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疲れてはいますが、ここまではわたしの仕事。とりあえず問題を解いてみての感想です。英語 出題形式はほぼ前年度と同じ。リスニングの問ウの形式がすこし変わったがそれほど難しくはなかったはず。問2の語句問題のcontinueは書けなかった生徒が多かったはず。並べ替えも出題形式は多少の変化はあったが、受験生としては知っておくべき文法、構文の出題。英作文も「will be able to」という受験生の3人に1人はできるはずの出題。問6〜問8の長文も前年度の形式を踏襲。全体として前年度並みの難易度と思われる。国語 出題形式は前年度とまったく変わらず。問1が漢字、語句。問2が古文。問3が小説文。問4が説明的文章。問5が図表をともなう記述問題。それでも難易度はアップした。たとえば問5の問題。従来の出題であれば、それぞれの発言のある部分を抜き・・・続きは https://miyajuku.com/miyajuku_blog/20190214-2/
2019.02.15
「神奈川県高校入試問題への最終確認」その2 数学・国語 → https://miyajuku.com/miyajuku_blog/20190202/
2019.02.02
神奈川県高校入試問題への最終確認その1 英語英語はその目標点によって問題への取り組み方がまったく変わってくる教科です。それでも、問2の「語彙問題」、問3の「文法の語句選択問題」、問4の「並べ替え問題」は、得点目標が何点の生徒でも、しっかりと解けるように入試前日まで問題演習と頻出する構文、文法事項などについてはしっかりと学習を続けるべきです。この3問で全体の1/4の25点前後の出題です。80点以上を目指す生徒・・・続きは https://miyajuku.com/miyajuku_blog/20190129/
2019.01.29
今日は、後回しにしてしまっていた仕事を次々とやっていきました。先ずは、神奈川県私塾協同組合の仕事として、今春公立高校入試問題「国語」の解答・解説の映像授業の制作です。他の組合員の方と分担して制作し、組合加盟塾の方には無償で、その他の学習塾、個人の方にも販売する目的のものです。問2だけアップしておきます → https://youtu.be/KhcN6XJcjnQせっかくですので、神奈川県の公立高校入試問題「国語」についてちょっとふれておきます。先ず、国語は5教科の中で最も平均点が高い教科だと言うことです。国語 65.6点 英語 56.1点 数学 56.0点 理科 45.3点 社会 41.8点というのが、今春入試の合格者平均点です。平均点が高い、ということは、易しいということです。なぁんだ、と思いませんでしたか? ここで気を許してはダメです。易しいということは、国語で高得点をとらないと、他の教科では得点をかせげないということでもあります。続きは https://miyajuku.com/miyajuku_blog/20181109/
2018.11.09
昨日は「神奈川県私塾協同組合」の研修会でした。今年のテーマは「特色検査」についてです。講師は小田原にある慧真館という塾の岸本先生でした。岸本先生は、特色検査問題について地元の小田原高校だけでなく神奈川県全体の研究も熱心にされています。とても有意義な研修会となりました。一口に特色検査といっても学校によって様々です。たとえば、miyajuku周辺校で特色検査を実施している厚木高校と希望ヶ丘高校の特色検査の問題を比べてみると全く違うことがすぐにわかります。厚木高校の問題はいきなり英文の長文読解です。それもかなり難易度の高いものです。それに対して希望ヶ丘高校の問題は立体を用いたパズル問題です。厚木高校が限りなく学力検査問題に近い特色だとすると、希望ヶ丘高校のそれは中等教育学校の適性検査問題に近いものです。厚木高校を受験するのであれば特色検査対策の学習を時間をかけてやらねばなりませんが、希望ヶ丘高校については、パズルや空間図形の展開図の問題を解いておく必要はありますが、対策の取りようがあまりないということです。厚木高校の問題は知識理解の要素が色濃く、希望ヶ丘高校のものはほとんど知識理解の要素がないということです。さらにいうと、厚木高校の特色は難易度が高く、開示得点をみても40点前後のところに多くの生徒が集中してしまっています。つまり、特色検査でそれほど差がつかないということです。みんなできないともいえます。それに対して希望ヶ丘高校は80点以上に集中していて、100点もポツポツといます。かなり易しいということです。こちらも逆の意味で特色で差がつきにくいということです。特色検査を嫌う生徒がいますが、それは違うと思います。学力検査問題の5教科をしっかり得点出来る生徒であれば厚木高校の知識理解に偏重した問題は基本的に解けるでしょう。それに対して、希望ヶ丘高校の特色は、相模原中等教育あたりを小6で受験した生徒であれば、または、パズル的な問題を解くのが好きな生徒であればほとんど気にすることはないでしょう。つまりしっかりと特色検査の特長を知れば、5科の学力検査での得点を補うチャンスがもうひとつあるんだ、といったとらえ方ができるのです。それも自分の得意分野でのチャンスです。特色検査も嫌わずに志望校選びをしていきましょう。
2016.10.24
国語の分析 その2 です。問2の古文です。(ア)88.3%、(イ)78.0%、(ウ)65.6%、(エ)78.3%という正答率です。すべて四者択一問題で、誰が、何を、どうした、といったストーリーがわかりさえすれば答えられる出題ばかりです。理解が難しいと思われる部分にはすべて注釈がつけられていて、会話文にはすべて「 」がついているのでわかりやすいです。したがって、何か特別な対策をするというよりも、過去に神奈川県の公立入試に出題された問題を10年分ほど解き、全国の公立高校入試問題の古文の問題を2年分ほど解いておけば良いでしょう。その場合も、他の都府県の出題の中で、漢文や韻文、記述問題の類いは外しておいてよいでしょう。説話文にしぼって演習しておきましょう。あくまでも古文に「読み慣れる」ことが重要です。問3の小説文です。漱石や鴎外、賢治などの古典的に著名な作品が出題されることはありません。中学生が主人公の最近の文学作品から出題されます。したがって、受験生にとっては身近な主人公で、比較的に読みやすい文章です。ただ、感情移入しやすい分、問題を解く際に「自分」が出てしまって失敗することもよくあります。あくまでも「試験の問題としての文章」だということを忘れないようにしましょう。基本は四者択一です。「ちがい」に注意して選択していけば簡単にふたつまでしぼれます。そこからしっかりと本文の内容と照らし合わせてひとつを選べばOKです。例えば(カ)の問題です。選択肢を読んでみてください。1 「夏樹」の視点を中心に・・・生き生きと表現している 2 それぞれの登場人物の内面を多角的に折り込むことで丁寧に表現している 3 比喩や感嘆符を用いた軽妙な語り口で鮮やかに表現している 4 俳句の鑑賞に関する知識を織り交ぜながら淡々と表現している のあたりがそれぞれの選択肢の違いです。「生き生きと」「丁寧に」「鮮やかに」「淡々と」の部分に注目します。四者択一問題では、こうした「ちがい」の部分に棒線を引きながら、本文の内容と照らし合わせつつ判断をしていく「くせ」をつけましょう。なんとなく、といった印象で選んでしまう「くせ」を持っている生徒は絶対に修正することです。塾では、本文を読まずに選択肢だけを読んで解答を類推する練習もおこないます。あくまで試験だと言うこと。解法に How to があること。それを勉強しましょう。神奈川県の公立校校入試問題の国語の選択肢はとても素直で、大学入試センター試験の国語の選択肢のような「クセ」はほとんどありません。丁寧に「ちかい」を読み取り、本文の内容と対照する読解法をおこなっていけば、まず間違いなく正解を選べるはずです。さて、(ウ)の記述については次回にゆずります。
2016.06.24
