ねぼすけの読書感想日記

ねぼすけの読書感想日記

2009.03.10
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カテゴリ: 書評



 一読すると、トンデモ本の類である。自己調整機能があるからと言って、短絡的に生命体と思う方がおかしい。物理現象においても、自己調整機能とは「負のフィードバック」がシステムにあれば、外乱に対して自動的に安定することは工学的にも当たり前である。例えば、電力系統において、需要が増加すると系統の周波数が低下し、その結果自然と、電力消費量が減りシステム全体は安定する方向に働く。これにはなんら生命現象は関与していないし、人間による制御システムも関与していない。単に電気工学的なシステムとしての物理現象があるのみである。その他にも、システム全体がネガティブフィードバックを持ってさえいれば、安定状態へ戻ろうとする「自己調整機能」があることは自明で、そこには生命現象は一切関係ない。まあ、とは言うものの、「生きている地球」とか「温暖化に苦しむ地球」とか擬人的手法を比喩として使用することに世間は全く無頓着なのが実情なので、その点は大目に見ても良いのかもしれない。

 著者の「環境意識の高い人たちの、持続可能な開発と再生可能エネルギーに対する根強い信仰や、それに加えて省エネを行えばすべては解決するといった考えを改めてほしい。なによりも、原子力エネルギーに対する誤った反発を捨てなければならない」・「われわれの要求を満たし、快適な気候と大気の組成を維持するガイアの力を妨げない唯一のエネルギー源は、原子力だと私は信じている」と主張する点には、自分は賛成だし、完璧に同意する。風まかせで稼働率もしれている風力や、天気まかせで日中しか働かない太陽光が、主力のエネルギー源となることはあり得ない。むしろ環境意識の高い人や、地球温暖化防止に活動的な人こそ、原子力エネルギーの活用を声高に主張して欲しいと願う。

 また、著者の「地球の気候変動に対する警告がなされているにもかかわらず、人間は破壊を続け、そのくせ携帯電話や送電線や食料の残留農薬や日光で癌になるなどという、実にささいな、妄想といっていいような心配に取りつかれている」と主張する点も、賛成だ。隕石に当たって死んでしまうことと交通事故で死んでしまうことを同じように心配するのと同じ様なものだからだ。ただ、やっかいなことに、世の中にはささいな心配事を意図的に指摘する「専門家」と一括りに呼ばれる人たちがいる。これを面白おかしく取り上げるマスメディアもある。そして、これを信じ込んでしまう人々もいる。願わくば、勉強して自分の意見を持って判断して欲しいと思うのみだ。

 まあ、「著者には友達が少ないだろうなあ」と読後に思ってしまう。正論を吐きつつ、根本で科学的でない主張によって、主流の科学者から見離され・相手にされない(であろう)立場ってまるで皆から目の敵・周囲は敵って感じなんだろう。そんな筆者が声高に「地球温暖化防止を」と叫んでも、影響力は少ないだろうな、と少し同情してしまう。気持ちとしては、評価は「正論があるトンデモ本」です。(評価 星三つ:★★★☆☆)


<参考記事>
・ドーキンス「 利己的な遺伝子 」・・・反ガイア仮説の急先鋒
・レイチェル・カーソン「 沈黙の春
  規制を先導した元祖本
・杉山大志「 これが正しい温暖化対策 」・・・著者の考える温暖化対策の実情
太陽光発電はどうなるのか・ ・・1年前の筆者のPVに対する意見
・ロバート・ワインバーグ「 裏切り者の細胞がんの正体 」・・・がんの遺伝子面からの説明良書



ガイアの復讐


 H21.3.19 追記
・がんの正体のリンク





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Last updated  2009.03.19 14:23:13 コメントを書く
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