ほとんど我が家
地下鉄駅歩いて３分のちょっと便利なミニ繁華街でした。
小さなアパート、そこから歩いてほとんど１０秒程度の所に
その店はありました。
風邪ひいた時に、行ったのがはじまりです。
手料理を売り物にしてて夜は居酒屋。
メニューはほとんどママさんの自由。
ジャガイモがおいしくて有名な町出身のママさんは
話上手の世話やきで、そのまめさときたら凄いのなんの。
取った山菜、釣った魚、実家から届いた野菜。
絶対に無駄にせずにきっちり料理してくれるので
いろんな広が出入りしてました。
よくよく考えたら人からもらった材料で作った料理で
しっかりお金もらってる訳なんだけど、
今日の魚は誰それさんが釣ったのよーうどは誰さんよーと
まめに楽しそうにしているその様子を見ていると、
何となく
「ま、いっかここまでおいしく作ってもらえるんだし」と
納得しちゃうという・・・・
その人間的魅力が、最高の売りでもある店でした。
ママさんは田舎から出てきて、必死で働き、某繁華街で店を
持っていたそうです。
そこに来ていた若い実業家さんと結婚し、内助の功で
巨万の富を築き上げ、かつては社長夫人だったのですが、
バブルとともに夫はいなくなって、ビル全部を売り払ったお金で
今の店の権利を買ったそうです。
でもよくも悪くも、現実的でお金が大好きなママさん
「私ね、だんながいなくなった時にすぐに愛人の家に
行ったのよ。すごくショック受けたわ。初めて行ったんだけど」
そりゃーそうだよね、いくらこの逞しいママさんでも
女性として嫉妬もあったんだろうし、と思って
聞いていた私。
「だって私のいた本宅は２階建てなのに
愛人の家はね、３階建てだったのよ。くやしくてくやしくて」
「・・・・・・」
まあそんな逞しさが、強い意志となって、
手間暇を惜しまない料理がどれもみな、おいしいんですから
素敵なことだよね。
３０分以上はたっぷりと炒めて業務用のブレンドカレー粉を
使うカレー。
地元のジャガイモしか使わない絶品のコロッケ。
ちなみにパン粉はお気に入りの店で
パンの耳をフードプロセッサで作ります。
シチューにはホタテの耳（だしがでる）とユリの根を使って
一滴も水は入れません。
家庭料理、なんだけどだからなのか
女性が多いです。
自分では作らないけどおいしくしたい主婦の人たちが
いつもおかずとして買ってゆく。
ひそかにその収入が時々私のビールに化けていたりするのでした。
ほんとに引越しするまで、お世話になったお店です。
しかしママさんはお酒飲まない人なので
生のビールがおいしくなかった。。。。それだけが
残念だったかなー
常にビンビールしか飲めませんでした。
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