「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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ネオリアヤの言葉
嫌いじゃない
「私、もう圭一とはセックスしないね」
天井へまっすぐに伸びた背中が、薄暗い部屋に、ぼんやり白く浮かんでいる。
君の肘まであと数センチ、というところで、僕の手が止まった。
「どうしたの」
君の視線は、ガス台の上に咲いているオレンジ色のチューリップに注がれている。
けれど、その心が、本当は何を想っているのか、ここからはみえない。
小ぶりな花びらは、その一枚一枚の丸い膨らみのせいで、
多肉植物のような、妙な肉感さを持っていた。
嫌いでは決してなかったけれど、君がスーパーの花屋で、
そのチューリップをつかんだ時、正直云って、乗り気じゃなかった。
食虫植物のようでもあり、朱色に近いオレンジ色も、
僕には何故だかグロテスクに感じられた。
果肉に全エネルギーを奪われた緑の葉は、真ん中ら辺からくったりと折れている。
「どうかしたの?」
返事の代わりに吐き出されたタバコの煙が、もわもわと空気に吸い込まれていく。
「…」
「僕のこと嫌いになった?」
云った後、変な質問をしたなと、自分でもおかしくなった。
これが、僕たちにとって初めてのセックスなのに、
僕の声には、まるでもうずっと恋人同士だったかのような、
落ち着き払ったニュアンスが漂っていたから。
「…嫌いじゃない」
「じゃどうして」
「嫌いじゃないから、これで終わり」
ようやっと僕の眼を見つめる。
少し近眼の君の眼は、暗闇の中で濡れたように光を放っている。
妖しささえ湛えた輝きは、僕の欲望を沼から引きずり上げようとする。
「嫌いじゃないっていう位のセックスは、もういいのよ」
深いため息のような言葉が、煙と一緒に吐き出された。
急に見知らぬ人のように、僕たちの間に距離ができる。
「そういうのは、もういいや、って…。やっぱり、好きな人としないとだめだよね」
「…正論だけどさ」
「好きな人とすると、スゴく気持ちいいじゃない? 肌がちょっと触れただけで、ほかのことは全部どうでもよくなっちゃう」
「キノ、好きな人いるの?」
心地よさそうな君の横顔を見上げながら、僕はまた、間抜けなことを訊く。
「何回も云ってるでしょ。…阪口さんに夢中だよって」
「夢中って…したの?」
残酷なまでに冷静な表情が、僕を見下ろした。
僕には関係のないことだと、沈黙が教えてくれる。
なるたけ、僕は感情がこもらないように眼を細めて、
まっすぐな強い瞳を見つめ返した。
「訊いてどうするの、そんなこと」
「どうって…したかしてないか、それしかないよ。別に」
「私ね、東京に出てくるまで、嫌いじゃない人が三人いたの」
君は時々、訊きもしないのに、
自分のことを、それも突然すごいことを云う癖がある。
「『嫌いじゃないからセックスしてた』って意味よ…?」
僕は黙って君の告白を訊いている。
壁に背中を預け、タバコに火を点けた。
「三人とも結婚してたから、一緒にいてもあんまり自由な行動はできなかったけど、それでも楽しかったんだ。欲求不満も溜まらないし」
学生のようなことを云いながら、君は下着を拾って身につけ始める。
均整のとれた、容のいい脚がピンと伸びる。
笑い顔が幼くなった。
「でも、もう飽きちゃったんだ。それに、好きな人ができたから、もう必要ないってのもある。阪口さんのこと、考えただけで気持ちよくなっちゃうんだ。今は」
感情なんてものは、込めなければ感じないものなのだと初めて知った。
そして理不尽にも、面白くない気持ちになった。
ずっと、君とはこれでいいと思ってきた。
君に好きな人がいることも知っていた。
君も、僕に曖昧な関係にある女の子たちがいることを知っている。
だから、縛りあう関係ではなく、お互いが自由に、逢いたいときだけ逢うような、
心地よい距離を保っていた。
はずだった。
いや、たった今まで、そう思って疑うことはなかった。
少なくとも僕は。
それが君の告白を訊いた途端、
キノに対する、嫉妬のような気持ちが湧き上がってくる感情を、
僕は抑えることができなくなった。
「私、セックスしないと時々不安定になるんだけど、精神的に満たされてるとオッケーなの」
「男だって同じだよ」
「え、うそ、本当? だって、好きな人や恋人がいても、目の前に裸の女性がいたらするでしょ」
「時と場合によるよ」
ま、そうすることが多いのも事実だけれど。
でも、とりあえず僕は、誰でもよくはない。
「じゃあ、もうすぐ会えなくなることがわかってる人から、部屋に誘われたらどうするの?」
「好意を持ってたら行くけど、…それはまた例えが普通じゃないよね」
「欲求不満でも?」
「どうして、そう極端な例をあげるのかな」
苦笑しながら、Tシャツを被った。
君は、さっきまでの冷たいほどの強さを脱いで、自分から僕の躰に腕を絡ませてくる。
温かな肌触りが、確かな存在として寄り添っていた。
「きれいだよ」
「…」
自分勝手に眠そうな眼をしながら、君はかすかに微笑んで僕に躰ごとよりかかってきた。
タバコの灰をよけるようにして、灰皿へ腕をのばし、僕は君の髪をなでる。
綺麗さの合間に可愛さが覗く。
「本当に、きれいだよ」
君は、もう十分すぎるほどにそのことを知っているのだろう。
その横顔も、睫毛も、唇も、声も表情も、言葉もとても魅力的なことを。
「きれいだよ」と云われることに慣れ、これといって返事も曖昧にするくせに、
云われなければそれはそれで不機嫌になる。
わかり易くていいよ、君は。
「で、何の話してたんだっけ」
僕の声に、君は含み笑いをしながら、胸を押し付けてくる。
それがセックスをしたいという合図ではなく、
ただ抱き合って眠りたいのだということが、僕にはわかる。
僕らの肉体を越え、心臓音が互いに訊こえるくらいに抱きしめて、
君の寂しさを包んであげよう。
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