ななこのくつろぎカフェ

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富士登山記(2)



私は普段はとても寝つきのいいほうで
布団に入ると(おそらく)2~3分しないうちに
寝てしまうほうなので
山小屋事情があまり良くないことは
ある程度はわかっていたつもりでした。

でも一度目が覚めてしまったら
周りの人の物音が気になってしまい
(こりゃもう眠れん!!!)と思った私は
ゴソゴソと起き出し、寝床を抜け出すことにしました。

すると、寝てたはずの友達3人もみんな起きて
みんな口を揃えて「暑くて眠れない」。
起床時間の22時半まではまだ2時間近くありましたが
ベッドから荷物を移動させ(→2段ベッドの上でした)
早めに起きてトイレをすませたり
夜間登山になるので、防寒対策をしっかりするため
着替えたり、荷物の整理をしたりしていました。

7合目までは、比較的軽装でOKです。
私はTシャツの上に
長袖のシャツを1枚はおっただけでした。

でも7合目から先は
気温もどんどん下がるし、頂上は真冬並なので
さらに上にフリースと登山用のレインウェアーも着ました。
首のところが寒くなるので
マフラーの代わりにタオルも巻きました。

ご来光を拝むためには、どうしても夜間登山になります。
私は別にご来光にはこだわっていなかったのですが
ツアーだとご来光がメインになっているものも多く
他の旅行社では9月の富士登山ツアーは
出ていなかったので、今回のツアーを選んだのです。

夜11時。出発の時間。
七合目から、頂上までは約5時間の長丁場となります。

ヘッドライトの準備もOK。
女性だとこのヘッドライトに抵抗ある人も多いようですが
夜間登山はライトが必携ですし
懐中電灯だと、両手が塞がってしまうので
(→片側にはすでにステッキを持っているため)
私も行くまでは(頭にライトをつけるの?やだな~。)
と思っていたけれど、いざ向こうに行ってしまうと
登山に必死で、格好とかはどうでもよくなってしまいました。

それにしても、7合目から見る夜景はまた格別です。
河口湖や山中湖もよく見えました。
といっても、昼間に見るのとは違って
夜だと湖のところだけが、真っ黒に見えるのですが
それもまた良し。

今回泊まった山小屋「東洋館」へ着く手前は
ものすごい岩場で(素人が登るにしては危険!?)
という感じでしたが、実は7合目から先はもっときつくて。

風が強いと、登っているときに煽られて
バランスを失いそうになったし
高度が上がるにつれて
一緒にいたメンバーのうちの2人が
「気持ち悪い。頭が痛い。」と言うようになりました。

私は高山病の症状自体は出ませんでしたが
とにかく登山自体がきつくなってきて
何度も(あ~、もうダメ。)と思いながらも
周りを見ると、みんな黙々と登っているので
傾斜がきつくなってきたあたりからは
私自身も、ただひたすら無心に
登山の合間の休憩時間を楽しみに(といっても
ほんの3~5分くらいなんですが)
登り続けました。

標高3250メートルの8合目を過ぎると
今度は「胸突八丁」と呼ばれる
険しく荒涼とした岩場を登ることになります。
このあたりまで来ると、休憩時間ともなると
携帯酸素を吸う人も増えだしますが
私は酸素よりも水が飲みたくて
休憩時間になると、水かお茶を飲んでいました。

登山中はトイレの問題もあるので
水分を控える人も多いみたいですが
もともと私は普段からも水分を多くとるほうなので
予め持っていったペットボトル3本(250ml)は
下山までに全て飲み干しました。

おもしろかったのは、常温だったペットボトルの中身が
高度が上がるごとにどんどん冷えていったことです。
6合目あたりでは、ぬるかったのに
8合目を過ぎたあたりで
氷を入れたみたいに冷たくなりました。
そのおいしいことと言ったら…。

9合目を過ぎ、山頂も目前になってきたところで
私の目の前を歩いていた、同じツアーの大柄の若い男性が
突然ゲーゲー吐き出し、転げまわりました。
とっさに(高山病!)と思ったけれど
こっちも岩場にへばりついて登山している最中で
とてもその人に声をかけられる余裕はなく
自分のことで精一杯でした。

頭痛や悪寒もきついとは思うけれど
何がつらいって
やっぱり吐くのが一番きついのではないでしょうか。

登っても登っても延々と見えないゴール。
足場の悪い岩場に、いつ自分も高山病の症状が
出るんじゃないかという恐怖。

(あと少し。あと一歩。)
何度も自分にそう言い聞かせながら
気付いたときには、ツアーのガイドさんが
「着いたよー。頂上だ。」と言ってるのを聞き
(うそー。とうとう着いたんだ。
長かったー。本当につらかったー。)と
それまでの登りのことをいろいろと思い出し
思わずヘナヘナと座り込んでしまいました。

着いたのは、朝4時半少し前のことです。
しっかり防寒対策をして
厚着もしておいたのにもかかわらず
頂上は寒くて寒くて震えがきました。

周りの人たちも、嬉しいことは嬉しいと思うのですが
頂上に着くなり酸素を吸いだす人や
ただただ横になりたくて
ベターッと寝っ転がる人や、様々でした。

私は息苦しさもほとんど感じなかったので
頂上でも酸素は吸わずに
(一応、2本持っていってたんですけどね)
そこでもまた、ペットボトルを飲んでいました。

また、ご来光は5時12分頃とのことだったので
頂上の山小屋で、おしるこを食べ
そのときが来るのを待ちました。


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