ミッドナイトドリーム

ミッドナイトドリーム

取引所の日々の泡風呂敷―PART10



この所、フロアの雰囲気が変わってる。
フロアの上にもう一つフロアが出来て
そこでこの国をこれからどうして行くか
熱く検討されてる。

それにしてもこの国は長い間
馬鹿な政治屋達に牛耳られていたもの。

国民の金をくすねる以外、何も出来ない馬鹿たち。

年金制度が破綻し
教育制度が破綻し
福祉も破綻し
公共心は薄れ

一体、この現状、なんなんだろう?

巨大スクリーンでアナベルがアジってる。

「人間は平等に作られては居ません。
 だからこそ、皆に、
 平等な権利が保障されなければなりません。

 全員が大学に行くことが平等でしょうか?

 それとも
 大学に行かない人間にも大卒と同じ待遇が
 保障されてる事が平等でしょうか?」

スクリーンの前で何万もの人達が熱狂してる。

「ブラッディマー! ブラッディマー!」

いや、それ、アナベルなんだけど。
群集の熱気に失神する者、産気づく者。

----

新しい男達が上のフロアのブレーンに加わって、
ミューがそわそわしてる。

そりゃ人間、ちやほやされるのが好き。
あちこちで恋する瞳に見つめられたら
女の子は平常心ではいられない。

ミューがスウイート・ルームの僕の所に来て
今日は都合がつかなくなったと言う。

ふーん、都合がね。

「会議が一つ増えちゃったの」

ふーん、会議がね。

「だから、今日は・・・」

僕はミューを抱きしめると、思いっきり情熱的なキス。
ミューが喜んでキスにのめりこむ。

キス、キス、キス。甘いキス、熱いキス、夢見るキス。
ミューはキスに夢中。
僕はミューに情熱的なキスを与えながら
ミューのジーンズの前のボタンを素早く外す。

「あっ、だめ」

ミューが気づいて慌てる。
僕はミューのジーンズを太股まで引き降ろす。

ミューは何時も白。
色は見かけによらない。

慌てたミューの体がバランスを失って崩れる。
僕は逃げようとするミューのバックを確保する。

ミューは一瞬で発情してパニック。

ミューは何とか逃げようとしてるんだけど
自分で自分の体を思うように動かせない。

催眠術にかかってるみたいに
僕の支配下から逃れられないミュー。

僕は少しミューを逃がすと、又、僕の支配下に引き戻す。
ミューはアップアップしてもがいてる。

ジーンズを僕の膝で押さえられてるのが分からず
思うように進まない体に混乱してるミュー。

突っ張った腕の関節を内側から押されて
ガクっとなった体に驚いてるミュー。

ミューはもうどうにもならないのに
それでも未だ気持ちは必死で抵抗してる。

あれ?
キヴアップする気ないんだ?

じゃ、仕方ない。
んな訳で、ミューにしたら至福の時。

良く分からないんだけど
ミューには僕にこうされる必要があったみたい。

これ以後、ミューは抱かれる前にめそめそしなくなった。

僕の指に心の芯を持ってかれる程気持ち良くされても
ミューが恥ずかしさに横を向くことはなくなった。

恥ずかしさがなくなった訳じゃない。
ミューは顔を背ける代わりに顎を突き出すようにして
僕の視線の中で恥ずかしさに必死で耐えてる。

そんなミューを見てると
僕達はここまで来たんだって、僕は感慨深い。

予測不能なびっくり箱のようなミューなんだけど
僕の本能はミューと言う女の子を
とても良く知ってるみたい。

-122-

ミューはスケジュールが一杯。
僕は長く白い壁の前。

目を閉じて壁に寄りかかり、
身に浴びてる光子を一つずつ数えてると
綺麗なボーイ・ソプラノが聞こえる。

「ムシュ、新聞要りませんか?」

声の方を見ると、
ハンチングを被った聡明そうな男の子が笑ってる。

「僕は新聞は余り好きじゃないんだ。
 この前皆のお供でエリゼ宮に出かけたとき
 そこに居合わせたスワンって奴に言われたんだ。
 新聞なんて低級な物読んでると馬鹿になるぜって」

