「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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椿荘日記
けむり男と落ちてきたお月様~3
思わず飛び起きたけむり男の目に飛び込んできたのは、巨体に小さなエプロンを首からぶる下げ、けむり男の台所で、けむり男のフライパンを使い、けむり男の冷蔵庫の中から取り出した食材で朝食を作る「不信人物」お月様の姿だった。
「おお、目が覚めたかな?食事が出来たぞ。さあ、顔を洗って早く食べるがよい。」と、ご機嫌な声と笑顔でお月様が言った。
何故かは分からぬまま、言われるまま、釈然としないままけむり男は顔を洗い、髭を当たり、食卓に座った。
食卓には見た事のない綺麗な卓布が掛けられ、グラスには草花が生けられていた。目の前には美味しそうなベーコンエッグとトースト、コーヒーが湯気を立てて並べられており、向かいにはニコニコと笑いながら満足げに手をもみ合わせて座るお月様がいた。「おぬしは昨日から殆ど食べていなかろう。空腹では良い仕事は出来ぬからな。さあ、早く食べるが良い。こう見えて我輩は料理が得意じゃ。上ではしょっちゅう女房に作ってやっていたのでな・・。ヒステリーを起こした翌日など、効果覿面じゃて・・。そうそう、美味かろう?」
けむり男は、女房と別れて以来の、美味しい朝飯を腹一杯食べた。相棒の猫は足元で、いつの間にか上手そうに朝飯を食べていた。そういえば、この目の前に鎮座するお月様が落ちてきて以来、俺もこいつもろくに食っていなかったはずなのに・・、そうかこいつの面倒は、お月様が・・。けむり男は胸の奥がどきりとした。でも決して嫌な感じではなかった。
その時、けむり男は自分を取り巻く煤が、すうっと一瞬薄くなったような気がした。でも、疑り深いけむり男は、あっと言う間に、自分の周りにまた不信の靄を纏わしてしまい、その様子を見ていたお月様は軽く鼻を啜るとけむり男を促した。「さあ出掛けよう、街へ!仕事へ!」
さて、今日の仕事も、けむり男にとってやはり苦手な代物だった。マタニティ用品の広告らしいが、お腹の大きな母親とそれに寄り添う子供と父親・・。
孤独で、両親の記憶も定かでないけむり男が幸せな家族を描くなどと、出来ない相談だったが、仕事は仕事だ。
現場に立ち看板を睨んで、けむり男は考えた。家族?家族とは、どんな表情、様子だったのだろうか?思い出せない・・。
不幸せな境遇だった記憶はない。只、思い出せないだけなのだ。何故だろう?
ぼんやりとした思考を取り巻く靄に、黄金の粒が混じりだしたのに気が付いたけむり男は、ふとお月様の方を振り向くと、お月様はじっと目を瞑り、腕を組んで静かにしていた。昨日の大騒ぎなどまるで嘘の様に静かに、そして微笑んでいた。
その瞬間、けむり男の眠って霞んでいた脳味噌に、あるイメージが思い浮かんだ。背を丸め、一所懸命沢山の子供たちを構いながら、土間を片付け、畑を耕し家畜を追い、大きなお腹を抱えて働く一人の母親の姿だった。
「・・かあさん?」
ああ、思い出した。けむり男は心の中で叫んだ。お袋だ!
沢山の兄弟、その末っ子だった俺は、今お袋の腹の中にいる。早く死んだはずだ。苦労が祟って。その後は?・・・思い出せない。
だが、気が付くとけむり男は看板に向かって、一心不乱に筆を走らせていた。下書きもなく、只荒削りながら、子供たちの世話を焼きながら懸命に働く母親の姿。でもその表情は柔らかく、美しかった。けむり男は最後の一筆を置いた。
奇妙な満足感と共に見えない共感と賞賛に囲まれていることに気が付き、周りを見回すと、またもや観衆に囲まれていたが、今日は声もなく、その瞳は感涙に溢れていた。
けむり男は片付かない気持ちと、照れくささでいたたまれなくなり、兎に角巨顔巨体のお月様の腕を引っ張り道具を背負って、小さなアパートに逃げるように帰っていった。
一体こいつは、何だって俺の部屋に落ちてきたんだ?何だってまたこうして俺の部屋にいる?俺や相棒を巻き込んで!俺はこいつのお陰で何だか変だ。・・よく分からないけれど・・。
けむり男は、今や定位置になってしまった寝台の上にどっかりと座り込み、太く短い足を組んだ膝の上に猫を乗せ、頭を撫でているお月様を燻ぶった視界から睨み付けた。ごろごろ鳴らす相棒の喉の音がうるさい。
「あんたは何時帰るんだ。それに、こう何日もここにいちゃあ、空で困ることがあるのじゃないか?」するとお月様はけむり男の幾分荒い言葉にも動じず、澄まして「確かにそうじゃの。そう、お陰で一つすること思い出した。」といきなり懐から銀のピストルを取り出した。これにはけむり男は肝を潰した。そして静止するまもなく、窓から空に向けて何発も発射させるお月様を、ただ椅子の陰に隠れ、震えて見ているしかない。
やがて銃声が止み硝煙が消え、お月様が空を指差す先を恐る恐る確かめると、昨日より少し細くなったダミーの月がぶる下がって見えた。
「これでよかろう。これで我輩がまだ帰らなくとも、女房にはばれまいて。何、このちっぽけな世界は中々面白い。我輩はもう少し逗留するとしよう。」
その夜、けむり男は珍しく夢を見た。お月様に一方的に長逗留を宣言され、頭に来たり、混乱したせいかもしれない。それとも相変わらず敷物の上で、毛布を引っかぶり、相棒の猫を脇に背中の痛みに我慢しながら、不貞腐れて寝たせいか?
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