南風一の世界

当たり前に会えているときは
会えていることが当たり前で
いつも会えていることの奇跡を
不思議とも何とも思わない

当たり前の事実が眼前から消えてしまって
初めて当たり前でなかったことに
気付く

好きな頃はただ好きであることに気づかない
ただ何となくきみに会えば嬉しくなるのに
なぜきみのすぐ近くで
きみのお喋りや他愛ない笑い声に
心をときめかせたのか
そんな理由など考えもしなかった

そして毎日同じ時刻の電車に乗らなくなって
きみに会えなくなって初めてきみを好きだった事実に
思い至る

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