-小麦粉記-

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資料二


 I嬢(18)の所有していたルーズリーフ・裏面の記述及び地図はKの作成と証言
 なお、I嬢は資料一の手紙を読んでいないと証言。信憑性はなはだ薄し。

 K君へ
 あまりおおっぴらにできないことなので手紙で書きます。
 Sクンが行方不明になってから二日たちますが、どこかSクンの行きそうな場所、教えてくれませんかK君。
 どうもSクンの失踪の理由が私にあるような気がしてなりません。
 失踪するちょっと前に出会ったときにの、Sクンの表情が、頭から離れないのです。
 たとえば、人は理由もないのに罪を感じることはあると思いますか? …ごめんなさい。これから書くことは、銃剣術のやりすぎで打たれておかしくなったバカな人のたわごとだと思ってきいて(読んで、ですね)くださると幸いです。
 …といってもイマイチ上手に文章にすることができません。兎にも角にも、私がいいたいことは、なにかの拍子に、無意識のうちにSクンが失踪するような引き金を引いてしまったのかもしれないという疑念と、それに伴う妄想的な罪悪感です。
 明確な理由なんて、ホントに無いっていうのに、私がちょっと笑いかけたときの、天地がひっくり返って地面がいきなりなくなったような顔したSクンが…
 誰も私が悪いわけじゃないというかもしれない。実際、Sクンとはそんなにたくさん話すことも無かったし、少しする話だって本の話ばっかりだったくらいです。
 それに、ここしばらくなぜかSクンと顔を合わすことがなくなってたし、何か約束を守らなかったとか、そういうこともないと思っています。ほんとはもっとお話をしたかったのですが…。
 それが、あの朝の日に廊下でパッタリあって、Sクンのほうから手を振ってくれたから、嬉しくなって笑いかけたら…
 ごめんなさい。なんども同じことばっかり書いてしまって。
 私が気にするようなことはないよというような慰めの類は、効果がないようです。もはや私の中では、はっきりとSクンにたいする罪悪感が形を持ってフワフワと浮いているのです。これはもう、どうしようもありません。このままだと、私までもが失踪してしまいそうです。
 コレがきっと、世の中で言う「女の勘」というやつなのかもしれませんが、この問題は私とSクンがどうにかしなければ解決できないのかもしれません。もしSクンが……もう、死んでいるのだとしたら……私もキット後を追う形になると思います。なぜならこれ以上胸に浮かんでいる罪悪感の重みに耐え切れないからです。しかも悪いことに、罪状が読み上げられません。それもそのはず、たぶん私に罪などないのでしょう。
 でも、それは「世の中」からみたことであって、「私の世界」ではくっきりと「罪」があるんです。
 なんだか、ちょうど自分に食い殺されそうな、そんな…
 Sクン…

 要領を得ない手紙になってしまいました。
 どうか、よろしくお願いします。

(裏面)
 キミがSの野郎に惚れていたのも、Sがキミに惚れていたのも、周知の事実だったからね。なんていきなり変なことを書いてしまってごめんよ。
 この件に関しては、俺はもう何も言わずにキミに協力しようと思う。
 俺自身がSの奴を探しにいってもよかったけど、キット無駄だろうとわかっていたから、何もしなかった。キミ以外の人と出会ったところで、奴は死ぬ決心を早めるだけだ。まだ生きているとしたら、奴の命はキミという存在だけで崖にぶら下がっているようなものだと思うな。長年友人をやってる、俺の勝手な想像だがね。
 キミにはまだアイツの手紙を読ませてなかったけど、たぶん読む必要はないと思うよ。
 Sの野郎が潜伏しそうな場所をピックアップして、いくつか載せておく。
 アブナイ場所もあるから、気をつけるんだぜ。なんなら、途中まで俺が送ってやろうか? 余計な世話だったかな?
(いくつか丁寧に書き込まれた地図が、優先順位をつけられて書き込まれている)

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