「でも、だんな、こいつは特別なんで。
 世紀の三大美女特集。
 だんな、これを見なかったらバチがあたりますぜ」

「君はドラマーかい?」

「まっ、そんな所で。
 三ペソです」

「あいにくペソの持ち合わせがない」

僕が断ると横から手が伸びて、男の子に三ペソ渡す。

「メルシー、マドモワゼル」

僕に新聞を寄こすと
ハンチングに手をやって男の子はかけてく。

お金を払ってくれた女の子は
黒い柔らかな大きなつばの帽子。
その帽子から始まって上から下まで
雰囲気がとてもドレッシー。

見慣れない子だけど僕はオーラで誰か分かる。
アナベル。

アナベルは僕の横から
僕の手の中の新聞を読みたそうなそぶり。
僕は二人の前にそれを大きく広げる。

なるほど、世紀の三大美女特集。

『聡明な頭脳と卓越した勝負勘。
 多くの伝説に彩られた取引所の女神』
ブラッディ・マリー。

『彼女を見てやりたいと思わない男が居たら
 当社にご一報ください。博愛主義者の妖精』
モスコミュール

『ルービックキューブはもう古い。
 新しい世界への扉を開く真の芸術家』
スクリュー・ドライバー

「で、何処のリングで戦うわけ?」

思わずつぶやいて、僕はアナベルの顔を見る。
アナベルも吹いてる。

ああ、美しく気高い、大衆って名の正義の人達。
お陰でこの国のこの体たらく。

年金制度は破綻してる上に、食い散らかされてる。
教育制度は破綻してる上に、食い散らかされてる。
福祉の制度は最初から税金食うのが目的。
医療制度を見て欲しい。
ついでに借金は八百兆。
なのに湯水の如く税金の無駄遣い。

