一般ニュースメモ


2010 5月22日8時15分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

 日本鉄鋼連盟が21日発表した4月の粗鋼生産量は、前年同月比56.7%増の898万8000トンと6カ月連続で前年実績を上回った。中国などアジア向け輸出が好調だったことに加え、政府の購入支援策の恩恵を受けた自動車向け需要の拡大も全体を押しあげた。

 単月の生産量としては、2008年10月以来の高水準になった前月(934万1000トン)に比べると3.8%減少したが、4月の1日当たり生産量は29万9600トンで前月比0.6%の微減だった。鉄鋼連盟では「輸出に支えられた回復基調が続いている。前年同月比の伸び率も前月と同様に戦後復興期並みの水準だ」としている。公共事業の削減などで冷え込んでいる建設向け需要は依然低迷しているものの、底打ち感もみられるという。

 鋼種別にみると、幅広い用途で使用される普通鋼は前年同月比47.1%増の698万6000トンで6カ月連続、自動車などに使われる特殊鋼は同2倍の200万2000トンで5カ月連続それぞれ増加した。


「着実に持ち直し」を維持=景気判断―5月月例経済報告
2010 5月24日15時5分配信 時事通信

 菅直人副総理兼経済財政担当相は24日、5月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。景気の基調判断は「着実に持ち直してきている」とし、上方修正した3月以来の表現を維持した。20日発表の1~3月期国内総生産(GDP)速報値が高い伸びを示したものの、内需のカギを握る設備投資の動きやギリシャの財政危機に端を発した欧州信用不安の影響などを見極める必要があると判断した。
 個別項目では、3月に上方修正した個人消費や設備投資を含め判断の修正はなかった。企業物価は素材市況が堅調に推移しているため、従来の「このところ緩やかに上昇している」から「このところ」を削除した。 





証券税制、税率軽減延長せず 新たな優遇創設へ 自民税調

 来年度中に期限切れとなる株式譲渡益や配当などに対する課税の優遇措置について、自民党税制調査会は延長しない方針を固めた。今年末に決定する平成19年度税制改正では、代わりに新たな優遇措置を創設する方向。「企業の税引き後利益の中から投資家に還元している配当に税金をかけるのは二重課税」といった批判や、個人金融資産の「貯蓄から投資へ」の流れを定着させる方策を求める声に配慮した。

 上場株式などの譲渡益、配当に対する税率は本来の20%を15年度から10%に軽減しているが、譲渡益は19年末に、配当は20年3月末にそれぞれ期限切れを迎える。自民税調は「期限付きで設けた減税措置は、原則的に期限通り廃止」(税調幹部)との考えだ。

 優遇措置が始まったのは株式相場が低迷していた時期。個人金融資産を貯蓄から投資へ向かわせ、株式市場を活性化させることが重要課題だった。

 だが、その後の景気回復で、株式市場も低迷を脱し、日経平均株価はバブル後最安値の倍以上となる1万6000円を超える水準にまで戻した。インターネット専業証券の台頭もあって個人投資家層が拡大。個人金融資産の1割強が株式投資に振り分けられるようになったうえ、さらに拡大する傾向がみられる。

 こうした環境の変化が自民税調の基本方針を後押ししたようだ。

 しかし、産業界では配当二重課税問題への批判や、「長期保有の株主を増やすことが経営の安定、国際的な競争力向上にもつながる」などの声が強い。また、証券業界からも「貯蓄から投資への流れが鈍る」などの懸念が示されていることに配慮。いったん優遇措置を打ち切ったあとで、引き続き何らかの税率軽減措置を検討する。

 ただ、株式を頻繁に売買し、利ざやを狙う「デイトレーダー」と、配当収入を目的に長期保有する投資家とを同じに扱うべきではないとの意見も根強く、新たな優遇措置では譲渡益と配当で、扱いが違ってくる可能性もある。
(産経新聞) - 10月18日8時0分更新



