月下美人

月下美人

My little lover?(エドアイ、リクお話)



高くそびえ立つ門の前で溜息をつく。
「はあ・・・・。イヤだなあ・・・・」
これ以上に憂鬱な事は無いというように頭を垂れる少年。
「ま~た、イヤミ言われんだろうな・・・・」
「兄さん、せっかくここまで来たんだし。それに、ほら、ホークアイ中尉が美味しいお茶をご馳走してくれると思うし・・・・」
鎧姿からは想像出来ない可愛らしい少年の声が兄を説得する。
「そうだよな。久しぶりに中尉と話せるし・・・・。
よしっ、行くぞ、アル」
「うんっ」
2人は、守衛に挨拶すると門をくぐった。

「よう、鋼の大将。久しぶりだな。報告書の提出か?」
司令部の中に入ると、くわえ煙草の男が声をかけてきた。
「まあ、そんなとこ」
「あっ、ハボック少尉、お久しぶりです。こんにちは」
アルフォンスが挨拶すると、手をひらひらさせて近づいてきた。
「久しぶりー。来たばっかりでわりーけど、ちょっと力仕事、手伝ってくんねーか?」
「僕ですか?もちろんいいですよ。兄さん、じゃあ、ちょっと行って来るね」
「おー、頑張ってこいよー」
手を振って2人を見送っていると、後ろから足音が近づいてきた。
「エドワード君?」
振り向くと見慣れない私服姿のホークアイ中尉が立っていた。
「久しぶりー、中尉。髪下ろして珍しいー、もしかして帰るとこ?」
「お久しぶりね、エドワード君。違うの、大佐がいなくなってしまって。これから外に探しに行くところなのよ。軍服だと目立つでしょう?外に出ると」
「大佐の奴、またサボってんの?」
困った上司でしょう?と言って笑いながら溜息をつく。
「じゃあ、オレも一緒に探しに行くよ。大佐居ないなら話になんないし、アルは少尉の手伝いで行っちまったし」
「ありがとう。でも、疲れてない?大丈夫?」
「んっ、平気」
「そお?じゃあ、一緒に行きましょう」
手に持っていたマフラーをふわりと巻き、コートを羽織る。
「あっと、中尉ー、ちょっとしゃがんで」
「えっ?」
疑問に思いながらも腰を落とす。
すると後ろに回り、細い首筋に手を伸ばしコートの内側の髪を出してやる。
「あら、ありがとう。よく気が付くのね」
「オレも髪下ろすと同じ位だからさっ」
照れを隠すように笑いながら彼女の手を引いて走り出す。
伝言しておかないとアルフォンス君が探すわね、と通りかかったフリュー曹長に言づてすると司令部を後にした。

「大佐の奴、いったい何処行ったんだ?ぜんぜん居やしねー」
「ごめんなさいね、エドワード君」
本人もこれ位すまなそうにしてくれればと思う程にホークアイ中尉が謝罪する。
「中尉のせいじゃないから、別に謝ることないよ。久しぶりに、いっぱい話できるし」
エドワードの笑顔につられるように微笑みを返す。
「ありがとう、そう言ってもらえると嬉しいわ」
並んで歩きながら旅の様子を話しする。
時には笑い、時には真剣に。
「大変な事も、楽しい事もアルフォンス君が一緒だから・・・・良かったわね」
「んー、アルにはホント感謝してる。ずいぶん助けて貰ってっからなー、何か買ってってやろうかな」
ショーウィンドーをひやかしながら歩く。
手入れ用のオイルを店先で見付けると包んで貰う。
「中尉は何か欲しい物、無いの?」
「欲しい物ね・・・・そうね・・・・寒いから、あそこのお店で温かい物がいいわ」
近くの屋台を指さす。
「オレも何か食べるの欲しいな」
「それじゃあ、決まりね。行きましょう」

