合衆国の戦略空軍基地。リッパー将軍の副官として赴任した マンドレイク英空軍大佐(ピーター・セラーズ)
は、突然「R作戦」開始の命令をうけて愕然とした。ソ連攻撃に備えた緊急かつ最高の報復作戦「R」を下令するのだ。基地は完全に封鎖され、厳戒態勢がとられた。また哨戒飛行機の全機も通信回路が遮断され、基地からの指令だけしか受けられない状態になり、 50
メガトンの水爆を搭載、直ちにソ連内の第 1
目標に機首を向けた。
その直後、大佐は司令官が精神に異常をきし、敵の攻撃もないのに独断でこの処置をとったことを知ったが、手遅れだった。
その頃国防省の最高作戦室では、 大統領(ピーター・セラーズ)
を中心に軍部首脳と政府高官が事態の処理をめぐって激論を交わしていた。議長のタージッドソン将軍(ジョージ・C・スコット)は時間の緊迫を訴え、編隊の呼戻しが不可能な以上、全力をあげソ連に先制攻撃をかける以外道のないことを説いた。
しかし、大統領はソ連大使に事態を説明、撃墜を要請した。だが、 1
発でも水爆が落ちれば全世界は死滅する。解体は不可能なのだ。 米国兵器開発局長官ストレンジラブ博士(ピーター・セラーズ)
はこの存在を証明した。
同じ頃、大統領の命令をうけたガーノ陸軍大佐指揮下の部隊は基地接収のため交戦中だった。やがて基地警備隊は降伏、司令官は自殺、マンドレークは呼返しの暗号を発見した。ミサイル攻撃を受け、通信機に損傷を受けた、キング・コング少佐(スリム・ピケンズ)の機だけは目標に直進していた……地球上のあらゆる場所を核爆発の閃光が彩っていった…。
(KINENOTE)
『 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか 』( Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb )は、 1964 年 の イギリス と アメリカ合衆国 の 合作 による [2] の ブラックコメディ映画 。
冷戦時代 の ソビエト連邦 と アメリカ合衆国 の 核戦争 を風刺している。ピーター・ジョージの『 破滅への二時間 ( 英語版 ) 』( 1958 年)を原作に、スタンリー・キューブリックが監督を務め、 ピーター・セラーズ 、 ジョージ・C ・スコット 、 スターリング・ヘイドン 、 スリム・ピケンズ らが出演する。
1998
年には
アメリカン・フィルム・インスティチュート
が発表したアメリカ映画のベストランキングで 26
位( 2007
年版では 39
位)、 2000
年には最も面白いアメリカ映画のリストで 3
位にランクインしている。
1989
年、
アメリカ議会図書館
は、「文化的、歴史的、美学的に重要」であるとして、
アメリカ国立フィルム登録簿
に保存する最初の 25
作品の一つに選ばれた
[3]
。
キューバ危機 によって極限状態に達した 冷戦 の情勢を背景に、偶発的に 核戦争 が勃発し、人類滅亡に至るさまを描く ブラックコメディ 。政府や軍の上層部はほぼ全員が俗物ないし異常者として描かれる 風刺劇 でもある。
93分
(ウィキ)
本当は、4役だったピーター・セラーズ
何度観ても面白い作品ですが、この作品での救いは米国の大統領がまともなところでしょうか。
それに引きかえ現代は、ウクライナやガザの状況を見るまでもなくおかしな人物がなったりします。
ブラックコメディーが、悲劇にないかねないのが現代です。
特に印象的だったのは、人類絶滅兵器と抑止力のくだりです。
マフリー大統領はサデスキー大使同席の元、
ソ連首相
に
ホットライン
で
爆撃機
の件を告げ、もしアメリカ側が B-52
の呼び戻しに失敗した際は、それらを撃墜するよう依頼する。
しかし、直後にホットラインを代わったサデツキー大使は、ソ連首相から、核攻撃を受けた場合、数十発の
コバルト爆弾
を自動で爆発させることで
半減期
が極めて長い
放射性降下物
を発生させ、地球上の全生物を絶滅させる「皆殺し装置 [6]
(
終末兵器
の一種)」を実戦配備したことを告げられる。
サデツキー大使から皆殺し装置のことを告げられたマフリー大統領は解体できないのかと聞くが、サデツキー大使はもし解体しようとすれば作動してしまうことを告げる。
マフリー大統領になぜそれを作ったのかを聞かれ、「反対もあったが、軍拡競争や宇宙開発競争に比べれば一番安く済む」「アメリカも同種のシステムを作っていると聞いた。こちらも持たなければ困る」と言うサデツキー大使の言葉を聞いたマフリー大統領は、ストレンジラヴ博士に本当に皆殺し装置を作っているかどうかを聞く。
ストレンジラヴ博士は自分も皆殺し装置の製作を検討したがこれは戦争回避には役立たないと判断したと言いつつ、皆殺し装置の構造を淡々と解説する。しかし、ストレンジラヴ博士にも解けない疑問があり、そこに至ると博士は興奮して「 皆殺し兵器はその存在を公表しなければ意味をなさない。それなのにソ連はなぜ公開しなかったのか!
」とサデツキー大使に迫る。
サデツキー大使は「近日公表する予定だった。首相は人を驚かすのが趣味だ」と説明した。この協議が続いている間にもリッパー准将麾下の B-52
は進撃を続けていた。
(ウィキ)
抑止力論は自民党のお家芸ですが、なぜか核兵器の存在についてはだんまりです。
皆殺し兵器については、映画の冒頭で触れられますが、大量の放射性物質を振りまく施設と言えば原発でありさらにひどいのが再処理施設と言われています。
100万年に1度の発生確率の事故が3度も起こった日本は、すでに映画を超えているのかもしれません。
エドワード・テラー(原爆の父)、フォン・ブラウン(ミサイル開発)、レオ・シラード(コバルト爆弾)、カーチス・ルメイ(戦略爆撃)、ハーマン・カーン(ハドソン研究所)など、この映画で想起される人たちを調べてみるのも一興です。
ほかにも
切り裂きジャック事件のジャック・ザ・リッパー ⇒ ジャック・D・リッパー准将
マルキ・ド・サド ⇒ アレクセイ・デ・サデスキーソ連大使
ナチスの優生思想 ⇒ 地下壕での避難民の選別
など
幻のパイ投げのラストシーンも観てみたいです。
本来、映画のエンディングは「最高作戦会議室で出席者が パイ投げ する」というシーンになるはずだったが、諸事情でカットされた。ウォーカーによると、このシーンは「あまりにも多くのパイが投げられ、観客は誰が誰なのか判別できないほどだった」という [23] 。
カットされた理由として、キューブリックは 1969 年のインタビューで「あまりにも極端で、映画の風刺的内容に合わないため」と語っている [19] 。サザーンの息子ナイルは、「パイ投げのシーンではキャスト全員が笑っていたため、映画では使用できませんでした。まるで吹雪のようにパイが投げられ、ある意味では迫り来るミサイルの比喩であり、彼らから古き良き時代を感じるでしょう。これは、キューブリックが言ったように『 ホメーロス の厄災』なのです」と語っている [23] 。
(ウィキ)