国語の分析 その1 です。国語は5科の中で突出して合格者平均点が高くなっています。今春入試で最も難しかった英語との差は21.7点もあります。大学入試センター試験ならば教科ごとのバランスが悪い場合は調整をするのですが、県入試ではそのようなことはしません。下の図は今春入試での英語と国語の得点分布です。英語が下にピークのある山なのに対し、国語は上の方にピークがあります。そうです。国語は高得点がとりやすいのです。というより、国語を不得手としている生徒は、神奈川県の公立高校入試では圧倒的に不利になります。最終的に志望校を決めていくときも、国語に不安のある生徒は慎重になるべきでしょう。他の受験生が高得点をとりやすいのに、自分は国語で得点を伸ばせない、というのは圧倒的に不利になります。とはいっても、出題者の側もこのままにしておくはずはありません。他の教科が50点前後のところに平均点が集まってきているので、国語はこれから難易度が上がっていく可能性が大きいです。もしかすると、来春入試では「国語の難易度がグンと上がった」ということになるかもしれません。というより、その可能性はかなり高いでしょう。さて、国語の問題の全体的な俯瞰です。問1 漢字の書きが4問、読みが4問。その他、文法の問題と短歌の解釈の問題が各1問ずつ。すべて2点ずつで10問。問2 古文の読解問題。各4点で4問の出題。すべて四者択一。最近は説話ものの出題が多い。今春も「撰集抄」という鎌倉時代の説話もの。問3 小説文の読解問題。小問で6題。その中に45字から55字の記述問題がある。問4 論説文の読解問題。小問で8題。その中に55字から65字の記述問題がある。問5 グラフを用いた4人の話し合いを読み、その中の空欄に適するものを補う問題。1題は四者択一でもう1題は75字以上85字以内の記述。出題の形式はここのところずっと変わっていないので、来春入試でもこの形式が続くと思われます。韻文は出題されず、問1に2点配点で短歌or俳句の鑑賞問題がでるぐらいです。文法も問1に1題が出題されるかどうかなので、ほとんど勉強をしておく必要はありません。問3の小説文もとても易しい問題なので、国語の攻略は、問2の古文と問4の論説文にかかってきます。問5は特殊な出題なので問題に慣れることが大切になります。さて、次回は問2から細かく見ていきましょう。
2016.06.23
数学の分析 その3 です。問5 関数についての問題(ア) グラフの読み取り 75.7%(イ) 文章から読み取ってグラフを書く問題 23.6%(ウ) 方程式をつくってすれ違う時間を求める問題 7.0%問6 空間図形の問題(ア) 展開図から表面積を求める問題 50.1%(イ) 三平方の定理を利用して空間の2点の距離を求める問題 54.0%(ウ) 三角形の相似を利用して面と点の距離を求める問題 3.4%問7 三角形の相似の証明問題 3.5%問5はH25年まで、神奈川県に特有の二次方程式の応用問題がずっと出題されていました。規則性を読み取り、そこから方程式をたてて解く、というパター化した問題でした。それが、H25年は「式の証明」、H26年に「連立方程式の応用」、H27年「二次方程式の応用」となって、今年は何が出題されるのか予想が分かれるところでした。結果、「グラフの読み取り、グラフの書き、方程式」という出題でした。問題そのものはそれほど難しくはなく、とくに(ア)は正答率も70%をこえています。(イ)と(ウ)についても、時間をかけてじっくり取り組めば出来た生徒も多かったでしょう。いずれにしても、この問5については、来年以降もパターンがないと考えておく必要がある。予想される出題は、「規則性からの二次方程式or一次方程式の問題」「連立方程式の文章題」「関数の利用をグラフで問う問題」などだ。この問5をふくめて、高校入試に対しては、神奈川県の過去問題だけを解くのではなく、全国の公立高校入試問題を解くようにしておきたい。そうすることで、問6はいつものように空間図形の出題。ここは年によって難易度がかなり違うのだが、今年は比較的に易しかった。(ア)は下の解説のように三平方の定理で辺ACの長ささえ求められればなんてことのない問題。数字もわかりやすい 3 : 4 : 5 というもの。合格者の半分しかできていないのが残念だ。(イ)も三平方の定理で辺AGの長ささえ求まれば、もう一度△AGDで三平方の定理を使うだけ。ここまでやったら(ウ)はとばして先に進んでも良いでしょう。(ウ)は、そもそも平面と点の距離、という意味がわからなかった生徒も多かったはず。しかも、三角錐の求積を底面の三角形を別にして式を立てて方程式を作る、という発想が浮かばないと解くことが出来ない。正答率が3.4%なのも肯ける問題だ。問7は図形の証明の問題。H25年「中点連結定理と平行線の性質から二組の角が等しいことをいい三角形の相似を証明する」 H26年「円周角の性質を利用して二組の角が等しいことをいい三角形の相似を証明する」 H27年「円周角の性質を利用して二組の角が等しいことをいい三角形の相似を証明する」と続いてきた。今年も中点連結定理と円周角の性質、平行線の性質を利用しての三角形の相似の証明だったが、完全な解答を書けた生徒はわずか3.5%にすぎなかったようだ。きっと、この前の空間図形の(ウ)にとまどったりと、ここまでくる間に様々に「ひっかかり」をもってしまい、この証明問題に落ち着いて対せなかった、といったところだろう。数学で8割前後の得点を目指す生徒は、今春の入試問題のように数%の正答率という問題を見きわめ、それ以外の問題をしっかりと得点出来るかが勝負になってくるはずだ。
2016.06.22
数学の分析(その2)です。前回は、問1と問2で40点の出題があり、それ以下の問題も(ア)については難易度は高くないのでしっかりと得点したい、という話までしました。今回は、問3以降の問題についてです。問3は「二乗に比例する関数と一次関数の融合問題」です。この問題についてはかなり長いこと同じパターンでの出題がされていて、来春入試でもそれほど大きな変更はないと予想できます。(ア)の正答率が80.5%、(イ)が27.9%、(ウ)が1.9%となっています。この(ウ)が今春数学の入試問題で最も難易度が高かった問題だということです。入試問題と普段の学校の定期試験との違いは、こうした難易度がとてつもない問題が混じるということです。そのことをしっかりとわかっておいてください。(ウ)の配点は4点です。この問題に長い時間関わってしまい、ここから後ろの問題に手がまわらなかった、といった受験生も多くいたことと思います。大事なことは「見きわめ」です。できれば、このも問題ならば△△分で解ける、といったところまでわかるようにしたいです。そうなるためには、易しい問題から難しい問題までを解くことです。たくさんの様々な難易度の問題を解くことで、問題を「見きわめる目」を持つことができます。さて、この(ウ)の問題ですが、なにが難しかったのでしょうか。△ACEと△CDEの面積が等しくなる時の点Eの座標を求めなさい、という問題です。ある程度予想はできる問題で、miyajukuでも入試前にたくさんの類題を解いています。この場合は、等積変形を使うか、実際に面積を出して等しい関係で方程式を作るか、といった2パターンです。下の図に解き方の流れを書き出しました。計算もそれほど面倒ではなく、解けなかった生徒も、後で冷静にと解き直したら「できた」となったはずでしょう。発想としてはE点のX座標を何らかの文字でおけたか、といったところでしょう。そこさえクリアできれば、あとはスムーズに解けたはずです。とはいっても、解答を導くまでの工程が多く、ちょっとつまずくとイライラしてきそうです。問3で頭に血を上らせては、以下の問題に影響します。問4は「確率」の問題でした。昨年は「統計」の出題でした。長い間、この問4には「確率」の問題が出題されていて、昨年は突如として変更になり、今年はどうなるのかなぁ、と思っていたらもとに戻ったということです。ただ、来年の出題も「確率」とは限りません。ここには「統計」や「確率」などの「資料の活用」の問題が出題されると考えて準備をしておきましょう。そうした意味では、パターンがなくなっているのが県入試の特長です。正答率は、(ア)が68.7%で、(イ)が14.4%、(ウ)が15,2%と難しかったようです。この(イ)と(ウ)の問題も、確率の問題であると同時に、中1の平面図形、中2の三角形と四角形、中3の円周角と中心角の知識が融合した問題になっています。さらに、問題をしっかりと読解するチカラも求められます。きちんと整理整頓しながら求める場合の数を数えていく。そんな作業をしっかりとできるかどうか。そんなチカラが求められています。表を書きながら「数え忘れ」がでないように注意して解くべきです。数学が不得意な生徒でも、確率の問題はある程度の「根性」があれば解けることもあります。数学が不得手な生徒は、問1と問2のあとは、この問4を解くようにするといいでしょう。問5以下についてはまた次回。
2016.06.21
数学の分析(その1)です。大問で7問。出題分野は以下の通りです。問1 計算問題 12点問2 小問総合 32点問3 関数 12点問4 確率 12点問5 方程式 10点問6 空間図形 12点問7 図形の証明 10点得点分布は以下のようになっています。きれいな正規分布ですね。受験者の1/4が51点~60点に分布し、41点~70点に60.5%が集中しています。合格者の平均点は51.7点でした。問1の計算問題は、正答率が89.0%から97.5%となっていて、とても易しい問題が並びます。問2の小問総合は以下のような出題と正答率です。ア 式の展開 86.6%イ 因数分解 82.9%ウ 2次方程式を解く 87.6%エ 平方根が自然数となる数を探す 56.9%オ 関数Yの変域を求める 64.6%カ 2次方程式の応用 64.8%キ 資料の整理 中央値を求める 40.1%ク 相似な図形の面積比を求める 7.9%(ク)をのぞくとそれほど難しくない問題が続きます。ここまででしっかりと40点を得点したいです。というより、200点ちょっとが合格ラインの生徒は、この問1と問2に数学の時間の半分をかけてもいいでしょう。ここから先の問題で、正答率が50パーセント以上なのは、各大問の(ア)だけになります。この3つを得点すれば+10点で、合計が50点になります。その他は、1.9%をはじめとして、3.4%、3.5%などの正答率といった難易度の高い問題が並びます。整理すると、数学の目標点が50点前後の生徒は、問1と問2の問題に、問3~問5の(ア)を得点することを目標として学習を進める。それ以上の得点が目標の生徒も、この50点をしっかりとGetした上で、難易度の高い問題のどの分野の問題で上乗せするかの作戦をしっかりと立てた上で学習を進めていく戦略を立てる、ということです。数学は、難しい問題と易しい問題の「差」がとても大きい教科だと言うこと。それをしっかりとわかっておきましょう。さて、問3以降の難易度の高い問題を次回は見ていきましょう。