<縦並び社会・格差の現場から>ヒルズ族になれなかった男

 新聞が「極寒」と書いた12月半ばの香港。中心部からやや外れた北角地区のオフィス街は、雑然とした雰囲気が東京の池袋を思わせる。
 松島庸(いさお)さん(32)はこの街で今年夏からインターネットを利用する格安電話(IP電話)販売会社の雇われ社長をしている。部下は5人しかいない。親会社の日本人社長は自分より若い。「35歳がシステム開発できる限界だ。これが最後のチャンスだと思う」
 4年前まで東京でITベンチャー企業「クレイフィッシュ」の社長をしていた。サイバーエージェントの藤田晋(すすむ)社長(32)、ライブドアの堀江貴文社長(33)と若手IT起業家の「三羽ガラス」と呼ばれた。
 高校生の時に経済誌のフリーライターを始めた。95年、「インターネット上に街をつくる」ことを目指し、大学在学中の21歳で起業。中小企業向けにメールやホームページを提供する新規事業を立ち上げた。26歳の00年3月に米ナスダックと東証マザーズに日本企業で初の同時上場を果たし、国内の最年少記録も藤田社長とともに更新した。
 最盛期の社員は250人。個人資産は2000億円に上った。堅実な母親は取引先に伊藤忠商事があると聞き、「まだ遅くないから入社させてもらいなさい」と言った。
 上場から1年余り。大株主とのトラブルで足元をすくわれ、会社を追われる。
 ITバブルの崩壊で若き起業家たちは「ネットは虚業だ」「投資家に死んでおわびしろ」と責められた。
 藤田、堀江両社長も買収の危機にさらされていた。2人は赤坂の看板の出ていないレストランに松島さんを呼んで「残念会」を開いた。電車賃にも事欠いた松島さんに、いつも強気の堀江社長がしんみりと声をかけた。「これで自由になれるじゃないか。うらやましいよ」
 03年秋。ライブドアは売上が前年から2倍の100億円に達した。松島さんはIP電話の営業に行く。アポイントを取ったのは役員だったが、堀江社長が出てきた。互いに昔話は切り出さない。堀江社長は「何か一緒にできればいいですね」と言った。しかし商談は進まなかった。
 松島さんは上海に渡り、再起を図ったが軌道に乗らず、香港にたどり着いた。何が3人の明暗を分けたのか。藤田社長は今も紙一重としか思えない。
    ×   ×
 人も会社も横並びが崩れ、「勝ち組」と「負け組」にはっきり分かれようとしている。格差拡大の先には何が待っているのか。私たちはどんな社会を目指せばいいのか。手がかりを探して、格差の現場を歩いた。
 12月19日夕、東京・渋谷のセルリアンタワーホテル。ヒルズ族の象徴の1人になったサイバーエージェントの藤田晋社長(32)は届けさせた書類にサインを済ませ、15分ほど遅れて新卒採用予定者の研修に現れた。
 売上400億円超、個人資産は500億円。女優の奥菜恵さんとの結婚と離婚でも騒がれた。社長自ら最終5次面接で選んだ100人に与えた課題は、就職活動する学生を自社に引きつけるサイトの作成とプレゼンテーション。優勝チームは自宅に招待する。
 「人生には三つの坂があります。上り坂と下り坂。社長、あと一つが分かりますか」。男性内定者がマイクを向ける。ヒット曲が頭に浮かび、「さくら坂かな」と答えた。「惜しい。答えは『まさか』です」
 内定者が続ける。「まさかこんな大きな仕事ができるとか、そんな『まさか』がこの会社では実現できることを表現したい」。背後のモニターには彼らが蹴った大手企業の一覧が映し出された。
 藤田社長は福井県鯖江市で生まれた。父はカネボウの工場で働く会社員。子供心に感じた。家庭を支えてくれているが、将来が見えているのはつまらない。起業を意識した。98年に会社設立。朝9時から深夜2時まで一日も休まず働いた。わずか2年後の00年3月、東証マザーズに上場し、225億円もの資金を集めた。
 直後、ITバブルの崩壊で株価は一時10分の1にまで下落する。夜の東京をあてもなくさまよう日々。9キロやせた。
 松島庸さん(32)が経営するクレイフィッシュに異変が起きたのも、その少し前だ。主力のメールサービスの解約が急増していく。業務提携先で筆頭株主の光通信による無理な販売が原因だった。同社の出資先は「ヒカリモノ」と避けられ、他の提携相手も見つからない。
 自分の持ち株を売って10億円の現金を元手に新会社を作ることもできた。会社が消えても人生はやり直せる。社員にもそう伝えた。その自分が会社をどうしても手放す気になれない。「社員のために、やれるところまでやろう」。業務提携を解消し、徹底抗戦の道を選んだ。
 光通信に退任要求を突きつけられた。主要株主になっていた村上ファンドがこの動きに同調する。01年5月、辞任。27歳。後任に選んだ部下の留守電に「あしたから社長を頼む」と吹き込み、携帯を置いた。半年後、創業時からの社員は全員辞めた。
 藤田社長も村上ファンドに会社清算を提案され、思い詰めていた。
