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2021年12月30日
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 年末に正月のお餅(のし餅・お鏡餅)を準備していると、昔を思い出します。 私の母親の実家はお米屋さんでしたから、昔は年末は餅つきとその配達で大忙しでした。 私も両親と共に手伝いました。 両親はボランティアですが、私はちゃんとバイト代も頂戴していました。 中学生から大学卒業までは毎年恒例の行事でした。 男の従弟は全員が通る道でしたから、当たり前のように参加していました。

 餅つきは、餅米を洗うところ(米とぎ)から始まります。 餅米の表面のヌカを洗い落とすのです。 ご家庭でご飯を炊く際にも、お米を洗いますよね。 同じことです。 ヌカをちゃんと洗い落とさずについた餅は、お雑煮にした時に、ドロドロになってしまいます。 焼き餅も、餅がとろけて焼き網にへばりついてしまいます。 どちらも味がかなり落ちます。 そのため、餅つきは大量の餅米を徹夜で米とぎするところから始まるのです。 これは体力のある若者の仕事と決まっています。

 翌朝から餅つきが始まります。 ご家庭の餅つきのように杵と臼なんて悠長なことはやってられません。 餅つき機の登場です。 まずは、蒸籠(せいろう)で炊いた餅米を箕(み)で受け取ります。

<蒸籠(せいろう)>

<箕(み)>



 蒸籠一杯で餅米が一升(炊き上がり後で3.5キロ)です。 つきあがった餅は、餅つき機からもう一つの箕で受けます。 この餅が入った箕を持ち上げて、餅を成型する係の人達(両親その他)に渡します。 中高生時代は、この餅つき機が私の持ち場でした。

 お餅は鏡餅の大きさごとに計量して切り分けられ、練り込んだ上で型に入れて、冷却工程に渡します。 この工程は餅が冷える前に行う必要がありますから、餅が熱いなんて言ってられません。 特に最初の工程である計量・切り分けは母の仕事でしたから、母の手のひらは火傷だらけでした。

<鏡餅(5合)の型>

 のし餅の場合は、一升のお餅すべてを型枠の上で四角く整形した後、別の板を上から被せ、ひっくり返して型枠が外し、冷却工程へ渡します。 一升の餅すべてを持ち上げたりひっくり返したりなので、これはすべて男の仕事です。 私も大学生になってから担当しました。 餅つき機は、その頃に中学生になった従弟が担当するようになりました。

<のし餅の型枠(一升)>

 念のために「のし餅」とは、板状に伸ばしたお餅のことです。 「サトウの切り餅」などは、こののし餅を下の写真のように小さく切断したものです。 もちろん工場では機械化されているでしょうが。

 以上がお米屋さんの餅つきの工程です。 一升3.5キロのお餅はそれほど重いとは思われないでしょうが、この作業が食事の時間以外は延々と続くのです。 最終的に誰もしゃべらなくなりますね(笑)

 お餅つきが終われば、両親は帰って行きますが、私は残って翌朝から配達です。 中高生の頃は三輪自転車で、大学生になってからは軽トラで配達してました。 こちらも大変といえば大変ですが、前日までの餅つきに比べれば屁のカッパです。 サドルやシートに座っていられるだけ天国です。

 いかがでしたでしょうか。 今やご家庭での餅の消費量は激減し、のし餅を購入されるご家庭は少ないかと。 その証拠にスーパーでは、ほとんど切り餅しか売ってません。 せいぜい一升の半分(5合)の「半のし」が売っているかどうか。 場合によっては4つ切り(2.5合)ですから。 

 鏡餅も餅がむき出しの鏡餅は見なくなりましたね。 ほとんどパック餅では? しかも、それを食べずに何年も使うとか。

 結果的にお米屋さんで餅をついて売る、という商売は衰退しました。 更には、ダイエットブームとパン食により、お米屋さんそのものが激減しました。 母の実家も今は廃業しています。 お米はお米屋さんが配達するものから、スーパーで買うものへと変わったのです。

 商売としての餅つきも、今や工場の大量生産に移りました。 良いこともあります。 昔は不味くて食べられなかったスーパーの切り餅の味が格段に良くなり、美味しく安く食べられるようになりました。 恐らくは、上述したように、ちゃんとお米を洗ってヌカを落とすようになったからだと思われます。 「杵(きね)」でついていることを自慢しているメーカーも多いですが、味が向上した一番の要因はしっかりした米とぎだと今でも思っています。

 年末を迎え、ついついノスタルジーに浸ってしまいました。 古き良き時代の文化が消えていくのが惜しまれます。 最初から知らなければどうでも良い事かも知れませんが。 引退した今、サラリーマン生活と共に懐かしんでいます。 





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最終更新日  2021年12月30日 06時00分09秒
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