もりちゃんパラダイスin愛・地球博★

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第五話★盆の海★


この頃は毎年海が近い祖父の家に遊びに行き、
お盆前ということで泊りに来ていた従兄とよく泳ぎに行きました。
そんなある日のこと。

私の誕生日は8月15日。お盆です。
それ故にいつも祝ってくれるのは両親と姉くらいでした。
ところがこの年は違いました。
親戚が沖の岩場で食事をしようというのです。
採りたての海産物をその場で調理しながらの小さなパーティー。
これまでそんなことのなかった私には嬉しいものでした。
しかし、嬉しい中にも少々不安が残っていました。
それは、盆の海に出ること。
祖父は漁をしていた人間だったので話に聞いたことはありました。
「盆の海に出ると海で死んだ人間に呼ばれる」と。
私自身奇妙な体験をしていることもあり、一概に嘘とは思えませんでした。
そうして迷っていましたが、周りは口々に「迷信だ」と言います。
結局折れた私は海へと行くことになったのです。

沖へ出る時はいつも泳いでいきました。
もちろんボートも一緒ですが、泳いだ方が練習になるので。
この日もいつもと同じように泳いでいきました。

しかし、海に入った時から何か嫌な感じが。
とりあえず気にしすぎているのだと思うことにしました。
そのまま泳いでいきます。心なしか嫌な感じが強くなってきたように思えます。
早く海から上がりたくなったので泳ぎの速度を上げました。
ところが、速くなるどころか逆に身体の動きが鈍くなってきました。
…と同時に肌に触れている何かの感触に気付きました。
「!?」
それは海草でした。海草が手足に絡み付いてきているのです。
振りほどこうとすればするほど身体は束縛され、海に引きずり込まれそうになります。
引き千切ろうとしても無理でした。
普段ゴーグルの曇りを取るために用意する時はすぐに切れるのに。
そしてさらに強くなる嫌な感じ。何かが下から近付いてくるような。
身体を自由に動かすことができず、このままでは溺れるという危機的状況だったため、
親戚の乗るボートに助けを求めて引っ張り上げてもらいました。
ボートに手をかけた瞬間、さっきまでが嘘のように海草が離れていきました。

親戚には溺れるふりをしてふざけていたところ溺れたのだと思われたようです。
そこで本当のことを言ったのですが信じてもらえません。
まぁ、普通なら信じてもらえなくても仕方ないのですが…。
とにかくこの日は海に入るのが怖く、ボートで帰りました。





これ以来盆に海に行くことに関してかなり否定的になりました。
人によってはこの話、「偶然」だとか「気にしすぎ」と思うかもしれませんが、
それだけで済ませるには私にとって少々無理があります。
あの時最後の最後に足に触れたものがあったからです。
冷たく細い何か…そう、まるで指のような…。

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