 同じ時期、松島さんが会社を追われたことを知る。「おれは粘る。株主と切れたら終わりだ」。大株主との対決を避けながら、新たな株主を探した。一度だけ会ったことがある楽天の三木谷浩史社長(40)に出資を頼んだ。三木谷社長は10億円を出した。
 買収の危機は去った。03年夏、株価が上昇に転じた。
   ■   ■
 松島さんのいる香港は来年2月、相続税を廃止する。富裕層の優遇政策を打ち続けなければ、より有利な場所を求めて海外に流れ出るマネーをつなぎとめられないからだ。すさまじい競争社会で生き残り、世界に通用する起業家になって日本に戻りたい。
 4年前、クレイ社になぜ最後までこだわったのか。「ドライに割り切れなかった。ここに来た今なら違うかもしれない」
 藤田社長は10月24日、武蔵工業大学(本部・東京)で教壇に立った。著名な若手起業家を招いた「ベンチャービジネス論」を履修する学生は200人。この日は他大学の学生や社会人も集まり、定員300人の教室が一杯になった。過去6年間の履修生約700人の中で、実際に起業を果たしたのは数人。上場はまだいない。
 「僕はみなさんの目標になりたい。26歳で上場した僕の記録を破ってほしい」
 藤田社長は、松島さんが香港にいることを知らない。
=つづく
 ◇所得500万円未満の世帯増加 厚労省調査
 厚生労働省の国民生活基礎調査によると、低所得世帯の割合が年々増加している。500万円未満の世帯が増える一方、500万円以上の世帯は減少。データからは「富める人は一部だけ」という方向へ向かいつつあるように見える。
 OECD(経済協力開発機構)が発表する加盟各国の貧困率(所得が全国民の所得の中央値の半分以下の人の割合)で見ると、日本は80年代半ばの11.9%から00年には15.3%に上昇。メキシコやアメリカなどに次いで5番目の高さで、世界でも格差の大きな国ということになる。
 「貯蓄ゼロ」の世帯も増えている。87年には3.3%だったが、その後は上昇を続けた。03年には21.8%に達し、4世帯に1世帯近くになった。05年版生活白書は、若年層で貯蓄ゼロが増えているとして「増大する無業者はとても貯蓄まで手が回らない姿がうかがえる」と分析している。
 ◇識者 私はこう考える
 「上流」「下流」などの言葉がメディアに連日登場し、格差社会への関心が高まっている。格差は拡大しているのか。何が問題なのか。統計データをまとめ、識者に聞いた。
 ・格差なさすぎ
 規制改革・民間開放推進会議専門委員で阪大大学院法学研究科教授(労働法)の小嶌典明さん 格差社会と騒がれているが、戦前の階級社会に比べれば、格差がなさすぎる。年功序列の横並び賃金がまだ主流で、その究極形が公務員だ。成果主義には評価の難しさがつきまとうが、仕事の重要度や能力で差をつけなければ、労働意欲は高まらない。日本の企業は単純労働に高給を払いすぎている。米国は単純労働の給与を抑える代わり、キャリアを磨いて職や企業を渡り歩き、給与・待遇を向上させる自由度が日本よりはるかに高い。
 ・甘んじる姿勢疑問
  精神科医で帝塚山学院大教授の香山リカさん 収入だけでなく機会や希望、満足度などさまざまな点で格差の拡大を感じる。問題なのは、格差の下とされる若い人たちが、最初についてしまった格差を甘んじて受け入れてしまっていること。自分探しや身近な幸せは考えるが、社会のあり方については考えようとせず、声も上げない。一方、格差の上とされる人たちは同情や共感が乏しく、他者に対して厳しい視線を向ける。こうした傾向が続けば、今後も格差は広がる。
 ・「負け組」大問題に
  「機会不平等」を書いたフリージャーナリストの斎藤貴男さん 個人の努力ではどうにもならない格差は現にあり、拡大を続けている。収入の低い「負け組」の若者も今は、定年間際の親へのパラサイト(寄生)や消費者金融の利用で、遊ぶお金も手に入る。しかし、やがて親は老い、借金にも限度がある。どんなに長く続いてもあと10年程度だろう。放置しておけば日本の社会は10年後、勤労意欲低下や治安悪化で取り返しのつかない劣化を招き、勝ち組にも大きなリスクとコストがはね返るだろう。
 ・機会の平等が大事
 「不平等社会日本」の著者で東大総合文化研究科助教授、佐藤俊樹さんの話 現代は不平等そのものではなく不平等感の爆発的拡大が目立ち、実際の格差以上に、「格差が爆発的に拡大する」と皆が信じている。「自己責任」の言葉があいまいなまま独り歩きしていることが最大の要因だ。「勝ち組」は成功を自分の力だと誇示し、「負け組」は失敗を社会の責任にする。その双方が「格差」を強調している。大事なのは結果ではなく機会の平等。個人が結果責任を負うのは、個人に原因がある時に限るべきだ。
(毎日新聞) - 12月29日22時36分更新

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