「大衆の愛するものは何時の時代もこんなもの。
 煽っておけばいいの。
 そうすりゃ、ご機嫌。
 どうせ、本当の事は目では見えないんだから」

アナベルが柄の長いキセルで煙草を吹かしてる。
なんかエレガント。

「ライオンヘヤーの馬鹿総理に熱狂してた連中だから
 今更、何を言っても仕方ない」

次の瞬間アナベルのキセルが
柄の長いタバコ草の花に変わってる。

「タバコは何処に行ったの?」
驚いて僕が聞く。

「その内、何処からか煙が出るでしょ。
 ねっ、あんた。
 何処に行ってもポスターが張ってある女と
 ベッドで二人きりってどんな感じ?」

「僕はポスターとか見ないようにしてるから」

「そりゃ又、どんな理由?」

「気をつけてないと、思わず立っちゃう」

「そか、ポスターじゃね」

「うん、ポスターじゃ」

「そんな時、私って使えるよ」

さり気なくアナベルが言う。

「君ってシャイなんだ?」

「うん、ブラッディ・マリーはパイパンだけどね」

よせよ。想像しちゃう。

-123-

恋する乙女のミューがそわそわして、
用もないのに行ったり来たり。

心配そうにチラチラ僕を見て、
そしてとうとう僕の横に来ると

「アナベルってああ見えても男の趣味良くないの。
 ジミでヘンな奴にも抱かれたし
 ちっちゃなリチャードともしたし
 ビール通りで男の子とも

 そうそう、何人かコックさんともしたし
 エリちゃん二号男爵とも噂あったし

 そう、あの子、レズの噂もあるの
 ほら同郷のポート・アーサーの彼女と

 雷屋さんの孫のアリャリャちゃんとも
 噂がないわけじゃないけど
 まあ、それは只の噂の域を出なくて
 そんで、そんで、そんで・・・」

僕はミューに微笑む。

「君が人をけなすのを初めて聞く。
 僕は悪い奴だね」

ミューが大きな目で僕を見つめてる。

「アナベル、凄く女の子してたって。
 貴方の前で。
 私も行きたい。その喫茶店」

「無理だろう。
 君はすぐに君だってばれちゃう」

「いいの。一緒に行くの。 
 ちょっと待ってて」

ミューは机の脇に置かれてる観葉植物の葉に向って言う。

「ミュー、これから、出かけます。

 行く先は金木犀が茂る街角
 屋根がプラタナスの葉の形をした
 コーヒーの美味しいお店。

 美しく演出された散歩道と
 夢見がちな恋人達のお客さんとか居ると
 ミュー、うれしいかな。

 ロベルト、警備が大変なのは分かるけど
 『あの、馬鹿女』はないでしょ?

 ロベルト、何時も私のこと守っててくれて有難う。
 この前のダイヤの胸飾り貴方にあげるわ」

ミューの言葉の感じに僕は言う。

「なんか昔からの知り合いみたい」

「ええ、小さな頃から一緒。

 私がちっちゃな時、
 人前で一人ですることしちゃいけないって教えてくれたのが
 ロベルト。

 でも、女の子はみだりに恋をしちゃいけってのは
 教えてくれなかった。

 大きくなってから、小さな頃のいろんな有難うを
 心を込めて感謝したわ」

僕はちょっと妙な顔でミューに微笑む。
ロベルトの気持ち分かる。

ロベルトとしたら手は出したくなかったんだろうけど
ミューに誘われたら耐え切れない。

ミューだってロベルトとのそんな事
進んで言いたい訳じゃない。
でも、ミューは
僕がミューの全てを知りたがってるのを知ってる。

喫茶店で向かい合って僕達は美しい時を過ごす。
ミューが僕に与えてくれる美しい空間、美しい時間。

先生と琴美が
『空間と時間を否定する計算式』を完成させたら
僕は永遠に美の中に閉じ込められるかも。
ミューを見ながら僕はそんな事を考えてる。

アナベルが言ってた。
ミューはもう昔ほど値動きに情熱的じゃないらしい。
その癖、フロアから自由に出かけることも出来ない。
今やミューは天上界の人だからね。

「あんたは何時も私と一緒にいなくちゃ駄目よ」

さり気なくミューが言う。
僕は頷く。

-----

ミューは信じられないくらい素直。
今までミューがそんな深い所で葛藤してたなんて
僕は全く気づいてなかった。
僕は恋のワン・ラウンドの前半を戦ってるつもりで居た。
でもミューは試合丸々を戦ってたらしい。

