「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家
ルネ.クレマンの≪居酒屋≫
フランス文芸映画、≪居酒屋≫、ルネ.クレマン監督 6月23日(月)
フランスの文学作品の映画化作品。。。
今日はエミール.ゾラの≪居酒屋≫を取り上げてみます。
この居酒屋はゾラの≪ルゴール.マッカール双書≫という
20巻に及ぶ大長編...マッカール家の歴史大河小説の
弟7巻に当たる部分のものです.
シェルベーズ.マッカールという弟三世代と後に≪女優ナナ≫
として世に出る作品のナナの子供時代や
弟13巻に≪ジェルミナール≫として世に出る作品の三男坊の
エチエンヌなどの弟4世代が登場する部分の作品だと言う事を
申しあげておきます。
≪居酒屋≫ーー原作を読まれた方は、
この作品、好き嫌いがはっきりと出ると思いますね。
つまり いたぶり の文学とでも言いますか
巴里の下町に住むシェルベーズというひとりの女性の
人生行路を縦軸に、その市井の人々の
有様を横軸に書いているわけですが
シェルベーズの生きかたを作者はこれでもかこれでもか
といたぶっていきます。
アメリカ映画が得意とする健気な
女性の美談ではなくあくまでも下層階級の女性が
時代と環境と病理に流され
不幸な人生を送るゾラの究極のテーマを書いた物語です。
1,2,3,4と段階、章を重ねる毎に
シェルベーズはいたぶられ続けていく。
その生きかたに読者は同情するか?反発するかというところに
ポイントトがあるような気がします。
貧乏から抜けようとしてもその手段を間違えると
こんな人生の結末となってしまうという
極端な人生像でしょうが
そんな人々がこの美しい巴里の片隅にはたくさんいた時代を
リアルに書いています。
映画は≪太陽がいっぱい≫ のあのルネ.クレマンが
監督しています。
映画はそのシェルベーズの役を
当時清純な顔立ちだが人気だった演技派のマリア.シェルが
好演しています。
登場人物
シェルベーズ
働き者ではあるが時代に流され、男に弱いが、ごく普通の
庶民の女性。
足が悪く、引きずっているが愛らしい顔立ちである。
ランチェ
一見穏やかな紳士風であるが、女を食い物にするというか
女の稼ぎで食べさせてもらいその上他の女にも
チョッカイを出すという食わせ者。
シェルベーズの愛人であり二人の子供を身ごもらせるが、
お針娘の女と駆け落ちし行方をくらませる。
クーポ
ランチェが消えて暫くしてシェルベーズと結婚し、一児
アンナ(後のナナ)を生ませる。
本来、真面目で働き者であったが不慮の事故以来
怠け癖がつき、シェルベーズがせっかく開いた店の邪魔をする。
アルコール中毒となり最後は悲惨な死を迎える。
ヴイルジーニ
ランチェと駆け落ちした女の姉で性悪で
後半、ランチェと組んでシェルベーズの店のっとりを企み
シェルベーズの転落の人生のきっかけを作る。
グージェ
ただ一人シェルベーズが信頼できると想いを寄せる鍛冶工.
シェルベーズが店を出すときに大金を差し出すという
有徳な人物であるが
シェルベーズの転落の人生を目の当たりにして憂う
可愛そうな人物である。
ロリユ夫人
金細工職人ロリユの妻。クーポの上の姉で意地が悪く
クーポとシェルベーズが結婚した後も打ち解けようとはしない。
そのくせ、クーポ一家のイベントなどに招待しないと
機嫌が悪いという嫌味たっぷりのオバサン.
あら筋
今日も朝帰りのランチェ.
女癖の悪い彼はシェルベージュの愛人であるが二人の間には
二人の子供がいる。
シェルベーズはランチェと二人の子供と一緒に
故郷プラッサンから巴里へ出てきた。
洗濯女として働いている。
ひものようなランチェをお針娘に奪われ、
一人頑張って二人の子を育てる。
そしてク-ポというブリキ職人と結婚する事になる。
クーポ゚は真面目で優しかった.