2016.06.07
今年の春におこなわれた神奈川県の公立高校入試問題についての分析を何回かに分けておこないたいと思います。なお、2015年の分析はカテゴリーの中の「神奈川県の公立高校入試問題の分析」をクリックしてもらえれば見られます。こちらも参考にしてください。まず、最初に、全体的な総括です。すでに県教委から合格者の教科別の平均点が発表になっています。4年間の平均点の推移を並べてみるとこんなふうになります。英語 25年/ 54.8点 → 26年/ 59.6点 → 27年/ 51.8点 → 28年/ 43.0点国語 25年/ 67.8点 → 26年/ 60.8点 → 27年/ 64.4点 → 28年/ 64.7点数学 25年/ 65.5点 → 26年/ 51.7点 → 27年/ 52.6点 → 28年/ 51.7点理科 25年/ 66.4点 → 26年/ 38.6点 → 27年/ 37.4点 → 28年/ 46.5点社会 25年/ 51.1点 → 26年/ 49.5点 → 27年/ 50.2点 → 28年/ 52.0点神奈川県の高校入試は4年前の25年に大きく変わりました。50点満点が100点満点になり、記述式や思考力を問う問題が増え、何よりも難易度が圧倒的にアップしたのです。その後、それぞれの教科ごとに少しずつ出題傾向や出題形式が変わりながら4年目の今年をむかえ、ある一定の方向性がはっきりとしてきています。その方向性については、各教科ごとの分析の後にまとめてお話しします。来春の受験生は、まずはこの平均点をしっかりと頭に刻み込んでおくことです。どの教科も50点前後を目安に造られているのかな、ということがわかりまかよね。26年、27年と平均点が40点を切ってしまっていた理科は、今春はやや易しくなりました。国語だけが突出して平均点が高いので、来春は要注意です。難易度が上がる可能性は大ですね。さらに、平均点では見えにくいのですが、得点の度数分布からわかることです。例えば、社会は、100点が0%、91点~99点が1.2%、81点~90点が5.3%・・・などとなっています。そうなんです。高得点がとりにくいんですね。こちらも細かいことは各教科ごとの分析でお話しします。何が言いたいかというと、公立高校入試の問題は難しい、ということなんです。もっというと、学校の中間試験、期末試験でどたばたしているようでは、この入試問題には対応できないと言うこと。正直、この入試問題は、受験者の上位1/4を対象にしたようなもので、残りの生徒は、半分以上の問題をあきらめて、残った基本問題をしっかりと解けるようにするしか対処のしかたがありません。実際、200点もとれば合格ラインにのる高校はたくさんあるのです。数学の個々の正答率を見ると、正答率が5.4%しかない問題から、98.4%の問題まで様々です。ということは、しっかりと出題の傾向を知り、対策を立て、自分の目標点の設定をしと、きっちりとした試験対策が必要だということです。そのためにも、まずは「敵」の姿をしっかりと知ることです。これから10回ほどに分けて今春入試の各教科ごとの分析をしていきます。しっかりと読んで「神奈川県入試の姿と形」を頭に入れていきましょう。
2016.06.04
3日続けてになります、今年の英語の問題の分析です。まずは下の問題を解いてみてください。英文そのものはとても易しいのでどなたでも理解できるはずです。小さくて見えづらければ ここ に大きいものがあります。アキラ君の家族がレストランで食事をするのにいくらかかるかを答える問題です。まずは、夕食はひとりあたり1,200円かかること、アキラ君の家は4人家族であることを読み取ります。つぎに、下の三枚のクーポン券を見ていきます。最初のクーポン券は「4人以上の家族に1,000円off」が適用されます。ただし、他のクーポンとは一緒に使えない。2枚目のクーポンは「10月限定でひとりだけ300円off」になるもの。3枚目は「3人orそれ以上の各々に200円offずつ」になるもの。1,200円×4人-1枚目のクーポン割引1,000円で3,800円と答えた生徒も多かったことでしょう。だって、1枚目のクーポンは他のクーポンと併用できないのですから、3枚目の200円×4人で800円よりも割引額は大きくなります。でも、よく読むと、2枚目と3枚目のクーポンは「can be used with ~」となっているのです。したがって、3枚目のクーポンで200円×4人+2枚目のクーポンを1人に適用して300円=1,100円の割引の方がお得なんですね。ですから答えは3,700円。ゆっくり考えていけば問題ないのですが、この問題にかけられる時間は数分です。その時間で英文からこれだけの情報を読み取って考えねばならないんです。お父さん、お母さんが受験されたときの英語の問題とは全く様変わりしていませんか? 英語の試験ですから英語が読めることは当然なのですが、そこから様々な情報を読みとかないと解答が導き出せないのです。この次の問題は、時刻表と駅間の時間の表から、待ち合わせに間に合うにはどのバスに乗れば良いかを考えさせる問題です。ちょっとのぞいてみてください。昨日も書きましたが、ひとつの解答を導き出すのに、複数のステップを積み重ねないとダメなのです。同時に、英語の試験だからといって、単純に英文和訳、などというのではなく、図表を交えての情報処理能力も問われてきます。こんな入試問題解いていくチカラをつけるには、教科書を丸暗記するレベルでの定期試験対策を繰り返していては絶対にムリです。ましてや、自分のわからないところだけを学習するような「個別指導」でもムリなことはいうまでもありません。入試問題が様変わりしていること。まずはここから学習計画を立てていくことがもっとも重要です。
2016.02.24
今年もリスニングの英作文以外に4問の英作文問題が出題されました。4点×4問で16点の配点です。入試問題が100点満点×5教科になり、内容が一新されてから4年。毎年のように英作文は出題されています。しかも、日本語→英語という英作文ではありません。問5には2問。英文を読んでその中にある会話を埋める出題と、同じように英文を読んで、その問いかけに対する答えを作る問題です。両方とも、英文を読み取る、条件を考えて作文の内容を考える、それを英文にする、という3ステップの作業が必要になります。問6は毎年のように漫画での出題です。下のような内容のもので、空欄の(ア)と(イ)にあてはまる英文を考えて作文します。こちらも問5と同じようなステップが必要ですが、よりしっかりと「どんな英文を作るか」を考える必要があります。この英作文も、解答を見てしまうと「なんだこの程度の英文を作る問題か。簡単だなぁ」と思うかも知れませんが、こどもたちにとってはそうではないのです。たとえば「わたしを車で駅まで連れて行ってください」という日本語が与えられていて英作文を作ることはできても、このイラストをみてそうした日本語を考え、英作文することはできない生徒が多いのです。とくに問6の正答率は低かったのではないでしょうか。要は、今の子どもたちは、1ステップの問題はできても、複数ステップの問題ができない傾向が強いのです。理由は簡単です。普段から複数ステップの問題をやり慣れていないからです。学校の定期試験はほとんどが1ステップの問題です。というより、一問一答的な知識だけで答えられるようなものばかりです。このように複数ステップを必要とする出題は、英語だけでなく他のすべての教科にも見てとれます。今年の社会が少し易しくなったのは、昨年の出題に比べて、こうした思考力を必要とする出題が減ったからです。どちらかというと知識だけで解答できるものが多かったのです。このことを考えただけでも、学校の定期試験を目標とした学習がいかに危険かおわかりになるでしょう。普段から複数ステップの問題にぶつかり、考えるクセをつけていなければ、この神奈川県の公立高校入試の問題を解くことは不可能なのです。今のこどもたちは、本当に「考えるクセ」を育てていません。嫌になるほど「すぐに答えだけ」を求めます。途中の思考過程を記すことなど全くできません。というよりも、そうした訓練を受けていない、ということです。入試問題は劇的にかわりました。2020年の高大接続改革を先取りしたものになっています。それをお父さん、お母さんはしっかりとわかっていただきたいです。
2016.02.23
高校入試から1週間が経ちました。時間が許すときに少しずつ入試問題の分析をしていきたいと思っています。今日は「英語」についてちょっとふれておきます。今年の入試問題の中で最も難易度のあがったのが「英語」です。出題の形式そのものは昨年とほとんど同じだったのですが、平均点は10点近く下がるはずです。何がそんなに難しかったのか、ということを今日はふれておきます。まず、問1のリスニング問題。ほとんどすべての生徒が「話すスピードが速くて聞き取れなかった」という感想を言っていました。昨年も同じような感想を聞いたので、来年度に向けては「ネイティブの話すスピードに近いリスニング」の練習をしなければなりません。また、(ウ)の問題は、昨年度から「英文を聞き取って英語で設問に答える」問題になっていました。形式は今年も同じだったのですが、want + 人 + to-不定詞の構文で、ふたつのことを聞き取って答えねばならず、正答率は10%を切っているのではないかと思います。かなりの難易度でした。その他、問2は英単語、問3は文法穴埋め、問4は並べ替え、問5・問6が英作文、問7〜問9が長文読解といった構成は昨年と同じです。まず、リスニングの10分をのぞくと40分でこれだけの量を解かねばなりません。ほぼムリです。わたしも事前の指導では、問7〜問9は問8の「図表をふくんだ英文読解」の問題を解いて、問7か問9はどちらかにしぼってやること、と指導せざるを得ませんでした。英文を読む力がない生徒はこの3問はほぼ全滅になります。来年以降の受験生は、まず、この大量の問題を手際よく解いていくチカラをつけなければいけないことをしっかりと肝に銘じておきましょう。そうしたチカラは、学校の英語の授業ではつけることは不可能です。あのユルユルとしたペースの学習ではなく、必要な情報を的確に素早く英文の中から見つけていく演習を数多くこなさねばなりません。まずは ここ から問題をダウンロードして、その大量の英文と図表と向き合うところから、英語の受験勉強はスタートです。
2016.02.22
前回、理科の難易度を上げている要因を二つあげました。1 圧倒的な文字の量の圧迫感と情報処理を重視した出題2 教科横断型の出題と知識よりも過程や原理を重視した出題今日は 2 についてです。問3の(ウ)の問題です。正答率49.1%でした。数学というか算数と理科の横断問題になっています。キーワードは「割合と比」です。動脈→じん臓→静脈の順で、じん臓でろ過されたものが輸尿管へ、さらにぼう胱にためられておしっことなって排出される。そんな理科の基本的な知識はもっていなければ解けない。その知識にプラスすること、問題文と表とにらめっこして、算数の割合の知識を前提にひとつひとつ丁寧に考えていく。いやぁ、消耗しますね。この問題に解答するのに生徒たちはどれだけ知力と体力と集中力を消費したか、目に見えるようです。理科の難しさはここにあるのです。難問なのではありません。とにかく1問解くごとに消耗していくのです。そして、できている、という感覚も持ちづらい出題が続きます。解いていくほどに泣きたくなってくる問題が続きます。問5の(イ)の問題です。重力が斜面でどのような力に分解されるか、といった理科の知識をもとに、数学の三角形の相似の知識を利用して解く問題です。坂道の直角三角形と、重力とその分力でつく作られる直角三角形が相似です。そこから、文字の式を作り、その式を変形して解答を導き出していきます。内項の積=外項の積という比の知識も必要です。これらは中2レベルの数学のチカラを必要とします。この問題の正答率はなんと1.8%でした。難しい理科の出題の中でも最も正答率が低かった問題です。問1の(エ)の問題です。これも正答率が5.5%でした。そもそも問1の正答率は(ア)こそ71.8%ですが、(イ)が11.3%、(ウ)が13.7%と、問1から生徒の心を折ることに全力を注いでいるのでは、とさえ思えてしまいます。(エ)は、実像は焦点距離の2倍の位置に置いたときに同じ大きさになり、そこから光源をレンズに近づけていくとしだいに像は大きくなる。焦点の上に光源がくると像はできない。そんな知識から、焦点距離からの2倍と焦点の真ん中に光源をおいたときに像が2倍になる・・・ そんなことを考えていく問題です。知識としてはレンズについての基本中の基本。ただ、その基本知識を使って思考させる部分の仕掛けがすごい。まぁ、ほとんどの生徒が「むり!」となったはずです。昨日も書きましたが、理科の難しさは、決して知識理解の難しさではないのです。逆に言うと、こうした問題に徹底的になれていけば、得点アップは可能だということです。
2015.06.18
さて、いよいよ理科の問題分析にいきましょう。理科の得点分布については http://plaza.rakuten.co.jp/miyajuku/diary/201504230000/ で書いていますのでそちらを参照して下さい。今日は、何がこれほど理科の難易度を上げているのか、という点を中心に書いていきます。理科の難易度を上げている要因は以下の二つです。1 圧倒的な文字の量の圧迫感と情報処理を重視した出題2 教科横断型の出題と知識よりも過程や原理を重視した出題1については理科だけでなく他のすべての教科で神奈川県の公立高校入試問題の特長となっています。ある模試会社の調査によると、神奈川県の理科の入試問題で使われている単語数が9845単語、福岡県の4550単語、広島県の4021単語に比べると圧倒的に問題の文字量が多いことがわかります。しかも、一昨年までの出題ですと、解答を導き出すのに必要ない問題文が多く、そこを読み飛ばしても解答を得られたのと違い、ここ2年の理科の出題では、ムダな単語が少ないのに問題文の量が多い、という傾向になっています。つまり、問題文の隅々まで集中して読み取っていかないと、何を聞かれているのかさえわからない、という問題になっているということです。問6の問題です。解像度が低いので、細かいところまで見たい方は実際の問題を見て下さい。化学分野の問題で、このあとに(ア)から(エ)まで問題が続きます。正答率は、47.9%、31.4%、27.9%、21.7%と、理科全体からいうとそれほど難しくはなかった問題です。それでも、文字量だけでなく、表の数値を読み取ったり、実験から考察したりと、しっかりと情報処理が出来ないと全く太刀打ちできない出題です。こどもたちにとっては、ふだんの定期試験がテストのすべてです。学校の定期試験は、絶対評価になってから、得点を正規分布させるために難しい問題も出題するということはなくなっています。あくまでも、ふだんの学習で学んだことが理解できているか、というのを試す出題ばかりです。正直、得点をつけることに意味はなく、それぞれの単元ごとに「理解しているか、していないか」をチェックするようなものです。ということは、県入試の理科の出題のように、文字量も多く、図表からの情報処理が必要となるような問題を見たことも解いたこともない、というのが普通なのです。一昨年までであれば、12月からの入試問題対策で十分だったのですが、この出題に対処するには、もっと早く、少なくともこの夏の学習から「問題慣れ」していくことが必要になります。何度も書いていますが、全国の公立高校入試問題の中から、「文字量が多く」「情報処理を必要とする」問題をピックアップしてきて解かせていく。そんな学習を少しずつ進めていくべきでしょう。理科の難しさは、理科的な知識の難しさではなく、出題のされ方、出題の意図するところ、の難しさだということ。知識を積み上げるのではなく、論理的に思考する訓練を問題を解くことを通じて鍛えていくことが唯一の対処方だということをしっかりとわかることです。2については次回にゆずります。
2015.06.17
今日は国語の分析です。まずは国語の解答用紙を見て下さい。40字、110字、80字の記述が目につきます。配点もこの3問で20点となっています。正答率は、40字が34.1%、110字が18.1%、80字が22.9%です。一昨年までの出題と大きく変わったのはこの記述の量です。しかも、この記述の量は毎年のように増えています。2013年/50字、60字、80字→2014年/60字、80字→2015年/40字、110字、80字。ただここで注意が必要です。記述問題というと、自分の意見を書く、と考えがちです。しかし、神奈川県の公立高校入試の記述問題は、要約、抜き出し、まとめ、といった出題です。正解がある出題です。正解があるということは、解き方の方法がしっかりとあるということを意味します。ですから、きちんと記述問題への対策をとっておきさえすればそれほどおそれることはありません。たとえば問5の要約問題です。4人が自然環境の保全について意見を述べ合います。そしてAさんの発言の部分が空欄になっていて、そこを「70字以上80字以内」の「一文」でまとめます。しかも「私たちは、」という書き出しと「取り組むべきだ。」という結びも決まっていて、「私たちが意識すべきこと」と「具体的な二つの取り組み」という点にふれなさい、という条件まであります。ここまで条件を指定されると、ほぼ「ひとつの解答」しか正解にならなくなってしまいます。つまり、神奈川県の公立高校入試の記述問題は、正確に問題文の指示を読み取り、その指示に従って本文から材料を集めてきて、その材料をつなげてまとめる、といった作業をすることなのです。何だか数学や理科や社会の出題と共通していますね。教科は違っても、この3年間の出題から見えてくる入試問題で求められるチカラは、しっかりとした「情報処理能力」ということなんです。この問5の要約問題も、まずはしっかりと設問の指示を理解します。つぎに本文にもどり、キーワードに棒線を引いていきます。「具体的」や「大切」といった単語にしっかり反応していけばOKです。また、それぞれの発言のお尻の方に着目するなどといった基本的な読解法を知っていれば、わけなく記述のパーツに印がついていくはずです。あとは「主語と述語」の関係を意識して一文にまとめ上げれば完成です。平均点も64.4点と5教科の中では最も高い国語です。理科との差は27点もあります。入試というのは5教科の総合得点で合否が決まります。比較的に得点が取りやすい国語で高得点をとることが志望校合格の絶対条件といってもよいでしょう。国語の強化こそが高校入試突破の近道です。易しいですが「量の多さ」は国語のポイントです。「はやく」読むチカラをしっかりとつけていきましょう。最後に、来春入試では「理科が易しくなって国語の平均点に近づく」か「国語が難しくなって理科の平均点に近づくか」のどちらかが起こるはずです。国語を難しくするには、他の教科と同じように「設問と解答の距離を遠くする」方向での出題を増やすことです。そうした出題も他の都道府県の入試問題にたくさんあります。国語もそうした対策をしっかりととっておきましょう。
2015.06.16
前回は、数学の出題にパターン化はなくなった、ということについて書きました。今日は、もう一つ注目すべき点について書きます。数学の問5の問題です。太字でわざわざ「答えを導くまでの途中経過も書きなさい」とあります。正解がなんなのかではなく、どうやって解いたのか、という点に注目した問題になっています。この問題の正答率は、(1)が57.3%で、(2)が5.6%でした。問5については長い間「規則性」についての出題が続いていました。それが昨年は「連立方程式の応用問題」で、今年は「2次方程式の応用問題」となりました。しかも、連立方程式は「距離、速さ、時間」について、2次方程式は「割合」についての出題となっていて、多くの生徒が不得意としている分野から問題が作られています。数学にはもうひとつ完全証明の問題も出題されています。配点はそれぞれ10点ずつです。これもふくめて、文章やグラフなどをしっかりと読み取り、きちんと途中経過を含めて考えることができたか、といったチカラを求められているのです。このことがもうひとつの数学の出題の注目点です。こうした出題に対してどう対策をとるべきか。この「途中経過を書く」というのが生徒たちは苦手です。多くの生徒の数学の学習法は、テキストに「解答だけを書いて」終わります。間違っていると消しゴムで消して答えだけ書き込みます。途中式を書かなければならないような問題にふだんからそれほで取り組んでいない、ということもあります。やっかいな問題にぶつかったとき、数学が得意な生徒は、問題文から図や線分図を書いたり、表を作って整理したり、と手を動かします。手を動かすと言うことは頭がはたらいている、ということでもあります。それに対して数学が不得意な生徒は、じっと問題文とにらめこするだけです。私はそんな生徒に「じっとながめていても解答はあぶり出しのように出てくることはないよ」と言います。どう解いたか、を問われたときにしっかりとその過程を記述できるチカラは、一朝一夕に身につくものではないのです。パターン化がなくなった数学への対策として、全国の公立高校の入試問題を解く演習をすること、と書きました。どう解いたか、を問われる問題についても、そうした出題が各都道府県の入試問題にたくさん出題されています。そうした問題にしっかりと取り組み、よい指導者に解答を添削してもらう、といった演習をすることです。
2015.05.22
今日は数学の分析です。まずは今春の得点分布です。91点以上が2%、81点以上で8%、71点以上でも21.5%です。高得点がとりにくくなっています。一昨年の得点分布と比べてみましょう。71点以上が47.4%もいます。何が難しくなったのか。ずばり パターンがなくなった ことです。一昨年までの神奈川県の公立高校入試問題は、たとえば問4は確率の問題で、毎年のように「大小二つのサイコロ」の出題でした。それなりに難しい問題なのですが、出題されることがわかっているので前もって対策をしっかりととれば何とかなっていました。さて、今年の問4は何が出題されたのでしょう。「資料の整理」でした。いつかは出題されるだろう、とは考えられていましたが、せいぜい問2の小問総合での出題ではないかと予想されていました。それが、今まで十数年間出題が続いていた「確率」の問題を押しのけて大問として出題されたわけです。受験生は驚いたでしょうね。とくに数学が不得意で確率で得点をかせごうと思っていた生徒は、その作戦がこわされてしまって泣くしかなかった、というわけです。今後の数学の出題は流動的な性格が強まると覚悟しておくべきでしょう。固定化、パターン化した問題の出題はなくなる。出題は毎年変化する。そう考えて対策を練っておくべきです。それでは、そんな数学に対しての学習法はどうすべきか。今までであれば過去問を解くことが学習の中心でよかったのです。何しろ、同じような出題が繰り返されていたのですから。今後はそうした学習法ではダメです。お薦めなのは、全国の都道府県の公立高校入試問題を解くことです。公立高校入試の問題はどの都道府県でも出題範囲は学習指導要領の範囲内からです。ただ、様々に工夫された出題がされています。そうした良問をたくさん解くことで、脱パターン化した神奈川県の入試問題にそなえるのです。さて、数学の出題ではもう一点注目すべきことがあります。それについては次回・・・
2015.05.14
昨日は英作文について分析をしてみました。今日は英文読解の問題についてです。新しい入試問題では、出題が重層構造になっている、ということを書きました。たとえば、「源頼朝によって幕府がおかれたのはどこか?」という出題は単層構造です。それに対して、「年表の(ア)の時期に幕府がおかれた場所を地図中の(1)〜(5)の中から選んで答えなさい」という出題が重層構造です。まず、年表の(ア)の時期がいつなのかを考えて鎌倉幕府のことだなと理解し、つぎにその場所を地図の中から探すのです。ステップ数が多い。問題と解答の距離が長い。解くのに手間がかかる。そんなふうに言い換えても良いでしょう。英文読解の問題もそんな出題ばかりになっています。次の問題を見てみましょう。英文から状況を読み取る問題です。それほど難しい英文ではないのでみなさんも解いてみてください。この問題の正答率は19.7%でしかありませんでした。英文から読み取らなければいけないことがいくつもあるのです。*本のリクエストを出したのが6月3日(水曜日)だということ。*リクエストをしてから本を受け取れるまで7日かかること。*ただし、新刊書の場合はさらに5日かかること。*日数はリクエストをした翌日からかぞえること。*月曜日は1日と数えること。ここまで情報を読み取って丁寧に数えていくと6月15日というのがわかります。しかし、ここにワナが仕掛けられていて、15日は月曜日なので休館日なのですね。したがって本を受け取ることは不可能です。ですから解答は6月16日ということになります。まぁ、こんな意地悪な出題そのものがかつての神奈川県の高校入試ではあり得ませんでした。選択問題ですが、問題から解答までの距離が本当に遠いです。というよりも、ここまで問題の中から情報を取り出さないと解答できない問題を生徒たちはほとんどやったことがないはずです。学校の定期試験の問題はほとんどがステップが1つしかありません。丁寧に書かれていることを箇条書きでメモし、できれば簡単なカレンダーを書き、根気よく条件にあわせて解いていく、そんなことが出来る生徒はそれほどいるものではありません。何が難しいのかおわかりでしょうか。英文そのものが難しいのでは決してないのです。ざっくりといってしまえば「根気よく問題に対するチカラ」とでもいってよいものをもっているかどうか、それが神奈川県の高校入試問題を解く鍵なのです。そしておかりですね。そうしたチカラが今のこどもたちには最も欠けているということを。じっくりと正座して問題を解く。それができるようにしていくことがゼッタイに必要なのです。そうした学習というか、訓練をしないとダメなのです。
2015.05.12
