそうだな」
「どんだけ話飛躍させてんだ」
「まあ、俺も相手がオンミョウジならあきらめるよ」
「あれ、ハリコが俺の妹だと知った時点であきらめたんだろ」
「まーねー。でも、お前に彼女いるのか聞くぐらいだからハリコちゃんは本気なのね」
俺はその時、なにかしらの違和感を覚えたが、思い出す前に教室に先生が入ってきてHRが始まってしまった。

「それじゃあ、HRはコレで終わり。あっそうだ。田所」
「ハイ」
「ちょっとお前に頼みあるから昼休み職員室来てくれ」
「ハイ」
先生が教室を出て行くと、またクラスはガヤガヤ。となった。
「オイ、トゥル君」リンジが話かけてきた。
「なんだよ」
「おまえなんか。やらかしたのか」
「ちげーよ。多分俺になら雑用頼みやすいからだろ」
「ふーん」

昼休み。職員室へ行くと先生は弁当を食いながら俺に書類が入った封筒を
渡してきた。
「コレ、地府星大学の紺染教授に渡してきてくれないか。先方にはお前が
行くと伝えておいたから」
地府星大学は風鈴具流須高校の近所にある、そこそこのレベルの大学で、ウチのクラスの何人かも目指している。
「いいですよ」
といいつつも、近くなんだから先生行けよ。と思った。
のを察したのか、
「ちょっと俺用事があってなあ。お前、家も近所だろ」
ハイハイ。
「教授がいなくてもポストに入れておけばいいから」
「わかりました」
「あと、あそこのロッカー片付けといてくれよ」
と職員室の隅にあった3段のロッカーを指差した。廊下に並んでいるやつと同じだ。
「もうボロボロでね。ゴミ置き場に持っていっておいてくれ。オイ、君」先生はそこらへんにいた生徒をつかまえた。
「君、名前は」
「センマルです」
「じゃあ、彼と一緒に」
「ハイ」
ハイハイ。

が、俺は家に帰ってから気付いた。というか思い出した。封筒に。しかも夕飯食って、風呂上りに。時計を見るともう9時を回っていた。
「やっべ」
しかし、ポストに入れておけばいいのだ。大学までは歩いて20分。
「しょうがねえな。行くか」
俺はジャージのまま家を出た。

大学の校門まで行くともちろん門は閉まっていた。ポストって門にあるポストでいいのかな。とそんなことを考えていたら守衛所のおじさんに声をかけられた。俺はココへ来た理由を説明する。
「そうかあ。えっと教授がいる建物はねえ・・・」
どうやらそこに、教授個人のポストがあるらしい。
「そうだ、おじさんが持っていくよ。もうすぐ、見回りの時間だし」
「あっ。助かります」

その時「キャー」という叫び声がした。
そして、ドサッ。いやドコッ。
そんな音がした。

俺と守衛のおじさんは二人して音がした方をみる。
「な、なんですかね」
「よく学生がサークルの部室で飲み会やってるんだよ」
「それにしては尋常じゃない、声でしたよ」
「そ、そうか」
ぶっちゃけ二人とも嫌な予感がしていた。
「とりあえず、見にいくか」
「じゃ、僕はこれで封筒よろしくお願いしますね」
「オイオイ」
「じょ、冗談ですよ。ついていきます。つうか、ついてきて」
俺は走り出した。こっからはマジメに。
数十メートル走ると十字路みたいになっていた。
声がした方で判断すると右だった。
数メートル走る。
「どこだ?」
振り返ると守衛のおじさんが
「コッチだあよ!」
と叫んでいた。
俺は通り過ぎていたが建物と、建物の間にさらに道があったのだ。
人が倒れていた。
おじさんが先に声をかける。
女性だった。いや、知ってる顔だ。
俺が声に出そうとしたら、
「この子は・・・」
カタヒザをついて抱きかかえるようにしておじさんが意識があるか確認していた。反応はない。
「おっさん!この子知ってるの?」
「ああ、さっき2号館の場所を聞いてきた子だ。ウチの学生だと思うが・・・」
「おっさん、ここの学生ならわざわざ2号館の場所聞くかい?」
気分は工藤新一。おっちゃんなら金田一一か。
「じゃ、じゃあ。この子は?」
「俺と同じ高校だよ」
「こ、高校生?」
確かに「ミナミヨウコ」の顔は大人びている。
化粧のせいもあるが。朝あったときと印象が少し違うのはそのせいだ。
俺もしゃがみこんでいて顔を覗き込む。
息はしていないようだ。
「ヤバイな」
「と、とりあえず、救急車・・・」
「おっさん俺の携帯ー」
走り出したおっちゃんには聞えなかったようだ。
俺は上を見上げた。両隣の建物は同じくらいの高さで5階建てだった。
周りにも屋上にも人影はない。
「あの高さから落ちたのか?」
後頭部に置いていた手が血まみれになっているのに気がついた。
「設定的に後頭部打撲でオーケイなのか?」
と作者に文句をたれる。
まあいい。彼女はまったく動かない。
脈をみる。かなり弱い。
だんだん弱くなっている。
「電話してきたよ~」
おっさんが帰ってきた。
「10分ぐらいで着くって」
「ちょっ、おっつぁん変わって」
俺は立ち上がった。
「誰かいないか、ちょっとみてくる」
「まさか、」
「2号館の場所を聞いてきたってことは誰かと待ち合わせした可能性がある」
ホント気分は名探偵。
「おっさん2号館はどっち?」
俺は走り出そうとしていた。
「ね、ねえ脈がないよ!」
「そんなバカなさっきまで・・・」

「助けて」
確かに聞こえた。

「ほら今、しゃべった」
「え、え、何も言ってないって」

「助けて」
「ほら、だから助けてって・・・」まさか。

俺は「ミナミヨウコ」にかけよった。
「オイ」

「助けて」
「オイなんだよ」彼女の顔を覗き込む。
彼女は再び言った。
「助けて」
目を見開いて。確かに俺を見た。

ピピッピピッ。目覚ましがなっていた。条件反射というものなのか。手を伸ばす。が、キム・ポッシブルのフィギアを落としていた。ん。この感じ。まさか。飛び起きて携帯を確認する。2005年12月8日木曜日の朝7時23分だった。
「また、繰り返し・・・」

しかも今度は確実に「助け」を求められている。
この一週間ずっと「おばあちゃんが僕に助けを求めていてくれたら」と何度も思った。今すべきことはただひとつだ。彼女、ミナミヨウコを助けねば。

第8話
目次









© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: