「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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ネオリアヤの言葉
逢いたさは止められなくて
陽が少しずつ遠くなり始めた午後四時過ぎ。
白く塗られた壁に囲まれた空間で、私は椅子に腰掛けてぼんやりと本を読んでいた。
もう一脚の椅子の背もたれに右ひじを乗せて、右手に本を持ち、
左手でページを捲っている。
顔を上げると、白く塗られた窓ガラスから、
柔らかいのか明るいのか不思議と判断のつかない光が透けて入り込み、
部屋中の空気が全て白っぽい透明感でいっぱいになっていた。
半ズボンの下に伸びる、日焼けをした足の指が、太陽の匂いを放って、寂しそうな、
名残惜しそうな表情をしている。
表紙カバーをしおり代わりにして読みかけのページにはさみ、本をテーブルに置いた。
来るはずのない毅が、今すぐにでも、その扉から入ってきそうな気がする。
入り口の扉につくはずもないのに、頭をちょっとかしげて、低い門をくぐるようにして。
少し上目遣いで、
部屋の様子や雰囲気を細めた眼から吸収するように見回しながらこの部屋に入ってくる光景が眼に浮かぶ。
きっと何も持たずに、手ぶらで、ジーンズのポケットに両手をつっこんで入ってくる。
そして、夕陽の光が、塗りつぶされた白い窓から染みている部屋の空気を眺め、
妙に満足したような納得したような、優しい微笑みを浮かべるんだろう。
煙草の箱とライターを机のうえに置いてから、近くにある椅子に腰掛ける。
「駅から結構歩くんだね」と云って笑いながら、
一本目の煙草を抜き取り火を点ける。
煙が吐き出される口についている唇は、一瞬だけ白いもわもわした空気を纏い、
そしてふっくらとした息をはく。
椅子やテーブルの位置、本棚やベッドの場所に、毅はきっと満足すると思う。
のびのびと手足を伸ばせるほどの広さはないけれど、こじんまりとして、
あるべき物があるべき場所に、きちんと収まっているから。
一本目を吸うと、毅はベッドに移動して、深々と腰掛ける。
左手でベッドの弾力性を確認して、きっとこう云う。
「結構硬いね」
そしてまたゆっくりと笑うんだろう。
肩幅に開いた膝に両肘を乗せ、指を組んで態勢を斜めにして、見つめるともなしに、
半ば見上げるようにして私を見て云う。
「元気でしたか」
その敬語はとても優しくて、丁寧で、私をいつも安心させる。
毅は会うたびに訊く。
「元気でしたか」と。
私が幸せそうに頷くと、安心したようにまた微笑んで、窓の光のほうに視線を移す。
ゆったりと見つめたあと、静かに立ち上がってベランダへと続く窓を開ける。
外の景色を確認してから、私を振り向き、
「何読んでたの?」
と訊く。
私は、答えるかわりに本の表紙を毅に見せながら、タイトルを読み上げる。
これと云って言葉は返ってこないのだけれど、私は毅がいるというだけで幸せになっているので、
彼の笑顔を感じるだけで十分に満たされてしまう。
今日私が会いたかったのは、そう、毅なのだったと想い出して、
同じようにゆっくりと立ち上がって、隣に立ち尽くす。
背の違いの分だけ、見える景色がちょっと違って、
私は毅のせめて視線の先だけでも同じにしようとする。
直接触れてはいないけれど、体温が直に感じられるほどの距離で立っている二人。
私はその手に触れたくて触れたくて仕方なくなっているのに、
でもベランダの外に向けられている毅の興味深そうな眼を知っているので、
それ以上はまだタイミングではないことを私は知る。
「車は?」
「マンションの前に止めてあるよ」
「じゃあすぐに出かけたほうがいいかも…」
「そうだね」
穏やかな声を訊いてから、私はクローゼットのそばに行って、洋服を選ぶ。
毅のファッションに合わせて服を選ぶ。
「この前着てたジーンズ…あれカッコよかったよ」
毅は、私の選びかねている表情に言葉を発した。
クローゼットの上段の一番てっぺんにある、そのジーンズの前で手が止まる。
裾からウエストに向かって、バックラインにセンタープレスが入ったデザインで、ブーツカットになっている。
先日のデートで、私はそれに白いジャケットを羽織り、同色のヒールをはいていた。
私は、毅が望むことには単純なので、そのジーンズを素早くはくと、
秋にはまだ少し早いけれど、ハイネックの黒いノースリーブカットソーを纏った。
「どう?」と、私をずっと見ている毅を振り返った。
「かっこいいよ」
毅のまぶしそうな笑顔を確認して、私は満足する。
そして毅のとなりに腰かけてその膝にそっと右手で触れ、初めてゆっくりと唇を重ねる。
毅の右手が、私のうなじと後れ毛に同時に触れる。
躰全てが柔らかい真綿に包まれたような感覚になり、
まるでふわふわと浮かびあがりそうになる。
会えなかった時間が一瞬にして消えて、頭も躰も毅一色になる。
もう何もいらなくなって、これから出かける楽しみも意味のないことに感じられてくる。
このままずっと、こうして毅と抱きあって、触れ合っていたい。
「今日はどこに行くの?」
私は唇を離しながら、でも視線はその唇に残しながら言葉を発した。
まだ触れたがっている唇の欲求に、私はこの微妙なバランスが崩れたら、逆らえそうにない。
「友達がパーティーを開くらしいからさ、ご飯でも食べてからそのクラブに行こうと思って」
「どんなパーティー?」
間近で毅の瞳を覗く。
毅の瞳は、美しいほどに真っ黒で、その奥に何が映っているのかが、すぐにわかる。
とても優しいけれど、興味のあるものしか、そこには映らない。
興味のあることを常に探している。
だから毅はいつも輝いている。
私は、その瞳に時々恐れながらも、自分が常に毅の求めている存在でありたいと望み、
そう努力している。
それが私にとってとても楽しく、幸せなことだから。
毅と一緒にいるときの私は、とても従順で、反抗的な態度をしない。
離れているといつも冷たいほどの言動をするけれど、それは会いたさの反動。
毅の想っていることが手にとるようにわかるし、
望んでいることも眼をみなくても感じる。
「ひさしぶりだな毅」
クラブに入ると、受付で客のチェックをしている金田くんに出迎えられた。
今夜のパーティーのディレクターである彼は、私にも優しい笑顔をくれると、会費を受け取って、
ドリンクチケットを少し多めにくれた。
「どうせビールでいいんだろ?」
毅の眼を見て笑う。
「十分」
「二階が招待席になってるから、適当に好きな場所に座っていいよ」
金田くんは、毅に限って招待客であっても会費を受け取るけれど、
どんな場合でもVIP席を用意する。
席には、今回のスポンサー各社からのプレゼントが置かれていた。
それぞれのブランド名が入った紙袋には、香水や化粧ポーチなどがあり、
今日の客の主役が女性であることを窺わせる。
「パーティーって、随分大掛かりなんだね、今日」
「そうらしいね」
スタートぎりぎりに入ったため、1階のフロアにはすでに女性が溢れている。
海外の化粧品ブランドが協賛についているため、それに見合った客層だった。
運ばれてきたビールの缶をあわせ、二人で小さく乾杯する。
のどを流れるアルコールと炭酸が、胃を一瞬だけしめつける。
「おいしそうに飲むよね、マリ」
「おいしいんだもん」
毅は一気に半分ほど飲んでしまうと、店内の装飾に眼を走らせる。
ジャズィーな音楽が流れ、ステージの中央に人種の定かではない男性ミュージシャンが楽器を手に出てくる。
有名なのか何なのか知らないけれど、十数名の女性がステージ前のスペースに走り出てきて踊り始めた。
「知ってる?」
毅が私に顔を寄せて訊く。
「知らない…。でも上手だね」
「そうだね」
肩でリズムを取りながら、私は再びビールを飲んだ。
「あれはサクラ」
と、突然、私の肩越しに金田くんが笑って声をひそめた。
「あ、そうなんだ」
私も笑って返した。
「どう? こういう音楽」
「好き」
「よかったら踊ってよ」
「そうだね~。行っちゃおうかな」
私は、毅の表情を確認せずに、1階を見つめながら云う。
毅は人が多くならないと踊らないのを知っている。
だから、私はその気になったら、勝手に踊りにいく。
「では、ちょっと行ってきます」
「ちょっと、ね」
毅はおかしそうに笑って私を送り出した。
金田くんは、私が去ってあいた席に腰掛け、毅と話し始めた。
踊り始めると、私は結構本気で踊る。友達からも、
「踊りまくってたよね」
とよく云われる。
適当にリズムに乗って踊っていたら、そのうち曲がサルサに変わっていた。
私はサルサのステップを踏みながら、少しずつ前のほうに移動していく。
サルサステップを踊れる人の少なさに、私はちょっと驚いた。
とても簡単なんだけど。
ミュージシャンたちのセクシーな歌声と演奏に、彼女たちはうっとりしながら、躰でリズムを刻む。
フロアの女性や男性もいっぱいになってきて、私の姿が埋もれてきた。
二階を見上げると、毅と金田くんがおかしそうに笑って私を見ている。
サルサを踊ると、私はだんだんセックスをしたくなる。
ほかのリズムでいくら踊っていてもそうはならないのに、
何故かサルサを踊ると、そう感じてしまう。
この瞬間にセックスしたら気持いいだろうなと本能的に感じてしまう。
でもできないので、それこそだんだんと没頭してダンスが楽しくなる。
