2020/03/29
テーマ： 詩(172)
カテゴリ： 詩
卒業 南風一
それに
気付いていながら
逃げてしまった男
そんな男に
今さら彼女のことを
好きだったなどという資格はない
彼女は１才年上の１８才
２月下旬だったから
分かった
電車のホームを見ると
一人だけの彼女の姿
いつもなら彼女と一緒にいる友だちがいない
私はとっさに
「これは、まずい」
と直感して
身を隠すように
１両目の電車に乗り込んだ
彼女は電車が出発する直前まで
ホームに立っていたと思うが
電車が出発して
２駅目が彼女の降車駅
電車が止まって出発した後
駅のホームを見ると彼女の後姿が見えたように思った
私は彼女に悪いことをしてしまったという
彼女に
その後のことを語り合うことは
できなかったにしろ
「卒業おめでとうくらいは言ってあげれば
良かった」
と
今でも思う
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