新緑のオリバー

仄恋十題(消化中)


『仄恋十題』


01. 気が付けば君を探してる

ふと、目に留まった。あいつ、また消しゴム忘れたな?
隣りの席の林さんに声をかけるすまなさそうに垂れた眉。
――あれ、「また」?
おかしいな、俺。さっき「また」、って思わなかったか?

(「気になるあいつは廊下側」)


02. あんな表情、知らない

ずっと隣にいたはずのあいつが、今日見たこともない顔をしていた。
おいおい相棒。なんだその締りのない顔。
おれが気づかないとでも思ったかい?
……思ってないよな、うん。
ああもう分かった。分かったから。
その「どうにかしてくれ」って気持ち悪い目でこっちを見るなよ。

(「不甲斐無い」)


03. 傍にいるだけで満足できたら

私にそんな殊勝さがあればいいのに。
私は彼にありったけを求める。もっと、もっと私だけを見て、私だけに触れて、私だけ。わたしだけ、
どれほど愛してると囁かれても、私は全然満足しない。
ああ、これはもう病気なのだ。
一生晴れることのない、重い不治の病なのだ。
私は 「恋」 に、かかっている。

(「首ったけ」)


04. 掠めた指先

本棚の上。ちょんと触れかかったもうひとつの指にさっと手を引っ込めた。
斜め後ろにきょとんとひとつ、間抜け顔。
そいつが一向に取ろうとしないので、睨み上げて素早く目当ての本を抜き取った。
反応しすぎ、と彼は後ろで笑い始めた。絶対わざとやってるんだ。
ここがどこかも忘れて怒り、
「あんたがちょっと触れるにかこつけて『好き』とか言うから嫌なのよっ!」

(「刷り込み効果」)


05. 少しだけ速まる鼓動

彼を見かけた。
すっと姿勢のいい立ち姿。真っ黒な短髪。
視線を流す。
静かな目。精悍な顔立ち。
見かけるだけ。見つめるだけ。
けれど私は、貴方に恋をしていると、そう言いたいのですが。

(「上背」)


06. たったそれだけのこと、なのに

07. 答えを失くした間柄

08. 触れたくて、でも触れたくなくて

ああ、
あなたのいない世界は、 こんなにも白い。

世界がまるで、切り取られた絵画のように 白けている。
光に満ちたようで、何もないだけの空間が、私を呑み込もうとしている。
こんなにも冷たい。こんなにも寂しい。世界には、そんな感情が溢れている。
崩れてしまった血の色。傷だらけの白い頬。身体にしがみ付いた黒いマント。
寒くないようにと被せた毛布の暗闇で、それは静かに眠っている。

待つだけの辛さ。見ているだけの辛さ。それをあなたはよく知っていた。

「おかえり、なさい」
愛しいあなたの亡骸に、私は泣きながら口付けた。

(「確認」)


09. 秘めて隠して、押し殺して

10. 泣きたくなったら僕を呼んでね













title by: 『群青三メートル手前(http://uzu.egoism.jp/azurite/)』


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