ミューは僕の下で気持ちよくてたまらなそう。
素直に僕の物に隷属してる。

で、こんなに素直だと
『釣った魚に餌をやる』のが段々面倒になって
僕の動きが次第に緩慢になって
変わりにミューの動きが激しくなって

「ああん、どうして?
 ミュー、なんでもいう事、聞いてるのに」

そうなると、今度はちょっと意地悪したくなって。
ミューは訳が分からずに混乱しながら
お尻を振り立ててたんだけど、どうにもならなくて、突然、

「奴隷です。
 ミュー、奴隷です」

あらら。ミュー、本気で言ってる。
仕方ないから可愛がってやると

「あああ、ご主人さまあ」

ミューとご主人様は仲睦まじい。
でも、僕もちゃんと面子に入れて貰えてるから
全然、悪くない。

終わった後も、ミューの溢れさすオーラの中で僕達は三人。
僕と話しながら、
ミューの手は何時もしっかりとご主人様を握ってる。

-124-

取引所は表向きはただメッセージを出すだけの機関。
でも、裏で実質的な権力を握ってる。

まっ、院政のようなもの。

三人の女神達のポスターに添えられた言葉は
砂に水が染み込むように国民の心に染み込んで行ってる。

知的であること。善行に躊躇しないこと。
博愛の精神を持つこと。品性を重んじること。
誇り高くあること。

これらはライオン・ヘアーの馬鹿総理が
毎日テレビを使って垂れ流していた物とは
真逆のものではあるけれど
世の中の空気は少しずつ改善されてる。

ライオン・ヘヤーの馬鹿総理と言えば
煽って支えたマスコミの犯罪性が無視できない。

マスコミがまともな意見を無視ししてくれるから
彼はふざけた言葉の言いたい放題。

それで当時のマスコミの態度が問われてる。

「死刑!死刑!死刑!」

巨大スクリーンの前で群集が絶叫してる。

国民をペテンにかけたマスコミたち。

下品でくだらない番組を休む事なく
世の中に垂れ流し続けたテレビのデイレクター達。

非科学的な迷信に明け暮れる占い師達を
さも真実を語る人間達のように伝え続けた番組等々。

「死刑!死刑!死刑!」

巨大スクリーンの前で群集が絶叫してる。

刑は速やかに執行される。
今やマスコミの上にも取引所の力が覆いかぶさってる。

国民は天上界の三人の女神達の色香に
すっかり惑わされてる。

税金を食い物にする気がなければ
幾らでもまともな施政は出来る。

政治屋たちが税金を食うのを目的に政治をしてたから
この国がおかしくなってただけ。

利権から政治を切り離せば、良策の花、咲き乱れ。
群集は具体的で目に見える国のビジョンと
日々行われる善政に期待を抱いて明るい表情。

で、ミューと言えばふあふあと華やかな所が減って
変わりに地に足が着いて、シックになってる。

女の子のあの華やかさは、
花の色香がミツバチを誘う為にあるようなもの。
で、ミツバチをさそう必要がなくなると
女の子は次の役目に向けて姿を変える。

僕は深さと確かさを増した
ミューのシックな様子も気に入ってる。

やたら騒ぎまくるのが前のミューなら
眠るような、海のような奴が今のミュー。

ミューは深く濃密な由緒正しい純正な快感に浸った後
オーラをたっぷり溢れさせて足のつま先までご機嫌。

ミューが僕に蜂蜜状に蕩けかかる。

「ミュー、これの奴隷、やだ」

ミューの手が僕のを握ってる。

「ミュー、貴方の奴隷がいい。
 そしたらこれの奴隷でもある訳でしょ?
