「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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ミッドナイトドリーム
取引所の日々の泡風呂敷―PART5
相場の世界は勝った負けたの世界。
うん、真実。
vipルームの下の階まではね。
vipルームの面々は利益共同体のようなもの。
浮き沈みはあっても、
決定的にダメージを食らうことは無い。
自分達で食い合うより
他を食いつぶしたほうが余程、生きやすい。
そんなもん。
人生なんて。
富は富者に、力は強者に集まる。
自分が何処に位置してるかなんて、たまたまの運。
「あんた、いっぱしの男になりたい?」
ミューが聞く。
「君と張り合えるような?」
蕩けるように甘いミューが
一瞬で、むかっと、きつくなる。
「あんた、本気で言ってるの?」
「ううん」
ミューが又、甘いミューに戻ってる。
「一日、何億か稼いで
ポルシェとかフェラーリに乗って」
「ポルシェやフェラーリより
もっといいのに僕は乗ってる」
「もう、いいわ。私が馬鹿だった。
あんたに小さな取引所を一つあげようと思ってたのに」
「僕の技量じゃ未だ、無理だよ」
僕は苦笑する。
「あら、あんたは何もしなくていいの。
なあーんもしないでほっとけば
向こうが勝手に損してくれるから
その損がそのままあんたの利益」
まっ、そりゃそう。でも、それは
万が一の時に埋め合わせ出来る金があるから。
万が一なんてないって?
まあね。
「例えそうだとしても、未だ、僕じゃ力不足だよ」
「なら、いいわ。
あんた、はくが欲しいかなって思ったから。
男ってそんなものにこだわるでしょ?」
「君がみっともないなら、やってもいいよ」
「わたしの話じゃないわ」
「なら、僕は未だ、未熟者だから」
「熟練なんて要らないのに・・・・」
つぶやいた後、ミューはにこっと笑う。
「本当はね、ほら、私たち何時も一緒でしょ?
それだと、ちょっと・・・。
で、あんたを二三時間私から隔離できれば
って、思ったんだけど
そうすると今度は、わたしが自由になる代わりに
あんたも自由になっちゃうから・・・。
あんたみたいな男は気をつけたほうがいいの。
如何にも安全そうな顔してるけど
この世に安全な男なんていないんだから。
人生、中々うまくいかないわ」
僕はミューに微笑む。
「それに何時もそこに有って当然のものがないと
なんか嫌でしょ。
私、あんたの顔を見て、
結構、精神、安定させてるの。
あんたがあんたの席に居ると、私、うれしいよ」
「ほんと?」
僕はうれしくてたまらなそうな顔をする。
「そうでしょ?普通。
好きでもない男と
結婚の約束なんてしないよ」
確かにそう。普通は。
でも、相手がミューだとね。
-63-
驚いた事に僕は名前を呼ばれる。
僕は三番サロンでコーヒーを飲んでる。
ここは緑の多いサロン。
「ドリームさん、いいですか?」
僕の目の前に一人の男。にこにこしてる。
笑顔がとても好印象。こいつ絶対いい奴。
僕の前に座ると
僕より二つか三つ下だろうと思われる男は
自己紹介する。
「そろりのトシです」
聞いたこと無い。
って言っても、
僕の知ってるのは所謂、ビックネーム達だから。
東のモスコミュール、西のブラッディ・マリー。
この世界に居て、アイスマンやマンノウオーを
知らない奴はいない。
太っちょサムだって、近寄りがたい大きな山。
あっ、太っちょサムで思い出した。
僕はポケットから彼から貰ったキャンデーを
二本取り出して一本をトシに差し出す。
「キャンデーですか?」
「なめてごらん?」
トシは人のよさそうな顔一杯の笑顔で
キャンデーの包みを開けると
照れくさそうに一なめする。
トシの顔が驚いてる。
「下界までこんな物を持って降りたら、やばいですね」
「そうだけど、取引所の人間に手を出すようなコップは
いないと思うよ」
僕の言葉にトシが笑う。
「34番街にマダム・ルスって名の
金歯のジプシーが居るんです。
歯がトースだから名前がルスなんです。
名前がアフロディーテだから泡から生まれたんです。
この前そいつからポーション買って飲んだら
やたらキスしたくなって、とうとう我慢できずに、
通りを歩いてたコップにキスしちゃったんです。
あやうく殴られそうになったんだけど
二人組の片方が『そいつ、取引所の奴だ』
って気づいてくれて、殴られずに済みました」
僕はトシの話を聞きながら
ミューの言葉を思い出してる。
『あたし、すぐにキスしたくなっちゃうの』
『だめ』
『あーん、キス位、いいでしょ?』
『だめ』
『ねっ、ねっ、この前、男の子と話しててね。
景色がとても綺麗で、
私、思わずその子にキスしちゃったの。
でもね、夕日が沈んだら、それ程の景色でもなくなって
わたしもうキスしたいなんて気分じゃなくて
面倒だからじゃけんにしたら
その子、泣きながら帰ってった』
