32年目の新境地

32年目の新境地

エディー・ヴァン・ヘイレン以降に登場したギターヒーローの中でも飛び抜けたギターテクニックと常に人々を楽しませてくれるキャラクターで、現在もなお、ギターファンに愛され続けている”スーパーギタリスト”ポール・ギルバート。MR.BIGを卒業してからは、自らの常套句を封印するかのごとく、愛するポップ、ロックミュージックを追究していたが、一昨年、突如、その封印を解き、自身初となるギター・インストゥルメンタル・アルバムで、再びメインストリームに躍り出た。その後、大盛況のワールドツアーを経て、待望の第2弾“インスト”アルバム『咆哮!!』のリリースだ。しかし、通常のインスト・アルバムと同じだと思ったら大間違い。今回のアルバムにはロックミュージシャン、ポール・ギルバートの歴史と彼の音楽エッセンスがこれまで以上にぎっしりと詰め込まれている。

--前回のインスト・アルバムに引き続き、今回もインストにチャレンジした理由を聞かせてください。

前作はすごく満足できる出来だったんだけど、それ以上にツアーに出てみて、ファンの反応がとにかく良かったんだ。そこで自分の中のインストゥルメンタルに対する気持ちがものすごく盛り上がってね。せっかく盛り上がったんだから、もう一歩先に行ってみようかなって思ったんだ。そこで終わらしてしまうのはもったいないしね。今回はインストを作曲するという事に慣れてきたようで、気楽に向き合う事ができるようになったよ。

--先日インストア・ライブを観ましたが、今まで以上に歌がなくてもギタープレイやフレーズ1つ1つが単語となって、まるで曲を通してオーディエンスと会話しているような印象を受けました。

ありがとう。今回のアルバムは、最初からギターを弾きながら書くんじゃなくて、最初にハミングし(口ずさみ)ながらメロディを作り、次にそのメロディをギターでなぞるというやり方で作ってみたんだ。そうする事によって、自分のテクニックに左右される事なく、本当の意味でのメロディがダイレクトに出てくるからね。だから余計にそう感じられたんじゃないかな。

--では、例えばそのハミングに歌詞を乗せたら更に良い歌が完成できたんじゃないかなって曲もあったんですか?

そうだね。ただ今回は、振り返ると不思議だなって感じるんだけど、無意識のうちにギターが奏でるんだという気持ちが常にあったんだ。ギターの素晴らしさって声の届かない音域まで平気で届くでしょ。だから今回はギターというシンガーに歌わせたんだ。それが僕にとってすごく新しいテリトリー(新境地)なんだ。

--アルバムタイトルについてお訊きしたいのですが、「Silence Followed By A Deafening Roar」日本語タイトルは「咆哮!!」(ほうこう:獣がたけり吠えることという意味)ですが、このタイトルをつけた理由を教えてください。

アルバムに収められている曲ほとんどが、パワフルなロックなので力強いタイトルが欲しかったのがという事と、音楽の中で静寂と爆音という相対するコントラストってすごく大事な部分で、今回はその部分を強く意識して作ったという事でタイトルにしたんだ。

(2008/1/25)

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