高速鉄道なんと年 2700 キロ開通…中国 GDP を押し上げた「インフラ投資」 巨額負債の懸念もどこ吹く風
2023
年の中国の国内総生産( GDP
)成長率は、目標通りの 5.2
%増
だった。
中国経済は、これまで成長の柱だった不動産業の長期低迷が見込まれるが、もう一つの柱である インフラ投資は堅調
だ。
2023
年末に相次いで開通した高速鉄道の現場を訪れると、インフラ投資に頼る地方政府の苦境が透ける。(北京・石井宏樹)
◆「市民のための工事であり、サービスだ」
昨年 12 月下旬、報道陣を乗せた 1 番列車が南昌(なんしょう)東駅(江西省南昌市)を出発した。同市から安徽省黄山市までの区間 286 キロが開通し、従来の 3 分の 1 の約 1 時間で結ぶ。車内では伝統舞踊が披露され、乗務員が歌を歌って開通を祝った。
関係者によると、この区間の建設費は 300 億元( 6000 億円)超。地元幹部は「インフラ建設は市民のための工事であり、サービスだ」と恩恵を強調した。
沿線観光地の期待は大きい。紅茶で有名な祁門(きもん)では、 100
年以上前の茶の試験場を改造した博物館を売り出す。景徳鎮(けいとくちん)の陶器博物館関係者は「開通によって上海や南京、杭州が、観光客の大部分を占める 4
時間の交通圏内
に入る」と説明。観光客が年間 30
万人も増えるとそろばんをはじく。
◆
2023
年に開通した区間だけで、日本の新幹線の総延長に匹敵
中国では昨年、 2776 キロの高速鉄道が開通した。日本の新幹線の総延長約 3300 キロに匹敵する距離だ。中国政府は高速鉄道を各地に張り巡らせ、沿線の開発を進めて経済成長を促してきた。高速鉄道の総延長を 現在の約 4.5 万キロから 35 年までに 7 万キロに延ばす計画 も掲げる。
17
日の発表でも、 インフラ投資は前年比 5.9
%増の伸び
を見せ、特に鉄道運輸業の固定資産投資の伸びは新型コロナウイルス禍の反動もあって同 25.2
%増
だった。高速鉄道建設は、旅行業などへの波及効果に対する期待は大きい。
◆「経営の赤字とは質が異なる」強気を維持
一方で負債は急増している。 国有企業の中国国家鉄路集団(国鉄集団)の負債は 23 年には 6 兆 1000 億元(約 122 兆円)に達し、 18 年の 5 兆 2000 億元から膨らんだ。コロナ禍で鉄道利用者が激減した 20 〜 22 年は巨額赤字を計上した。
担当者は「負債の大部分は建設投資であり、経営の赤字とは質が異なる」と主張。しかしゼロコロナ政策が終わった 23 年も赤字路線は少なくないとみられる。
高速鉄道の建設は、深刻な債務問題を抱える地方政府の負担も大きい。
祁門南駅では、年間収入 8
億元規模の地元政府が、駅舎や周辺道路の整備などに 6
億元を投じた。幹部は「開通によって地価も上がる。(財政に)大きな影響はない」と強気だが、インフラ頼みの成長モデルに固執すれば地方政府の債務がさらに膨張する恐れもある。
高速鉄道なんと年2700 キロ開通… 中国GDP を押し上げた「インフラ投資」 巨額負債の懸念もどこ吹く風:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)
住宅建設の不良債権化ばかりが強調されることが多いですが、高速鉄道という インフラ投資
にスポットをあてた興味深い記事です。
写真も撮影してちゃんと取材しているのでしょう。
それにしてもすさまじい投資です。
25%増というとかつての広東省の経済成長を思い出します。
取引先の工場は訪問するたびに新工場が建設中でした。
街には立派なビルが建ち、道路もどんどんよくなって行きました。
それが数年後には上海にも波及です。
最初は有料だった空港からホテルまでの道路料金が無料になったのに、驚いたのを覚えています。
どこかの国とは大違いです。
土地所有権がなく公重視の国ですから、道路は作りやすかったのでしょう。
それが、高速鉄道に波及です。
北京から台北までつなぐ計画もあるそうです。
中国のひとり当たりの名目GDPは12,669USD 68位 2022年 と、まだまだ発展途上です。
世界の一人当たりの名目GDP(USドル)ランキング - 世界経済のネタ帳 (ecodb.net)
成長は鈍化しても、その余力は大きいでしょう。
中国版あまちゃん?