最近、ミューはこんな話を小出しに
僕にして来るようになってる。
ミューと言う女の子の正確な情報を
少しずつ僕に与えようとしてる。
何かあったら、
ミュー自身でミューをコントロールするのは無理だから
僕がミューをコントロールしやすいように。
「ドリームさんの奥さん、とても素敵な方ですね」
トシが言う。
わざわざ改まって、ミューを褒める男も珍しい。
「いや、結婚は未だなんだ」
「僕、あんな人が理想なんです」
分かる。その気持ち。
でも、よくよく聞いてみると
トシの言ってるのはミューじゃなく恭子の事。
恭子は見張りとして
何時も僕について歩いてるから。
「君はラッキーだよ。
彼女は僕の恋人じゃない。
彼女は全くのフリー」
トシの顔に喜びが硬直してる。
生きてて良かった、
トシがそんな風に感じてるのが分かる。
僕はトシを連れてカウンターに戻る。
こいつとなら恭子は幸せになれる。
如何にもお似合いのカップル。
僕もなんかうれしくてたまらない。
♪男の子と女の子が出会った。
カウンターにミューの姿が見える。
勝負は終わったのか、それとも踊り場の息抜きか。
ミューは僕に気づいて、慌てて
目を逸らせてもじもじしてる。
この可愛らしい様子のミューの原因を僕は掴みかねてる。
何かやましい事を考えてたのか
それとも単純にうれしいのか。
僕とトシはカウンターの前まで来る。
あああ・・・・。
可哀想な恭子。
ミューを見つめるトシの目が青春の美しさに輝いてる。
もうトシの記憶の中に
恭子とか言う女の子は存在していない。
-64-
「今度の下落で30億程抜きました。
って、トータルで未だ、54億程度なんですけど」
トシが遠慮勝ちに、嬉しそうに笑う。
「100億超えたら、ここから降りようと思ってます。
地上の人になるんです。
ここは精神を初々しく保ったまま
何時までも居られる場所じゃないです」
トシの話に僕は頷く。
「ドリームさんは?」
僕が口を開こうとすると、二人の話にミューが割り込む。
「この前日本の人達が何兆円か損したんだけど
その時は、その損の半分位、私、取った。
私たちが仕掛けたんだから取って当たり前なんだけど
私が稼いだって事は、この人が稼いだって事なの。
クールな男は自分で稼いだりしないの。
自分は遊んでて女に稼がせるなんて
クールそのものでしょ?」
ミューの気持ちは分かる。ミューは僕を大きく見せたい。
ここで僕が何か言うと、
ミューはもっとあれこれ言い始める。
ハイになった時のミューは無茶苦茶だから、
僕はミューを刺激しないように、満足そうに頷く。
「そんでね。
この人は下界になんて降りないの。
この人はずっとここに居るの。
この人の大好物はこのモスコミュールなの。
この人はね、モスコミュールなしじや
死んじゃうの」
言ってミューは恥ずかしくなってる。
こいつ、変な事考えてる。
「ああっ」
突然の大きな声。
トシがミューを指差してる。
僕もミューも驚く。
「そうなんだ。
取引所のモスコミュール。
どうりで・・・。
僕は又、天使かと思った。
僕は人の噂は相手にしないんだけど
ああ、どおりで・・・、
噂通りだ」
トシは感心してミューを見てる。
ミューははにかみながら、大満足。
ミューが本当に嬉しいときは
子供みたいになるからすぐに分かる。
「さあて、お仕事、お仕事」
照れ隠しにそう言うと
ミューはふあふあと中に消える。
でも、すぐに忘れ物でもしたように戻って来て、
カウンターから素早く首を伸ばすと
僕にキスして、又、中に消える。
「あの人がモスコミュールで、
ドリームさんの恋人なんですね?」
トシが顔一杯の笑顔で僕を見る。
「ドリームさんて、世界一の幸せ者ですね」
「僕もそう思う」
僕は微笑みながら答える。
僕には分かってる。
トシってミューの芸術的な美しさしか見ない男。
その美しさの原因になんかに、興味ない。
ましてや、ミューを抱こうなんて考えてない。
ミューが僕の恋人でなければ考えただろうけど
既にミューが僕の恋人である以上
彼はそんな事を考えない性癖を持ってる。
どんな料理にしろ
出来具合は素材で決る。
どんな物語が展開するかなんて
ひとえに登場人物の質にかかってる。
トシはミューに取って
最高のプレゼントだと思う。
これで、ミューをそんな目で見ない男が
世界で二人に増えた。
ある部分に関してなら、
ミューに向けられるトシの視線は僕より純粋。
最近、とみに色狂いの僕よりね。
-65-
僕はエレベーターを降りて僕の生存領域へ。
広く、にぎやかなフロアのあれやこれや。
それをすり抜けて歩き続けると
やがて行く手に馴染みカウンター。
鼻歌交じりで歩いて来た僕は驚いて立ち止まる。
突然出くわした美しい景色。
カウンターを挟んで話してるミューとトシ。
お互いがお互いに感じてる心の美しさが
二人の体の外にまで溢れだして
大きく柔らかく二人の居る風景を包んでる。
人間ってこんな美しい景色になれるんだ?
