2005年9月18日(日)
舞台『燕のいる駅』 東京グローブ座
レポ⇒ まみ
↑
【グローブ座の前に立つと超でっかい相葉くんがお出迎えです。
しばしポカ~~ンと見とれる・・・。】
日曜日。天気は快晴。ちょっと暑い。
期待と不安が入り混じった、複雑な思いを胸に
東京グローブ座の椅子に座りました。
この舞台のテーマは『戦争・差別 そして世界の終わり』
そんな重いテーマを背負って、彼はどんな芝居をするんだろう?
どんな駅員・高島くんを演じるんだろう?
「もうすぐ相葉くん・・・いや、高島くんに会えるんだ。
ちゃんとできるかな・・心配だな・・・。」
でも幕があがって彼の、高島くんの姿を見た途端、
そんな心配はどこかへ行ってしまいました。
ステージにいるのは紛れもなく相葉くん。だけど高島くん。
お芝居が進むにつれ、相葉くん=高島くんに段々リンクしていく感覚・・。
知らず知らずに物語りに引き込まれました。
青い駅員服を着た高島くんが駅のベンチを修理しているところから物語は始まります。
この<ベンチが微妙に壊れている・・・>という設定が
あとあと高島くんを追い詰める事に・・・。
そして次々に出てくる登場人物がみんな白い服を着ています。
色つきの服は高島くんと売店の店員の有香だけ。
これはなぜ・・・?
その意味もあとでわかります。
そう、このお話、いろんな伏線が最初からいろんな場所にちりばめてあり、
セリフひとつにも重大な意味があったりします。
なにげなく言った高島くんの一言が
最終的に彼を絶望のふちに立たせる事になったり・・・。
でも全体的に明るいトーンでお話は進みます。
燕のひなのことを一生懸命有香に話す高島くん。
親友二郎の名前の由来で笑いあうふたり。
有香から誘われたのに「うん」って言えない高島くん。
卒業旅行の女性4人の明るい会話。
会社員3人連れの中のオトボケ社員。
二郎と高島くんの小学校の思い出話。
全て明るくて、笑えるんです。
でもパンダみたいな雲にみんなが気付きだして・・・。
明るい会話が妙に重く感じる・・。
「何かが起こってるよ?大丈夫なの??」って
見ていてだんだん不安になってくるんです。
会話の中から今いろんなことがわかってきだして、物語は終幕へ向かいます。
電車が止まって立ち往生していたお客さんを
高島くんが最後の電車に乗せてしまう・・。
「もしかするとこの電車に乗ってはいけないんじゃないか・・?」
危機感を持っていたお客さんにも
「乗ってください!!今日最後の電車です!」
と、彼は乗せてしまう。
彼の親友の二郎も、彼の知らないところで辛い目に遭っていて
最後のお別れを言いに来ます。
そして彼の言ったなにげない一言で
彼の事を好きな、きっと高島くんも好きであろう有香も
危ない方へ“高島くんのために”と向かってしまいます。
そこで彼はやっと何かに気付きかける。
戦争が始まった事を知る。
差別の中で友達が苦しんでいた事を知る。
そして自分だけが何も知らなかった、知ろうとしなかった事に気付く。
自分のせいで誰かを死に追いやったかもしれない事に。
彼の苦悩はここから怒涛のように押し寄せます。
後悔・絶望・焦燥・・・。
人間の負の感情の全てが彼を襲います。
見ているこちらも辛く、悲しい。
そしてラストシーン。
親鳥が巣を壊してしまい、下に落ちてしまった燕のひなたち・・・。
(実は親鳥が巣を壊してしまったのも高島くんが原因だったのですが)
その中から一羽だけ生き残っていて、
そのひなを大事に両手で包み込む高島くん・・・。
でもその背後から不気味な黒い雲が近付いてきています。
愛おしそうにひなを撫で、空を見上げる彼の表情は
悲しみや絶望の中に優しさが見えていて、なんとも切ない・・・・。
きっと一羽の燕のひなは彼の希望なんだと思います。
自分の命の終わりが来ても彼はひなを守り抜くんじゃないかと。
優しすぎて、鈍感すぎる彼の心は人を傷つけ、自分も追い詰めたりしたけど
その優しさが希望になっているんだと私は思いました。
本当に切ないラストシーンでした。
なんだか上手く書けなかったけど、お話はこんな感じです。
私の見た限りの感想ですので、物語を作った方とか他の方とは解釈の仕方が違うかも知れません。
私なりの見解ですので、お許し下さい・・・。
この舞台を観て、ある映画を思い出しました。
『ライフイズビューティフル』
アウシュビッツでの家族、特にお父さんと息子のお話です。
この映画でお父さんが息子を守り通す姿、絶望の中の希望。
お父さんと高島くんがダブりました。
高島くんとは違って、このお父さんは全てを分かった上で
息子を助けるべくいろんな行動をするのですが、その明るさ!!!
