「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家
≪燃えつきた納屋≫
今日は、10月にBSでも放映された
≪燃えつきた納屋≫を取り上げましょう.
その前に、
昨日は、≪レッド.サン≫の紹介の中で
ちょっと漏れていたことを書き加えますね.
リンクと重衛兵が荒野を彷徨う中で、
重兵衛が持ってきたおにぎりとたくあんを食べるシーンが
あったのです。
たくあんを臭いと言いながら、お結びは美味いといって
ムシャムシャと食べるシーン。
ここがなんとも面白いシーンなのですよ。
そういった備えの意識だとか、
東洋の礼儀というものにいちいち驚かされるリンクの表情が
とても興味深いです。
”何のためにゴーシュを追うのか?”と言うリンクの問いに
重兵衛は
”使命の為だ!、時代は変りつつある。
私が日本に帰ったころには武士というものが
もういなくなっているかもしれない。
いわば最後の武士として太刀を取り戻す使命を
果たすのだ!”
例え、殺され、失敗に終わっても..”
というシーン。
随所、随所に日本人のものの考え方などを
散りばめています。
まさにこの映画も
ラストサムライの映画だったかもしれませんね。
ただこの作品は徹底した娯楽作品だということ。
そして、映画というものは作品の内容だけに
重点をも置くのではなく、
この作品のようにスターの存在感を堪能するという意味において
大事な作品だと申しあげておきます。
ということで、
本日の日記へ。
サスペンス映画と紹介され、
観客はそう思い込んで観てしまうことがある。
確かに間違ってはいまいがそう思ってみた観客は
ラストのあっけなさに不満を残す事が良くある。
決して、そういったキャッチフレーズや批評家達の
紹介文を鵜呑みにはしてはいけない。
例えばヒッチコックの作品にしても、謎解きやトリックに
重点をおかずに、展開の面白さや、どうやって
犯人を追いつめていくかと言う作品が殆どである。
サスペンスであってもドラマがなければいけないし、
作品の”華”もなければつまらない。
アラン.ドロンの作品いついては何が良いかといえば...
冒険映画であっても、サスペンス作品であっても、
マフィァアものでも、刑事ものでも、
ドロンの生き様が投影され、また、
彼自身から発せられる香りといったほかの役者にはない
独特のものが画面に現れる魅力である。
孤独と憂いと秘めた情熱のようなものが
どんな作品にでも我々に感じさせてくれれば良いと
思っている。
そんな彼の作品で第一日目に紹介した帰らざる夜明け≫は
先輩女優シモーヌシニョレとの共演により、
ドラマとはこういうものだを学んだ彼だったと思うのです。
優れた監督に恵まれ、彼の生まれながらにしての非凡な才能、
スター性はあらゆる障害を乗り越えた。
その容貌からして、本来恋愛もの等に向いていそうで、
そうではない。
見渡す作品ではいかしこもない。
たまたま容貌が人並みはずれた美しさであったいうだけのもの。
しかしそれをも武器にしたからこそ、
スタードロンでありえたということにもなろう。
シモーヌ.と組んだ仕事はそういった男女の機微を細やかに演じ
光り輝いた。
そして今日紹介する≪燃えつきた納屋≫では人間愛というか、
人間を理解するということをドロンとシモーヌが
たっぷりとゆっくりと厳寒の田舎を舞台に演じあげました。
しみじみとしたこういった作品は彼の作品の中では珍しい.
もの静かな男と内に秘めた激しさの女性との
人間愛を描いた作品だと思います.
ストーリー
フランスの片田舎、オートドースという村は
冬は大雪に閉ざされた小さな村である。
そこに”燃えつきた納屋”という名の一家が住んでいた。
夫、ピエール、長男のルイ、その嫁と子供ふたり、
次男のポールその嫁のモニーク、姉のフラサワーズとい大家族の
大黒柱は牛のようにがっちりとしたローズ(シモーヌ≫であった。
ある日、この家族の家の近くで真夜中に殺人事件が起こった。
被害者はパリに住む若い女性であった.
