第二ファイト・最強の敵


第二ファイト

最強の敵


 サァァァァッと風が吹いた。
ソードとクロスは氷石村(ひょうせきむら)に向かっていた。
 ソードとクロスはバトルファイターだ。
2人の少年は草原をずっと歩いている。
そして、氷石村に着いた。

 静かな村だった。
人一人歩いていない。少し寂しい、暗い感じの村だ。
数日前、盗賊に襲われたという噂は本当だったのか。
盗賊退治の目的でやって来たソードとクロスは歩を進める。

 盗賊なんてどこにもいない。
だが、村は荒らされたようだ。
家の窓ガラスが粉々になっている。標識はスプレーで落書きされ、
地面はボコボコと荒れている。
 ソードは辺りを見回す。
「…クロス、来たみたいだよ」
「ああ、たくさんの足音が聞こえてくるな」
「盗賊かな」
「盗賊だ、全部で5人…」
「何で分かるのさ?人数まで…まだ見えてないよ?」
「ああ、俺耳いいから。足音で分かるよ」
「…えっ?!そうなの?すごいな、クロス」

 ザッザッ。
5人の男がソードとクロスの前に現れた。
全員40代後半の男。顔を白いスカーフで覆っている。
目しか見えない。髪形は短い黒髪。全員黒いトレーナーに黒いズボン姿。
 ソードとクロスの前でピタリと止まる。
そして、ナイフを出して構える。

 「何ですか?」
ソードが聞く。盗賊の一人が言う。
「金、よこせ。金目の物もだ」
 クロスはソードをチラと見ると、腰にさしてた刀を抜く。
ファイアークラッシャーを握り、盗賊をジッと見つめる。
 ソードはベルトからサンダーソードを抜くと、右手で握る。
ピカリと剣が光る。

 盗賊はソードとクロスに襲い掛かる。
ソードとクロスはサッと身をかわす。
そして、反撃をする。
 5人のナイフをキンキンとはじき、ボトボトと地面に落とす。
盗賊はナイフを拾おうとしゃがむ。
そこに、ソードとクロスのパンチが飛んでくる。
5人の盗賊はあっという間に全滅。失神した。

 サァァァァァッと風が吹いた。
ソードとクロスはハッとして、後ろを振り向く。
そこには、女が立っていた。

 15歳くらいの少女。
黒色の長い髪の毛を後ろで水色のリボンでくくっている。
白いえり付きの服を着ていて下はズボン。
えりのところにリボンがついている。
中に白と青のシマシマ模様の服を着ている。
青いポーチを腰につけている。そこにはブラスター(銃)が入っている。
 少女は……ソードとクロスを見つめている。
氷のように冷たい目で。

 少女の瞳は氷のような色。キラキラと光っている、
宝石のような氷色である。
 少女は腰の青いポーチに入っている武器を抜いた。
右手に持って、カチリと右手の親指でハンマーをあげる。
 ソードとクロスはギョッとして、それぞれの武器を構える。
サンダーソードとファイアークラッシャーを構える二人。
少女はブラスターをスッとソードに向けた。

 「…!!」
ソードは少女のブラスターの先端をジッと見る。
弾を剣ではじくつもりだ。
 「ソード…コイツ、何なんだろう?!」
クロスが焦ったような声で聞く。実際汗だくで、驚いている。
 「……」
少女は引き金を引いた。
パァァンとうるさい音がした。

 少女の右手に握られている、黒いブラスターの発砲口から
白い煙がモワモワと立ち上る。
 弾は…ソードの右10センチにあった木に当たり、
木を貫通させた。直径50センチほどの木に小さな穴が開いている。

 呆然と立っている二人をチラリと見て、少女はブラスターを
構えたまま言う。
 「…立ち去れ」
少女はブラスターを握ったまま、言う。
「今すぐに立ち去らないと次は当てる」
 ソードとクロスは何がなんだか分からない様子で首を傾げた。
「あ、あの…この村に来てはいけなかったのかな…?」
ソードが聞いた。

 少女はソードをジッと見つめる。
「…何の目的でココに来たの?」
少女の問いかけにクロスが答える。
「この村に盗賊が現れたって噂を聞いた。で、盗賊退治に来た」
クロスがソードとクロスの後ろでのびている男達を指差す。

 「……!!大変失礼した」
少女は深々と頭を下げた。どうやらソードとクロスを盗賊とカン違い
していたようだ。
 「いや、いいよ…頭を上げて下さい」
ソードが苦笑して言った。

 ソードとクロスは武器を直すと少女に言った。
「俺は光田草斗…ソードって呼んで下さい。バトルファイターです」
「俺は炎野黒須!クロスでいいぜ、同じくバトルファイター」
 自己紹介をしたソードとクロスを見つめて少女は言う。
「私は氷白麒…キリと呼び捨てにしてくれて構わない」