 その方が凄いじゃない?」

ミュー本当にとても素敵に感じさせられちゃったみたい。
ミューのご主人様に。
それで、これは余りに恥ずかしいんじゃないかって
思ってるみたい。

僕は仰向けに寝て頭の後ろで手を組んだまま

「ミュー、お仕置きだな」

「なんで?」

ミューが驚き慌ててる。

「ご主人様に逆らおうとしたんだから
 二度とそんな事考えないように
 今度、たっぷりお仕置きしてやる」

やはり、ミューをお仕置きしてみたい僕。

「やだ、お仕置きやだ。
 もう、逆らわないから、お仕置きやだ。
 ミューお仕置きはいや。
 貴方にされたら、ミュー、耐えられない」

「だめ」

僕はミューを相手にしない。

暫くしてミューの甘い体が僕に寄り添ってくる。
「お仕置きはいやだ」
ミューの半泣きの声。

見るとミューがすっかり発情してる。
ミューが甘く蕩ける全く別の可愛い生き物に変身してる。

「お仕置きはいや」
半泣きのミューの意識は朦朧としてる。
ミューは全身で僕の体に甘えてる。

ミューの中で
お仕置きなんて耐えられないと言う感覚と
僕が好きと言う感覚と、
お仕置きなんて絶対されたくないと言う感覚と
されてる自分の感覚と・・・。

ありとあらゆるものが
ミューの中でリッチにマイルドに上等にブレンドされて
ミューの体も心も蕩けに蕩けて
ミューはとても美味しそう。

このミューを味あわない手はない。
僕が乗っていくとミューは驚いて混乱してるけど
ミューの体は僕を無意識に受け入れてる。

僕はスペッシャルデーのフルーツパフエ状態のミューを
ゆっくり味わい始めたんだけど
ミューの反応のスウイートな事。

「あああ、ご主人さま。
 あああ、ご主人さま」

心も体も蕩けた無意識の状態の中で、
ミューは仕切にミューのご主人様に忠誠を誓ってる。 

-125-

トロッキーだかレーニンだか忘れたけど
そんな名前の人が怒り狂ったらしい。

「一番蜂起が遅かったのが共産党だ。
 一体、何のつもりの、後出しじゃんけん。
 革命の足を引っ張りまくって」

いや、それはそうなんだよ。
体制の中に生きる権利を与えられてると
誰も革命なんかには走りたくない。

皆、明日の暮らしが大事。

だから頭のいいブルジョワの方が革命には余程有益。
彼等は機を見るのが速い。
それで食ってるからね。

そんな彼等でも責めの激しさと大胆さに置いたら
誰もブラッディ・マリーには適わない。

混沌としてもつれ合った時はミュー。
次々に布石を打っていつの間にか全体の流れを
自分の意のままに操ってしまう能力に長けてる。

これは生まれながらに持ってる才能だから
その辺の政治家なんかじゃ赤子のようなもの。

トロッキーだかレーニンだか忘れたけど
そんな名前の人が怒り狂ったらしい。

「大衆って奴等の興味は三日しかもたない」

そう、三日たてば
大衆は政治の舞台なんかに興味をなくす。
だって、彼等は政治家じゃない。

だから官僚主義になるしかない。

ボトム・ツウ・トップ?
政治でかい?
あまりに馬鹿げてる。

調教師が素人に自分の管理してる馬への助言を仰ぐ?

だから、取引所は三人の女神。
大衆には適当な事を言っとけばいい。
どうせ大衆には言葉の中身なんて分かりゃしない。

大衆はそんなに馬鹿じゃない?

『構造改革』

中身、何?
言える?

でも、熱狂したでしょ?