二人はこの世で一番仲良しの姉弟のよう。
トシは只々、ミューに憧れてる。
トシにとってミューは本物のこの世の天使。
トシはミューを抱きたいなんて、ちらとも考えてないから
ミューは安心しきって花開いてる。
今まで見たこともない位、エレガントでシックなミュー。
ミューから、女の子のもってる優しさって奴が溢れ出て
周りの景色に紗をかけてる。
僕の前でもミューをこんな風に花開かせてみたい。
でも、僕はミューを抱きたい。
「ここに来た記念に、一枚どうです?」
僕の横で突然、声がする。
見ると、網タイツの可愛い兎ちゃんが
業務用のポラドイドカメラを抱えてる。
僕はつくづく思う。
兎ちゃんには業務用のカメラが良く似合う。
僕は兎ちゃんにミューとトシを見せる。
「あああ・・・・。素敵」
美しい光景に兎ちゃんも絶句する。
感動した兎ちゃんの指がシャッターに触れて
思わずそれを押してる。
カメラがベーッと写真を吐き出す。
「ハウ・マッチ?」
「まあ、エッチ」
「君じゃなくて、その写真」
「私、一瞬、そんな気になっちゃいました。
お金で買われちゃうのかなって、
そしたら、何か私の体の奥から・・・」
「分かったから、それ頂戴」
僕は兎ちゃんから受け取った写真を
背中のズボンのベルトに挟むと、
ゆっくりカウンターに近づく。
ミューが近づく人の気配にこちらを向く。
僕をみつけてミューの思いっきりの笑顔。
トシも同じ種類の笑顔で僕を迎えてくれる。
僕がカウンターに座ると
トシはもうミューではなく僕に話しかけてる。
ミューはうれしそう。
僕の付属品がミューで、その逆じゃないから。
ミューの前で僕達二人、
まるで小さい頃からの友達のように話してる。
たまたま通りかかった恭子がトシを見てつんのめる。
恭子の目が点になってる。
こんなもん。
トシが恭子を見て理想の女の子と感じたように
恭子もトシを見るなり理想の男って感じてる。
でも、遅かった。
僕はトシをカウンターに連れてくるべきじゃなかった。
サロンで恭子に引き合わすべきだった。
恭子と心が結ばれた後なら
ミューに会った所でトシの想いは変らない。
恭子がトシの後ろをうろうろして
トシのコートの端を引っ張ってる。
トシが振り向いてそこに恭子をみつける。
にこやかなトシの声。
「やあ、こんにちは」
それだけ言うと
トシは恭子を忘れて話の続きをはじめる。
暫くすると恭子が又、トシのコートの端を引っ張ってる。
振り向くトシ。
「やあ、こんにちは」
二人はからくり人形のよう。
-66-
この街には大きな川が流れてる。
川岸には何時か世に出ることを夢見てる
大量の絵描きの卵たち。
否が応でも目を引かれる絵の具の染みで汚れたコート、
茶色のベレー帽。
いい事だよ。
自分を信じてる人たちの群れ。
皆、若く、活気に満ちて、それぞれいい顔してる。
僕はお目当てのものを探して彼等の間をぬって歩く。
川面を吹く風に蚊の集団が流されてる。
(おいおい季節、何時ですか?
ついでに忍冬の花でも散らしましょうか)
緩やかな川の流れは春のエロティシズム。
あっ、居た。
彼女は今日も群れから離れて一人。
何時も彼女はそんな風。
彼女の事は前から知ってる。
でも、その頃の僕が、絵描きに用なんてある訳が無い。
用もないのにお知り合いになって雑談した所で、
心に残る、かゆい虚しさ。
今の僕なら話は別。彼女の力になれるかも知れない。
それはちょっとうれしいけれど、大きな堕落の味。
対岸のビルに掲げられた看板。
赤く鮮やかにコカ・コーラ。
でもさ、僕の周りには使い切れないほどの金を
持て余してる人たちが、わんさかいる。
僕が使ってあげないと。
僕は彼女の横に歩み寄る。
彼女は僕を無視してる。
「君はダービーを勝った事、ある?」
彼女は僕をちらりと見る。
「ないなら、勝ってみない?」
彼女の顔は絵に向いてる。
「多分、君なら勝てると思う。
前から、何時か君に騎乗を依頼しようと
思ってたんだけど
あいにく、今までもち馬がなくてね」
「ラムタラでも手に入れた?」
「まっ、そんなとこ。
大金を保証できる。
その後の事になると、ちょっと分からない」
「具体的に話して」
僕は彼女にミューとトシの写真を差し出す。
写真を受け取った彼女は食い入るように見つめてる。
「それを絵にして欲しい。
二つほど。
一つは、多分、お金持ちの爺さんが買ってくれる。
も一つは、その女の子の居る
カウンターの後ろに飾っとく」
「是非、描かせて欲しいわ」
彼女はミューとトシがかもし出してる雰囲気の美しさに
芸術心を刺激されてる。
「うん、全力で描いて。
爺さんが君の絵の中に才能を感じれば
君はあっと言う間に時代の寵児」
「取引所の人ね?」
「うん」
「♪皆、幸運を待ってる。
♪何時か取引所の人が現れて、
♪君には才能があるって言ってくれるのを」
彼女は歌もなかなかのもの。
-67-
僕には信じられない事だけど豊富な経験にも関わらず
ミューの心は真っ白なスケッチブック。
その真っ白な心の一ページ、一ページが
少しずつ、少しずつ僕の色に染まってってる。
そして疑問。
でも、他の男たちの痕跡は何処にいっちゃったんだろう?
そして、懐疑。
もしかしたら、ミューと別れた途端、僕の痕跡も
跡形もなく消え失せてしまうんだろうか?
ミューは僕が相手だと簡単にパニックになる。
僕は特別な事は何もしてないのに、
ミューはしょっちゅうパニックになって悲鳴を上げてる。
「信じられない。
あんたみたいな人、信じられない」
なんで?