 キリと名乗った少女はソードとクロスに話をする。
「この村は数日前、盗賊に襲われた。村の人達は避難した」
 キリの話を聞くソードとクロスはウンウン、と頷く。
「そして…私は今日、盗賊退治に村に戻ってきた…」
どうやら村の人々は隣の村に避難しているらしい。
村でたった一人のバトルファイター少女キリは、
盗賊を追い払うため、村に一人で戻ってきたのだ。

 「なぁ、キリ…俺らは旅をしてるんだ」
クロスが言った。キリは旅?と聞く。
「危険満載の旅になると思うけど…良かったら一緒に来ない?」
「…しかし、私は村を守らなければ…」
「…そっかぁ、キリが一緒だと頼もしいって言うかなんて言うか…」
「…私は行っても構わない。だが足手まといになるかもしれんぞ」
「……へ?でも村を守らなくちゃだめなんじゃ?」
「別に構わない。バトルファイターは私だけだがファイターならたくさんいる」

 こうしてソード・クロスと旅に行く事になったキリは村の人々に
あいさつをして、村を出た。
 そして村の外でソードはキリに聞いてみた。
「…家族は心配しない?」
「家族はいない」
「えっ?!…ああ、ゴメン。聞いちゃいけない事だったかな」
「別に構わないが…」

 歩を進める三人は、途中、草原で座っていた。
一面雑草だらけ。草ばかりの草原にペタンと座り込んでいた。
 ソードはふと思い出したようにキリに聞く。
「キリ、キリはそのブラスターの弾、どのくらい持ってるの?」
「…何でそんな事を聞く?」
「いやぁ、俺とクロスが鉄砲を持たない理由は…」
「…弾の心配か」
「そう、弾切れしたら不利になるだろ」
「私は弾など持っていないぞ」
「…へっ?!」
 ソードとクロスはキリの言葉に驚く。
じゃぁ、さっきのアレはなんだったんだ。
「私は弾を自分で作る」
「はい?」
 キリの言葉に耳を疑ったクロスが聞く。
そして答えはすぐに分かった。

 キリは空気中の水分を瞬時に氷に変え、
好きな形の氷を作ることができるのだ。
つまりブラスターの弾はすべて頑丈な氷なのだ。
 しかし、これだと発砲時に溶けるのではないかと少し不安だが
キリが作る氷はそう簡単に溶けない様だ。
キリは他にも氷で鋭いナイフを作ることも出来るようだ。

 キリの氷作りテクニックに唖然としているソードとクロス。
やはり、コイツを仲間に加えたのは正解だったようだ。

 数時間後。スタスタと歩いていた一行はある村で止まった。
「ここは…確か蒲公英村(たんぽぽむら)だったかな?」
クロスが村の前で言う。
 ソードは蒲公英村?と聞き返す。
ああ、と頷いてクロスは村の中に入る。
「こんちゃーっす!!誰かいません?」
クロスが大声で聞く。

 「旅人さんかぇ?」
村の人々がぞろぞろと出てきた。
一人のおじいさんが聞いた。真っ白なヒゲを持つ、老人。
ニッコリとソード達に微笑み、近づいてきた。
 「こんにちは。俺たちバトルファイターです」
ソードがぺこりとお辞儀をして、老人に笑いかける。
老人もこんにちは、とあいさつをする。
 「旅人さん達はどのような目的で?」
老人の言葉にクロスが答えた。
「その…この村で困ってる事とかありませんか?」

 村の人々に歓迎されて、ソード達は宿屋に入った。
「今日はもう夕方だし、ゆっくり休んでいきなさい」
老人の言葉にソード達はありがとうございます、と礼を言う。
どうやらこの老人は村長らしい。
 村の人々は暖かくソード達を歓迎し、旅の話を聞かせて、などと
話し掛けてくる。
ソード達はバトルファイター試験の事などを話し、盛り上がった。

 「そういえば…リュウはどうしてるんだろうな?」
クロスが聞いた。ソードはどうだろう?と答える。
キリはピクリと反応した。
「…リュウ…?」
 キリの質問にソードがニコッと笑って答える。
「有名な最強ファイターと噂される、水河龍の事だよ」
「何?あのリュウか?知り合いなのか?」
「知り合いっていうか…う~ん…」
「あの有名ファイターか…何度か噂で聞いた事はあるが」
「バトルファイター試験の時に会ったんだ…リュウと」
「当然合格していたのだろう?」
「もちろん」

 キリがなぜリュウの事をこんなに聞くのか、それは
やはりファイターとしてのあこがれだろう。
リュウは有名な最強ファイター。尊敬しているファイターは多い。
 そのリュウと互角に戦ったソードもかなりの腕前だとクロスは
思っていた。やはり仲間を選ぶ彼の目はすばらしい。