この夜も深深と積もった大雪の夜であった。
村のおまわりや近くの町の警部では手がかりもつかめず、
治安判事ラルシェ(ドロン)が送られて来た。
村の古い因習や、
団結力といったものをここで知らされることになる
ラルシェであった。
長男ルイも次男ポールにもはっきりとしたアリバイがなかった。
パリから派遣されたラルシェは隣町にホテルをとった。
そこから殆ど毎日のようにこの村へ通った。
手がかりを求めて。
ポールは隣の家で23:00までテレビを見せてもらって
帰路についたと言う。家まで5分の距離だ。
長男ルイは町に出かけていたという。
ローズは一家を取りし切っていて、夫も長男も次男も家族全員
彼女、ローズに逆らわなかった。
ローズは息子達に嫌疑がかかり、必死に守ろうとする。
息子達のはっきりとしない返答にも
半分疑いながらも、決してそんなことないと
自分に言い聞かせ、執拗な治安判事に敵対していく。
ラルシェはテレビを見て帰ったというポールのことが
どうしても引っかかる。
執拗に、、、だが静かにローズに会いに来る。
何度目かの来訪は大雪で
町へ帰れなくなり、ここに泊めてもらった。
家族の中に入り、
また日参する事で最初は結束の固かった家族が
次第におのおの好き勝手な事を言い出し、行動し始めた。
その崩壊こそがラルシェの狙いでもあった。
いつかボロが出ると。
ローズは頑固だがまっすぐな性格だ。そんな家族に
次第に取り残されていく事態が信じられなかった。
山林を売って町へ行きたいという息子や、農業はいやだという嫁。
それぞれが我を出し始め、家族の結束を守ろうとするローズは....
開き直った彼女はそんな家の中を隠すことなく村のものに
見せるようになった.
そうすると村人達はローズ一家を守ろうと結束しだす。
ローズは立派な女性だ。
特ダネをねらうひとりの記者は
判事ラルシェとローズ一家の経緯を
ずーっと見続け、ラルシェを非難した。
”ローズはりっぱな女性だ!””あなたは見当違いをしている”と。。
ポールが隠していた被害者の所持金をローズは見つけた。
ローズは家宅捜査に踏み切ったラルシェの目を掠めて
隠した。
捜査からは何も見つからなく、空振りに終わった。
それでもキット何かあると踏んでいるラルシェ。
ラルシェの利用しているホテルで
働いているポールの嫁モニークは
実は、長男のルイと密かにこの町で会っていた。
ホテルの従業員から
あの夜も彼ルイの車がここの前に止まっていた事を
聞き出したラルシェはすぐにルイを連行させた。
付いてきたローズはルイと二人きりで会わせてもらった。
そして、ルイとモニークの過ちが一年半も続いていたことを
知る。ルイのほっぺたを叩き涙ぐむローズ・
”あの子は無実だくわ”と言い切るローズだったが
理由はラルシェに言わなかった。
こうやって、ローズ家の家族たちの秘密や、
母に反抗できなかった子供達の真実が明らかにされていく中で
ローズはうまくいっていたと思っていた 家 というものが
完全に崩壊していき、
いずれはここで一人淋しく暮らさねばならないことを
悟っていく。
そんな折、あの事件の真犯人が
警察の手で挙げられたのを知るラルシェ。
豪雪の中、また、ローズを訪ねるラルシェ。
”事件は終わりました”と淡々と言い、
”でもポールはあの夜23:00に
家に帰ったというのはいまだに信じてはいません”と
ローズに言った。
ローズは家の中からあのお金を持ってきて、彼に渡した。
”ありがとう!”と言って、握手を求めた。
そして雪の中を埋まりながらラルシェは帰っていった。。。。
★50も半ばを過ぎ、家族に見捨てられようとするローズの
素晴らしさを理解できたのは他ならぬこのラルシェだけであり、
そんな家族の 膿み を引き出してくれたのもラルシェであったと
ローズには分ったのだと思う.。
この ありがとう という言葉は
ポールが被害者からくすねたお金のことだけでは
なかったのだと思うのですね。
あっけない殺人事件の結果です。
でもそれは重要ではないのです。
事件というアクシデントを経由して、
ラルシェとロ-ズが出あった。
ラルシェはこの素晴らしい女性と出会えたことで
心豊かになった、ローズも真実を見出し、肩を張って今まで生きてきたことから
淋しくも解放されようとしている。
≪燃えつきた納屋≫という名前のとおり、
この農家の主ローズが必死に守ったものが燃えつきた..
ロースの気持ちも燃えつきたということですね。
そのことがこの作品のテーマであると思います。
単にサスペンス映画として観る作品ではないと
申し上げたかったのです。
牛のような、頑固で信念を持った女性、ま
るでシモーヌそのもののような女性。
冷静で粘り強いドロンラルシェとの対決は
そこに美しい人間同士の
ふれあいを描いて、
美しい雪景色と、キレイなサントラとも相まって
心温まる作品でした。
1973年度
監督 ジャン.シャポー
音楽 ジヤン.ミシェル.ジャール
撮影 サッシャ.ヴイエルニー
原作 ジョリュジュ.シムノン
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