MY HIDEOUT ~私の隠れ家~

Jan 27, 2005
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カテゴリ: 映画鑑賞記録
"THE DEVIL'S OWN"

監督・・・アラン・J・パクラ 
出演・・・ハリソン・フォード、ブラッド・ピット、マーガレット・コリン、ルーベン・ブラデズ、トリート・ウィリアムズ、ナターシャ・マケルホーン、ジョージ・ハーン、ポール・ローナン、ミッチ・ライアン、ジュリア・スタイルズ、他。

・物語序盤・
8歳の時にIRAシンパだった父を眼前で殺されたフランシス・マグワイヤーは、アイルランド独立運動に身を投じ、冷徹なテロリストに成長した。
SI5(英国秘密調査局)に襲撃され、仲間の大半を失った彼はローリー・ディヴァニーという偽名でNYに潜伏する。
ローリーは、IRAシンパであるフィッツシモンズ判事の手引きで、NY市警察官トム・オミーラの家に下宿する。
トムは勤続24年、正義感に厚く真面目一筋に生きてきた男で、妻シェイラと3人の娘に囲まれ、幸せな生活を送っていた。
トムはローリーを祖国から来た純朴な青年として、家族同様に歓迎するが…。



どんな駄作なのかと身構えていたら、普通に良い映画でしたよ。
最初こそ、売れっ子スターのブラッド・ピットが、社会派の映画でIRAの工作員役を演じるのは、ピンと来ないなぁと思いましたが、観ている内に気にならなくなりました。
パンチが効いていないと批判されていますが、そもそもそういうタイプの映画ではないと思います。
アクション・メインのドンパチ映画では。
これは飽く迄、アイルランド人の置かれた現状の一端を描いた社会派ドラマでしょう。

子供の頃から殺伐とした環境で育ち、戦いに身を投じる他無かった青年と、アメリカで警官として、比較的平穏に正義を信じて公務に励んでいた男との対比が良かったと思います。
パートナーが丸腰の車上荒しを射殺した事で動揺し、彼を庇う為に嘘の証言をしてしまった自分が許せずに苦悩する警官。
テロリストの青年はそんな彼を、銃を持っていれば、何れ人を撃つ事になる、それが常識だと切り捨てる。
自分は肉親を目の前で殺され、銃を取って戦うしかない世界で暮らしてきたのに、目の前にいるこの男は、己の信念という狭く平和な問題で真剣に悩んでいる。
車の中で隣同士に腰掛けている二人の世界は、その物理的距離に比べて、あまりにも遠く隔たっている…。
相手を利用するだけの駒と、何処かで見下していた青年ローリーは、我知らず、幸せで温かい家庭生活を営む一家に心惹かれてゆく。

そう訴えるローリーの言葉が切なかったですね。

ラストもあまり救いのあるものではありません。
展開上、そう収めるしかなかったという感じでしたが、警官の台詞と同じく、「こうなるしかなかったのか?」と思わず問い掛けてしまいます。

全体的にわりと静かなドラマ展開です。
二大スター競演の娯楽大作などと思い込んで観るのはNG。

アイルランド問題については、「マイケル・コリンズ」などを鑑賞されるとより理解が深まると思います。

虐げられた弱者達が武器を持って立ち上がると"テロリスト"とレッテルを貼られる。
テロリストの犯行は卑劣で許されない行為だと言う。
では国家による虐殺や蛮行は許されるのだろうか?
いつも考える問題です。





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最終更新日  Jan 27, 2005 05:19:10 PM
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