-小麦粉記-

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第四楽章 後編



中に入ると図書館独特の、本の紙とインクと黴の薫が鼻腔いっぱいに広がって、とてもいい気分になった。やっぱ、図書館って、最高。
カウンターには人のよさそうなおじいさんが座っていてこちらに笑顔を向けている。
「おやこんにちは。珍しいですね。この時期、夕方に来る人は滅多にいませんね。個室は空いていますよ。蛍光灯もお貸しします。残念ながら貸し出しはもうしていませんが」
「あ、いいんです。ちょっとこのあたりに来たんで。図書館っていう建物が好きなので入ってみたかったんです。」
それを聞いた老人はとても嬉しそうに笑って
「そうですか。それはそれは。それではここの建物は気に入ってもらえたでしょうか?古いので少しかび臭いのですが」なんていった。
「いえ、このかび臭さが好きなんです。これこそ本の匂いというか、なんと言うか。」
「はっはっは、そうですか!変わったお方だ。前にもそんなことを言っていた女の子がいましたな。ん、そうそう、今日も来ていましたね。」
「へぇ、そんな女の子がいるんですか。 えーと、ちょっとこの建物を見て廻ってもいいでしょうか?すこし歩いてみたいんです。」
「えぇ、構いませんよ。あ、そうだ、お客の方にこんなことを頼むのは良くないのですが、書庫の鍵を閉めてきてもらえないでしょうか。さっき話した女の子に頼まれて書庫を開けたまま鍵を閉めてないのに気付きましてね。最近年をとって膝が痛くて歩くのが辛いのですよ。本当に歳はとりたくないものです。」
そこまで言われると断ることなんてできないな。実のところ書庫って聴いたらワクワクしてきたし。
「えぇ、いいですよ。じゃあ行ってきます。」
「そうですか、よかった、助かります。ここからまっすぐいって左に曲がったところに小さなドアがあって、中に入ると階段があります。その階段を下りるたらすぐに書庫の扉がありますので、そこの鍵を閉めてきてください。ではお頼みします。これが鍵です。」

長い年月を経てすっかり滑らかになった金属のひんやりとした、それでいてずっしりと確かな重みを感じる鍵を手で弄ぶと、大きな鍵とその輪についている小さな鍵がぶつかって音をたてる。ところどころ「ギシリ」と音をたてる木の床を踏み歩いていく。しーんと静まり返っている館内に「ギシリ」とよく響くので、少し気まずい感がある。
「左に曲がって、えーと、ここか。」と、独り言を発しながら、背を屈めて小さなドアを開けてくぐると、何故か馬鹿みたいに天井が高くて狭い部屋で、下に階段が続いていた。
「でも、これじゃあ暗くて見えねぇよなぁ。」
もう日は暮れかかっており、その上この部屋には窓が無いので小さいドアから入ってくる薄明かりしか光源がなく、実際階段の下は闇が溜まっている感じで見えなかった。嫌な感じの黒色で、思わず寒気がして鳥肌が立った。ホントにこの下にあるのはただの書庫だろうか。なんて考えが頭をよぎる。
とりあえず周りを見渡すと、都合よく壁に頑丈そうな古い懐中電灯がかかっていた。きっと日中でも暗いのだろう。
「さて、結構おっかないけど、行きますか!」なんて一人で気合を入れて階段に足をのばす。懐中電灯の頼りない光が下方のねっとりとした闇をぼんやりと押し広げていく。進むごとに黒い空気が体に纏わりついているようで息苦しく、嫌な汗が流れはじめた。