 宿屋は木造二階建てだった。
そこの3部屋を借り、三人はそれぞれ部屋で夜を過ごした。
 明日の朝、この村で聞いた場所に行く事になっている。
村で困っている事は?という質問に村人のほとんどが
「大盗賊の退治」と叫んだ。

 大盗賊とやらは、村の東にある岩山に住んでいるらしい。
たまに山から下りて来ては村を襲う。
そんな大盗賊に村人達はおびえていた。
毎日ビクビクしながら生活しているのだ。
 ソード達は、その大盗賊を退治する事にした。
明日の朝、岩山に行く事に決めた。

 真っ白な布団と枕が置いてあるベッドに座り、
ソードは愛用の武器サンダーソードをキレイに拭いていた。
 ソードは反対向きにかぶったサンバイザーを外し、
ポンと机の上に投げた。
そしてソードは愛用の剣を机の上にコトリと置くと、
着替えをすませ、ベッドに入った。
 真っ白なトレーナーに青いズボン姿になったソードは
黄色い髪の毛を枕の上に乗せ、そのまま眠った。

 赤色の帽子を机の上に置き、赤色の上着を脱いだ
クロスは、服を着替えていた。
 白色のTシャツに黒い短パン。クロスは布団に潜ると
愛用の刀、ファイアークラッシャーをゴソゴソと出した。
それを机の上に置き、クロスは寝息を立て始めた。

 水色のリボンをシュルシュルとほどき、キリは腰から青色のポーチを
はずす。そしてベルトの右についているポーチの鞄にリボンを入れた。
ポーチの中にはすでにブラスターが入っていて、
それの横にリボンを突っこんだ。
 黒色のブラスターには安全装置がかかっている。
弾は自分で作るので入れていない。
 キリは就寝用の服に着替えていた。水色のトレーナーに青色のズボン。
キリは布団に入ると、そのまま寝た。

 夜中だった。2時ごろだろうか。
いきなりバンバンドキューンという轟音が響いた。
ソードは反射的に身を起こし、サンダーソードを握った。
右手でサンダーソードを握ったソードは部屋の扉を開けると
部屋の外に出た。長い廊下が続いている。
 部屋は1階なのでタタタタと走り、ソードは表に出た。
そして鉄砲を両手に握り、村を襲っている男を見た。
コイツが例の大盗賊か。

 男は20代前半の若い男だった。
両手に鉄砲を持っている男は黒いマントを羽織っていた。
頭にバンダナをつけていた。バンダナにはドクロのマーク。
上下黒の服を着ている。少し見えてる腕や足は頑丈そうだ。
かなり鍛えているな、とソードは感じた。

 男はソードをチラリと見るとソードの方へ近づいてきた。
鉄砲はキリの持っているブラスターとは違う。
発砲口が大きい。あれは威力が大きいな、とソードは思った。
 サンダーソードを右手で握り、ソードは男を見た。
男はニヤリと笑うと、鉄砲を宿屋の一階の窓ガラスに向けた。
ソードはダッと走ると、男が鉄砲を向けた方へ剣を向ける。
弾を…はじく!!ソードはそんな事を考えながら窓の前に立った。

 「貴様…何者だ?まさか、バトルファイターか?」
男がふと聞いた。ソードは黙ったまま頷く。
「…あなたは…誰ですか?」
ソードの問いに男はニヤッと笑う。そして右手に握っていた鉄砲を
空に向けてパァァンと発砲した。
 「俺様は…噂の最強最悪大盗賊様だ」
男が言った。

 「ソード!!」
タタタタとクロスがファイアークラッシャーを手に、こちらへ
走ってきた。後ろにはキリがブラスターを右手に持って立っている。
 「クロス!キリ!大変だ!大盗賊だ!」
ソードが叫んだ。
「何ぃ?コイツが大盗賊か?!」
クロスがオオッと声を上げた。驚いているのか喜んでいるのか分からない。

 「貴様達…バトルファイター…だな?フン、あの村長め…こんなガキの
バトルファイターなんて雇ってどうするんだか…」
男がニヤニヤと笑った。
 ムッとしたクロスはファイアークラッシャーを構え、
男を睨みつけた。男はクロスをチラリと見て、左にいたキリを見た。
キリは、男を目を丸くして見ていた。
その視線に気がついた男は、フッと笑った。

 「貴様、なぜそんなに驚いている?盗賊が珍しいか?」
大盗賊の男はキリに向かって言った。
 「な、なぜ…なぜ貴様がここにいる?!」
キリは男を驚いた顔で見ている。
「?!え、知り合いなの?キリ?」
ソードが聞いた。
キリは唇をギュッと噛むと、険しい表情で男を見た。
「……この男は昔、氷石村を襲った。そして…私の両親を殺した…かたき!」
キリはキッと男を睨みつけて言った。
ソードとクロスが息をのんだ。
 キリの両親を殺した?!
そんなやつが…ここに?!


つづく


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