今日は英語について分析してみましょう。まずは英語の得点分布です。昨年の分布と比べてみるとわかりますが、棒グラフが低い方(左側)に寄っているのがおわかりでしょうか。91点以上の得点者も13.8%→4.8%と減っています。それだけ難易度が増した、ということです。かつては神奈川県の英語ほど易しいテストはない、といわれた試験でしたが、それなりに難しくなっているということです。さて、英語が難しくなった、と聞かれてみなさんはどんなことを想像されるでしょう。単語が難しくなった、長文が増えた、文法の難しい出題が増えた・・・ そんなことを考えませんでしたか? すべて違います。神奈川県の英語の入試問題では、難しい単語も、構文も、文法も出題はありません。むしろ、単語や熟語などは、すべての教科書に共通する易しいものしか出題されていません。長文も、今年度からはすべて「対話文」となり、難しいテーマの英語長文の読解力など全く必要ないのです。それでは何が難しくなったのか?出題のプロセスがかわったのです。これは他の教科と同じです。保護者の皆さんからみると「えっ!」と驚くような出題ばかりです。いわゆる「使える英語」というのがキーワードとなった出題になっているのです。アウトプット重視の英語力がもとめられています。それを今回は「英作文」の出題から見てみましょう。今春入試では5題で20点分の英作文の出題がありました。4年前までの神奈川県の高校入試では英作文の出題はなかったのですから、5題の出題は隔世の感があります。もちんそれだけでも難易度があがったということですが、注目したいのはその出題の形式です。この5題のなかに、単純に日本語を英語にする出題は一題もありません。「あなたは日本語を毎日話すべきだ」という日本語を英語にしなさい、といった出題はないということです。まずはリスニングの問題の中で英作文の問題が出題されています。メアリーからカナへの留守番電話のメッセージがリスニングとして流れます。それを聞き取った上で次の質問に対する答えを英語で書くのです。「Mary thinks that a Japanese tea cup is better than flowers as a present for Tom. Why dose she think so?」他の教科でもそうですが、解答を導き出すまでのステップ数が多いですね。英語の聞き取り→聞き取った英語の理解→英文で書かれた質問の理解→何を答えるかを導き出し→それを英文でまとめる。ざっとこれだけのステップを踏んではじめて解答ができます。しかも、この出題形式は昨年まではなかったものです。昨年は日本語で答えさせていました。入試は英語からスタートします。緊張している中、リスニングがはじまり、今までにはなかった出題形式の英作文にぶつかり、と生徒たちはかなりのプレッシャーを感じたはずです。この英作文の正答率は6.3%でしかありませんでした。つぎの出題も同じような問題です。短い英文を読んでその内容を理解し、出題の指示に従って英作文をします。模範解答は「You should speak Japanese every day.」というものです。「あなたは日本語を毎日話すべきだ」という日本語を英文にするならば簡単です。この問題の正答率は33.5%でした。こうした出題に対してはそれなりの対策が必要です。しかし、一昨年からの神奈川県の高校入試問題はパターン化から脱却しています。今春のリスニングの英作文のように、ある意味では「どんな形式で出題されるかわからない」ということです。それでもおおきなくくりとして「解答までのプロセスの重層化」は間違いありません。「日本語→英作文」といった単純な出題形式ではなく、「リスニング→英文の理解→英作文」と、解答までのプロセスが何段階かの重層構造になっている、ということです。何度も書きますが、こうした出題は学校の定期試験ではありません。絶対評価になり、学校の定期試験はあくまでも「単元ごとの理解度の確認」というテストになっています。つまり、学校の定期試験対策とこうした高校入試問題への対策は全く別ものだということです。とにかくしっかりと対応できるように学習をしていくことが必要です。
2015.05.11
2年前にガラッと様子を変えた神奈川県の公立高校入試問題。そもそも入試問題というのは「問題を読む」→「考える」→「解答する」といった3つのプロセスで取り組んでいくことになります。この3つのプロセスのうちどこの部分が難しくなったのか、それを最初に理解しておく必要があります。これは社会の問3の(ア)の問題です。パッと見てどんな印象を持たれるでしょう。文字情報が多い、と思われませんか? もともと神奈川県の公立高校入試問題は文字情報が多かったのですが、3年前までの出題ではその問題文のほとんどを読み飛ばしても、「何を聞いているのか」「何を答えれば良いのか」といったことがすぐにわかったものでした。それがここ2年ほどの問題では、社会に限らずすべての教科で設問分が長く、難解になっているのです。つまり、問題を読んで何を求めているのかがひどくわかりにくいものになっているのです。この社会の問3(ア)の問題にしても、刀狩りについて問われていることを理解するまでにかなりの情報処理が必要になっています。写真とその下の文章を読んでを見て、設問は豊臣秀吉の小田原攻めのことだ、とわからなければなりません。さらにその時代の出来事を知識の中からひっぱり出して解答する。そして、点線内の文章から「刀狩り」について尋ねられていることを理解し、さらにその結果としてもたらされてことを解答する。この二つを答えられてやっと4点をもらえるわけです。今時の生徒たちは問題文を読むのが不得手です。というよりも、読む手間をまったくかけようとしない生徒が多いのが実際です。なぜだと思いますか? それはふだんからこうした「長い」「難解な」問題文を読む機会をもっていないからです。学校の試験は、小学校の場合は応用問題でも「ほとんど読まずにそこにある数字をかけたり割ったりすればよい」といった問題ばかりです。中学の定期試験も、じっくりと問題文と向き合う必要のある出題はほとんどありません。つまり、神奈川県の公立高校入試問題は、その入り口の「問題文を読む」というところで、多くの受験生たちにとって「高いハードル」となってしまっているのです。しかも、このハードルを越えるための訓練は、学校の授業やその定期試験対策で身につくことはほとんどないのです。そのことをまずはしっかりとわかることです。根気よく、根気よく、根気よく、あきらめずに、あきらめずに、あきらめずに・・・・ しっかりと問題文と対峙するチカラ。こんなチカラがご自分のこどもさんにあるといえるお母様はほとんどいないはずです。まずは、入試対策はここからなのです。
2015.04.29
今春実施された神奈川県公立高校入試の理科の得点分布です。あらためてみるとすさまじいですね。90点以上が0%、70点以上をみても3.5%というすさまじさです。正答率が1.8%なんて問題もあってその難しさのすごさがおわかりいただけるでしょう。何がどうむずかしかったかについては稿をあらためます。今日は、これだけ理科が難しいと受験生にどんな影響がでるのかについて考えてみます。理科が難しい、と聞くと皆さんは、理科が不得意な子は大変だ、と思われないでしょうか? 実はその逆なんです。理科が得意な子が大変なんです。もう少し細かくいうと、理科がそこそこ得意な生徒が大変になってしまいます。理科が不得意な生徒はそれほど合否に影響はありません。どういうことか・・・ここまで理科が難しいと、どうせみんなできないわけです。21点〜40点に全体の半分弱の生徒が集中するテストです。ここで差がついて合否に影響することはあまりありません。もちろん、この理科で70点の得点がとれればかなりのアドバンテージになります。しかし、それだけの得点をこの問題で取るのはかなりしんどいです。それよりも注意が必要なのは、平均点が64.4点と、理科の37.4点と比べて27点も高い国語です。国語で高得点がとれないとものすごい「差」がついてしまいます。入試というのは競争です。ということは、難しい教科よりも、平均点の高い教科で「差」がつきやすいということ。そこで合否がわかれてしまう、ということです。残念なことに、神奈川県の公立高校入試では、理科が「そこそこ得意」」な生徒がかなり不利になってしまっています。さらにいうと「国語が不得意な生徒」は入試で不合格になる可能性をかなりもっている、ともいえるわけです。そもそも同じ県の入試問題で平均点が30点近くもちがう問題をつくっている県教委の神経を疑いますが、理科が難しいことの影響をしっかりとわかっておきましょう。
2015.04.23
今日の午前中は模試会社が主催する「県入試の分析セミナー」に行ってきました。2012年に大きく変わった神奈川県の入試問題。今年で3年目でしたが、その大きな流れがはっきりと見てとれるようになっています。このあともいくつかのセミナーに参加して私なりに今年の県入試を分析し、来春の入試対策に活かしていきたいと思っています。県入試の新しい流れをざっくりと箇条書きにすると1 大幅な難易度のアップ2 教科横断型の出題3 パターン化からの脱却4 情報処理能力を問う問題の増加5 記述問題の増加といったところです。こうした流れは、現中1が大学受験をするときに予定されている「大学入試の大改革」を先取りしたものでもあります。この改革では、PISA型の問題に軸足が移り、知識理解よりもどれだけその知識を使えるかを試す方向に向かいます。たとえば、今春の県入試の社会の問題をみると、語句を答えさせるのではなく、その語句の意味をしっかり把握しているかを試されています。「参勤交代」という語句を答えさせるのではなく、「参勤交代」とはどういったものなのか、さらにつっこんで、「参勤交代」によって幕府は何をしようとしたのか、大名は具体的にどんな影響を受けたのか、といったことを答えさせられるのです。少しずつまとめながらこのプログでも「県入試の分析」をおこなっていきます。また、詳しいことは7月5日に予定している保護者会でお話しします。