ここは俺が想像していたような書庫ではないとこの時はっきりと感じた。

電池があんまりないようで、若干明滅している。大丈夫かよ。
ちょっと降りるといよいよ電池が無くなってきた電灯の死にそうな光が大きな扉を暗闇のなかに浮かび上がらせた。
振り返ると四角く切られた明るさがちょびっとだけ見えて、少し安心する。
「・・・・・鍵、閉めるんだったよな。」
正直いって、かなり怖い。
鍵穴に鍵を差し込むと、ちゃんと扉が閉まっていなかったらしく、鼓膜と精神にひびが入りそうな音を盛大に立てて扉が開いていってしまった。
そのときの俺はというと、情けないながら足が硬直していて、手だけが扉と一緒に前に進んでいってしまって、結果
「うひゃぁ!」
と、見事につんのめり、こけはしなかったものの書庫の中に入ってしまった。
「うおぁ、危ねぇ。はぁ はぁ、いやな汗かいたぜ全く・・・・・。あーっと、ここは―――」
もうすぐご臨終の電力で点灯している懐中電灯はかなり明滅しながらも、書庫にしては少ない本棚と、大き目の机と蛍光灯と椅子、その真上にぶら下がっている裸電球、そして少し奥にあるのでよくわからなかったが、何かガラスの四角い足のついた箱のようなものを確認させてくれて、ふつ。と消えてしまった。
文字どおり、真っ暗。いや、真っ暗なんてもんじゃない。質量をもった闇が、体中に、覆いかぶさってきて、息がつまる、やばい、ここは、何か、違う、やばい、やばい、やばいやばいやばいやばいやばいやばいヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ・・・・・・・!
急いで一度懐中電灯のスイッチを切り再度入れるとほんの少しだけついた明かりをさっき裸電球のあった気がする空間へと向けると一瞬ぼうっと埃をかぶった電球がみえすぐに消えた。それっきり懐中電灯はふっつりきえてしまった。
纏わりつく闇の中を手探りで電球を捕まえてネジを回す。きゅっ、っとネジがまわり、上から伸びるコードと電球の間に電流を通す。
思わず腕で目を庇うほど明るさが、俺の体、そして部屋の中を覆っていた闇を霧散させ、室内を照らす。
「・・・・はふー、よかったぜ。全く。」
気付けば俺は全身汗びっしょりで、息は上がり、電球をつけるためにそうしたのだろう、足元に懐中電灯が転がっていた。
息を整えてから、改めて部屋の中を確かめてみる。

「ひでぇ、なんだこれ・・・・・。傷だらけじゃないか。」
何かの刃物を叩きつけてさらに切り裂いたような傷で、机の板はギタギタになっていた。
電球がブラブラ揺れている。
机には引き出しがあり、開けようとすると鍵が掛かっている。無理やり力を入れたらばきっと音をたてて引き出しが飛び出してきた。
「あれ、俺何してんだ?ただ鍵を閉めろと頼まれただけなのにな。」
だけど折角開けたんだしと思い中をみると数枚の原稿用紙と、深緑色の石ころが一つ転がっていた。
取り敢えず原稿用紙を手にとって読んでみるとこんなことが書かれていた。

