椿荘日記

椿荘日記

芍薬とアネモネ(ローマは一日にして?)


以前お話ししたように、今は住居とアトリエが一緒になりまして、先生にはある意味では随分便宜が良くなったご様子です。
以前のアトリエは、お住まいから歩いて10分ほどの所にあり、お天気が悪い時など、何も仰らないのですが、随分難儀してお出でで、今は朝(夜?)起きて、思い立った時にお描きになれるのですから、きっとご都合も宜しいでしょうね。お一人の、自由なお暮らしですし、お近くにお住まいのご実家のお母様がたまにいらして、ご面倒を見てお出でで(マリも何度かお目に掛かっています)、いろいろな意味でお楽になられたのかもしれません。

そう言えば、アトリエを移して面白い発見がありました。
仕事場の隣に先生の私室があって、襖で仕切られていますから、そこは大概開け放されていまして、その私室の押入れの襖の破れ目(笑)に、丸く切り取った和紙が張られ、墨でお花の絵が描かれているのですが、それがどう見ても下手なのです(笑)。
アネモネか何かなのですが、とても先生が描いたとは思えず、もしそうだとしてもきっと大学か予備校に通ってお出での時だろうとマリは思っていたのです。
それをつい先日、切っ掛けがあって何時お描きになったのですかと訪ねると、なんと数年前(?!)だとか!
不躾なマリは思わず「これ、アネモネでしょう?本当に下手ですね」とつい漏らしてしまい、先生も頭を掻き掻き「あ、これ、芍薬なんだよね」と苦笑しながら仰り、失礼にも追い討ちをかけてしまいました(苦笑)。

そうなのです。先生が、今主にお描きになっている「花鳥画」を本格的に始められたのは、マリと知り合う、ほんの一、二年前だそうで、それ以前は修復のお仕事と注文で仏画を、ご自分の個展の為には南米(1年以上旅行されていたことがあるそうです)の風景画や神様の絵をお描きになるなど、植物を主体とした作品はあまりなかったそうです(誤解の無いように申し上げますけれど、それらの作品はどれも素晴らしいものでした)。
吃驚するほど「お花が下手(爆)」な時代が先生にもおありだったのですね(先生ごめんなさい~笑)。
考えれば当然のことなのですが、今の作品の素晴らしさを、何時もまざまざと見ていますので、驚きを禁じ得ませんでした。
ローマは一日にしてならず、と申しますけれど、良い実例を見せて頂き、マリも頑張れば上達するかしらとの希望を持ったと同時に、数年間でこれほどの「上達振り(またまた不遜ですね~苦笑)」を示される先生の素晴らしい才能に改めて「脱帽」のマリでした。

さて、お約束の「芍薬」ですけれど、やはりアネモネには見えませんね(笑)。

芍薬1


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