静岡市の建築家 舞

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「LRTが街を変える」


「LRTが街を変える」栗田 仁 著      
      都市文化社 ¥1,600
 フランクフルト・フライブルク・マンハイム・ストラスブルクとドイツとフランスの国境の都市からオランダ・ハンガリー・香港と美しい街並を背景に
各都市の「LRT」の写真から始まる。
 昨年、何度もフランスを訪れた仁氏、まずは宿泊地グルノーブルで、“商店街衰退の日本と比較して、どうしてこんなに賑わいがあるの?”と問いかけ、“このメカニズムを解き明かそう”と投げかけ、「LRTの魅力を賞味いただきたい」と誘い込む。
 Flying Architectの異名を持つ仁氏、その多種多様豊富な海外経験から世界の交通費の安さ、便利さに注目し、日本の文明開化からの歴史から「お粗末なまちづくり」を序文として紐解く。
 述べようとするLRTの条件を定義し、いよいよ「世界のLRT」へと進む。(高性能超低床式路面電車と訳す)
 お年寄り・ベビーカー・車椅子等がごく普通に、しかもスムーズに乗り降りする海外のLRTを目にした仁氏、低床にするための車体構造解説、その開発歴史から始まり、機能のすばらしさと都市再生の手法へと展開していく。本のいたるところに日本の概念では“え!”とおもう興味深さ満載だ。
 仁氏が海外の空港を降り、経験したものだけに、風景が伝わってくる。かなりの貧乏旅行なのか?事細かに交通費が書き留められ、その安さと交通システムの便利さに驚く。
 日本各地主要駅前で行われている巨大駐車場工事について 世界の都市再生成功例から“都市再生への逆行”と暗示する。車のための設備が招く交通麻痺と排気ガス公害、さらに大型店舗と消費者の郊外移動そして中心市街地衰退を述べる。
 これに早く対処したカナダ、ヨーロッパの“LRT導入”都市再生術、トランジットモールを含め紹介。
 読み進むほど、世界の交通体系の便利さから日本のお粗末さにがっかりする。カード一枚でバス・船・電車と乗れたり、改札口がなく並ぶ事無く乗り降りできたり、その上料金の安いこと…
 無知な政治家が多い現状のなか、市民が情報を得、知識を増し、底辺から変えていこうと呼びかける。
 車から“まち”をとりもどし、人で賑わう“人のためのまち”をつくるため、栗田 仁氏の「LRTが街を変える」は広く読まれて欲しい本である。


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