月下美人

月下美人

日常の非日常な出来事



いつもの事ではあるが上司の仕事が進まない。
上司の仕事が進まないということは部下の私の仕事も進まないという事。
「今日も帰れなくなりそうね・・・・」
こうも続くと愚痴のひとつでも言いたくなる。
しかし言ったところで仕事をしてくれるものでもない。
さて、どうしたものか・・・・
思案していると、突然、上司が口を開いた。
「実は、結婚しようかと思っているのだよ」
何を言い出すかと思えば・・・・
えっ、結婚?
動揺を隠すように言葉を繋ぐ。
「そうですか、それは、おめでとうございます。
お相手は、どちらのお嬢さんなのですか?」
「興味あるかね?」
「興味ではなく、上官を守るという任務でお聞きしているのですが」
「任務か・・・・まあ、いい。
実はまだ返事をもらっていないのだよ」
まだって・・・・報告するということは、ずいぶん自信があるのね。
「お相手の方がどういう方かは存じませんが大佐のプロポーズを断る方は、いらっしゃらないのではないでしょうか。
お若くして大佐の地位ですし」
「そう思うかね?」
嬉しそうに笑っている。
「では中尉、旅行はどこが良いかな?」
「仰る意味が良く分からないのですが・・・お返事もまだとの事ですし、それより護衛する者が決める事ではないというか、お相手の方の希望もあるのではないのですか?」
「だから君に聞いているのだよ、ホークアイ中尉」
仕事が進まないだけでなく、会話まで進まなくなってきたわ・・・・
「私と結婚してくれるのだろう?さっき、断る者はいないって言ったのは君だよ」
と抱きしめられる。
「大佐・・・・大変、申し訳ないのですが私、いつプロポーズしていただいたのでしょうか?」
「君ねえ・・・・まあ、いいさ。
さっさと、仕事を終わらせて君の家へ行くとしよう。ハヤテ号は元気かい?」
「ええ・・・・元気ですけど・・・・・」
楽しそうに書類にサインしている。

とりあえず、今日は家に帰れそう。
考えるのは、家に帰ってからにしよう。
全ては、日常の出来事。
そして、非日常的な出来事。
これから起きることは・・・・日常になるのだろうか?
ずっとずっと先の事かもしれない。

「大佐、コーヒーお飲みになりますか?」
「ああ、頼むよ」
これで十分、今は。
でも、いつの日か・・・・
いや、ずっと共に歩いて行きたいと願う。
それが、どんな形であっても。

不意に目が合う。
「ついて来るか?」
「何をいまさら」




11月号があんな感じなので、補完のため甘々でございます。
大佐的にはプロポーズなのに肝心の中尉に伝わっていない、というか、これがプロポーズというか・・・・
嬉しいけど、何がプロポーズか分からず悩んでしまいます、中尉。
しかも、後先考えてしまうので結婚なんか出来ない~みたいな。

誤字の指摘をいただきまして訂正いたしました。
ご指摘ありがとうございましたv

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