僕は段々分かって来てる。
前にミューは多重人格ぎみだと書いたけど
それに関係してる。
例えば、
甘えるミューだけでも何種類かある。
A甘えるミュー・ノーマルタイプ。
B甘えるミュー・セックスタイプ。
そんな感じ。
ミュー本体の統制力が弱いから彼女達は独立性が強い。
どうもミューはタイプAのまま
僕とセックスしてるみたい。
パニックになると一瞬タイプBが呼び出されるけど
タイプBは僕の関心を引くようなやり方を知らない。
それで、こいつ使えないって
すぐにタイプAに戻るんだけど、
タイプAはセックス経験の蓄積が無い。
ミューはどうしていいか分からずパニック。
例えば、ミューはもう下を愛撫して欲しい。
所が、前菜の上品な食感を堪能してる僕は
未だメインディッシュに手を出す気分じゃない。
ミューは我慢なんてとても出来ない。
なんとか僕をその気にさせようと必死。
一瞬、ミューはタイプBで対応しようとする。
タイプBの知ってるのは
焦らされて快感を与えて貰えないって奴だから
恥ずかしい言葉とか言えばして貰えるって考える。
でも、どうも違うような雰囲気もするって
効かないと辛いから、即効性を求めて、
最初から、一番のキメセリフが出てくる。
でも、僕にしたらそんな言葉ミューに似合わない。
無視。
やっぱり使えないってタイプAに戻るんだけど
タイプAはどうしたらいいか分からない。
「ひどい、ひどい、ひどい。
女の子にこんな事しちゃだめ」
僕が意図してやってるんなら
ミューは無茶苦茶怒るんだろうけど
そうじゃないから、ミューには手の施しようが無い。
又、ミューは自分をとても淫乱な女の子だと思ってる。
そして、それが凄く嫌な事、とも思ってる。
ミューのようにセックスする為に生まれてきた子は
淫乱と言う言葉にあてはまらなくはないけど
ミューの場合はそれだけじゃなく
ここでもタイプ別のミューが悪さしてる。
普通の人間なら色んな状況を経験しても
感情の移り変わりとかを意識できてる。
段々、興奮していって
ああなって、こうなって
こんなセリフを口走って
こんな行為をなすにいたって・・・・。
でも、ミューの場合はタイプ別だから
感情が移り変わっていくと言うより
別のタイプが現れると言う感じ。
もっとやっかいなのは
ミューの幾つかのタイプの中に
苛められたいタイプがいるって事。
男が最初から意思を持って
ミューを苛めてるんじゃなくて
ミューに誘導されて、ミューが喜ぶように
そんな行為に至ってるのに
ミューにははっきりと自覚できてない。
淫乱恐怖症のミューはその最中
男から「淫乱」とか辱められるとたまらなくなる。
無理やり「ミューは淫乱女です」
とか言わされるのも好きらしい。
そんな風になるように運んでるのは
ミューのタイプの中の一つなんだけど
そのタイプは激情が去ると
別のタイプに席を譲ってしまう。
行為の最中にもミューのタイプが
入れ替わったりするから
ミューとしたら、混乱のきわみ。
ミューがブリンカーをつけた競走馬のように
目の前の男の事しか見えなくなってしまうのも
多分、同じ。
後になって、
「どうして、わたしって、何時もこうなの?」
って悩んでるのはその行為を行った当事者じゃなくて
別のタイプのミュー。
最近、ミューは淫乱言葉より
「愛してるの」って言葉の方が
僕には効果的だと覚えた。
ミューを自分のものにしたい僕には
「奥さん」と言う言葉も効き目あるとミューは感じてる。
『セックスなんて
あんたの思ってるようなもんじゃないわ』
そう豪語してるミューはもしかしたら、
僕が思ってるようなものかもって感じ始めたりしてる。
-68-
僕は画家の卵ちゃんの所に出かける。
依頼した絵が完成したらしい。
絵は見事な出来栄え。
画家の卵ちゃんも満足げ。
『どう?私、なかなかのものでしょ』って顔してる。
「私でもこんな絵が描けるのね?」
僕は絵に微笑みながら答える。
「めぐり合わせさ。人生なんて」
「貴方に感謝するわ」
「感謝するならミューにして。
それと、ミューを創り出した唯一、絶対の創造者に」
「貴方、ゴドの身内ね?」
「分かる?」
「ええ、匂いでね。
そう言えば、最近、ゴドに会ってないわ」
「宗教野郎達の成敗で忙しいんじゃないのかな?
何時の世にも宗教野郎がのさばって
ゴドの名を語って金儲けしてるからね」
「地球は平らだとか言ってた宗教野郎達、いたね」
「うん、居た。
ゴドがそう言ってるとか言ってね」
僕は絵に見惚れてる。
「免罪符とか売って金儲けしてた奴等も」
「うん、居た」
「やだね。宗教野郎たち。反吐がでる」
彼女は本当に嫌そうな顔。
「でも宗教はゴドが与える最初のハードルだから」
「所で私の名前、スクリュー・ドライバー?」
「それさ。悩ましいのは。
僕としたら、
イヴニングドレスのヴオーカリストが
スクリュー・ドライバーじゃないのかって
考えてるんだけど・・・」
「テキサス・ポートアーサー生まれの彼女ね?」
「うん、テキサス、ポートアーサー」
この画家の卵ちゃんがスクリュー・ドライバーだとすると
この後の展開が色々面倒になりそう。
あのヴオーカリストがスクリュー・ドライバーなら
それなりに、何とかなりそうなんだけど。
その時、部屋のドアが大きな音を立てて開く。
強い圧力が僕達に襲い掛かって来て
得体の知れない恐怖に僕達の髪の毛が逆立つ。
驚いてドアに振り向くと、
戦闘服を身にまとった女神が後光と共に仁王立ちしてる。
うわーっ。
彼女の美しさ。
本当なら恐怖を感じないといけないのに
僕達二人はぽかんと口を開けて
彼女の美しさに見惚れてる。
黒いスーツの巨人が二人、彼女の後ろに付き添ってる。
彼女はずん、ずん、ずんと僕に近づいてくる。
近づいて強まるプレッシャーと共に
彼女の有無を言わせない美しさも間近に迫る。
僕はたまらず立たせてる。
「うっとうしい事、しないでくれる?忙しいんだから」
女神からミューの声がしてる。
本当なら慌てて「ごめんなさい、つい出来心で」って
慌てふためいて防御の姿勢をとらなければならないのに
僕はそんな事、考え付くことも出来ない。
「君でもそんな服、着るんだ?」
僕は感心しながら言う。
僕は今までパステルカラーの絵のような
ミューしか知らない。
「貴方の知らない服、一杯、持ってるよ。
私さえ知らない服もね。
たった3650着あるだけでも、
10年に一度しか着れないんだよ。
って、事は一日ひとり抱いたとして
一年で高々365人。
そんな程度で異性が理解できたなんて言える?」
僕は首を振る。
「でしょ?」
頷きながら僕は絵を指差す。
「こんな事だろうとは思ってたんだけど
私、あんたに浮気させる気はないから。
身にしみてね」
僕は頷く。
絵を見ながらミューがどんどん変形してる。
どんどん可愛いミューに溶解してる。
画家の卵ちゃんは目の前でめまぐるしく変化した
美のイメージに衝撃を受けてる。
「帰りましょ」
嵐のように登場して、
跡形も残さず僕を連れ去るミュー。
画家の卵ちゃんの受けたカルチャー・ショック。
まっ、いい事。彼女の芸術に取ったら。
リムジンのゆったりした座席。
「可哀想、こんなになっちゃってる」
ミューの手がさりげなく僕の股間に触れる。
「いいわ。お部屋に行きましょ?」
「まっ、まっ、待って、僕ごときの為に。
仕事はどうすんの?」
僕は慌てて言う。
「二人の将来と仕事とどっちが大事なの、あんたは?」
「そっ、そっ、そりゃそうだけど」
大丈夫なのかい?
