ジャーナリスト自身によって運営されている研究機関Project for Excellence in Journalism(以下Projectと略)がレポート”The State of the News Media 2005”(以下「2005レポート」と略)で、メディアの将来的な影響をまとめている。それによれば、ワシントンポストやニューヨーク・タイムズなど伝統的なメディアのブランドはまだ強く、多くの人々がオンラインでニュースを見るためにアクセスしているが、それも変わりつつある、と指摘している。2004年、グーグル・ニュースがオンライン・ニュースの新しい旗手になったからだ。グーグル・ニュースの新規アクセス数は1カ月に800万人になっている。ニューヨーク・タイムズのアクセスは1カ月に1000万人なので、グーグル・ニュースがすぐそばまで迫っていると言える。
またブログについては「ブログによって情報の自由(Freedom of Information)が本当の意味でみんなのものになった。ブログは非常に教育的なツールだ。私自身もブログから多くのことを学んだ。人間の頭は、座って講義を受けている時より、会話を聞いている時の方がよく働く。ブログを読んで、知りたいと思う情報を積極的に探すと、より多くを学ぶことができる」と主張した。
これに対して、従来のジャーナリストの立場から、U.S. News & World Reportのマネージング・エディターを経験して現在はPew Research Centerのシニア・エディターのジョディ・アレン氏は「ニュースやドキュメントの虚偽がブログによって明らかにされるなど、事実確認において重要な役割を果たしている」とブログの一定の役割は認めたが、その上で、ブログの興隆に警鐘を鳴らした。「意見を言うのには金はかからない。しかし取材には金がかかる。その取材費用を誰が出すか、という問題がつきまとう」。
アレン氏は「2005レポート」の内容を引用して、「取材に基づいた、事実を追求するジャーナリズム(journalism of verification)がブログの興隆により「主張のジャーナリズム(journalism of assertion)」に取って代わられている」と警告した。
「2005レポート」では、「ジャーナリストはこれまで事実の証拠を固めることに力を注いできた。しかしここ数年の間にトーク・ショーやケーブル・ニュースが人気になり「新しい主張のジャーナリズム(new Journalism of Assertion)」が興隆してきて、事実情報を提供する時間が非常に少なくなってきた。そしてブログがこの「主張のジャーナリズム」に拍車をかけている」と指摘している。通常のニュース番組よりもトーク・ショーや、出演者がお互いに意見を言い合う時間が長いケーブル・ニュースが視聴者に人気を呼ぶ理由として、「2005レポート」の作成者の一人であるエイミー・ミッチェル氏は「淡々とニュースを伝える番組よりも視聴者がより共感を得るため、人気がある。またテレビ会社にとっても、取材をしてドキュメンタリーを作るより、パネリストを呼んで意見を言わせる方が簡単でコストもかからない」と説明する。