波と腕













きっと、最初に来た時の他に一度また家に寝に来たかもしれない。
ただ,仕事が終わって眠りにくるだけ。。。そして帰って行く。

そして、ある日アメ太郎君が
『豆をどこかに連れて行ってあげようよ』と言った。
何の前触れもなく彼の口から飛び出して来て、私に問いかけるその言葉は
驚きと嬉しさで私の胸を一杯にした。
しかし、その反面、哀しいかな、彼の奥さんの事を考えずにはいられなかった。。。

でも、私達は次にあう計画を立て、そして出掛けた。
アメ太郎君が奥さんと二人で買ったという新車で私と豆を迎えに来る。
何とも言えない気持ちでその車に乗り込む。

するとすぐに
豆 「お腹空いた」
私 「。。。。。。。。。。」

。。。どうして子供ってこうなんだろう。。。

そして通り沿いのマクドナルドへ行く。
三人で話し合いの結果、お店の中ですわって食べる事になった。

そこで私は気付く。
財布がない!!
どうしよう。。銀行のカードも財布の中。。。
こうなってしまえば後の祭りである。仕方ない。
アメ太郎君に白状するしかない。。。

私    「アメ太郎サン、お財布がありません。忘れてきました。お金ないんです。」
アメ太郎君「。。。はっはっはっはっはっはっ!!今日は貧乏デートだね。大丈夫ですよ。」
私    「本当にごめんなさい。。。」

穴でもあったら入りたい様な気持ちだった。
そして食べ終わった私達の向かった先は「葛西臨海公園」

車を止めて、そして歩き出した。

人は私達を見たらどう思うんだろう。。。
そんな事を考えながら私は歩いた。
豆がとても喜んでる。初めて見る顔だった。
アメ太郎君も今日は何となくいつもよりも私の近くにいた。
これが幸せなのか...と思う瞬間、その横で、彼の奥さんの事を思う。
私が何を考えているのかこの人は分かっているのか...とふと思う。

ただひたすらに当てもなく三人で歩く。
嬉しそうな豆。

海に近い場所。
子供達が割り箸に糸を垂らして何かを釣っている。

豆 「豆もやりたい。」
私 「え?だって、道具もってないじゃん」
豆 「じゃぁ、隣で見て来てもいい?」
私 「いいけど気をつけなさいね。」
豆 「ハイ!分かりました!」

その少しはなれた場所で豆を見ながらアメ太郎君と二人きりになる。
時折、豆が私に話しかける。それに答える。そしてまたアメ太郎君と話しを続ける。

時折、ボートが通る。その度に波が触れる。
そして、こちら側に海水を寄せる。
それに気付かなかった私。
アメ太郎君がとっさに私の右腕の上腕を掴んだ。
そして優しく彼の方へ私を引き寄せた。
驚いた。

それが初めての三人のデートであった一番大きな出来事。

その直ぐ後に、アメ太郎君は家に転がり込んで来る。
































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