取引所のほうは。
-69-
ここから先の路地は狭すぎて入れない。
リムジンは大通りで僕達を降ろすと何処かに消える。
僕達はじゃれあいながら僕の部屋に帰る。
同じ景色、同じような動作。
でも、それから僕が受け取る印象は少しずつ変化してる。
部屋に入ると僕達はそのままその時に突入する。
ミューは僕の指使いにも
その間、僕がにこやかにミューの顔を眺めてるのにも
すっかり慣れた。
ミューが言う所の他の男とは全く違う僕のやり方。
僕の魔法の指。
ミューの口使いが暴力的になることはもうない。
変わりにミューは
僕の感じてる快感の質に敏感になってる。
僕が快感をより美味しく、より深く、
より美しく味わえるようにミューは口を使ってる。
僕の味わってる快感は
そのままミューにフィードバックして、
二人は快感を共有してる。
今日のミューはちょっとハイ。
僕はミューの口で限度を超えて女の子にされてしまう。
僕の中の男は完全に追い出されて
ミューの前には、ミュー好みの
一人の可愛い女の子がいるだけ。
ミューは完全に男になってる。
と、言ってももう男言葉を使えなくなってる僕と違って
ミューの言葉遣いは女の子のまま。
言葉使いはそうだけど、
ミューの包容力と気遣いのレベルがとてもアップしてる。
かゆい所に手が届くというか
そんな所がかゆかったのかと気づかされると言うか。
僕は優しく柔らかなミューに
メロメロにされてアップアップしてる。
さっきから僕が何か言おうとしてるのにミューは気づく。
ミューの顔が僕によってくる。
「もう、したい・・・」
「したいの?
いいよ」
ミューは自分の行為にのめりこんでたのに
即座にそれを放棄して、僕の要求に答える。
僕ならこんなに簡単に
自分のやってる事をあきらめられない。
何時もなら、どんなに女の子にされてても
ミューの上に乗ってミューの中に入れば
僕は男に転換する。
でも、今回は全くそんな気になれない。
ミューは男の僕に甘えたかったのに
まっ、これじゃ無理かという風に
今までの役をすんなりこなしてる。
責任はミューにあるから仕方ないんだけど。
僕はミューの唇に唇を重ねて
どんなに気持ちいいか訴えてる。
ミューは優しく答えて、下で僕に快感を与え続けてる。
僕は行きたくなるけど
とても能動的に動ける気分じゃない。
僕はミューに行かせて欲しいと言う。
「いいわ。行かせてあげる」
ミューの艶やかな下半身の動き。
僕はミューの口の中に快感を訴え続けてる。
どちらが男でどちらが女かなんて
もう僕達は分からない。二人で二人を感じてる。
終わった後の僕達は
一つの体に二つの心が入り込んでる。
僕は僕の体とミューの体の境界を感じる事が出来ない。
やがて僕の中に男の成分が増えると
ミューが嬉しそうに僕の腕の中に入り込み
甘え切って僕の胸を甘噛みする。
僕はミューを抱き寄せる。
僕の腕の中、とても可愛い女の子のミューが
僕を見上げてる。
でも僕達は相変わらず、一つの体を共有してる。
やがてミューは裸のままうつ伏せで
ファッション雑誌を眺めてる。
僕はミューのお尻に手のひらを置いて
ミューの下半身を眺めてる。
僕が何をしたがってるのか、
僕のしたい事は僕の思うように出来てるか
何時でもミューの心が僕を観察してるのを僕は知ってる。
僕達はアフリカの海岸で日向ぼっこをしてる
ライオンの親子。
ミューが母親のライオン。
僕は未だよちよち歩きの子供のライオン。
僕は僕達の体が柔らかくふさふさした野獣の
毛で覆われてるのを感じる。
僕達の体から強烈な野獣の体臭がしてる。
それはとても懐かしい匂い。
太古の時代の獣の匂い。
その匂いに僕は、僕も動物なんだと感じてる。
言いようのない安心感。
ミューが僕を呼ぶ、短い声を発する。
僕はミューの横に寄り添い、ミューの体に腕を回す。
途端に僕達は一つの体を共有してる。
-70-
僕は川岸を歩く。
相変わらず絵描きと観光客でにぎわってる。
でも、もう、画家の卵ちゃんはいない。
今や彼女の絵は取引所の人間でもなければ手が出ない。
僕は柵の手すりに持たれて、川の流れを見つめてる。
本物の川の流れを見つめながら、
僕はふと、枕する春の流れを感じてる。
『紅灯の巷へ行きてかへらざる
人をまことのわれと思ふや 吉井勇』
この短歌の細部を度忘れした僕は
思わずネットで検索する。
暮れていく春。でも橋はある。その上を人も流れてる。
ストレート・ヘアの綺麗な女の子が
川を見つめる僕の横に来て
さっきからちらちら僕を眺めてる。
彼女が画家志望なのは一目瞭然。
「素敵な日ね」
髪を揺すってから、彼女が僕に話しかける。
僕は微笑んで頷く。
彼女が何で僕に話しかけて来たか、僕は知ってる。
「あの子はね、
僕が取引所の人間になる前からの知り合いなんだ。
知ってたのは僕だけなんだけど。
僕に取って、その事は全てを分ける分岐点なんだ」
彼女は理解しただろうか?