「私は・・・・ホットチョコレートを1つ。エドワード君は?」
「んー、フライドポテト1つ」
支払いを済ませると近くのベンチに並んで腰掛ける。
「ありがとう」
手袋を外し、ホットチョコレートを受け取る。
「温かくて気持ちいいわ。エドワード君も飲む?」
ポテトを口いっぱいに頬張りながら答える。
「はぁふぉふぇ、ふぉうふぁい(後でちょうだい)」
「後で?いいわよ。熱いのに、そんなに頬張ったらヤケドするわ」
笑いをこらえながらホットチョコレートを口に運ぶ。
「あ゛~、熱かった~。中尉も食べる?」
「1つ、貰えるかしら」
「ん、中ー尉ー、あ~~ん」
自分で食べられるわ、と笑いながらも口に入れて貰う。
「ん、美味しいわ」
「じゃ、もう1つ。あ~~ん」
「あ~~ん」
えっっ?
聞き覚えのある声に2人同時に振り向く。
そこには、探していた困った上司・・・・マスタング大佐が立っていた。
「ずいぶん楽しそうだが、うちの部下に何をしているのだ?鋼の。それから、ホークアイ中尉、私を捜していたのではなかったのかね?」
「よう、大佐。何って、並んで座ってお茶してるだけじゃん。ヤキモチ?みっともねー」
「何を言っているのだ、ただ・・・・・中尉に「あ~ん」てして貰いたい・・・・・いや、そんな事を言いたいのではなくて・・・・」
「大佐、どちらに行ってらっしゃったのですか?護衛も付けずに外に出るのは止めて下さいと申し上げておりましたが?」
ホークアイ中尉の強い物言いに怯む。
「あー、すまない中尉。ちょっと、その・・・・市民の声に耳を傾けなければ、と・・・・・」
「はっきり言やーいいじゃん。回りくどい事言ってないで」
「ご婦人とのデートの約束ですか?そう言っていただければ仕事も多少は加減いたしますので、これからはちゃんと仰って下さいね」
いつもと違って口調がやさしい。鋼のが居るせいなのか、と思案する。
「ああ、ありがとう。では中尉、今夜は空いているかね?」
やさしさに甘えてみる。断られるのは分かっているが、望みを託して尋ねてみた。
「大佐が、さぼられたので仕事で予定がいっぱいですが?」
クスクスと笑いながらホークアイ中尉が答える。
いつもと違って身も蓋もない断り方ではない。逸る心をおさえて問う。
「では、司令部で私につき合ってくれるかね?そして終わったら、その後も・・・・・」
「申し訳ないのですが、早番でしたのであと30分で勤務時間終了となります。では、ハボック少尉に勤務終了後もおつき合いするよう話しておきますね」
「中尉・・・・・」
思いがけない展開にがっくりと肩を落とす。
「な~に情けない声出してんだよ。さっさと帰ろうぜ。
中尉ー、夕ご飯、何?」
「エドワード君の好きなシチューよ」
「ホント?やっりー!」
マスタング大佐が口をぽかんと開けて立っている。
「大佐?早く戻りましょう。大佐・・・・?」
「・・・・・中尉の手作りシチュー・・・・・」
「な~にブツブツ言ってんだよ。早く戻ろうぜー。報告、さっさと終わらして~。中尉のシチュー旨いんだよな~」
「何故、鋼のばかり・・・・やさしいのだ・・・・・」
にこやかに談笑しがら歩く2人を背にとぼとぼと司令部へ戻って行った。

つぶやき・・・・グチは司令部に戻り、ハボック少尉と残業になっても続いていた。

END


あとがき(もどき)
リクいただきましたエドアイでございます。
ほのぼの系で書いたつもりなのですが、いつのまにかいちゃこらな感じに(汗)
姉弟みたな~とリクいただいたのに・・・・とっても仲の良い姉弟と思ってくださいませ~(えっ)
最後、大佐がヘンな人になっちゃってます~(笑)
「アイツになんか姉ちゃん、やんねー」と口では言いながらも認めているみたいな感じだといいなって。
う~ん、でも、いちゃこらし過ぎ?
私的には「コートの内側の髪を出してあげる」「あ~~ん」「自分で食べられるわ、と笑いながらも口に入れて貰う」が書けたので満足でございます(笑)
topicalさま、いかがでしょう?

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