二人は一生懸命に働いて自分たちの店を持つことを夢見た。
しかし屋根から転落したクーポの治療費で貯金は
瞬く間に消えた。
子供も大きくなり、エチエンヌは鍛冶工のグージェに可愛がられ、
修行をしている。
クーポ゚との間にもアンナが生まれていたが、
途方にくれるシェルベーズに想いを寄せる純粋なグージェは
開店資金を貸してくれる。
思いきって店(洗濯屋)を開いたシェルベージュは雇い人も入れ
生活も安定してきた。
しかし治療をしているクーポはその間に怠け癖がつき、
店の金をくすねては酒浸りで、昼間から
赤ら顔で店に顔を出し、客は次第に減ってくる。
おまけに行方をくらましていたランチェが
針娘の姉(ヴイルジーニ)とともに舞い戻ってきた.
曰く因縁の仲のヴイルジーニーーー針娘の姉である.
昔、妹がランチェを奪って逃げた時に洗濯場で
取っ組み合いの大喧嘩をした経緯があった.
今は水に流して...と言い、警察官と所帯を持ったという話に
シェルベーズも信用して過去の事は水に流した.
警官と一緒になったのは本当であったが
ランチェと通じてなにか企てているのを
シェルベージュが気づく筈もない.
性悪女は昔のままであった・
グージェは遠くからいつもシェルベージュを見守っていたが、
何を思ったか、ク-ポはランチェとシェルベージュのことを
知りながらもランチェを居候としておく事に決めてしまった。
それから奇妙な二人の男を養うというシェルベージュの
苦労は始まる。
ランチェはシェルベージュを惑わそうと
虎視眈々と狙っている。
そんな男共を捨てて出ていくだけの頭は彼女にはない。
グージェはそんな彼女に失望しつつも諦められない。
とうとうある夜ランチェはクーポが酔って寝ているまに
自分の部屋に引き入れた。
それを隣のドアから見ているアンナ(ナナですね)がいた.
まあーーそれからいろいろあって店はランチェとヴイルジーニに
取られ、シェルベージュたちはもとの安アパートに逆戻りし
クーポはアル中で病院を出たり入ったり...。
シェルベージュも酒浸りと転落の一途を辿るのである。
そしてついにはクーポから夜の女として働けと娼婦にまで
身を落とし、謀らずもとったお客がグージェ゙ェであった.
そしてクーポはとうとう病院で発狂して果てる。
そんな両親を見て育ったアンナは家出をし、娼婦となっていく。
シェルベージュはその部屋も追い出され屋根裏部屋へいき
働く意志もなくなり、人生をあきらめ、
誰も知らないうちに死んでいき
死体が発見されたのは死後何日も経ってからであった。
とまあ大まかな筋です。
ここまで追い詰めるか?と憤懣は残るし、
ただ哀れで、同情ーーーといったものにも繋がらない.
こういう生きかたしかできなかったといえばそれまでであるが
なんとも・・・
しかしそれがーゾラーなのである.
ここで文学論を書くほど知識もないので書けませんが、
スタンダールがブルジョワ階級を舞台にしたのと比べて
ゾラは下層階級の一人の女性を軸に自然の流れを物語とした。
下層階級もその時代時代であり様も違うだろうし、
ブルジョワ階級にしてもお金ではない人生の厳しさもあるだろう。
映画はキレイなモノクロでしっかりと纏められています。
原作の表現はもっと汚く、下司な感じさえするこの小説。
しかし、クレマンは≪ナナ≫の少女時代も余韻残る描写をし
捨てがたいし、マリア.シェルがシェルベーズの人生の行方を
じっくりと演じており、
胸に染み込んでくる力作であることに間違いはない。
アメリカ映画の文芸作品は辛口であるが
この作品に限って言えば俗っぽいものを
より俗っぽく描いたということか.
制作 仏 1956年度
監督 ルネ.クレマン
原作 エミール.ゾラ
出演 マリア.シェル/フランソワ.ペリエ/
シュジー.トレール
撮影 ロベール.ジュイアール
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