2015.04.20
今日は「特色検査(自己表現活動)」についてです。今年はmiyajukuから湘南高校と厚木高校を受験した生徒がいるので、手もとにこの2校の「特色検査」の問題があります。そもそも「特色検査(自己表現活動)」とはなんなのか。これは5教科の一般試験以外に、それぞれの高校が独自に実施する検査(試験)で、「自己表現検査」か「実技検査」を実施することができます。「実技検査」の方はわかりやすく、美術や音楽、体育のコースなどでそれらの技能をみる検査です。それでは「自己表現検査」はいったいなにをするのか? この検査を実施しているのは、湘南、横浜翠嵐、厚木、平塚江南、柏陽、小田原・・・ 進学トップ校ばかりです。たとえば湘南高校の場合は、5科の試験500点+学校の成績300点+面接200点+特色検査100点の1100点で合否が決まります。ちなみに、湘南高校の面接点はほぼ全員が満点になるのでそこでは差がつきません。さて、今年の湘南高校の特色検査の問題をみながら、何が出題されるのが特色検査なのかを具体的に見てみましょう。フードマイレージ(食糧を生産地から消費地まで運ぶのに使用される燃料から排出される二酸化炭素の大小を示す指標)について説明があり、ふたつの食材のうちどちらがフードマイレージが小さいか、といった出題。「含意法」「換喩法」「緩叙法」「誇張法」「擬人法」などという日本語のレトリックについての出題。この出題の中には、複数の英文の中から「擬人法」がつかわれているものを選ぶなどといった教科横断的な出題もあります。朝日新聞の「それぞれの国のエネルギー事情」の文章を読んで、表の中からそれぞれの国を選ぶも問題。下の絵の中から「一点透視図法」と「空気遠近法」の絵を選択する問題。これら以外にも、数学的な規則性の問題、理科の光の進み方の問題なとも出題されています。どうですか。こうした教科横断型の出題が特色検査ですが、学校ごとに出題の傾向が全く違っています。湘南高校は最も様々な教科から融合的な問題を出題し、最も入試っぽくない特色検査になっています。この学校は、机の上の学習だけでなく、美術も音楽も体育も・・・総合的に出来る生徒がもともと入学してくる学校なのでこうした出題になっているのでしょう。逆に横浜翠嵐高校のように、英語や数学といった教科をミックスはしていても、限りなく「普通の難易度の高い入試問題」に近い出題の学校もあります。今年の湘南高校の特色検査の問題は、過去2年のものよりもずっと取り組みやすかったはずです。もちろん、3年目ということで受験者がそれなりに対策をとったから、とも言えるでしょうが。したがって、特色検査で合否に差がつくことはほとんどないといっていいでしょう。これは、湘南高校を訪問したときに、校長先生がおっしゃっていた通りです。http://plaza.rakuten.co.jp/miyajuku/diary/201410230000/特色検査があるから、と、これらの進学トップ校の受験を嫌う生徒は多いです。でも、それはもったいないことです。それはどうしてか、また、こうした特色検査にどう対応すれば良いのか、そんな話はまた別の機会に。
2015.02.19
今年の入試問題についてまとめておきます。まずは英語です。英語まず、リスニングのしゃべりのスピードが速かった、とか、発音がネイティブすぎて聞き取れなかった、などといった声が多かったです。私は実際に聞いていないので、もしも生徒たちの言うとおりであれば、来年度は対策が必要かもしれません。また、問1のリスニングの(ウ)の問題が、昨年までは英文を聞いて質問に対して日本語で答える問題だったのが、英文で答える形式に変わりました。ここの問題は来年度以降も形式の変更があると思っておいた方がよいです。問2はいつものように英単語を書かせる問題でした。ただ、昨年まで英文と日本文が併記されていたものが、英文だけの出題に変わりました。foreignを間違えた生徒が多かったと思いますが、こうした基本単語もばかにせずにしっかりとスペルを覚えていくことです。問3は空所の穴埋め、問4は語順整序と、例年通りの出題です。6つの中から5つの語句を選んで並べ替える形式も同じでした。問5は条件英作文が2題でした。4点×2題の出題です。(1)は自由英作文ではなく、ほぼ中間点がつかない正解か不正解か、といった条件作文です。(2)は自分で考えた内容を英作文にする問題で、昨年は出題されなかった形式です。問6も英作文でした。こちらは昨年と同じように、漫画と吹き出しがあり、流れにそった英文を考えて書く、というものです。こちらも4点×2題。全体として英作文の出題量が増えています。来年度入試に向けてはしっかりと対応できるようにしていきたいです。問7は長文読解なのですが、昨年までとは形式を一変させました。学校の交通安全について、集会で先生がスライドを使って生徒たちに説明する英文でした。あきらかに今後はこうした出題が増えるはずです。「使える英語」の出題です。問8が今までと同じように図表と英文がいっしょに出題されて、中には計算も必要な問題です。問7が似たような形式になったので3題の出題に減っています。(ウ)は日数だけでなく曜日も考慮しなければならず難しかったはずです。問9が対話文の長文読解問題。ということは、昔ながらのストーリーのある長文読解問題はなくなった、ということです。これも「使える英語」への流れと言えるでしょう。全体に昨年度よりも若干難易度が上がったと思われるので、平均点はわずかでしょうが下がると考えられます。
2015.02.18
14年度入試分析と15年度入試の予想の4回目です。今回は社会について分析します。社会科の得点分布です。昨年、急激な難易度アップをし、今春入試では揺り戻しで易しくなるかと考えていましたが、ほぼ昨年並みの難易度でした。このまま社会はこのレベルの難しさを継続していくのでしょう。90点以上が1%、80点以上でも6%と、成績上位層の生徒でも解くのに苦労している様子が良くわかります。と同時に、理科と違ってきれいに正規分布しているのがわかります。ここに社会の難易度アップの鍵があります。今までであれば、「つぎの1〜5の出来事を古い順に並べてその3つめの番号を答えなさい」といった設問だったのが、5つの中から3つを選ばせ、それを並べ替える、といった「ひと手間」を加えた設問になっています。単に並べ替えてその3つめに古いものを選ぶのであれば「なんとなく」できてしまいます。そうした安易な解答方を排除するねらいがあるのでしょう。この問題の正答率は34.9%でした。もちろん、記述問題も増えています。表と資料から、1965年時点において、日本の航空機が東京都パリ間を飛ぶ現在の航空路を飛べなかった理由を70字以内で書く問題です。正答率は9.8%でした。資料の読み取りも当然ですが、冷戦という歴史上の事実もふまえた上で記述しなければなりません。他に、15字と25字と80字の3問の記述が出題されています。こうした社会の入試問題に対する学習法はどうすれば良いのでしょうか。1 社会を暗記教科ととらえない。知識理解は正確に丁寧にするようふだんから心がけて学習する。2 「ひと手間」かけた問題形式に慣れるようにしよう。面倒がらずに問題文をしっかりと読むくせをつけよう。3 資料読み取り+説明記述の問題に対しては、そうした問題の演習をしっかりとやること。つねに「何を答えるのか」を考えることが大切だ。いずれにしても学校の社会科の進度は遅い。まだ公民分野に入っていない学校がほとんどだ。これでは上記のような学習をする時間がないままに入試を向かえてしまうことになる。できれば、夏休み中に公民分野の学習を終え、秋に地理と歴史の総復習をし、12月からこうした入試問題形式の問題演習に入る、といったペースで学習を進めたい。
2014.06.06
14年度入試の数学の分析です。まずは得点分布です。きれいな正規分布ですね。ある意味ではこの得点分布が数学の特長です。問題の難易度がサービス問題から正解率が数%のものまでバラエティに富んで出題されている、ということです。したがって、自分の数学のチカラをしっかりと見きわめ、できる問題をしっかりと得点すること、数学に対する対策はそれにつきます。どの問題が易しいかというと、問1と問2です。問1の計算問題は基本的な出題しかされません。問2は様々な分野から出題されますが、教科書の例題レベルです。正解率も80%前後です(1問だけ7%でしたが)。ここまでは何があっても全問正解したいです。その他の問題は一昨年に比べると「ひとひねり」された出題が増えました。また、確率の問題で図や例が省かれるなど、自分で問題の内容を読み取らねばならない出題も増えました。大切なのは「見きわめる目」を持つことです。できない問題に何分も時間をかけるのでなく、できる問題をしっかりと解くことです。その「見きわめ」こそが重要です。関数の問題など線がたくさんあって難しく見えます。しかし、これらの線は「こけおどし」です。問題を解くのに必要な情報はその一部です。図形の証明問題も昨年から完全証明にかわって難しくなったように思われがちですが、実は内容はたいしたことはありません。すべて書くのはなぁ、などと思わずにしっかりと得点をかせぎましょう。逆に今年の問題の中で最も面倒だった2問。問5の連立方程式と問6(ゥ)の三平方の定理の問題。それぞれ正答率は3.7%と1.8%でした。こうした問題は数学が得意でない生徒は手を出さないで良いです。時間をかけるだけムダになります。また、来年の入試で同じパターンの問題が出題されるかもわかりません。出題の非パターン化というのもここのところの数学の出題の特長です。連立方程式を一所懸命に学習しても、来年度入試で出題はなかった、ということも十分に予想されます。まとめますと、数学については自分の目標点を定め、その得点をどの問題でとるのかをしっかりと決めた学習を進めていくことです。