金が人生を変質させてくって事を。
少しずつ、人は僕を見るんじゃなくて
僕の背後にある取引所の富の力を見るようになる。
ミューはずっとそんな視線に耐えてきた。
誰もミューを本当のミューとしては見てくれない。
「もう、ここでは友達は作らないの?」
「誰も、昔には戻れないさ」
僕もそろそろ覚悟を決めないといけない。
僕の中の柔らかなものを捨てる覚悟を。
じゃなきゃ、本当にミューのヒモになるか。
ミューに取ってそれがベストなら
僕はそうしないとならない。
ミューは僕の全てだから。
ストレートヘアの可愛い子ちゃんは
淋しげな目で僕を見る。
そして、僕の横に居ても餌にはありつけないと悟って
僕から離れてく。
芸術家で生きて行くのはなかなか大変。
商業ベースを無視して芸術は存在しえない。
僕がぼんやりと煙草を吹かしてると
(勿論、ハイライト。
こんなもの下界に居る時にしか吸えない)
見慣れたコートの女の子がかけてくる。
ちょっとカールした髪。何時も同じコート。
絵の具の汚れもコートの何時もの場所についてる。
彼女は画家の卵ちゃんの親友。
彼女も画家の卵。
目玉焼きが二つ出来る。
ちょっと丸顔。
それがちょっとカールした髪によく似合う。
今までこの世の初夏って感じだった彼女の存在は
今、親友をなくして寂しそう。
彼女の隠し切れない、しみじみと切ない様子。
僕の心に同情が芽生える。
僕達は川沿いの洒落たカフェの人となる。
バニラのアイスは足の長い銀の受け皿。
横に添えられたウエハス。
氷菓一皿後の別れ際、彼女は顔に
「抱いて欲しい」と
そっと取り出したルージュで書く。
彼女は顔のその字を、何度も何度も、僕に見せ付ける。
貴方にはこんなに哀れな女にかける慈悲もないの?
♪ユー・ノー・ザット・アイ・ニード・ア・マン
♪ユー・ノー・ザット・アイ・ニード・ア・マン
♪ウオンチュ・ムーヴ・オーバー
僕の心は偲ぶもじるり乱れ織り。
で、僕は思い出す。
彼女の姿を画家の卵ちゃんの
豪勢なアトリエで見かけたのを。
って事は、今までの彼女の様子は全部お芝居。
『女は怖い』
自分の役に同化して、本人、すっかりその気。
僕には今、彼女がミューに見えてる。
ミューが姿を変えてここに立ってる。
古代ギリシャの女神達の得意技。
「ねっ、ミューにこう伝えて」
で、僕は襖の奥に隠れてるミューが
思いっきり感動するようなセリフを吐く。
我ながらとてもいいセリフだったと僕はちょっと得意。
彼女はにこっと笑って僕に言う。
「ミューさんの返事聞きたいですか?」
「うん」
「この、女ったらし!!」
-71-
あれ?
ふと、僕は気づく。
なんかミューがアップアップしてる。
まさか。
海のように豊かなミューが
こんな程度でアップアップするなんて。
「いいのよ。我慢なんてしなくていいの」
えっ、って、未だ、
入ってからそんなに立ってないんだけど。
「本当にいいの。
我慢しなくていいの」
ミューは必死でお姉さんの振りをしてるけど
僕がも少し速く動けば
とてもお姉さんじゃいられない。
僕には耐え難い誘惑。
ミューを思いのまま泣き喚かせるの。
でも、僕の本能がやっちゃいけないって言ってる。
もしそんな事をすると
僕だけのミューが何処かに消えうせちゃう。
僕一人だけが抱くことの出来るミューが
他の男達も抱けるミューと混じり合っちゃう。
きっと僕のミューの独特の輝きがくすむ。
一度なくしたら二度と手に入らない透明感。
僕は体から闘争心を消す。
僕の闘争心が消えたのを感じて
ミューがふあーっと優しく大きくなる。
「ミュー、いくよ」
「うれしい。うれしい。一杯、出して」
僕を抱きしめてミューは堂々と、お姉さん。
でも僕が行きに掛かると
ミューは快感のるつぼで悲鳴を上げてる。
抱かれた後のミューは甘いオーラを溢れさせて
すっかり僕に蕩けてる。
ミューは子供のようで、幸せそのもの。
快感の余韻に蕩けてるミューのオーラの中にいると
僕も気持ち良くてたまらない。
僕は又、アップアップのミューに気づく。
「行くの。我慢なんてしないの」
今度は命令口調。
ミューが激しく腰を振り出す。
しょうがない。ミューの顔を立てよう。
「いっていいの?」
「いいのよ。さあ、いらっしゃい」
僕はミューにサーヴィスする。
僕は男に行かされる時の女の子のよう。
ミューは満足しきって、
激しく僕をいかせに掛かってる。
抱かれた後のミューは本当に小さな子供。
とても、純粋。僕を信頼しきってる。
ミューのオーラが僕に向って溢れ続けて
僕は何とも言えない快感の中。
そして、こんな風なミュー。
僕はそれにしても長いなって感じてる。
ミューの顔はさっきからずっと僕の物に被さったまま。
長い。長すぎる。
「ミュー」
「ううん、もっと」
暫く立って、又、呼ぶ。
同じ答え。
何度呼んでも同じ答え。
「あ、と、で」
出したくなった僕は体を起こして、
ミューの顔を僕の物から無理やり引き剥がす。
「ミュー、もう、出す」
「ああん、うれしい、出して。一杯出して」
案の定、入った瞬間。
でも抱かれた後のミューのオーラは
長さなんてまるで関係ないみたいに
豊富で、色濃く、淀みない。
「わたし、あんたのなら
入れて貰えるだけで、うれしいよ。
ほんのちょっとでも、幸せになれるの」
何時もミューはそう言い続けてたけど
なんか、本当かも知れない。
でも僕は、ミューを征服する義務があるって
信じこんでる。
僕達は並んで座って話してる。
僕達の心は通い合ってる。
ミューは僕に蕩けてる。
ふあふあのマシュマロのように柔らかく甘いミュー。
僕はミューを抱こうとする。
瞬間、ミューの困った感じ。
「あっ、そうだ」
ミューが手のひらで僕の体を押す。
ミューは僕のブラッディ・マリーを見る目が
どうのこうのとか、
意味の良く分からない事をいい始める。
僕はミューがなんの事を言ってるのか
しきりに考えてる。
僕は罰としてミューの前に立たされる。
跪いたミューが僕の下半身を脱がせる。
「ああん、素敵。
私のが世界で一番、素敵。
私、周りの女の子達に自慢したい気分なの。
どう、素敵でしょって。
だからね、他の女の事を考えて
おっきくしたりしちゃ、駄目なの」
ミューはなんの話をしてるんだろう?
