もりちゃんパラダイスin愛・地球博★

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第十二話★なきボクロの女★



当時、私は東京の大田区にある美容室に勤めていました。
その店にJ君と言う同僚がおりました。
彼は当時21歳、神奈川県の、綱島という所から、オートバイに乗って通勤していました。
ある土曜日の朝、J君が私にこんな話を聞かせました。

「昨日の帰り道で、すげ-怖い変な体験しちゃったんですよ。
バイクの慣らしがてらに、少し遠回りして帰ろうと思って、いつもと違う道使って帰ったんだけど、
で、もう少しで家に帰りつくって所で、女が手ぇ振ってるんですよ。
でもその道って街灯も無くって真っ暗なんですよ。
薄気味が悪いんで、シカトしてそのまま通り過ぎたら、
後ろから、女の声が、それも耳元で聞こえたんですよ。
「逃がさないよ」って。
ぞっとして、後ろ振り返ったら、そこにはもう姿も見えなくって、
前に向き直ったら、バックミラーに女の顔が写ってるんですよ。
ショートヘアーで両目の下に泣きボクロがある女の顔が、俺のこと睨んでるんですよ。
それからまた耳元で女の声がボソボソって聞こえて、顔がフッて消えたんだけど、
あの最後の言葉、(殺してやる)って言ってたみたいなんですよね。
俺もう、怖くってあの道通るのも、バイクで来るのもやめにします。」

ありがちな怪談話だな。と、そのときは思い、
忙しい1日が終わった帰り道気をつけて帰れよ、とJ君にかけた言葉が、最後になってしまいました。

日曜日の朝、寝過ごしてしまったJ君は、遅刻しないように仕方なくバイクにまたがり家を出ました。

事故現場は 彼の家から100mと離れていない道路です。
対向車線から突然はみ出してきた女性ドライバーの軽自動車を避けようとして、転倒。
ヘルメットが軽自動車のバンパーにひっかりヘルメットのストラップが彼の頚動脈を切断してしまいました。
即死だったそうです。原因は女性ドライバーが運転中に貧血を起こした為だそうです。

明けて火曜日。彼の通夜の夜です。
突然亡くなってしまった同僚を悼み、帰途につこうと彼の家の玄関を出たときに、
加害者である女性が、婦警に付き添われて弔問に訪れました。
うつむきながらすれ違い、ふと振り向くとその女性も振り向きました。
そのショートカットの女性の両方の目の下には、泣きボクロが、
そしてその口元が少し笑ったように見えました。

本文はここまでです。
実はこのとき、他の同僚(J君の話は聞いていない)もこの女性の顔を見ているのですが、
やはりほくろは、両目の下にあるのを見ています。

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