椿荘日記

椿荘日記

ベルテイ-ニのマーラー交響曲第六番


2000年の春の第1番「巨人」から始まった、このマーラーテイクルスに、マリは第三回の第五番(間奏曲~アダージェットで知られていますね)から行くようになりまして、今回は5回目です。

この演奏会の特徴は、「三都市を結ぶ」ということで、オーケストラ(東京)が、二つの会場(横浜「みなとみらい大ホール」、浦和「埼玉会館」)で、同じプログラムを日を替えて演奏するもので、何時もでしたら「みなとみらい(近いですし)」なのですが、丁度その同じ日、30日の日曜日には、楽天で親しくして頂いているlynnさんの所属するオーケストラ「ムシカ・ハルモニカ」(何とlynnさんはコンサートマスターだそうです!素晴らしい!)の演奏会が東京芸術劇場大ホールでありますので、今回ははるばる浦和まで(マリの住んでいる湘南地域からは有に二時間掛かります)行って参りました。

今回同行して下さったのは、この「椿荘日記」でお馴染みのマリの先生で、先生も大のマーラーファンですので、喜んでお誘いを受けて下さいました(あの幽玄な雰囲気は、仕事中繰り返し聴いているマーラーの4,5,6,9番のアダージョからの影響もあるのかもしれませんね)。

マリは浦和は始めてで(先生は以前、大宮にあるお寺に併設されていた修復所にいらしたことがあり~仏像、仏画などの修復士でもありましたので~懐かしいと仰っていました)、東海道、山手線と乗り継いで、上野から高崎線(やはり楽天のお友達、如安さんを訪ねるのに使いました)で20分ほどで、到着、会場である埼玉会館へは歩いて8,9分ほどです。
今回は初めての場所で、音響などにとても不安がありましたけれど、こじんまりとしてはいるものの、反響板が張り巡らされ、これは期待出来るかしらと思い、バーコーナーで赤ワインを頂きながら開演を待ちます。

低音の弦で始まる、お聞きになったことがある方にはすぐ判る、あの印象的な出だし(何方かのHPでは、「ゴジラが出現」と書いてありました~笑)で、もう魂は吸い寄せられる様に音の世界へ。
ベルテイーニの引き出す第一楽章の響きは歯切れ良く、勇猛さを感じさせ、続く第二主題の「アルマのテーマ」の美しさと響きあって端正な調和を生み出します。
第二楽章、第三楽章と静かな熱狂のうちに演奏は進み(第三楽章の美しかったこと!「緑の荒れ野」に佇む静寂と悲しみを湛え、聴く者の胸に迫るものがあります)。
様々な打楽器を使用する終楽章(一、三と同じくカウベル、鞭、ハンマー~初めて実際に見ました。本当に大きいので驚きです~、5人で打ち鳴らすシンバルの迫力には驚きました)は、迫力と美しさに満ち、副題の「悲劇的」という言葉に、当てはまり過ぎるほど、凄絶な緊密感(実際マーラー自身が草稿に付けたこの標題に、自らの手で棒線を引いてしまったそうです)は、先のハンマーで、決定的に印象付けられ、死の行進を思わせる、小太鼓の連打で終わるその瞬間、感動が新たに沸きあがる思いでした。

マーラーの生涯と彼自身を、色濃く投影したとも言い得るこの作品の特性を、過不足無く音に著したベルテイーニと都響に心からの喝采を送るマリでした。
唯、残念なことに、やはり最初心配していた音響が、「みなとみらい」に比べて余り良くなく(ホール自体の規模にも関係しているのかもしれません)、もっと響きが良ければと惜しむ思いで聴いておりました。

アフターコンサートは、やはり地元に戻ってからと、何時もの特別車両の中で、赤ワインと麦酒で下地を作り(移動式酒場ですので~笑)、先生とマーラー談義に花を咲かせて、幸せな演奏会の夜は、まだこれから続きます。



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