眼の前で演奏しているミュージシャンと眼が合い、
彼が楽しそうに私のダンスを見ているのがわかる。
ウィンクをしてから、おかしそうに仲間と視線を合わせ、ますますパフォーマンスに拍車がかかってくる。
私も面白くなって、彼らに合わせてリズムをとる。
コーラスをしながらステップを踏んでいるメンバーの一人が、踊りながら、
ステージ左側に寄ってきた。
ちょうど私の前でステップを踏み、こともあろうか私に手を差し伸べた。
周囲の客の眼が、私に注がれる。
踊りながらも、好奇と羨望と、そして少し奇異な視線を感じた。
でもそれを断るには、私の踊りのリズムにスピードがつきすぎていた。
手をひかれるままに、私はステージに上がり、彼らと一緒に踊った。
二階からひやかしの声と拍手がおこる。
毅の楽しそうな顔が見え、私は毅を挑発するようにして視線を合わせたり、外したりしながら踊る。
サルサはこれが面白い。
そして、こうして誘われて踊っている私を見ることが、毅は嫌いではない。
だんだんとおなかの奥のほうが、重たくなってきて、
神経が自分にだけ向けられていく。
そろそろまずいな~と感じながら、
私はぎりぎりまで、おなかの奥のほうの重たさが快感にかわっていくのを、
そのままにしておく。
表情がなんとも云えず恍惚としてくるので、見る人が見れば、
私がいまどんな状態にあるのかすぐにわかってしまうのだけれど。
だから、真正面でプレイしているミュージシャンたちは、
それこそもう激しいほどに音楽を享受して、全身全霊で踊って歌っている。
ここまでくると、これはダンスを通り越して、
私にとっては人前でセックスをしているようなものだった。
眼の前にいる初対面のアーティストと、音楽というベールに包まれて。
彼の視線が私を挑発するように笑い、私も悪い気もせずにまだ踊っている。見ると、フロアもトランス状態に入り始めていて、おかしかった。
その中で、奇妙にまっすぐに移動している影があると思ったら、
それは毅だった。
人の波を縫うようにして、まっすぐにステージのほうへと移動してくる。
「…」
毅の眼が優しく笑って私を誘っている。
手が差し伸べられて、私は迷わず、ステージ上でこれまで一緒に踊って
――セックスして――いたミュージシャンに別れを告げることもなく、
ステージを飛び降りて、毅の腕の中に入り込んだ。
近くで踊っていた人たちが、私たちをちらりと見る。
サルサのステップの間で、私はもう誰も眼に入らなくて、毅だけを見つめている。
「もっと早く来てくれると思ってたのに」
「ステージにまで上っておいて?」
「あれは誘われたからでしょう」
「なかなかよかったよ」
「…」
私は毅の瞳のなかを覗き込む。
サルサの音楽も遠くなり、私たち二人は動かずに抱き合って、
見詰め合って立ち尽くしている。まるでチークタイムのように。
毅の頬が私の左耳に近づいて、その生暖かい息がかかる。
ビールで冷やされた唇が軽く触れ、私はまぶたをとじた。
熱くなった神経が一気に溶かされていく。
「したくなったんでしょ」
毅の声が、静かに私の心を耳の奥にとじこめる。
思わず躰を毅の躰に絡める。足がもつれそうになった。
「…」
私は言葉を発するかわりに、挨拶のようなキスをする。
「したくなった?」
毅は負けずに、今度は眼を見つめて云う。
私が言葉にしないと、その先は何もしないとでも云うような微笑みを浮かべて。
「したくなったって云ったら、ここでしてくれるの?」
「いや。…してるときのマリの顔を、人に見せたくないから」
毅は優しく笑って云う。
「したい」
私は背伸びをして、毅の耳の中に言葉を吹き込む。
毅は私の肩を抱き寄せると、
「エッチ」
と笑って私のおなかをくすぐった。
声を立てて笑った私の笑い声は、幸せな色に満ちていた。
毅と私はそのままもつれ合ってフロアを出て、トイレで立ったままセックスをした。
声を殺して、毅の体温と汗を溶け合うほどに感じながら。
記憶と幻想が入り交じって、何が真実なのかわからなくなる。
毅のいないこの部屋を、そっと歩き回りながら、私はゆっくりと呼吸をする。
四秒かけて息を吸って、六秒かけて息を吐き出す。
何度も何度も正確に繰り返すうちに、心の中がすっきりと澄んでいく。
窓の外を流れる生活の音や車の音。薄い窓ガラス一枚が、私のいるこの部屋と外とを区切り、
私はオブラートに包まれたように全ての音から遠く遮断される。
プールに浮かんで訊く、子どもたちのはしゃぐ声の、
心地いい疎外感に似ている。
きびきびとした音で電話が鳴る。
毅からだと感じる。
「はい」
「マリ? 俺だけど」
「うん」
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