正館十八年十月二十三日

今日がここにいる最後の日になるはずだ。この部屋には世話になった。

この上で起きた出来事は、きっと揉み消されるだろう。

血の染み付いた壁紙は張り替えられ、血溜まりの出来た床は、きっちりと染み抜きがされるだろう。

この図書館で起きたことを知るものたちはかん口令が敷かれ、建物は閉鎖され、あの被検体―――

しかしあの本を読み内容に気付いたあの連中がどんな顔をするか、目にありありと浮かぶ。

きっと私を殺害するだろうが、もう私はこの世にはいないだろう。

一つ気になるのは、彼の子供だ。生まれてまもなく彼の妻が死亡し、とある知り合いに預けられたと言うがその学者夫婦は今ペルーにいると聞く。

彼の子は大丈夫だろうか。まぁ、その夫婦の娘がしっかりしていると聞いているから、心配はないと思うが。被検体に施された操作の遺伝は残ると思うが、仕方あるまい。

さて、私が死に、他のも者も記憶を閉ざされ、誰もこの事を知るものがいなくなっても、

血のあとが消し去られても

この

血玉髄が証明している。

一緒に、血玉髄を入れておこう。

鍵を閉めたら、クスリを飲もう。

もうすぐ死ぬ。待っててくれ。

「・・・なんだ、これ。」
なにかとんでもなく気にかかる。とても、嫌な感じがする。関わってはいけないと、脳髄が警鐘を鳴らしている。耳鳴りが止まらない。
「持っていこう。」
止めておけ。
「なんか気になるし」
止すんだ。
「こんなもの、持っていったって誰も気付かない。」
それを置け、忘れろ。
「この石もついでに戴こう。おれ、泥棒みたいだな。」原稿と石をポケットに入れる。
忘れろ、忘れろ、置いていけ。
うるさい。引き出しを閉める。

「そういえばさっきよく見えなかったのはあれかな?」
と、展示ケースに見えたものに近づいてみると、案の定ガラス張りの展示ケースで、南京錠がついていた。
中には一冊の、四隅を金属のカバーで補強した擦り切れて、表面がけば立っている黒い本が古びた赤いクッションの上に乗っていた。ところどころ剥がれている金色の箔で押された題名を確認すると、
「・・・・・・・・・血玉髄の図書館じゃないかこれ、なんで、こんなところに?侘須牙が持っていたのとおんなじだ?なんなんだこれは!?」
全身にから汗が噴出す。この部屋の鍵にさらに小さな鍵がついていたのを思う出いだして、扉の鍵穴に刺さったまんなの鍵を引き抜き、小さな鍵をケースの鍵穴につかうと案の定あいた
キイィと金属の蝶番が嫌な音をたてる。
本を手にとってみる。
「すげぇ。ばっちり本物だ。でも何で侘須牙が」
「私が、何?」
「うわぁぁぁぁぁあ!?」
十六年間生きていて、一番情けない声を出したと思う。
後ろを振り返ると、ランタン型の懐中電灯を持った女がこちらを睨みつけて立っていた。うわ、とんでもなく美人・・・・・って、あれ?
「はぁはぁ、っ侘須牙!?はぁ?何でここに!?」あの侘須牙 燎がそこいた。
状況が全くつかめない。
「なにって、館長に「書庫の鍵をあのまま閉め忘れたから、ちょうど来たお客さんに閉めに行ってもらったんだが、懐中電灯を渡すのを忘れててな、すまないが持っていってくれないか」って頼まれてきたんだけど・・・・・何故に貴方が。」
と、あからさまに舌打ちしている。なんか怒ってる?
「いや、そこまで露骨に嫌な顔をしなくてもいいだろ。」
取り敢えず落ち着こうぜ、俺。
「懐中電灯持ってきてくれたんだよな。ありがとう。助かった。入り口にかかってた奴、あ、これだけど」と、足下に転がる懐中電灯うを指差して
「電池切れちゃってさ、いやホント、助かったよ。」
「そう。別にそんなに感謝しなくてもいいわよ。ついでだったし。で、なんで貴方その本持ってるのよ。と言うか「鍵を閉めてくれ」って言われたんでしょ?何勝手に書庫に入ってるの。」
「いや、これは偶然というか不可抗力というか。まぁそれはそうと、お前この本読んでたろ、どういうことだ?」
「別に、話せば長くなるから。取り敢えず鍵しめて外に出るわよ。」
「あ、おう。」
ということで電球を消して扉の鍵を閉め、外に出た。どうやらポケットにいれた原稿用紙には気付かれなかったようだ。ついでに破壊した机の鍵も。
窓の外はすっかり暗くなっており時間を確かめると八時を過ぎていた。
「あれ、貴方その本持ってきたの!?まぁ、いいか。私も借りたことだし。」
「あ、わりぃ。でもこの本借りれるんだろ。お前読んでたんだし。読みたくて読みたくて仕方なかったんだよ。これ。」
「えぇまぁ館長にいえば借りられなくともないけど。」
ところで俺、侘須牙と話してるなんてなかなか珍しいな。学校ではあんな感じなのに。