明るさが悲しみを誘います。
最後は悲劇ともハッピーエンドとも言えない終わり方なんですが、
エンドロールが流れてきた途端、号泣してしまいました。
そして時間が経つに連れてますます悲しくて、切なくて・・・。
なかなか涙が止まりませんでした。
燕のいる駅もそんなお話です。
時間が経つに連れ、悲しくて泣けてくるんです。
今、このレポを書いていてもちょっと泣きそうです。
きっとそれだけ心にじわ~っと沁みてくるんでしょうね・・。
WSSの時は「わ~!翔くんだ!おーちゃんだ!潤だ!」的な見方をしていましたが、
今回はそんな感じでは観ていなかったです。
相葉くんが高島くんに完璧にリンクしてたからかな?
優しさ・一生懸命さ・鈍感さ・バカさ・・。
全てが相葉くん=高島くんでした。
私は本格的なお芝居を観るのは(ジャニは本格的か??と言う声はおいといて・・)
今回が2回目で、お芝居の上手い、下手とか、演出のこととかは全くわかりません。
でもニノが言っていた通り、脚本・演出が素晴らしかったと思います。
演出家さんは相葉くんの魅力を全て分かっていて、
台詞や動作にいたるまで“相葉くんのために!”と、創ってくださっている気がしました。
相葉くん以外の役者さんもみなさん愛すべきキャラで、
絶妙な台詞のやりとりや、表情や動作がとても上手で素敵でした。
彼らのおかげで、主役が一段と引き立つんですね~。
『この舞台の主役は何故に相葉くんなのか??』
この事をずーっと考えていました。
座長:相葉雅紀が先にあって、なぜこの燕のいる駅が選ばれたのか?
例えば、嵐で言えばニノや潤が高島くんをやったとします。
きっと相葉くんより何倍も上手で、話の内容もすぐ理解できて
悩んだりする事も少なかったかもしれません。
でも「なかなか理解できなかった・・」という相葉くんのスタンスが
高島くんにぴったりだったと思います。
だって高島くん自身が最後まで状況を理解しない人でしたから。
でもとても優しい。鈍感だけど、優しい。
そしてバカで一生懸命。全然カッコよくない。
他の人ではきっとウソっぽくなってしまうこの役柄も
相葉くんなら素直に受け入れられました。
普段の彼と同じだもん(笑)
だから相葉くんにこのお芝居なんだな~と。
ひとりで「うん、うん。」と納得してしまいました。
あ、他にもひとり高島くんになれそうな人みつけましたけどね~
SMAPのつよぽん。
彼でも高島くんになれそうです。私的に・・・ですが。
そうそう、最後の挨拶ね。
出演者さんと一列に並んで、もちろん相葉くんは真ん中で。
しっかりと座長してました。
そしてその後2回ほど出てきてくれたけど、可愛かったよ♪
“相葉雅紀”に戻ってました。
相葉お手振り&スマイルで最後を締めくくってました。
でもコンとはまた違う笑顔だったよ。
すごくいい顔してました。
このお芝居で相葉くんは大きなものを得られたかな?
終わった後何かが変わるかな?
きっと変わるよね!!!変わらなかったらウソだよ~~!
私でさえ相葉くんを見る目が変ったもん。
『相葉くんはおバカだけど、馬鹿じゃない!!!』
すごく見直したよ。あそこまで出来ると思っていなかった。
立派だった!!!
もしかして演劇の好きな方からみると、彼はすごく下手なのかもしれません。
“相葉くん”だからっていう見方をしていた部分もあると思います。
でも心に響いたものは確かにあったし、
いろんな事を考えさせ、感動させたのは彼の演技です。
下手だろうが、アイドルだろうがひとりの人間にそう思わせたのならそれでイイ。
と、私は思っています。
会場を出た後にななが
「相葉くん、頑張ってたね!」って言った時、「あっ!」って我に返ったよ。
やっと高島くんが相葉くんに戻り(私の中でね)
「うん!うん!よ~く頑張ったね!!一生懸命やってたね!!大変だったね!!」
って、母的気持ちが甦ってきちゃいました。
また違う意味で泣けてきました・・。
舞台が終わって、外に出て。
その時になにげなく空を見上げました。
快晴。真っ青な、高い空です。
物語の中の空と同じです。
いろんな思いが心をよぎります。
そういえば相葉くんが雑誌で
「舞台を見終わった後、ふと空を見上げてくれれば、何かを感じてくれれば嬉しいです」
って言ってたのを思い出しました。
そのことは忘れていたのにやっぱり空を見上げてしまいました。
いろんな事を感じ、考えました。
『燕のいる駅』という舞台は、そんな奥の深い、素晴らしい舞台でした。
終わり。
追記
今回のレポ、ちょっと真面目に書いてみました。
あんまり私らしくないかもだけど、素直な気持ちで書きました。
読んでいただいて、もしよかったら感想を掲示板の方にでもお寄せいただけると幸いです・・・。
まみ