2014.05.23
14年度入試の英語の分析です。一昨年までの神奈川県の入試問題英語は、全国の中でも最も易しい部類に属していました。50点満点で50点をとれる生徒がかなりの人数いた試験でした。それが今春入試では100点が2.7%、90点代が10.1%という入試になりました。今までは「易→難」と比較的にわかりやすい構成で問題が並んでいました。それが今春入試ではバラバラと難易度が分散しています。また、リスニングをのぞくと40分の試験時間ですが、今春入試では英語が得意な生徒でも時間がなくなってしまう問題量になっています。注が必要な難しい英単語がたくさん使われているわけではないのですが、とにかく分量が多いです。「正確に、速く」英文を読む訓練が必要です。英文の難易度は英検でいうと4級程度です。なーんだ、と思わないように。易しいけれど量が多い。同時に設問が面倒。とにかく問題への慣れが大切です。いくつか特徴的な問題を抜き出しておきます。まず、リスニングです。聞き取った内容を日本語でまとめる、といった他の都府県にはない出題形式です。2年続いたので今後も続きそうです。正答率も26.6%と低くなっています。メモをとって聞き取るクセを是非ともつけたいです。今年初めて出題されたのが「イラスト英作文」です。それほど難しいものではなかったのですが、正答率は21%と35%でした。もしも日本語を英語にする問題であればもっと正答率は高かったはずです。まずはイラストの流れに沿って何を書くのかを自分で考えなければなりません。同時に、何を書くかがわかっても、それをどう英文で表現するか、ということがわからなかった生徒も多かったでしょう。これは他の教科にもいえることですが、解答を導き出すまでのステップ数が上がってるのが今回の神奈川県公立高校入試の特長です。「ケンはシロがボールを運んでいるのを見た」という日本語を英作文するのでなく、イラストからその状況を読み取って英作文をさせているのです。もうひとつ。問8のイの問題です。英語による計算問題です。計算自体はそれほど面倒ではないのですが、こうした教科横断的な出題もこれから増えていくはずです。
2014.05.16
入試問題の理科の難易度が上がった、といったことを一昨日の記事で書きました。それでは何が難しくなったのか、具体的な問題に踏み込んで書いてみたいと思います。これは正答率が3.7%だった問題です。一昨年までの問題であれば、正答率が一桁というのはありえませんでした。さて、何が難しいのかみなさんにはおわかりになりますか?というよりも、一昨年までの問題との大きな違いがふたつあります。それがこれほどの難易度アップにつながっているのです。ひとつは 絵や図がないこと です。今までであれば、こうした問題には必ず実験のイラストが付属していました。ある意味ではイラストさえ見れば問題文は読まなくとも質問の中身がわかるようになっていました。絵がなくなってしまったことによって、問題文を読み取り、そこから実験の内容を自分なりに図や表にして整理する必要が出てきたのです。これによって難易度がグンと上がっています。ふつために 具体的な金属の名前が使われていない ことです。この問題は化学電池の極にする金属の問題です。もしも問題文の中に、銅、鉄、亜鉛、アルミニウム、などと具体的な金属の名前があげられていれば普通の問題だったのです。それが、金属A、B、Cなどと抽象的な記号で示され、実験の結果からそれぞれの金属板がどんな性質なのかを類推する手間が必要になっています。しかも、最後まで具体的な名前は問われません。たったこれだけのことで正答率は3.7%になってしまったのです。問題の難易度が上がった、というよりも、与えられる情報が減った、と同時に、情報を処理する能力が大きく求められるようになった、ということです。これは理科に限らず、他の教科すべてにもいえることで、例えば、数学の確率の問題からも図や例がなくなっています。問題そのものは一昨年とほぼ同じなのに、図がなくなっただけで正答率はグンと落ちてしまいました。来春の入試に向けてどんなチカラをつけていく必要があるのか、その鍵は見えてきましたね。
2014.05.10
今春おこなわれた公立高校入試の結果が神奈川県教委から発表されています。http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/life/457625_2230453_misc.pdf詳しくはリンク先の記事を読んでいただければ良いのですが、以下は私なりの感想です。今回の入試で最も特徴的だった理科についてです。理科の度数分布をみてください。11点〜40点までに60%の受験生がはいっています。また、81点以上が全受験生の1.9%しかいません。25年度の平均点が66.4点で今年の平均点38.6点との差が27.8点もあること以上に、上位校を受験した生徒には厳しい入試だったということが証明されています。どういうことかというと、理科が得意で、この教科でライバルと差をつけようと考えていた受験生たちは、思いの外に難易度が高く歯ごたえのある問題の前に得点を稼ぐことができなかった。逆に理科が不得意だった生徒は、あまりに難しい問題に自分も太刀打ちできなかったが、結果的にみんなができなかったので差にならなかったということです。数学の難易度もそれなりに高く、91点以上は全受験者の1.7%。81点以上でも6%。逆に英語は91点以上が12,8%、81点以上は24,8%。理数が得意な生徒は不利で、逆に英語が得意な生徒は得点がとりやすかったということです。入試というのはあくまでも相対的なもので、受験した学校の中で合格ラインを上まれば良いのです。どの教科で何点とろうが関係ありません。前にも書きましたが、平均点を一気に30点近く下げたこと。11点〜40点までに60%の受験生がはいってしまったこと。理科の作問者にはどのような意図があったのか。また、ここまで得点が悪くなると予想できなかったのか。できるならば会って話をしたいぐらいです。正直、来年度入試に向けては、理科の学校の成績が評定3の生徒は、入試対策は一切おこなわず「三番目の選択肢を選びなさい」といった指導しかないかもしれません。何にも考えずに「三番目の選択肢」をすべて選んでも20点代の得点になります。下手に考えるよりもその方が高得点、といった笑えない話になってしまいます。しかも、理科の難易度アップは、理科的な知識・理解の難しさというよりも、問題形式の煩雑さに拠るところが大きいのです。国語力のない生徒。問題文を読み取る力がない生徒。これらの生徒には、何を聞かれているのかもわからない、といった問題なのです。間違いなく理科は全国の中でも最も難しい入試問題になってしまいました。これが来春も続くのかどうか。塾の指導者として最も悩むところです。
2014.05.08
今日の午前中は、教育開発という模試会社の「公立高校入試分析セミナー」に出席してきました。神奈川県の公立高校入試を模試や教材で扱っている販社は4社ほどあります。教育開発、全県模試、新教育、エデュケーショナルです。それぞれにしのぎを削っているので、どこも良い模試や教材を提供してくれています。情報もそれぞれに特長のある出し方をしてくれるので、私はできるだけ4社をすべて利用するようにしています。今日のセミナーもそれなりに役に立つものでした。このブログでも、今日のようなセミナーに参加し、私なりに分析した今春入試について少しずつふれていきたいと考えています。「14年度入試分析と15年度入試の予想」というテーマを新しく作りましたので、そちらに記事をまとめていきます。来春入試をひかえた中3生だけでなく、それより下の学年の父母の方も是非ともお読みになってみてください。さて、今春入試の最大の特徴は「難化」ということです。とにかく難しくなりました。ただ、セミナー等で話を聞きますと、それほど難しくなった神奈川県の入試問題ですが、理科をのぞけば、全国の公立高校入試の中では中程度の難易度だということです。試験中に泣き出す受験生を出したあの理科は全国トップの難易度で間違いないようです。つまり、一昨年までの神奈川県の公立高校入試は全国で最もやさしい部類に属していた、ということです。今年の入試で神奈川県の公立高校入試問題が全国的に平均値の難易度になった、と理解して良いでしょう。一口に「難化」といっても、何が、どのように難しくなったのか、という分析をしなければ意味がありません。次回はそんなところから14年度入試問題を解きほぐしていきたいと考えています。
2014.04.16
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