玄関に戻って館長だった老人に「血玉髄の図書館」を借りたいと頼んだところ「あぁ、構わないよ。ただ必ず返してください。その本は少し特別ですので。」特別?とちらっと気になることがあったものの快く貸してくれた。
「おや、もうこんな時間ですか。燎ちゃん帰りは大丈夫かい?最近物騒だろう」ちなみに燎ちゃんとは侘須牙のことで、俺と同じく図書館の薫が好きだと言っていた女の子も侘須牙のことだった。館長とは知り合いらしい。
「大丈夫です。痴漢に襲われるほど間抜けじゃありませんから。」
「そうかい?じゃあ気をつけて帰るんだよ。・・・・心配だな。」
ここは男の俺の出番じゃないだろうか。
「じゃあ家まで送っていくよ。どうせ帰っても誰もいないし、暇だし。」
「・・・別に要らないけど。」
「いや、そうしてもらえると助かりますね。燎ちゃん、送ってってもらいなさい。」
「・・・・館長が言うなら。頼むわ。」
「よし、行きますか。お邪魔しましたー。」
「ではまた来てくださいね。」
何だか来たときには想像もつかない形で俺(と侘須牙)は図書館を後にした。

「で、貴方、私の家知ってるの?」
知っているはずが無い。
「でしょうね、全くなんでこんな展開に・・・?」
「まぁたまにはいいじゃないか。ところでこの道どっちにいくんだ?。」
「・・・右。」
素っ気無いね・・・。
「この三叉路は?」
「左。」
そうかい。