ミューは延々と僕の物に口を使ってる。
余りに長い。
僕が何か言っても
「これは罰だから、我慢するの」って、取り合わない。
僕は何度も快感に腰を引かされる。
ミューは悪戯な目で僕を見上げる。
「後でしてもらうんだから、出しちゃだめよ」
僕は頷く。
ミューは全く、やめる気がない。
「ねっ、ミュー、もう」
「だめよ」
ミューは僕の事なんてまるでお構いなし。
ミューの悪戯な目が我慢できなくなってる僕を見上げる。
「私の事、抱きたい?」
僕は頷く。
「抱きたくて、たまんない?」
僕は頷く。
ミューが僕の服を脱がせる。
「今度は貴方が私を脱がせて」
僕の物に口を使いながらミューが言う。
僕はミューにされながら、ミューを脱がせてく。
さて、いよいよと思ったら、
ミューには全然その気がない。
相変わらず僕のものに熱中してる。
とてもじゃないけど、これ以上は我慢できない。
「ねっ、ミュー、もう」
ミューの甘い声。
「私の事、抱きたい?
抱きたくてたまんない?」
「ミューを抱きたくてたまらない」
「ふうん、そうなんだ?」
ミューはやめるつもりがない。
ミューの態度に、僕は我慢の限界を超える。
ミューはわざとしてる。
「お前、いい加減にしろ」
ミューがぱっと僕の前から逃げる。
「お前、はやく。遊んでる暇なんかない」
僕は哀れな声でミューを手招きする。
ミューの悪戯そうな目。
たまらず僕が捕まえようとすると、
ミューはするりと僕から逃れる。
僕はつらくて、一刻も早くミューに入りたい。
そんな僕をからかいながら
ミューは部屋中をパンティ一枚で
嬌声を上げて逃げ回る。
「ああん、いやらしいんだ。
あそこ立てて、女の子を追い掛け回してる」
僕はマジ切れてる。
とうとうミューを捕まえて、僕の体の下にくみしだく。
こいつ、散々焦らして。どうするか見てろよ。
僕の腕の中、哀れな目で僕に許しを請うミュー。
「だめだ」
僕はミューを怒りの目で見つめて首を振る。
徹底的に思い知らせてやる。
僕は意気込んでミューに突き入れる。
「ああっ!!」
ミューの口が大きく開き、ミューの体が激しくのけぞる。
僕に闘争心は満ち溢れてるのに、
やばい、かんじんの物が・・・。
「あっ、いく」
ミューは大よろこび。
ミューが下から僕を力いっぱい抱きしめる。
「大好き、貴方、大好き。好きでたまんない」
そんなに感激されたら仕方ない。
「僕もお前が好きでたまらない」
「ああん、愛してる」
僕ははっきり悟る。
ミューは僕の物でノックアウトされるのを恐れてる。
でも、ミューにのぼせてる僕は
そんな事、覚えていられない。
-72-
今日は取引量が多いらしい。
余りの取引量に中の部屋の機能が溢れて
こちらにまではみ出してきてる。
お陰で僕は仕事中のミューの様子を眺めることが出来る。
仕事をしてるときのミューは
そうじゃない時とまるで違ってる。
颯爽と働くミューは
しっかりした一つの人格に統率されてる。
僕はミューが
レベルの低い機能を受け持つ部下達と話すのに
言葉ではなく指の符牒を使ってるのを初めて見る。
この場所が割りとオープンだし
ミューと部下達との距離が隔たってるって事も
あるんだろうけど。
そんな訳で、僕は画面じゃなく
もっぱらミューを眺めてる。
ミューは別に何も言わない。
僕がミューを眺めるのは病気だと思ってるから。
ミューが通りがかりに僕に声をかける。
「どう?」
「うーん、嘘上げしてるんだけど
嘘上げの頭を捕まえられない」
ミューは僕の言葉ににっこりする。
「僕ちゃん、も少し、待っててね。
今、ママ、これから二円ほど上げなくちゃならないの。
それがすんだら、おっぱい上げますからね」
この声は、ブラッディ・マリー。
「僕ちゃん、おばちゃんの言ったこと聞こえた?