何処かの飲み屋でおっちゃんが大演説。

「そんなに迄してイナバウワーにこだわったから
 荒川は凄いんだ」

凄いね。どうしてそんなに詳しいの?
何処かの女子高生が凄い剣幕。

「だから日本はサッカー後進国って言われるのよ」

おい、おい、おい、おい。

でも、これが世論って奴。

ねっ、取引所ってしたたか。
大衆って奴の本質を見抜いてる。

取引所は平気で一円でも二円でも嘘上げして見せる。
それでも足りなかったら三円でも四円でも。

情勢が情勢だから
最近じゃ僕もブレーン会議に出なくちゃならない。

僕はそんな物に興味ないんだけど
ミューの傍に居てやらないとならない。

それに彼等の身内になろうって僕が余り無視してると
存在を抹殺される。
この世から。

それが組織って生き物。

ブラッディ・マリーの目は輝いてる。
顔つきは精悍そのもの。

ミューは退屈そう。
誰もミューの考えを聞いたりしない。

僕はいい事を思いつく。
何もミューが最初から最後まで
ここに居る必要なんてない。

顔を立ててやればいいんだからデコイで十分。
うん、大きな鯉。

大きな鯉の役なら恭子がぴったり。
恭子なら緊張感の演出にも役立つし。

一足先に出たスウィート・ルームの僕の所へ
ファッション雑誌を手にミューがやって来る。

ミューは小さなコタツの僕の横に無理やり入り込む。
『ここが私の場所』

穏やかに甘く流れる時間。

僕はミューの眺めてる雑誌を一緒に覗き込んでる。
で、僕は気づく。

さっきからミューの指が
僕のジーンズの上から僕の物の形をたどってる。

僕は珍しそうにミューの指の動きを眺めてる。
知らない内に僕の物は固い。

ミューがミューの指を眺めてる僕に気づく。
ミューが優しい顔でうれしそうに僕に微笑む。

「ミューのご主人様」

いや、否定はしないけど。

暫くして、雑誌を眺めながらミューが言う。

「ちょこっとでいいから出して」

はい、はい。

ミューの手の平と指が丹念に愛撫した後、
ミューはそれを固く握り締める。

ミューの愛撫の仕方、とても愛情が篭ってる。
僕は感心する。

本当に二人は仲睦まじい。

「ねっ、何が書いてあるか読んで」

そう言い残すと、ミューの頭は僕の物へ。
僕は僕からミューの顔が見えるような体勢を取る。

ミューは愛情一杯。本当に愛おしそう。
ミューの顔は優しく微笑んでる。

うーん。本当に仲睦まじい。
ミューは舌だけで優しく愛撫したり
時々、口から出してにこにこしながら
全景を眺めたりしてる。

感心して見ほれてるとミューが僕を見てにっこり。

「ミューのご主人様」

うん、否定しない。

-126-

爺さんの計画は着々と進行してる。

でも僕に興味の有るのはミューだけ。
ミューが居なければこの世は僕には無意味。
本当にそうなのさ。

今、僕はミューの心を繋ぎ止める計算式を完成させてる。
ならもう僕に何も言う事はない。

♪とっても甘くて可愛い天使を手に入れた。
♪彼女の翼に包まれるとこの世の全てが喜びに変わる。

ミューのとんでもない魅力はミューがマジな時は
何処かに消え去ってしまうって前に僕は書いた。

だから、今、僕の目の前に居るのは素朴な田舎の女の子。
これが恋なんだね。

僕の居るスウィート・ルームにミューが入ってくる。
ミューはたまたま立ってコーヒーを飲んでる僕に向って
一直線にやってくる。

ミューは僕の前に跪いて
僕のジーンズの上から僕の物をなめてる。

僕はミューの頭を優しく撫でて、
ミューの為のコーヒーを入れにカウンターに向う。

ミューは元気一杯の愛くるしさで付いて来て
立ち止まった僕のジーンズの前に跪いてる。

僕はもうこのミューにすっかり慣れてる。

最近、僕にはミューが女の子と言うより
美しいふあふあの毛の
大きな白い犬のように感じられてる。

僕の仕事はミューを抱いてあげること。
そんな風に僕は感じてる。

コタツの前に戻る頃には
僕のジーンズの前はミューの唾液で濡れてる。

「ねっ、出して」

はい、はい。

僕の物を見るとミューはうれしそうな表情。
そして、そのうれしそうな表情のまま僕を見上げる。

「ミューのご主人さま」

「そうだな」

僕はミューの頭を優しく撫でる。
ミューは愛しくてたまらなそう。

「いいな、お前にはご主人さまがあって」

「うん」

ミューの敬意と情愛が溢れてる。

暫くミューのやりたいようにさせてから
僕はコタツの前に座る。
ミューは僕の動きのままに付いて来る。

ミューとご主人様は仲睦まじい。
そんなミューを見ながら僕は考えてる。

ミューの値動きに対する嗅覚はやがて失われるだろう。
ミューの男を惹きつける魅力も
やがて並みの物になるだろう。

ミューの力を奪ったのは僕なんだから
僕はミューの変わりに稼がないとならない。

♪スペルはM、そしてA、そしてN
♪そうさ、man、もうガキじゃない。
♪俺はお前のフーチークーチーマン

僕はノートを広げて
オリジナルの『ミッドナイト・ドリーム』
の楽譜を書いてる。

何曲か完成したら、
僕はトシとバンドを組もうと思ってる。

アナベルも居るし取引所の後ろ盾もある。
くだびれるまでは音楽を仕事にしよう。

下でミューが鼻を鳴らしてる。

「何だ、欲しいのか?
 よしよし」

僕はミューに言うと
四つんばいで僕を待ってるミューに近づく。

僕が近づく気配だけで、ミューは体と心を蕩けさせてる。

僕がミューの細いウエストに手をかけただけで、
ミューの体が芯から熱く反応してる。

     完

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: