ブログ版 南堀江法律事務所

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Bar UKからのお知ら… うらんかんろさん

2008/08/12
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カテゴリ: 法律、制度
法曹人口問題について、あと少しだけ。


「法曹」(裁判官、検察官、弁護士の三者をいう)を増やすと言いながら、裁判官・検察官はほとんど増員されない結果、「裁判の迅速化」という司法改革の最重要課題は進展がない一方、弁護士だけがハイスピードで増え、若手弁護士の就職難が顕在化しつつある。

司法改革の一環として導入された「法テラス」(相談先がない人に弁護士等を紹介する)や「被疑者国選弁護」(刑事裁判が始まる前から国費で弁護士がつく)は、経済的弱者の保護という美名のもとに、実際には弁護士に安い対価で仕事を押し付ける結果となっている。

かような現状を、若手弁護士は深刻な問題として受け止めている。
もっとも、先日の大阪弁護士会の臨時集会では、若手側の「提言」は上層部の組織票に押しつぶされ、政治的配慮に満ちた玉虫色の上層部案が通ったようです。

私もいちおう若手の世代に入ると思うのですが、この問題に対して私がどういう立場を取ったかと言いますと、「特に何もしなかった」というのが実際のところです。

若手グループの多くの人を私は直接存じておりますが、いずれも私以上に弁護士として優秀な方ばかりであり、したがってこの人たちは自分が仕事にあぶれるという心配をしているのでなく、自分の次の世代のことを考えてやっているのに違いありません。

ただ、私はずるい人間なので、私自身のことしか考えていないだけです。


法曹増員という政府方針が正しいことなのかどうかは知りません。どちらかというと疑問を持っています。でも、やるならどうぞ、というスタンスです。

改革だ、増員だ、競争せよ、というなら、私はそれでけっこうです。
でも、競争するからには国選弁護のような制度に協力はしないことになると思いますし、弁護士費用を払えないような人には、「ウチじゃなくて『法テラス』に駆け込んでくれ」と言うことになると思います。
そうしないと、正当な対価を支払ってくれるウチの依頼者のための仕事に集中できないからです。

弁護士間の競争になれば、おそらく何割かの弁護士が同様のことをするでしょう。
それによって、「依頼者への法的サービス」は充実することになり、その点では「司法改革」の目的は達成されるでしょう。
経済的理由などで弁護士に依頼できない人は、「法テラス」のような「セーフティーネット」で救済されることになるのでしょう。

私自身は、弁護士というのは行き過ぎた競争は必要ない代わりに、自発的に弱者のための公益的活動をする、というのが美しい姿である(そのためセーフティーネットが自動的に働く)と思っているのですが、司法改革と法曹人口増員によってそのような弁護士のあり方は今後少しずつ失われていくことになるでしょう。

それが大多数の国民にとって望ましいことかどうかはわかりません。しかしこれが司法改革と法曹増員の近い将来の姿となると思われます。
最後がまとまりのつかないままとなりましたが、ひとまずこの話題を終了します。





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Last updated  2008/08/12 01:44:48 PM
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