ママ、すぐですからね。
それまでいい子で数字と遊んでてね」
ミューが僕に言って、僕の髪を撫でる。
ブラッディ・マリーはミューの余裕が
ちょっと、意外そう。
「小鳥ちゃんて、そんなに凄いの?」
「ええ、私、一晩中、悲鳴上げっぱなし。
お陰で声が枯れちゃって」
ミューはサッチモの声で「ハロー・ドリー」を歌う。
「今度、一晩、私に貸して」
「良く言うわ。
それはモスコミュールの専売特許でしょ?」
そう言ったミューの肩が
10のマイナス16乗ミリメートルほどぴくりと揺れる。
僕はその理由を知ってる。
でも、今、ここで切り出すのは得策じゃない。
「自分で言ってりゃ世話ない」
やれやれと言う風情のブラッディ・マリー。
「人には自分じゃどうにもならない部分ってあるの。
まっ、処女に分からないでしょうけどね」
『処女!!』
心の中で僕は思わず驚きの声。
さっと僕に振り向く二つの視線。
一つはダイヤモンドのようで
一つは甘くとろけるニャンコの目。
僕は心の中で独り語。
『まあね。
ブラッディ・マリーと張り合える男なんて
この世に、居るわけない』
『じゃ、あんたは永遠の処女だ』
『それじゃ、余りにつまらないわね』
ブラッディ・マリーが僕の方を見る。
『やっ、やっ、やめなさいよね。悪い冗談。
あんた、自分じゃ気づいてないらしいけど
男に取ったらとても美味しそうに見えるんだから
食べたかったら、幾らでも、よそで食べて』
って、誰も言葉を出してない。
僕はどうしてブラッディ・マリーとも言葉なしで
話せるんだろう?
-73-
元気良く階段を駆け登って来るミューの靴音。
一瞬僕は、僕の部屋に近づくに連れて変化する
ミューのパターンを想像してる。
ミューは出発地点からこのミューじやない。
でも、僕の部屋が視界に現れ
テラスから続く階段に足を乗せる頃には
ミューはブリンカーをつけた競馬馬のように
僕一筋のミューになってる。
どうして私、道をのんびり歩いたり出来たのかしら。
多分、ミューはそんな風に考えてる。
部屋に飛び込み僕に駆け寄って
ミューは僕と情熱溢れるキスをしようとする。
僕はすっと唇を逸らす。
ミューは鼻を鳴らしてキスを要求する。
僕は顔を引いてミューの目を見つめる。
「お前、昨日、男に抱かれただろう?」
ミューは一瞬、ぴくりとする。
「抱かれとらん」
「抱かれただろう?」
「抱かれとらん!」
ミューは知ってる。
ミューが男に抱かれた瞬間、それが僕に伝わるって。
だからミューが抱かれたのは
二人には分かりきった事なのに
ミューはあらぬ誤解だと憤慨してる。
収まらない僕。
ミューは立ち上がり、ずん、ずんと僕から離れると
座布団の上にドスンと腰を下ろす。
「浮気、しただろう?」
僕はミューに、にじり寄る。
「しとらん。しとらんと言ったら、しとらん」
攻める僕。
言い返すミュー。
さっきから僕は
余りにひどくミューを責めてる自分に気づいてる。
もう、うんざりして、いい加減にしたいのに
興奮した僕の口は次々に攻撃的な言葉を吐き出してる。
ミューの肩がゆれてると思ったらミューが泣いてる。
その内、泣き声が漏れ出す。
ミューの頬を伝う涙。
ミューは自分の言葉に泣き声が混じるのが
悔しくてたまらなそうに唇を噛んでる。
馬鹿の僕は『泣いたって許さないからな』
なんて思ってる。
永遠とも思える時間が過ぎた。
(これ、トリイの口癖)
ミューが弱々しく立ち上がると僕の前に座る。
力ないミューの手が僕の手を取る。
意味が分からず、怒りの途中で、
僕はきょとんとしてる。
僕の手がミューのスカートの中に導かれる。
『この女、何考えてる』
僕の抵抗を感じて、ミューは力任せに僕の手を引く。
僕の手が押し付けられた先は濡れてる。
「もう、こんな」
『何、考えている。この女』
僕は手を引こうとする。
「いや、いや、いや」
僕を見つめて激しく首を振るミュー。
ミューは僕の手をそこに押し付けたまま大きく転がる。
ミューのスカートが盛大にまくれ、
ミューの下半身があらわ。
ミューはわざとこの効果を狙って転んでる。
どんな手を使ってでも、あなたを逃がさない。
僕に伝わってるミューの決意。
「おねがい、おねがい、おねがい」
だらしない。
なんて、だらしない僕。
これじゃ、余りにふがいないだろう?
でも、僕は我慢できずにミューに乗りかかってる。
下ではミューが大よろこび。
「愛してる。ミュー、あなたを愛してる」
ミューは大急ぎで僕をミューの中に導く。
ミューはミューの中に僕を感じて
安堵で体を柔らかくする。
「私の全ては貴方のものなの。
私、あなたのを愛してるの。
他の男のなんてどうでもいい。
汚いだけ」
終わった後のミューは堂々としてる。
『抱いたんだから、私はあなたの女』
ミューの全てがそう言ってる。
「あんた、馬鹿みたい。
あんなに心配しちゃって。
私、男に抱かれたくらいでどうにかなったりしないよ」
ミューは可笑しそうに笑って。
愛しくてたまらなそうに僕の髪を撫でてる。
僕はミューを抱いたから満足しきって、
ミューの浮気のことはすっかり忘れちゃってる。
それが思い出されることは二度とないって
二人とも分かってる。
多分、二人に取って、
それは本当に、その程度の出来事。
ミューは僕の腕の中で満足し切ってる。
ミューの体中から、信頼と微笑がこぼれてる。
この世で私のいべき場所は僕の腕の中、
ミューはそう思ってる。
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