こうやって無言で歩いていると入学式のあの自己紹介が思い出される。
――侘須牙 燎(たすが りょう)です。祥香中から来ました。初めにいっておきますが、私はあなたたちと仲良くするつもりはありません。必要なことなら応じますが、下らないことなら話しかけないでください。――
「なぁ、あの自己紹介はどういうのなんだ?」
「・・・・・・・・・・。」
殺気だけが返ってきた。
「いや、いい。なんでもない、です。」
うわ最後敬語になっちまったよ情けねー。図書館では割と普通だったのに、何だ今の?
・・・・・・・・・・。
何にも話さないでいる時間っていうのは好きなんだけど、何だろう、侘須牙といるこの気まずさは。
さすがの俺もなんか辛くなってきた。
「この間、科川と口論してたけど、なんで携帯もってるのに持ってないなんて言ったんだ?」うわぁ、なんでよりによってこんなこと聞いてんだよおれ!?
「!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
殺気よりも密度の高い殺気が返ってきた。がんつけられた。おぉ怖い。
「・・・あー、この道は?」
「右」
あぁ、若干送るって言った事を後悔したりしてましす。いや、めげるな、俺。
そういえばこれまでの道のり、俺の住んでるアパートと同じ方向だな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
そういえばあのこと聞いてないな。
「なぁ、この本どうやって見つけたんだ?話せば長くなるって言ってたけど、家まで時間あったら話してくれよ。」
「・・・・・はぁ、貴方ってホント懲りないのね。二回も無視されたら普通の人間なら黙るわよ?」
「そんなもんか?まぁいいじゃねぇか。聞かせてくれよ、血玉髄の図書館についてさ。」
「うわ、全然効いてなかったのね、結構睨んだつもりなんだけど・・・・。いいわ。私も暇だったし、家まで時間あるし。」
そんなに露骨に「効いてなかったのね」なんていうなよな・・・・・。
「えっとね、中学のときにあの図書館じゃなくて、市内の中央図書館に職業体験に行ったわけ。」
「あぁ。」
「そのときに中央図書館の書庫に入らせてもらってね、担当の職員が旧図書館の見取り図もある。なんて言ってたのよ。さっきのでわかったでしょうけど、旧図書館の館長って小さいころからお世話になってる人で自然にあの図書館にもしょっちゅう出入りしてたの。」
「ふーん。」侘須牙の小さいころ・・・・。可愛かったんだろうな。
「・・・・・貴方よこしまなこと考えてない?顔、気持ち悪いわよ。」図星。
「ひでぇな。してねぇよ。まぁいい続きを。」
「どうだか。じゃ続き。そんな感じで今の旧図書館の中はほとんど知ってるんだけど、一箇所だけ入ったことの無い部屋があってね、そこがあの第二書庫。」
「第二?第一もあるのか。道理で書庫のくせに全然本棚がないと思ったんだ。いや、というかあそこは書庫じゃないだろ。書斎?っぽかったじゃないか。」
「いいから、ちゃんと聞きなさい。唯一あの部屋は嫌な感じがして、小さいころから、なんと言うか苦手というかそんな感じだったの。一回だけ決心してドアを開けようとしたんだけどその時は開いてなかったわ。」
「あぁ、わかる。何かあの部屋はよくない感じがする。実際懐中電灯が切れたときは冷や汗出たぜ。」あんな感じは二度とゴメンだね。
「へぇ、貴方も。(他の人はなんとも無いのになんで私とコイツだけ?何かいい感じしないわね。)まぁいいわ。それで職員に頼んで見取り図を見せてもらったの。で、その職員が呼び出されて「ちょっと見て待ってて」なんて言って書庫から出て行ったの。更にコピー機もあったからコピーして持ってかえったのよ。よく見てみたら、あの部屋が地下になってるって気付いたんだけど、やっぱり入る気にならなくて。でもなんとなく気にかかるから一昨日に館長に頼んで一緒に降りたらあの本があったわけ。前々から噂は聞いてたし、読みたいと思ってたから借りたのよ。」
「なるほどね。しかしお前、話し出すともの凄く饒舌だな。」普段黙ってるからちょっと得した気分。
「!うるさいわね!話せって言ったのはどっちなのよ!」
あ、怒った。
「わりぃわりぃ。で、あの部屋はなんだったんだ?どう見ても書庫じゃないだろあそこ。」
「・・・・・えぇ、確かにあそこは書庫じゃないわ。貴方が持ってる血玉髄の図書館の作者が、その本を書き上げて、死んだ場所、らしいわ。」
すっかり日は暮れていたが、欠け始めた歪な月の光で周囲は結構明るい。
「題名の中の「図書館」も、中を読んだらあの旧図書館に酷似してるのよ。」
ポケットの中の折りたたんだ原稿用紙が、
「館長に聞いたら、確かにその作者のことは知っている。とは教えてくれるんだけど、詳しくは教えてくれなかった。」
あれにはなんて書いてあった?
―血のついた壁紙   揉み消し    図書館    出来事    披検体   死―
「ちょっと聞いてるの?自分から話せって言っておいて、ちゃんと聞かないなんて貴方どんな神経してるのよ。」
また怒られた。
「すまん。ところでお前この本読んだんだろ?内容はどうだったのさ?」
「はぁ?そんなの自分で読んで実感しなさいよ。まぁ面白くないか、面白いか?って言えば、かなり面白かったわよ。」
「だろうな、お前が授業さぼってまで読んでたほどだし。」
「な、うるさいわね。ふん。ついたわ。」
「は?何がついたって?」
「何が?って、貴方何のために私と歩いてるのよ!ここ、私の住んでるアパート。取り敢えずお礼はしておくわ。ありがとう。じゃ、さよなら。」俺は耳と目を同時に疑った。
「ちょっとまて、今なんて言った?」
「うるさいわね。住んでるアパートに着いたからさようならっていっただけ。」
侘須牙が指差したアパートは、俺が住んでるアパートでもあった。
「ここ、俺のアパート。」
「はい?今なんていったの?」
「何の偶然か知らんがこのアパートの15号室に俺は住んでいる。」
「・・・・・・・・・・私は16号室。」

世の中って奇想天外だぜ。ハイスクール・ブックスコミュニケーション。

「何故に貴方・・・・・・。」
「知らん。」


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